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14.流れ的に
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「シルネス。ルイの提案を聞いてどう思った?」
父さんに聞かれた母さんは、僕をジッと見つめたかと思うと大きく息を吐いた。
「ため息を吐かれちゃったからダメとか言われちゃうんじゃね?」か。
ダメだと言われたらまた別の提案をするさ。
「別の提案ってなんだよ」って。
それは母さんがダメだと言われた場合のことだから今言う必要ないだろう。
というわけで、何を言われるのかと身構えながら母さんの言葉を待っていると、
「確かに、これからのことを考えれば魔物との実戦訓練やルイ達の連携を深めることは必要になってくることなので、理由を聞いたかぎりでは納得できるモノでした」
「だったら」
と、一応反応しておこう。
「一応ってなんだよ」だって。
一応は一応だよ。
まだ母さんは冒険者登録をする許可をくれたわけじゃないけど、許可してくれそうな流れになったのだから反応するのが子供らしいだろ。
「そんなこと考える子供はいない」か。
まぁ、普通はいないだろうな。でも、僕の場合は精神的には100歳超えだから考えるのだよ。
どうやったら普通の子供らしく見えるかな?
とか。
「ですが、条件があります」
ですよね。流石になんの条件もなく即OK出されてたら、
「親バカすぎるだろ!どんなけ甘やかす気だ!」
なんて思わずツッコんでしまっていたかもしれないので、条件があると言ってくれてよかったよ。
「条件ですか?」
今の僕たちの実力とかからいうと、かなりキツい条件をつけられたとしても文句はないし、全て受け入れるつもりではいる。
魔物との戦いはそれだけ危険なことなんだから。
「まず、絶対、必ず約束してほしいのは、毎日元気な姿でみんなで帰ってくること。もし、あなた達の誰か1人でも大きな怪我をした場合は即冒険者登録を解消してもらいます」
母さんは僕だけではなく後ろに控えているカレン達を見ながらそう言った。
もちろんそれは僕にとっての最低限の条件でもあるので、よっぽどのイレギュラーがない限り大丈夫だろう。
『はい』
たまたまみんなの返事の声が重なった。
その光景に父さんや母さんは嬉しそうに微笑んでいる。
「もちろん、大きな怪我をしなければいいと思って小さな怪我をたくさんしてくるのもダメよ」
それももちろんのことだ。怪我をしていい前提でやっていると、必ずいつか取り返しのつかないことになるだろうから。
「そして、もし怪我をしてなくても、帰ってきたら必ず私のところに来ること。怪我をしているならその時に私が治療しますから」
その条件は少し受け入れなれない内容だった。
「条件には文句はなく、全て受け入れるはずじゃなかったんじゃないのか?」か。
もちろん最初の条件や帰ってきたら母さんのところへ行くという条件には全く文句はないし、受け入れるよ。
でも、怪我をしたら母さんが治療するという条件だけは受け入れられない。
「なんでだ?」か。
だって、
「母さま。カレン達の治療はヒーラーである僕の役目なんですからね」
そのためにヒーラーとしての特訓をしたのに、母さんにその役目を奪われたら僕はなんのために頑張ってきたのか分からなくなる。
「そうだったわね。ごめんね」
隣に移動してきた母さんが頭を撫でてきた。
「でも、ルイがすぐに治療出来るからといってムリしてはダメだし、治療したかどうかは見ればわかるので、大きな怪我を隠そうとしてもムダですからね」
「はい」
ヒールなどで治療すると、その痕跡は見る人が見ればすぐにわかる。そして、当然ベテランヒーラーの母さんはそれがわかるので治療の痕跡を隠すことは出来ないだろう。
しかし、そんな大きな怪我をするつもりはないので気にする必要もないだろう。
「でも、帰ってきたら例え父さまに呼び止められても先に母さまのところへ行きます」
「いや!俺が呼び止めたら話を聞いてくれないか!ってか、わざわざ俺のことを言う意味あったか!?」
もちろん意味はないが、なんとなく言ってみたかったので言ってみたが、思っていた以上に父さんからの反応があったので驚いた。
しかし、父さんのツッコミのおかげで母さんやギルナスさんはクスクスと笑い出し、場の雰囲気がかなり和んだので言った意味はあったのだろう。
「では、母さまを放っておいてもいいのですか?それでいいと父さまが言うのであれば、僕は父さまの呼び止めに答えて立ち止まりましょう」
僕の言っていることはかなり無茶な言い分だし、父さんの言っていることの方が正しいのだろうけど、流れ的にこう言うべきだと思ったので言ってみた。
すると、母さんは僕に抱きついてきて父さんを見た。
そんな母さんの視線を受けた父さんはうっと言葉を詰まらせたかと思うと、
「い、いや、そういうわけじゃない、けど、な」
母さんを気にして少ししどろもどろになりながらそう言う父さん。
その答えに母さん達がさらに笑い出したので、僕も笑いながら母さんを見上げた。
「母さまの条件はそれだけですか?」
「そうね。私からの条件はそれだけよ。あなたはなにか条件はあるの?」
母さんが父さんに聞くが、おちょくられた父さんは腕を組んで横を向いてスネていた。
「父さまは何も条件はないみたいだから冒険者登録してもいいわよ」
「やったー」
母さんから冒険者登録の許可が出たので喜んでいると、
「ちょっと待った!」
父さんに聞かれた母さんは、僕をジッと見つめたかと思うと大きく息を吐いた。
「ため息を吐かれちゃったからダメとか言われちゃうんじゃね?」か。
ダメだと言われたらまた別の提案をするさ。
「別の提案ってなんだよ」って。
それは母さんがダメだと言われた場合のことだから今言う必要ないだろう。
というわけで、何を言われるのかと身構えながら母さんの言葉を待っていると、
「確かに、これからのことを考えれば魔物との実戦訓練やルイ達の連携を深めることは必要になってくることなので、理由を聞いたかぎりでは納得できるモノでした」
「だったら」
と、一応反応しておこう。
「一応ってなんだよ」だって。
一応は一応だよ。
まだ母さんは冒険者登録をする許可をくれたわけじゃないけど、許可してくれそうな流れになったのだから反応するのが子供らしいだろ。
「そんなこと考える子供はいない」か。
まぁ、普通はいないだろうな。でも、僕の場合は精神的には100歳超えだから考えるのだよ。
どうやったら普通の子供らしく見えるかな?
