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チョコレート編
591.物騒な噂
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ルカは材料を持って家を出た。
学校帰りに必要な材料を買い集め、無いものは自力で採りに向かった。
《テレポート》の魔法は、魔術もそうだが魔力の消費が大きい。
時空魔法が得意なルカでさえ、感覚も何もかも違うので使いたかったが、長距離移動のために仕方なく、如何しても二回も使っていた。
「ああ、気持ち悪い」
ここ数日は寒さも相まってか、あまり影響の出ない体質のルカでさえ、頭を抱えていた。
場所が場所だったこともあり、疲労も蓄積されている。
体はいつも通り、精神的にも問題は無いのだが、フラッと寝不足がたたった。
「ふはぁー。それにしても、シルヴィの家に行くのは初めてだね」
この一年を通して、ルカが自宅に招いたのは勝手にやって来たナタリーのみ。
かと思えば、ルカもまたブルースターの管理する教会以外には行ったことが無い。
だからシルヴィアの家がどれだけのものか少し楽しみではあった。
「リューネラ家は官僚だからね。きっと立派な家構えなんだろうな」
ルカは様々な妄想をしてみた。
けれど全ては妄想で、真実が如何であれ変わることは無い。
いつもの道から少し逸れ、十字路を曲がる。この先には坂道があり、如何やらこの先に家があるらしい。
「如何にもって感じだね」
ルカは心が湧き立った。楽しくなる気持ちに突き動かされる。
疲労した状態に坂道は多少嫌になるが、それよりも嫌な話を耳にする。
休日と言うこともあり、何人もの住民が整備された街道を歩いていた。
「ねぇ、聞いた。最近強盗が多いらしいわよ」
「えっ、それ本当?」
「そうなの。なんでもね、昼間でも関係無く住宅に侵入するらしいわよ」
「まぁ、命知らずね。魔術師の街でそんな真似」
確かに自殺行為と言ってもいい所業だ。
何せマギアラは魔術師の街。その原点に位置する。
多くの魔術師や魔術師の卵が暮らす街で、強盗なんて真似馬鹿げているとしか言いようがない。
(全く、命知らずな強盗だね)
ルカも強盗側の肩を持つ。
心中を察してしまうが、何故ここまで捕まらないのか。
騎士団の駐屯地もあり、自警団も魔術師も多い。なんと言ってもナタリーの管理する街で、強盗なんて真似早々できる訳が無かった。
(まさか、誰かが裏で糸を引いている?)
その可能性が無いとは言えない。
ナタリーのカリスマ性でも従ってくれない人間がいる。
もちろん誰かを縛り付けるのが人間では無いし、それをひけらかすのも違う。
己の行動理念を持っているのはいいことだが、強盗なんて真似罪でしかない。
「ナタリーさんがいるのにね」
「全くよ。なんで捕まらないのかしら?」
「それが強盗は一人じゃなくて複数人らしいのよ。しかも全員魔術師って噂」
「魔術師!?」
如何やら噂の強盗は一人ではなく複数人、つまりは強盗団と言うことだ。
それなら計画も少し変化する。
一人では無理難題なことでも、リスクは大きいが複数人で取り掛かれる。
もちろん罪であることには変わりなく、ルカはやれやれと心底嘆く。
「魔術を犯罪に使うなんてね」
「全く怖いわ。魔術を使えない人だっているのに」
「そうよね。でも例の強盗団、なかなかに豪胆な性格みたいよ」
「そうなの? もしかして、銀行を襲ったりして?」
「ええ、銀行じゃないけれど、お金持ちの家ばかり狙ってるみたい」
“お金持ちの家”? なるほど、金品が豊富な家を狙っているみたいだ。
ましてや富豪宅なら優秀な警備が付いている筈。
それさえ掻い潜ってしまうとなれば相当な手練れで、ルカは面倒な相手だと思った。
(魔術師は近接攻撃に弱いけど、警備を掻い潜るとなれば、相当みたいだね。まあ、私には関係無いんだけどさ)
ルカの住んでいる家はそこまで大きくはない。
庭は付いているものの、街の外れにある。
それのせいもあり認知さえされず、学校からも距離があり、利便性は悪いのでとんでもなく安い。だからだろうか、強盗の様な輩がやって来るなんてほとんどあり得ない。
(しかも金目のものは全部亜空間の中だからね。心配する必要は無いけれど、この辺りはマズいかな?)
