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幻島編
654.千年の星空
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「ううっ、この時期とはいえ、夜は冷えるね」
夜も更けて来た。
真っ暗な闇が広がっている。
それは世界を全て包み込んでしまうような、黎明の、始まりの夜に似ている。
「なんて、私は詩人じゃないんだけどね」
などと例え話に興じてしまう。
それもその筈のことで、今まさに、ルカはそれを体験している。
否、体験などは生温い。始まりの夜、それが身に染みている。
「やっぱり綺麗な星空だよ、ここは」
ルカは天窓から屋根に上がった。
頭上を見上げれば一面の星空。
今はない、過去のかつて千年前を旅した星空が広がっていた。
「好きだな、この夜空」
ルカは慣れ親しんだものだった。
けれど一年というあまりにも短い、本当に一瞬しかない時間。
そこから数えれば、この夜空はあまりにも美しく思える。
「今だと見られない星の位置をしている。一体今の天文学者が見たら、この景色に唾を飲むのかな?」
もちろんルカは学者なんかじゃない。
ただの魔術師の卵。それが身に余っている。
ルカは謙虚に慎むと、代わりに亜空間を展開、中からお湯の入ったティーポット&マグカップを取り出す。
「ココアでも飲もうかな」
ルカは何処からともなく粉末のココアを取り出す。
お湯を注ぎ、軽くスプーンで掻き混ぜた。
夜の暗闇に溶けてしまい、マグカップの中は暗黒。
ブラックホールが広がると、何も見えない。
「茶色なのに、なにも見えないなんて」
もちろん分かり切っていた。
湯気が立ち、寒空にさらされている。
手のひらが温かくなると、ルカはソッと息を飲む。
「(ふぅーふぅー)うん」
ゴクリと喉を鳴らした。
ゆっくりと喉奥に流れると、口の中一杯、胃へと直接甘みが届く。
清々しい気分になると、純粋な笑みを浮かべた。ココアも偶には悪くない。
「さてと、あの星は……」
それからルカは優雅にも星の観察を始めた。
もちろん星の動きはゆっくりだ。
この世界の何処か、ルカ達の住む惑星の時点に合わせて変わった。
「おっ、ユニコーン座。いいね」
幻島は不自然を不自然で無くす。
ましてや自然の摂理なってお構いなし。
自転も公転も関係なく、時による見える星座は異なる。
「あの星座が動いたりして」
ルカは冗談半分で答える。
すると異変は起きてしまった。
「あれ?」
一瞬だけ、星が光った気がする。
それらは全て、ユニコーン座を構成する星だ。
星々が突然動き出したようで、命の脈動を感じる。
「動いてる?」
まさかとは思ったが本当に動いている。
ユニコーン座は頭を動かし、角を突き出す。
悠然としているが、ルカは首を横に振る。
「いやいや、流石にいいからね」
ルカは手遅れになる前に訂正した。
するとユニコーン座は命を失う。
再び元の位置に帰ると、正座は元に戻った。
「あはは、幻島が見せてくれた幻かな?」
これぞ幻島の力。
まさしく幻を現実化する力。
下手をすればその影響は広がってしまう。
そんなことになれば、世界はおかしな方向に傾く。
「まあ、私が管理している訳じゃないけどね」
ナタリー曰く、幻島を始めた七輪島はルカの管理下で間違いがない。
けれどそれを自覚・知覚している人は多くはない。
そのせいか、ルカが顔を出した所で、何かが変わるとは思えない。
「そう言えばセレナやグロリアも不思議に思っていたっけ」
セレナやグロリアもこの島に立ち寄ったことがある。
もちろん千年前のこと、今でも最近のように思える。
あの時でさえ不思議に思っており、ルカも最初はそうだったが、種明かしは簡単だった。
「どうして生きているのか……なにバカなこと言ってるんだろう」
この島は生きている。いや、何処の島も生きている。
大陸だって惑星の一部で、惑星は言葉は発しないが生きている。
だから生物……とは言えないが、形を成していた。
「まあ、どうでもいいんだけどさ」
ルカにとって、そんなものは大したことじゃない。
面白みしかないのだが、セレナやグロリア程の魔法使いが化かされる筈もない。
理由なんてあってないようなもの。否、存在していないのだ。
「ここが幻島だからなんだけどさ」
幻島は世界から逸脱している。
だからどんな不思議でも起こる。
この夜空も偽物ではない。幻島だからこそ、幻にはならないのだ。
「まあ、どっちでもいいんだけどさ」
そんなことは杞憂だ。ルカには関係がない。
マグカップに入っていたココアをゆっくりと流し込む。
すると軽くなってしまい、中身は空っぽ。
残されるのはマグカップの重みだけだった。
「あっ、無くなった……もう一杯」
そこでルカの手が止まる。
二杯目に突入する前にルカはマグカップを魔法で洗う。
綺麗さっぱりにしてしまうと、ルカは亜空間にティーポット&マグカップを放り込む。
「止めておこう」
息が大分白くなってきた。
寒さが増し、冷え込んでいるらしい。
風邪を引くことは無いものの、引いたら大変だ。
ルカは体を引き寄せると、すぐさま屋根から退散する。
「本当、ここは面白いよ」
ルカは笑みを浮かべた。
まるで眠くはないものの、眠ることにする。
休息をし、万全を尽くす。ルカ自身が身に染みると、睡眠を摂ることにした。
「おやすみなさい」
