失踪14年 美月の帰還

軽部雄二

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第33章

早紀江の憤怒

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深夜1時を回って、ようやく警察が到着した。家に入って来たのは3人の刑事だ。皆、一様に表情が重い。何故か美月は連れて来なかった。早紀江と滋は顔を見合わせた。連れて来れない程、美月の症状は重いのだろうか?滋が3人の刑事に座布団を勧めた。早紀江はお茶を出す。それに対し刑事たちは短く礼を言うのみ。沈黙が支配した。
「刑事さん。どうして美月を連れて来てくれないんですか?連れて来れない程、体調が良くないんですか?」
 滋がズバリ切り込んだので、早紀江は自分の心臓が早鐘を打ったように脈打つのが分かった。恐らく刑事たちにも聞こえていたのではないか。そんな事はありえないが、ここまでドキドキするのは遊園地で美月と一緒に乗ったジェットコースター以来である。聞きたくは無いが、聞かなければならない。もう一度、美月とジェットコースターに乗りたいのであれば。
「・・・・申し訳ありません。電話してきた犯人は逮捕したのですが、美月さんは・・・・保護する事が出来ませんでした。」
「はっ?・・・・・保護できなかったって・・・どういう事ですか?」
「娘さんは犯人の家にはおりませんでした。」
 一番年配の刑事が申し訳なさそうに言う。
「・・・・・・・。」
「・・・・・・・。」
 滋も早紀江も言葉が無い。てっきり犯人を捕まえて、とっくに美月を保護してくれているものと思っていた。それが保護していないと言う。早紀江の怒りは爆発した。
「どういう事なんですか?美月ちゃんを保護していないって。犯人を捕まえたんじゃないんですか?その家に居なかったんですか?」
「・・・・・はい。」
「じゃあ、何処に居るって言うんですか?犯人を拷問するなりして、居場所を聞き出せば良いじゃないですか?」
「いや、拷問は出来ませんが、取り調べは厳しくしています。」
 早紀江の拷問しろという言葉に刑事は首を竦めた。滋も明らかに感情的な言い方を嗜めるが、娘を酷い目に遭わされた母親は収まらない。
「拷問が出来ない?美月は誘拐されて2週間、毎日拷問されていたのに、何故、犯人の拷問が許されないんですか。」
 早紀江は美月が味わった2週間の地獄を思って泣いた。
「いや、お母さんの苦衷お察しします。ですが・・・・・。」
「なにが、苦衷お察ししますですか!もし、ご自分の娘が同じ目に遭ったら、そんな態度で居れるんですか!他人事だと思って!」
 刑事の言葉を遮って、早紀江は癇癪を爆発させる。
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