今ルカがいるのは高級住宅街。
その目の前を歩こうとしていて、非常に怪しい。
周りを見渡せば大きくて立派な造りの家々が並んでいる。
正直、“盗んでください”って言ってそうな雰囲気さえ漂っていた。
(マギアラなのに、魔術結界も張っていないなんて。警備が杜撰だな)
ルカは嘆かわしいというよりも憐れんでしまった。
ルカの家でさえ、一応超強力な魔術結界を張っている。
それに引き換え高級住宅街には魔術結界なんて藻の張っている様子も無く、代わりに人間が門の前で立っている。
(一級魔術師じゃない……準でもない。二級程度の魔術師かな? 強盗団の力量が分からないけれど、さてさてどうでるかな?)
薄っすら遠くの方の家には魔術師の気配があった。
視線を飛ばして魔術師の度合いを探ってみると、少なくとも二級程度。
もっと言えば準二級程度の腕前で、ルカは肩を落としてしまった。
「まあ、二級でも準二級でも強い人は強いけどね。私には人のポテンシャルにどうこう言う権利はないか……」
ルカは首を横に振り、失念していた自分を律した。
坂道を再び上がり、シルヴィアの家に向かう。
その最中、話し声はこうも聞こえた。
「しかもね、ただの魔術師じゃないらしいわよ」
「えっ、そうなの?」
「そうなの。魔術師にも全然気付かれない、まるで透明人間らしいわよ」
透明人間のような魔術師。
一体どんな奴らなのか、流石にルカは聞いていない。
今もマギアラに潜む強盗団に怯え、その話題は密かに広まりかけていた。
学校帰りに必要な材料を買い集め、無いものは自力で採りに向かった。
《テレポート》の魔法は、魔術もそうだが魔力の消費が大きい。
時空魔法が得意なルカでさえ、感覚も何もかも違うので使いたかったが、長距離移動のために仕方なく、如何しても二回も使っていた。
「ああ、気持ち悪い」
ここ数日は寒さも相まってか、あまり影響の出ない体質のルカでさえ、頭を抱えていた。
場所が場所だったこともあり、疲労も蓄積されている。
体はいつも通り、精神的にも問題は無いのだが、フラッと寝不足がたたった。
「ふはぁー。それにしても、シルヴィの家に行くのは初めてだね」
この一年を通して、ルカが自宅に招いたのは勝手にやって来たナタリーのみ。
かと思えば、ルカもまたブルースターの管理する教会以外には行ったことが無い。
だからシルヴィアの家がどれだけのものか少し楽しみではあった。
「リューネラ家は官僚だからね。きっと立派な家構えなんだろうな」
ルカは様々な妄想をしてみた。
けれど全ては妄想で、真実が如何であれ変わることは無い。
いつもの道から少し逸れ、十字路を曲がる。この先には坂道があり、如何やらこの先に家があるらしい。
「如何にもって感じだね」
ルカは心が湧き立った。楽しくなる気持ちに突き動かされる。
疲労した状態に坂道は多少嫌になるが、それよりも嫌な話を耳にする。
休日と言うこともあり、何人もの住民が整備された街道を歩いていた。
「ねぇ、聞いた。最近強盗が多いらしいわよ」
「えっ、それ本当?」
「そうなの。なんでもね、昼間でも関係無く住宅に侵入するらしいわよ」
「まぁ、命知らずね。魔術師の街でそんな真似」
確かに自殺行為と言ってもいい所業だ。
何せマギアラは魔術師の街。その原点に位置する。
多くの魔術師や魔術師の卵が暮らす街で、強盗なんて真似馬鹿げているとしか言いようがない。
(全く、命知らずな強盗だね)
ルカも強盗側の肩を持つ。
心中を察してしまうが、何故ここまで捕まらないのか。
騎士団の駐屯地もあり、自警団も魔術師も多い。なんと言ってもナタリーの管理する街で、強盗なんて真似早々できる訳が無かった。
(まさか、誰かが裏で糸を引いている?)
