野球の王子様2 芦田愛菜はマネージャーになりたい。

軽部雄二

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第12章

糾弾される愛菜

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 翌朝。
 愛菜は早起きをして学校に向かった。皆が来る前にグラウンド入りし、後から来る野球部員に謝罪するつもりだったのだが、既に皆、グラウンドで汗ビッショリだった。愛菜は唖然とした。
「何これ!いったい何時から練習してるの?」
 目論見が外れた。まさか自分が一番最後の登校だとは。どうしよう。どうしたら良いのか分からず、愛菜はソロリソロリとグラウンドで声を出して練習を見つめる咲良に近づいた。
「あの、宮脇さん。」
 恐る恐る声を掛ける。
「あっ!芦田さん。来てくれたのね。昨日は越前君がゴメンね。彼、口が悪くて。」
 愛菜は咲良から無視されるのではないかと懸念していたので、普通に対応してくれたことが有難かった。
「いえ、全然。」
「皆、ちょっと。芦田さんが来てくれたよ。集合。」
 咲良が部員をいきなり呼び集めた事に慌てる愛菜。いまだ心の準備が出来ていなかった。何と言えば良いのか分からず、モジモジしている内に、皆が集まってしまう。
「何だ、お前。また来たのかよ。」
 桃太郎が迷惑そうに言うので、愛菜は固まってしまう。越前の刺す様な視線に向き合う事が出来ない。
「はい、結城君。そういう事言わない。せっかく来てくれたんだから。ねっ。愛菜ちゃん。」
 咲良は愛菜に笑顔で対応してくれた。それに勇気付けられる愛菜。
「み、皆さん。昨日は済みませんでした。今後は心を入れ替えて、野球部の為に頑張ります。」
 シラッとした空気の中、手塚と不破、咲良だけが拍手する。他は愛菜に冷たい視線を投げかける。愛菜は居たたまれない居心地だ。
「皆、歓迎しないのか?」
 手塚が皆に言った。
「彼女にはマネージャーは無理でス。」
「僕もそう思う。今までこんな怖い女の人とは遭った事がないよ。」
 愛菜の被害者である。王と石井会長が拒否反応を示した。
「雑用全般できない。出来るのは動画撮影だけというのがな。」
 蛭田も否定的な見解である。
「最初は皆、出来ないものだが、やる気はあるようだぞ。」
「何でそう思うんですか?」
 手塚の擁護に中沢が疑問を呈す。手塚は愛菜の手を取って皆に示した。
「芦田さんはちゃんと爪を切って来た。やる気はある証拠だ。」
 皆の視線が愛菜の爪に注がれる。確かに爪は短く揃えられてあった。愛菜は手塚が何も言わなくとも、細かな決意を感じ取ってくれた事が嬉しかった。
「分からないっすよ。昨日もやる気はある様に見せて、やらなかったじゃないですか。」
「そうです。部長、こいつはスパイです。野球部に潜入して、又、誹謗中傷の動画をアップするつもりです。」
 桃太郎、越前が口々に愛菜を批判した。これには愛菜もブルーな気持ちになった。
「皆、もう済んだ事でしょ。そんな韓国人みたく執念深く追及しなくても・・・・。」
 咲良が助け船を出すが、丸がその船を直ぐに撃沈した。
「宮脇さん。芦田が又、同じことをやるかもしれないから問題にしてるんです。雑用はしないで、ずっと、動画を撮影してる。それは再度アップロードしようとしてるからなのでは。狙いは何なのか。何故、野球部を笑いものにしようとするのか。少なくともこの2点はハッキリさせて貰わないと。」
 一年生は皆、愛菜に批判的の様である。これには咲良も困ってしまった。この点をハッキリさせないと、愛菜を受け入れる事は出来ない。
「芦田さん。答えてくれる。何故、球技大会の動画をアップしたの?なんで、動画に固執するの?狙いは何なのかな?」
「・・・・・・・。」
 愛菜は固まってしまった。動画をアップしたのは愛菜ではなく、なつきである。だが、愛菜がアップした事になってしまっていた。唆した愛菜は共犯だったが、越前の熱闘に感動してアップしなかったのに。その事を言おうかどうしようか?だが、正直に話せば親友のなつきを売る事になってしまう。動画に拘るのも新たに野球部に肯定的な動画をアップしてイメージを刷新しようという、良かれと思っての行動だが、動画アップの犯人とされてる以上、信じて貰えないだろう。にっちもさっちも行かなくなった愛菜は、頭を抱えてその場にしゃがみ込んだ。一年生の怒号が響く。
「ちょっと、皆、話を聞いて。」
 咲良が皆を制止しようとした時だ。
「動画をアップしたのは愛菜じゃありません。私です。」
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