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波状編
618.ニイジマ・ナナミの誘い言葉
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階段の一段目に足を掛ける少女が居た。
綺麗な黒髪だ。明るく人望がありそう。
おまけに目は澄んでいる。かと思えば、何処か遠くを見るようで、胸の内側。その奥には黒い闇を抱えているように感じてならない。
果たして気が付ける魔術師が何人居るだろうか?
正直闇を膨らまし続ければ、とてつもない力量を発揮できる。
ルカは未来に対する期待を込めつつ、少女のことを見下ろす。
けれどそれは失礼だと思った。
彼女こそ、この学校の生徒会長、ニイジマ・ナナミだと思い出せたからだ。
「あっ、生徒会長さん?」
「そうだよ。でも、ちょっと硬いかな?」
「硬いですか?」
「うんうん。えっと、後輩ちゃんで合ってるよね?」
「はい。三年一組のトキワ・ルカです。……後輩ちゃん?」
まさかちゃん付けされるなんて思わなかった。
その慣れない敬称に表情を訝しめる。
眉根を寄せると、生徒会長のナナミはカタッカタッと軽快に階段を上がり、ルカの顔に詰め寄る。
「ルカちゃんね。もしかして生徒会に興味があるの?」
「えっ? あっ、無いです」
ルカはバッサリ断った。
興味の欠片なんて更々ない。むしろ抱かない。
その方が面倒ごとに巻き込まれる心配もなく、日常を謳歌することができるのだ。
「な、無いの!?」
「はい、無いですよ。そもそも私にとって、生徒会はあくまでこの学校の機関でしかないので」
ルカは淡々と口走った。
生徒会に興味は無い。興味を抱く気もない。
そのことをより客観的に自然な流れで口調と視線で伝える。
それが何よりも分かりやすく、より否定的にナナミに分かって貰った。
「生徒会はあくまで学校の機関ね。確かにそうかも」
「否定しないんですか?」
「もちろん。否定する必要も無いからねっ!」
ナナミはキラリとウィンクをした。
その対応は生徒会長として如何なのか。
あくまでも生徒会と言う組織は機関でしかなく、所詮は学校に帰属するものだった。
「だから私は生徒会には興味が無いんですよ」
「それだけ言えるってことは、逆に興味があるように聞こえるけど?」
「興味は無いですよ。それより、今の時期に生徒会役員の募集ですか?」
「うんうん、そうですよ。生徒会役員が足りないんです。だから入って欲しいなー」
「入りませんよ。面倒なことは、今ですら手一杯なんですから」
ルカはナタリーから毎度のこと頼まれる面倒事に絡まれるだけで散々だった。
これ以上余計で面倒なことに巻き込まないで欲しい。
失礼だとは思いつつも、ルカは自分の意見を芯を持って答えると、ナナミは唇をひん曲げた。
「うーん。ルカちゃんなら向いてると思うけどなー」
「どうしてそう思うんですか?」
「えっ? だって、ルカちゃんは強い魔術師でしょ?」
「買い被り過ぎですよ。私は生徒会長には及びませんから」
ルカはナナミに強いと思われているらしい。
そのせいで面倒な生徒会役員に仕立て上げられそうになる。
そんな真似は絶対にごめんだ。ルカはナナミに強いと思われていることを逆手に取り、ナナミの方が強いと言いくるめようとした。
しかし、ナナミは全く動じなかった。むしろより距離を詰めようとする。
「そんなことないよ。ルカちゃんは強いでしょ?」
「見た目で判断してますか? 確かに私は陰ですけど……」
「ううん、私は陽とか陰とかで人を判断しないよ。単純にさ、魔力を上手く消してるから強いと思ったんだけど?」
「えっ? 分かるんですか」
ルカは意外だった。魔力を消していると言うことは、それだけで魔法使いや魔術師の力量を隠すことに繋がる。
隠すことができるのは弱いとはもっぱら真逆で、とても強い人にしかできない。
そして隠していることに気が付けるのもまた、強い人だけ。
ナナミはルカが思っている以上に深い闇を孕んでおり、それ故に千年前の魔法使いに興味を抱かせるには十分な素質を持っていた。
とは言えルカはそれ以上のことを抱かない。
仮に興味を抱いたとしてもだからと言って生徒会に入りたいとは思えない。
「だからルカちゃん、生徒会に……」
「絶対に入りませんよ。悪いですが、他を当たってください」
私は丁重に断った。
するとナナミはムッとした表情を浮かべる訳でもなく、「そっか」と溜息を零す。
それから顔を上げると、ニコッと本心からだろうが、やけに不気味な笑みを浮かべた。
「せっかく強いのに残念だよ。周りのこともよく見えてる。生徒会には必要な人材だと思うけどな、私は」
「ありがたい話ですが、私にも事情があるので」
「そうだよね。だから強制はしないよ。でも興味があったら生徒会役員に立候補してね。それじゃあ、待ってるから」
そう言い残すとナナミは階段を上がって行った。
感じる垢抜けた明るさは自分を偽るためのものだろうか?