その可能性が無いとは言えない。
ナタリーのカリスマ性でも従ってくれない人間がいる。
もちろん誰かを縛り付けるのが人間では無いし、それをひけらかすのも違う。
己の行動理念を持っているのはいいことだが、強盗なんて真似罪でしかない。
「ナタリーさんがいるのにね」
「全くよ。なんで捕まらないのかしら?」
「それが強盗は一人じゃなくて複数人らしいのよ。しかも全員魔術師って噂」
「魔術師!?」
如何やら噂の強盗は一人ではなく複数人、つまりは強盗団と言うことだ。
それなら計画も少し変化する。
一人では無理難題なことでも、リスクは大きいが複数人で取り掛かれる。
もちろん罪であることには変わりなく、ルカはやれやれと心底嘆く。
「魔術を犯罪に使うなんてね」
「全く怖いわ。魔術を使えない人だっているのに」
「そうよね。でも例の強盗団、なかなかに豪胆な性格みたいよ」
「そうなの? もしかして、銀行を襲ったりして?」
「ええ、銀行じゃないけれど、お金持ちの家ばかり狙ってるみたい」
“お金持ちの家”? なるほど、金品が豊富な家を狙っているみたいだ。
ましてや富豪宅なら優秀な警備が付いている筈。
それさえ掻い潜ってしまうとなれば相当な手練れで、ルカは面倒な相手だと思った。
(魔術師は近接攻撃に弱いけど、警備を掻い潜るとなれば、相当みたいだね。まあ、私には関係無いんだけどさ)
ルカの住んでいる家はそこまで大きくはない。
庭は付いているものの、街の外れにある。
それのせいもあり認知さえされず、学校からも距離があり、利便性は悪いのでとんでもなく安い。だからだろうか、強盗の様な輩がやって来るなんてほとんどあり得ない。
(しかも金目のものは全部亜空間の中だからね。心配する必要は無いけれど、この辺りはマズいかな?)
今ルカがいるのは高級住宅街。
その目の前を歩こうとしていて、非常に怪しい。
周りを見渡せば大きくて立派な造りの家々が並んでいる。
正直、“盗んでください”って言ってそうな雰囲気さえ漂っていた。
(マギアラなのに、魔術結界も張っていないなんて。警備が杜撰だな)
ルカは嘆かわしいというよりも憐れんでしまった。
ルカの家でさえ、一応超強力な魔術結界を張っている。
それに引き換え高級住宅街には魔術結界なんて藻の張っている様子も無く、代わりに人間が門の前で立っている。
(一級魔術師じゃない……準でもない。二級程度の魔術師かな? 強盗団の力量が分からないけれど、さてさてどうでるかな?)
薄っすら遠くの方の家には魔術師の気配があった。
視線を飛ばして魔術師の度合いを探ってみると、少なくとも二級程度。
もっと言えば準二級程度の腕前で、ルカは肩を落としてしまった。
「まあ、二級でも準二級でも強い人は強いけどね。私には人のポテンシャルにどうこう言う権利はないか……」
ルカは首を横に振り、失念していた自分を律した。
坂道を再び上がり、シルヴィアの家に向かう。
その最中、話し声はこうも聞こえた。
「しかもね、ただの魔術師じゃないらしいわよ」
「えっ、そうなの?」
「そうなの。魔術師にも全然気付かれない、まるで透明人間らしいわよ」
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