ルカは誰にとは言わない。
けれど島全体に伝える。
今日も一日お疲れ様。ルカは優しく語り掛けた。
夜も更けて来た。
真っ暗な闇が広がっている。
それは世界を全て包み込んでしまうような、黎明の、始まりの夜に似ている。
「なんて、私は詩人じゃないんだけどね」
などと例え話に興じてしまう。
それもその筈のことで、今まさに、ルカはそれを体験している。
否、体験などは生温い。始まりの夜、それが身に染みている。
「やっぱり綺麗な星空だよ、ここは」
ルカは天窓から屋根に上がった。
頭上を見上げれば一面の星空。
今はない、過去のかつて千年前を旅した星空が広がっていた。
「好きだな、この夜空」
ルカは慣れ親しんだものだった。
けれど一年というあまりにも短い、本当に一瞬しかない時間。
そこから数えれば、この夜空はあまりにも美しく思える。
「今だと見られない星の位置をしている。一体今の天文学者が見たら、この景色に唾を飲むのかな?」
もちろんルカは学者なんかじゃない。
ただの魔術師の卵。それが身に余っている。
ルカは謙虚に慎むと、代わりに亜空間を展開、中からお湯の入ったティーポット&マグカップを取り出す。
「ココアでも飲もうかな」
ルカは何処からともなく粉末のココアを取り出す。
お湯を注ぎ、軽くスプーンで掻き混ぜた。
夜の暗闇に溶けてしまい、マグカップの中は暗黒。
ブラックホールが広がると、何も見えない。
「茶色なのに、なにも見えないなんて」
もちろん分かり切っていた。
湯気が立ち、寒空にさらされている。
手のひらが温かくなると、ルカはソッと息を飲む。
「(ふぅーふぅー)うん」
ゴクリと喉を鳴らした。
ゆっくりと喉奥に流れると、口の中一杯、胃へと直接甘みが届く。
清々しい気分になると、純粋な笑みを浮かべた。ココアも偶には悪くない。
「さてと、あの星は……」
それからルカは優雅にも星の観察を始めた。
もちろん星の動きはゆっくりだ。
この世界の何処か、ルカ達の住む惑星の時点に合わせて変わった。
「おっ、ユニコーン座。いいね」
幻島は不自然を不自然で無くす。
ましてや自然の摂理なってお構いなし。
自転も公転も関係なく、時による見える星座は異なる。
「あの星座が動いたりして」
ルカは冗談半分で答える。
すると異変は起きてしまった。
「あれ?」
一瞬だけ、星が光った気がする。
それらは全て、ユニコーン座を構成する星だ。
星々が突然動き出したようで、命の脈動を感じる。
「動いてる?」
まさかとは思ったが本当に動いている。
ユニコーン座は頭を動かし、角を突き出す。
悠然としているが、ルカは首を横に振る。
「いやいや、流石にいいからね」
ルカは手遅れになる前に訂正した。
するとユニコーン座は命を失う。
再び元の位置に帰ると、正座は元に戻った。
「あはは、幻島が見せてくれた幻かな?」
これぞ幻島の力。
まさしく幻を現実化する力。
下手をすればその影響は広がってしまう。
そんなことになれば、世界はおかしな方向に傾く。
「まあ、私が管理している訳じゃないけどね」
ナタリー曰く、幻島を始めた七輪島はルカの管理下で間違いがない。
けれどそれを自覚・知覚している人は多くはない。
そのせいか、ルカが顔を出した所で、何かが変わるとは思えない。
「そう言えばセレナやグロリアも不思議に思っていたっけ」
セレナやグロリアもこの島に立ち寄ったことがある。
もちろん千年前のこと、今でも最近のように思える。
あの時でさえ不思議に思っており、ルカも最初はそうだったが、種明かしは簡単だった。
「どうして生きているのか……なにバカなこと言ってるんだろう」
この島は生きている。いや、何処の島も生きている。
大陸だって惑星の一部で、惑星は言葉は発しないが生きている。
だから生物……とは言えないが、形を成していた。
「まあ、どうでもいいんだけどさ」
ルカにとって、そんなものは大したことじゃない。
面白みしかないのだが、セレナやグロリア程の魔法使いが化かされる筈もない。
理由なんてあってないようなもの。否、存在していないのだ。
「ここが幻島だからなんだけどさ」
幻島は世界から逸脱している。
だからどんな不思議でも起こる。
この夜空も偽物ではない。幻島だからこそ、幻にはならないのだ。
「まあ、どっちでもいいんだけどさ」
そんなことは杞憂だ。ルカには関係がない。
マグカップに入っていたココアをゆっくりと流し込む。
すると軽くなってしまい、中身は空っぽ。
残されるのはマグカップの重みだけだった。
「あっ、無くなった……もう一杯」
そこでルカの手が止まる。
二杯目に突入する前にルカはマグカップを魔法で洗う。
綺麗さっぱりにしてしまうと、ルカは亜空間にティーポット&マグカップを放り込む。
「止めておこう」
息が大分白くなってきた。
寒さが増し、冷え込んでいるらしい。
風邪を引くことは無いものの、引いたら大変だ。
ルカは体を引き寄せると、すぐさま屋根から退散する。
「本当、ここは面白いよ」
ルカは笑みを浮かべた。
まるで眠くはないものの、眠ることにする。
休息をし、万全を尽くす。ルカ自身が身に染みると、睡眠を摂ることにした。
「おやすみなさい」
ルカは誰にとは言わない。
けれど島全体に伝える。
今日も一日お疲れ様。ルカは優しく語り掛けた。
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