それとも心の奥底に潜む闇は鼻っから存在していない幻なのか。
兎にも角にも、ルカは生徒会長、ニイジマ・ナナミの凄みを垣間見た気がして、自然と魔力を絞っていた。それだけの強さをナナミは確かに持っているのだ。
綺麗な黒髪だ。明るく人望がありそう。
おまけに目は澄んでいる。かと思えば、何処か遠くを見るようで、胸の内側。その奥には黒い闇を抱えているように感じてならない。
果たして気が付ける魔術師が何人居るだろうか?
正直闇を膨らまし続ければ、とてつもない力量を発揮できる。
ルカは未来に対する期待を込めつつ、少女のことを見下ろす。
けれどそれは失礼だと思った。
彼女こそ、この学校の生徒会長、ニイジマ・ナナミだと思い出せたからだ。
「あっ、生徒会長さん?」
「そうだよ。でも、ちょっと硬いかな?」
「硬いですか?」
「うんうん。えっと、後輩ちゃんで合ってるよね?」
「はい。三年一組のトキワ・ルカです。……後輩ちゃん?」
まさかちゃん付けされるなんて思わなかった。
その慣れない敬称に表情を訝しめる。
眉根を寄せると、生徒会長のナナミはカタッカタッと軽快に階段を上がり、ルカの顔に詰め寄る。
「ルカちゃんね。もしかして生徒会に興味があるの?」
「えっ? あっ、無いです」
ルカはバッサリ断った。
興味の欠片なんて更々ない。むしろ抱かない。
その方が面倒ごとに巻き込まれる心配もなく、日常を謳歌することができるのだ。
「な、無いの!?」
「はい、無いですよ。そもそも私にとって、生徒会はあくまでこの学校の機関でしかないので」
ルカは淡々と口走った。
生徒会に興味は無い。興味を抱く気もない。
そのことをより客観的に自然な流れで口調と視線で伝える。
それが何よりも分かりやすく、より否定的にナナミに分かって貰った。
「生徒会はあくまで学校の機関ね。確かにそうかも」
「否定しないんですか?」
「もちろん。否定する必要も無いからねっ!」
ナナミはキラリとウィンクをした。
その対応は生徒会長として如何なのか。
あくまでも生徒会と言う組織は機関でしかなく、所詮は学校に帰属するものだった。
「だから私は生徒会には興味が無いんですよ」
「それだけ言えるってことは、逆に興味があるように聞こえるけど?」
「興味は無いですよ。それより、今の時期に生徒会役員の募集ですか?」
「うんうん、そうですよ。生徒会役員が足りないんです。だから入って欲しいなー」
「入りませんよ。面倒なことは、今ですら手一杯なんですから」
ルカはナタリーから毎度のこと頼まれる面倒事に絡まれるだけで散々だった。
これ以上余計で面倒なことに巻き込まないで欲しい。
失礼だとは思いつつも、ルカは自分の意見を芯を持って答えると、ナナミは唇をひん曲げた。
「うーん。ルカちゃんなら向いてると思うけどなー」
「どうしてそう思うんですか?」
「えっ? だって、ルカちゃんは強い魔術師でしょ?」
「買い被り過ぎですよ。私は生徒会長には及びませんから」
ルカはナナミに強いと思われているらしい。
そのせいで面倒な生徒会役員に仕立て上げられそうになる。
そんな真似は絶対にごめんだ。ルカはナナミに強いと思われていることを逆手に取り、ナナミの方が強いと言いくるめようとした。
しかし、ナナミは全く動じなかった。むしろより距離を詰めようとする。
「そんなことないよ。ルカちゃんは強いでしょ?」
「見た目で判断してますか? 確かに私は陰ですけど……」
「ううん、私は陽とか陰とかで人を判断しないよ。単純にさ、魔力を上手く消してるから強いと思ったんだけど?」
「えっ? 分かるんですか」
ルカは意外だった。魔力を消していると言うことは、それだけで魔法使いや魔術師の力量を隠すことに繋がる。
隠すことができるのは弱いとはもっぱら真逆で、とても強い人にしかできない。
そして隠していることに気が付けるのもまた、強い人だけ。
ナナミはルカが思っている以上に深い闇を孕んでおり、それ故に千年前の魔法使いに興味を抱かせるには十分な素質を持っていた。
とは言えルカはそれ以上のことを抱かない。
仮に興味を抱いたとしてもだからと言って生徒会に入りたいとは思えない。
「だからルカちゃん、生徒会に……」
「絶対に入りませんよ。悪いですが、他を当たってください」
私は丁重に断った。
するとナナミはムッとした表情を浮かべる訳でもなく、「そっか」と溜息を零す。
それから顔を上げると、ニコッと本心からだろうが、やけに不気味な笑みを浮かべた。
「せっかく強いのに残念だよ。周りのこともよく見えてる。生徒会には必要な人材だと思うけどな、私は」
「ありがたい話ですが、私にも事情があるので」
「そうだよね。だから強制はしないよ。でも興味があったら生徒会役員に立候補してね。それじゃあ、待ってるから」
そう言い残すとナナミは階段を上がって行った。
感じる垢抜けた明るさは自分を偽るためのものだろうか?
それとも心の奥底に潜む闇は鼻っから存在していない幻なのか。
兎にも角にも、ルカは生徒会長、ニイジマ・ナナミの凄みを垣間見た気がして、自然と魔力を絞っていた。それだけの強さをナナミは確かに持っているのだ。
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