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第50章
呆れた
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さくと弥三郎、左月は退却する本山軍を追いまくる味方の兵たちを背後から眺めていた。
「勝ちましたな。よもやよもや、勝ち戦になるとは・・・・・。」
左月はお味方の大逆転勝利が信じられない様であった。それはさくも同様である。
「弥三郎様のお働きに寄るものです。松井玄播を討ち取ったのが大きゅう御座いましたな。ちと、卑怯だと思いはしますが・・・・・。」
さくはそう言いながら弥三郎の顔を窺った。弥三郎はキョトンとした顔である。
「卑怯?一体、何が卑怯なのだ?」
いくさの作法に五月蠅い左月は黙ってはおれないようで、言葉を選びながらやんわりと非難する。
「弥三郎様。一騎打ちの作法としては、お互い名乗りを上げてから槍を衝けるもの。相手が名乗ってる時に槍を衝ける等という事は無作法に御座います。」
「・・・・・。そ、そうなのか。」
弥三郎は動揺する表情を見せた。
「常識に御座います。この様な行いはお家の名を汚します。」
弥三郎は呆然としながら言った。
「何故、言わぬのか。」
「はっ?な、何をです。」
左月は弥三郎の言っている意味が理解できず、思わず聞き返した。
「何故、その事をいくさの前に言わぬ。言わねば分からぬではないか!」
さくも左月も呆れた。言わねば分からぬとは・・・・・。そんなことは武家の家に生まれた者の常識である。そんな事さえ知らなかったとは・・・・・・・。左月はさくの顔を窺ってくるので、さくは顔を振る。
「はあ。・・・・・・そうですね。申し訳ありません。私の不手際に御座います。」
なんで自分が謝らないといけないのか分からなかったが、さくに促され左月は弥三郎に謝した。
「さくもさくだ。さくが私に彼奴の顔を突けと合図したから突いたのではないか。何故、そんな無作法な事をさせたのだ。」
弥三郎はさくにも怒りをぶつける。ポカンとするさく。言ってる意味が分からない。いつ、さくが玄播の顔を突けと合図したと云うのだ。
「さくがどの様に合図したと?」
思わず訊ねるさく。
「玄播と云う男に顔を見せろと言って、面当てを外させたではないか。あれは私に顔を突けという合図だったのであろう。」
勿論、さくにはその様な意図はなかった。弥三郎はそれは顔を突けという合図だと思ったという。とんでもない拡大解釈である。
「・・・・・。よ、よくぞ、さくの意図にお気づき下さいました。お見事な洞察力に御座います。」
さくは弥三郎の名誉を守る為、全てを嗾けたのは自分だと責を被る事にした。大殿から叱責を受ける事になるだろうが、それがさくの役割である。
「何故、私を謀って、その様な合図を送ったのだ。さくは自分が無作法だとは思わぬのか。」
「申し訳ありませぬ・・・・・。」
さくは内心ムッとしながらも反論しなかった。自分の事を棚に上げてさくを無作法と詰る弥三郎を殴ってやろうかとも思ったが。
「父上になんと話せばよいのだ。家名に泥を塗ってしまったぞ。」
引き籠って、数々の奇行で家の名に泥を塗りたっくていたお前が、今更何を言うのか。
「大殿にはさくからお詫びします。今回の事、責は全てさくにありますと。首を差し出す覚悟は出来ています。」
「・・・・・・・。」
責を一身に負うという、さくの覚悟に弥三郎はそれ以上、何も言わなかった。
「分かった。もう良い。この話は終わりだ。我らも追撃戦に参加するぞ。」
「勝ちましたな。よもやよもや、勝ち戦になるとは・・・・・。」
左月はお味方の大逆転勝利が信じられない様であった。それはさくも同様である。
「弥三郎様のお働きに寄るものです。松井玄播を討ち取ったのが大きゅう御座いましたな。ちと、卑怯だと思いはしますが・・・・・。」
さくはそう言いながら弥三郎の顔を窺った。弥三郎はキョトンとした顔である。
「卑怯?一体、何が卑怯なのだ?」
いくさの作法に五月蠅い左月は黙ってはおれないようで、言葉を選びながらやんわりと非難する。
「弥三郎様。一騎打ちの作法としては、お互い名乗りを上げてから槍を衝けるもの。相手が名乗ってる時に槍を衝ける等という事は無作法に御座います。」
「・・・・・。そ、そうなのか。」
弥三郎は動揺する表情を見せた。
「常識に御座います。この様な行いはお家の名を汚します。」
弥三郎は呆然としながら言った。
「何故、言わぬのか。」
「はっ?な、何をです。」
左月は弥三郎の言っている意味が理解できず、思わず聞き返した。
「何故、その事をいくさの前に言わぬ。言わねば分からぬではないか!」
さくも左月も呆れた。言わねば分からぬとは・・・・・。そんなことは武家の家に生まれた者の常識である。そんな事さえ知らなかったとは・・・・・・・。左月はさくの顔を窺ってくるので、さくは顔を振る。
「はあ。・・・・・・そうですね。申し訳ありません。私の不手際に御座います。」
なんで自分が謝らないといけないのか分からなかったが、さくに促され左月は弥三郎に謝した。
「さくもさくだ。さくが私に彼奴の顔を突けと合図したから突いたのではないか。何故、そんな無作法な事をさせたのだ。」
弥三郎はさくにも怒りをぶつける。ポカンとするさく。言ってる意味が分からない。いつ、さくが玄播の顔を突けと合図したと云うのだ。
「さくがどの様に合図したと?」
思わず訊ねるさく。
「玄播と云う男に顔を見せろと言って、面当てを外させたではないか。あれは私に顔を突けという合図だったのであろう。」
勿論、さくにはその様な意図はなかった。弥三郎はそれは顔を突けという合図だと思ったという。とんでもない拡大解釈である。
「・・・・・。よ、よくぞ、さくの意図にお気づき下さいました。お見事な洞察力に御座います。」
さくは弥三郎の名誉を守る為、全てを嗾けたのは自分だと責を被る事にした。大殿から叱責を受ける事になるだろうが、それがさくの役割である。
「何故、私を謀って、その様な合図を送ったのだ。さくは自分が無作法だとは思わぬのか。」
「申し訳ありませぬ・・・・・。」
さくは内心ムッとしながらも反論しなかった。自分の事を棚に上げてさくを無作法と詰る弥三郎を殴ってやろうかとも思ったが。
「父上になんと話せばよいのだ。家名に泥を塗ってしまったぞ。」
引き籠って、数々の奇行で家の名に泥を塗りたっくていたお前が、今更何を言うのか。
「大殿にはさくからお詫びします。今回の事、責は全てさくにありますと。首を差し出す覚悟は出来ています。」
「・・・・・・・。」
責を一身に負うという、さくの覚悟に弥三郎はそれ以上、何も言わなかった。
「分かった。もう良い。この話は終わりだ。我らも追撃戦に参加するぞ。」
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