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53.そんな登場
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「なぁ、10組ってどこだ?」
校舎に入り、まずは下駄箱で上履きに履き替えたところで前を歩いていたユウがそんなことを聞いてきた。
「知ってるから前を歩いてたんじゃないの?」
「いや、なんとなく」
その答えに呆れていると、リンが壁に貼ってあった地図を指さした。
「あれに書いてあるんじゃねーの?」
「おー!確かに!」
ユウは地図のところまで走っていくと、10組を探し始めた。
「10組は………3階か!って3階かよ!」
「うるさい」
僕はユウの頭を軽く叩いた。
「10組の場所が3階だっただけでそこまで叫ぶことでもないでしょ」
「でもさ、これから1年間毎日3階まで登らないといけないと思うとダルくねーか?」
肩を落とすユウ。
言いたいことはわかるけど、たった3階なんだからそこまで言うことでもないと思う。
「運動になっていいんじゃない?」
「それに、グチグチ言っても変わるわけでもないだろ」
「そうなんだけどさ~」
まだ納得いってない様子のユウ。
そんなユウを放置して階段を上り始めると、ユウも渋々といった様子でついてきた。
そうして3階につき、1番奥の10組の方へ向かっていると、10組の前に人だかりが出来ていた。
「なになに?どうかしたのか?」
先ほどまでの落ち込みから一転、早速野次馬根性丸出しのユウが興味津々に外からクラス内を見ていた生徒に声をかけた。
「いや、あれだよ」
声をかけられた生徒が指さした先、みんなが遠巻きに見ているクラスの真ん中には女の子にしか見えない生徒が座っていた。
なるほど。確かにこれは騒ぎになるよね。
それぐらい、真ん中の席に座っている生徒は女の子にしか見えなかった。
そして、その生徒は周りの騒ぎに気づいていないのか、それともあえて無視しているのかはわからないけど、キレイな姿勢で椅子に座って本を読んでいた。
「なぁ、あれってどう思う?」
僕の方へ戻ってきたユウが小声で戸惑い気味に聞いてきた。
まぁ、ユウが戸惑うのも仕方のないことだろう。
なんせ、僕という、女の子が男子校に入学しているという現状を知っているので、女の子にしか見えない生徒がホントに女の子かもしれないと思ってしまうからね。
しかし、だ。
「見た目は女の子に見えるけど、体はれっきとした男だろうね」
男子達から見れば女の子にしか見えない生徒も、女子の僕から見れば、体はれっきとした男子に見えるね。
「俺もそう思うな」
神獣であるリンが僕の意見に同意したので間違いないだろう。
僕達の言葉を聞いて納得したユウはなぜか僕の全身を見てきて、うんうんと頷きながら僕の肩をポンポンと叩いてきた。
「なに?」
ユウの行動の意味が分からずに問いかける。
「どんまい」
僕からすれば何がどんまいなのか、なぜそんなことを言われるのか分からずにユウを見ていると、またしてもユウはうんうんと頷いてきた。
「本来なら、お前があの状況にならないといけないはずなのに、似合いすぎているから騒ぎにすらならないなんてな」
そこまで言われてようやく何についてユウがどんまいと言ってきたのか理解した。
確かに彼は女の子らしく見えるけど男であり、僕は男らしく見えるけど女だ。
だから、本来は僕が彼のポジションにいて女の子らしいと騒がれていないといけないはずなのだ。
しかし、だ。
みんな僕が男に見えているので、誰も騒がないし、疑う素振りすらみせない。
まぁ、男子校に通ううえで積極的にバレたいとは思わないけど、ここまで誰にも「あいつもしかして女じゃねーの?」みたいな反応がないのもそれはそれでなんとも言えないわけで、そんな状況を考えるとどんまいと言われても仕方ないのだろう。
だろうけど、だからといってそう言われて納得するかといわれればもちろん納得出来るわけもない。
なので、リンにアイコンタクトを送ってからユウを睨みつける。
僕のアイコンタクトを受けたリンが教室の扉を開けてくれたので、「うるさい」と言いたい気持ちと、「さっさと教室の中に入るよ」と言いたい気持ちを込めてユウのお尻を蹴って教室の中に押し込む。
「どわっ!なにしやがる!」
突然後ろから蹴られて教室の中に押し込まれたユウが振り返ってきて僕に抗議してきたが、そんな登場の仕方をすると当然みんなの注目は女の子らしい生徒からユウに向くわけで、それに気づいたユウ一瞬周りを見渡して考える。
そんなユウがなにをするのか気になるのか、みんなの視線はユウに向いたままだった。
そんな中、考えがまとまったユウは姿勢を正すと服装と髪型を整えてから教室の中央へと歩き出し、女の子らしい生徒の前で立ち止まった。
生徒の方はユウが目の前に来たことに戸惑っていた。
