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波状編
633.単純な思考へ
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「失礼しました」
ナナミは卒業式の大役を無事に乗り越えたことをナタリーに報告した。
ペコリと頭を下げ礼をすると、扉を開けて廊下に出る。
生徒会長としての振る舞いをしっかりと見せると、高評価を貰えた。
「ふんふふーん」
ナナミはつい鼻歌を歌ってしまった。
本当はまだ緊張感を持つべきだ。
けれど放課後、在校生も卒業生もいない。
逢魔時の黄昏時間を噛み締める。
「いい夕陽。ふふん!」
ナナミはスキップをしながら階段を下りる。
この後は予定が入っている。
待たせている生徒会メンバーのためにも、早めに合流を決める。
「はぁー。それにしても……」
その足は中庭にやって来ていた。
ここまで来ると背中から憑き物がドッと取れた。
全身が不快な何かから解放されると、つい叫びたくなる。
「うーん。ふぅ~、終わったー」
ナナミは無事に重要な役目を終えた。
肩の荷が下りたと言ってもいい。
それだけ苦悩していたものから、こうして解放されるとなると、清々しい以外の何物でも無い。
「はぁー。疲れた―。大変だったよ」
ナナミは本音が飛び出してしまった。
何せ生徒会の仕事だけでも大変なのに、卒業式の準備までほとんどこなした。
優秀な生徒会メンバーのおかげで作業は分担した。
けれど生徒会長は何かと忙しい。
生徒の手本として、何よりも在校生代表として、責任ある役目だった。
大役が身に余っていたのだが、ナナミ自身、上手く行くか不安だったのだ。
「でも無事に上手く行って良かった。……ブリッツ先輩には、悪いことをしたかもしれないけど」
本当は引き分けにしたかった。もちろん誰も怪我をしない引き分けだ。
けれどそうも予定通りにはいかないらしい。
ナナミはブリッツ自身に負担を掛け過ぎてしまったことを後悔する。
「でもでも、ブリッツ先輩の顔も立てたから大丈夫だよね? うん」
何よりも不安だったのは、ナナミ自身のせいでブリッツの顔に泥を塗ること。
そんなことになれば、ブリッツ自身の魅力が損なわれる。
それだけは絶対にしてはいけない。ここは立てないといけない。
そう思い込んできたのだが、最終的には上手くまとまった。
迫力のある決闘を見せつけることで、誰もナナミとブリッツの力を怪しんでいない。
むしろ怪しむ所か拍手喝采の嵐で、ナナミにとっては好都合だった。
「それにしても、本気か……ははは」
乾いた笑いを浮かべてしまった。
何を舐めているのか、本気なんて出せば死人が出る。
ナナミは自分自身の心の闇と上手く付き合うと、胸をソッと撫でた。
「そんなの出せる訳ないのにね」
ナナミの顔がマジになる。
内側から黒い闇が噴き上がると、ナナミと対話を始めた。
(本気をなんで出さなかったの?)
「むしろ出したらダメでしょ?」
ナナミは自分自身に制限を掛けていた。
力を抑制することで、本気の限度を決める。
そうすれば、下手に本気を出さなくても、本気っぽく見せられる。
(本気を出すよう言われたでしょ?)
「そうだとしても冗談だって受け止めないと」
(冗談?)
「冗談だよ。あんな風に、人の命を奪いたくないでしょ?」
ナナミは過去のことを思い起こす。
全てを無に帰した偉大なる海。
それさえ操ってしまい、自分自身だけを助けた。
ただの人殺しになり、ニヤリと笑みを浮かべていた最低な自分を思い出した。
(私は構わないけど?)
「私は困るよ。みんなと過ごす学生生活が楽しいから」
(壊したくないの?)
「うん。だから学校を卒業するまでは隠し通したいな……あはは。はぁ」
心の中の自分はそれを受託する。
けれどナナミの光がそれを阻止する。
自問自答の果てに出た答え。あまりにもつまらなく、適当だった。
そのせいか、溜息を付いてしまう。
「(グゥー)疲れちゃったね。お腹も空いちゃったし」
ついついお腹がなってしまった。
体は疲れているらしく、ここはお腹を満たすことが優先だ。
それには光も闇もない。
純粋にして単純。人間は素直な本能に従う。
理性を抑圧し、自分自身をけたたましく笑い転がす。
「そう言えば打ち上げはレストランだったよね? 確かバイキング形式の……(ジュルリ)」
ナナミはニヤニヤ笑みを浮かべた。
さっきまでの自問自答は何処へ行ってしまったのか。
光も闇もない。ご飯はみんなを笑顔にする。
「そうと決まればこんな所で油を売ってる暇ない。早く行こう!」
ナナミは自分自身との間に一旦の折り合いをつけた。
闇と会話を果たし、ここは切り替える。
流石にお腹が空いたのだかた仕方が無く、生徒会メンバーとの合流を優先する。
「それじゃあ早速……」
「すまない、少しいいかな?」
「えっ?」
生徒会で打ち上げに行こうとした。
学校の校舎から立ち去ろうとする。
意気揚々と踵を返す中、ナナミは声を掛けられる。
不意に振り返ると廊下の奥から誰かがやって来る。
男子生徒のようで、こんな時間まで残っているなんて珍しい。
一体どんなもの好きなのか? ナナミは目を凝らして覗く。
「アレは……えっ!?」
ナナミは驚いてしまった。
口を塞ぐと、やって来た人物に気を取られる。
「ナナミ君、お疲れ様」
「ヴァルバルト先輩?」
現れたのはヴァルバルト。
スタスタと夕陽を受けて現れる。
あまりにも凛々しい歩き姿に目を奪われると、ナナミは何か粗相をしたのでは?