とか。
「ですが、条件があります」
ですよね。流石になんの条件もなく即OK出されてたら、
「親バカすぎるだろ!どんなけ甘やかす気だ!」
なんて思わずツッコんでしまっていたかもしれないので、条件があると言ってくれてよかったよ。
「条件ですか?」
今の僕たちの実力とかからいうと、かなりキツい条件をつけられたとしても文句はないし、全て受け入れるつもりではいる。
魔物との戦いはそれだけ危険なことなんだから。
「まず、絶対、必ず約束してほしいのは、毎日元気な姿でみんなで帰ってくること。もし、あなた達の誰か1人でも大きな怪我をした場合は即冒険者登録を解消してもらいます」
母さんは僕だけではなく後ろに控えているカレン達を見ながらそう言った。
もちろんそれは僕にとっての最低限の条件でもあるので、よっぽどのイレギュラーがない限り大丈夫だろう。
『はい』
たまたまみんなの返事の声が重なった。
その光景に父さんや母さんは嬉しそうに微笑んでいる。
「もちろん、大きな怪我をしなければいいと思って小さな怪我をたくさんしてくるのもダメよ」
それももちろんのことだ。怪我をしていい前提でやっていると、必ずいつか取り返しのつかないことになるだろうから。
「そして、もし怪我をしてなくても、帰ってきたら必ず私のところに来ること。怪我をしているならその時に私が治療しますから」
その条件は少し受け入れなれない内容だった。
「条件には文句はなく、全て受け入れるはずじゃなかったんじゃないのか?」か。
もちろん最初の条件や帰ってきたら母さんのところへ行くという条件には全く文句はないし、受け入れるよ。
でも、怪我をしたら母さんが治療するという条件だけは受け入れられない。
「なんでだ?」か。
だって、
「母さま。カレン達の治療はヒーラーである僕の役目なんですからね」
そのためにヒーラーとしての特訓をしたのに、母さんにその役目を奪われたら僕はなんのために頑張ってきたのか分からなくなる。
「そうだったわね。ごめんね」
隣に移動してきた母さんが頭を撫でてきた。
「でも、ルイがすぐに治療出来るからといってムリしてはダメだし、治療したかどうかは見ればわかるので、大きな怪我を隠そうとしてもムダですからね」
「はい」
ヒールなどで治療すると、その痕跡は見る人が見ればすぐにわかる。そして、当然ベテランヒーラーの母さんはそれがわかるので治療の痕跡を隠すことは出来ないだろう。
しかし、そんな大きな怪我をするつもりはないので気にする必要もないだろう。
「でも、帰ってきたら例え父さまに呼び止められても先に母さまのところへ行きます」
「いや!俺が呼び止めたら話を聞いてくれないか!ってか、わざわざ俺のことを言う意味あったか!?」
もちろん意味はないが、なんとなく言ってみたかったので言ってみたが、思っていた以上に父さんからの反応があったので驚いた。
しかし、父さんのツッコミのおかげで母さんやギルナスさんはクスクスと笑い出し、場の雰囲気がかなり和んだので言った意味はあったのだろう。
「では、母さまを放っておいてもいいのですか?それでいいと父さまが言うのであれば、僕は父さまの呼び止めに答えて立ち止まりましょう」
僕の言っていることはかなり無茶な言い分だし、父さんの言っていることの方が正しいのだろうけど、流れ的にこう言うべきだと思ったので言ってみた。
すると、母さんは僕に抱きついてきて父さんを見た。
そんな母さんの視線を受けた父さんはうっと言葉を詰まらせたかと思うと、
「い、いや、そういうわけじゃない、けど、な」
母さんを気にして少ししどろもどろになりながらそう言う父さん。
その答えに母さん達がさらに笑い出したので、僕も笑いながら母さんを見上げた。
「母さまの条件はそれだけですか?」
「そうね。私からの条件はそれだけよ。あなたはなにか条件はあるの?」
母さんが父さんに聞くが、おちょくられた父さんは腕を組んで横を向いてスネていた。
「父さまは何も条件はないみたいだから冒険者登録してもいいわよ」
「やったー」
母さんから冒険者登録の許可が出たので喜んでいると、
「ちょっと待った!」
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