そんな戸惑う生徒にユウがかけた言葉は、
「お嬢さん。俺とお茶でもどうですか?」
校舎に入り、まずは下駄箱で上履きに履き替えたところで前を歩いていたユウがそんなことを聞いてきた。
「知ってるから前を歩いてたんじゃないの?」
「いや、なんとなく」
その答えに呆れていると、リンが壁に貼ってあった地図を指さした。
「あれに書いてあるんじゃねーの?」
「おー!確かに!」
ユウは地図のところまで走っていくと、10組を探し始めた。
「10組は………3階か!って3階かよ!」
「うるさい」
僕はユウの頭を軽く叩いた。
「10組の場所が3階だっただけでそこまで叫ぶことでもないでしょ」
「でもさ、これから1年間毎日3階まで登らないといけないと思うとダルくねーか?」
肩を落とすユウ。
言いたいことはわかるけど、たった3階なんだからそこまで言うことでもないと思う。
「運動になっていいんじゃない?」
「それに、グチグチ言っても変わるわけでもないだろ」
「そうなんだけどさ~」
まだ納得いってない様子のユウ。
そんなユウを放置して階段を上り始めると、ユウも渋々といった様子でついてきた。
そうして3階につき、1番奥の10組の方へ向かっていると、10組の前に人だかりが出来ていた。
「なになに?どうかしたのか?」
先ほどまでの落ち込みから一転、早速野次馬根性丸出しのユウが興味津々に外からクラス内を見ていた生徒に声をかけた。
「いや、あれだよ」
声をかけられた生徒が指さした先、みんなが遠巻きに見ているクラスの真ん中には女の子にしか見えない生徒が座っていた。
なるほど。確かにこれは騒ぎになるよね。
それぐらい、真ん中の席に座っている生徒は女の子にしか見えなかった。
そして、その生徒は周りの騒ぎに気づいていないのか、それともあえて無視しているのかはわからないけど、キレイな姿勢で椅子に座って本を読んでいた。
「なぁ、あれってどう思う?」
僕の方へ戻ってきたユウが小声で戸惑い気味に聞いてきた。
まぁ、ユウが戸惑うのも仕方のないことだろう。
なんせ、僕という、女の子が男子校に入学しているという現状を知っているので、女の子にしか見えない生徒がホントに女の子かもしれないと思ってしまうからね。
しかし、だ。
「見た目は女の子に見えるけど、体はれっきとした男だろうね」
男子達から見れば女の子にしか見えない生徒も、女子の僕から見れば、体はれっきとした男子に見えるね。
「俺もそう思うな」
神獣であるリンが僕の意見に同意したので間違いないだろう。
僕達の言葉を聞いて納得したユウはなぜか僕の全身を見てきて、うんうんと頷きながら僕の肩をポンポンと叩いてきた。
「なに?」
ユウの行動の意味が分からずに問いかける。
「どんまい」
僕からすれば何がどんまいなのか、なぜそんなことを言われるのか分からずにユウを見ていると、またしてもユウはうんうんと頷いてきた。
「本来なら、お前があの状況にならないといけないはずなのに、似合いすぎているから騒ぎにすらならないなんてな」
そこまで言われてようやく何についてユウがどんまいと言ってきたのか理解した。
確かに彼は女の子らしく見えるけど男であり、僕は男らしく見えるけど女だ。
だから、本来は僕が彼のポジションにいて女の子らしいと騒がれていないといけないはずなのだ。
しかし、だ。
みんな僕が男に見えているので、誰も騒がないし、疑う素振りすらみせない。
まぁ、男子校に通ううえで積極的にバレたいとは思わないけど、ここまで誰にも「あいつもしかして女じゃねーの?」みたいな反応がないのもそれはそれでなんとも言えないわけで、そんな状況を考えるとどんまいと言われても仕方ないのだろう。
だろうけど、だからといってそう言われて納得するかといわれればもちろん納得出来るわけもない。
なので、リンにアイコンタクトを送ってからユウを睨みつける。
僕のアイコンタクトを受けたリンが教室の扉を開けてくれたので、「うるさい」と言いたい気持ちと、「さっさと教室の中に入るよ」と言いたい気持ちを込めてユウのお尻を蹴って教室の中に押し込む。
「どわっ!なにしやがる!」
突然後ろから蹴られて教室の中に押し込まれたユウが振り返ってきて僕に抗議してきたが、そんな登場の仕方をすると当然みんなの注目は女の子らしい生徒からユウに向くわけで、それに気づいたユウ一瞬周りを見渡して考える。
そんなユウがなにをするのか気になるのか、みんなの視線はユウに向いたままだった。
そんな中、考えがまとまったユウは姿勢を正すと服装と髪型を整えてから教室の中央へと歩き出し、女の子らしい生徒の前で立ち止まった。
生徒の方はユウが目の前に来たことに戸惑っていた。
そんな戸惑う生徒にユウがかけた言葉は、
「お嬢さん。俺とお茶でもどうですか?」
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