などと余計な心配をしてしまうのだった。
ナナミは卒業式の大役を無事に乗り越えたことをナタリーに報告した。
ペコリと頭を下げ礼をすると、扉を開けて廊下に出る。
生徒会長としての振る舞いをしっかりと見せると、高評価を貰えた。
「ふんふふーん」
ナナミはつい鼻歌を歌ってしまった。
本当はまだ緊張感を持つべきだ。
けれど放課後、在校生も卒業生もいない。
逢魔時の黄昏時間を噛み締める。
「いい夕陽。ふふん!」
ナナミはスキップをしながら階段を下りる。
この後は予定が入っている。
待たせている生徒会メンバーのためにも、早めに合流を決める。
「はぁー。それにしても……」
その足は中庭にやって来ていた。
ここまで来ると背中から憑き物がドッと取れた。
全身が不快な何かから解放されると、つい叫びたくなる。
「うーん。ふぅ~、終わったー」
ナナミは無事に重要な役目を終えた。
肩の荷が下りたと言ってもいい。
それだけ苦悩していたものから、こうして解放されるとなると、清々しい以外の何物でも無い。
「はぁー。疲れた―。大変だったよ」
ナナミは本音が飛び出してしまった。
何せ生徒会の仕事だけでも大変なのに、卒業式の準備までほとんどこなした。
優秀な生徒会メンバーのおかげで作業は分担した。
けれど生徒会長は何かと忙しい。
生徒の手本として、何よりも在校生代表として、責任ある役目だった。
大役が身に余っていたのだが、ナナミ自身、上手く行くか不安だったのだ。
「でも無事に上手く行って良かった。……ブリッツ先輩には、悪いことをしたかもしれないけど」
本当は引き分けにしたかった。もちろん誰も怪我をしない引き分けだ。
けれどそうも予定通りにはいかないらしい。
ナナミはブリッツ自身に負担を掛け過ぎてしまったことを後悔する。
「でもでも、ブリッツ先輩の顔も立てたから大丈夫だよね? うん」
何よりも不安だったのは、ナナミ自身のせいでブリッツの顔に泥を塗ること。
そんなことになれば、ブリッツ自身の魅力が損なわれる。
それだけは絶対にしてはいけない。ここは立てないといけない。
そう思い込んできたのだが、最終的には上手くまとまった。
迫力のある決闘を見せつけることで、誰もナナミとブリッツの力を怪しんでいない。
むしろ怪しむ所か拍手喝采の嵐で、ナナミにとっては好都合だった。
「それにしても、本気か……ははは」
乾いた笑いを浮かべてしまった。
何を舐めているのか、本気なんて出せば死人が出る。
ナナミは自分自身の心の闇と上手く付き合うと、胸をソッと撫でた。
「そんなの出せる訳ないのにね」
ナナミの顔がマジになる。
内側から黒い闇が噴き上がると、ナナミと対話を始めた。
(本気をなんで出さなかったの?)
「むしろ出したらダメでしょ?」
ナナミは自分自身に制限を掛けていた。
力を抑制することで、本気の限度を決める。
そうすれば、下手に本気を出さなくても、本気っぽく見せられる。
(本気を出すよう言われたでしょ?)
「そうだとしても冗談だって受け止めないと」
(冗談?)
「冗談だよ。あんな風に、人の命を奪いたくないでしょ?」
ナナミは過去のことを思い起こす。
全てを無に帰した偉大なる海。
それさえ操ってしまい、自分自身だけを助けた。
ただの人殺しになり、ニヤリと笑みを浮かべていた最低な自分を思い出した。
(私は構わないけど?)
「私は困るよ。みんなと過ごす学生生活が楽しいから」
(壊したくないの?)
「うん。だから学校を卒業するまでは隠し通したいな……あはは。はぁ」
心の中の自分はそれを受託する。
けれどナナミの光がそれを阻止する。
自問自答の果てに出た答え。あまりにもつまらなく、適当だった。
そのせいか、溜息を付いてしまう。
「(グゥー)疲れちゃったね。お腹も空いちゃったし」
ついついお腹がなってしまった。
体は疲れているらしく、ここはお腹を満たすことが優先だ。
それには光も闇もない。
純粋にして単純。人間は素直な本能に従う。
理性を抑圧し、自分自身をけたたましく笑い転がす。
「そう言えば打ち上げはレストランだったよね? 確かバイキング形式の……(ジュルリ)」
ナナミはニヤニヤ笑みを浮かべた。
さっきまでの自問自答は何処へ行ってしまったのか。
光も闇もない。ご飯はみんなを笑顔にする。
「そうと決まればこんな所で油を売ってる暇ない。早く行こう!」
ナナミは自分自身との間に一旦の折り合いをつけた。
闇と会話を果たし、ここは切り替える。
流石にお腹が空いたのだかた仕方が無く、生徒会メンバーとの合流を優先する。
「それじゃあ早速……」
「すまない、少しいいかな?」
「えっ?」
生徒会で打ち上げに行こうとした。
学校の校舎から立ち去ろうとする。
意気揚々と踵を返す中、ナナミは声を掛けられる。
不意に振り返ると廊下の奥から誰かがやって来る。
男子生徒のようで、こんな時間まで残っているなんて珍しい。
一体どんなもの好きなのか? ナナミは目を凝らして覗く。
「アレは……えっ!?」
ナナミは驚いてしまった。
口を塞ぐと、やって来た人物に気を取られる。
「ナナミ君、お疲れ様」
「ヴァルバルト先輩?」
現れたのはヴァルバルト。
スタスタと夕陽を受けて現れる。
あまりにも凛々しい歩き姿に目を奪われると、ナナミは何か粗相をしたのでは?
などと余計な心配をしてしまうのだった。
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