桜の下の約束

第二十二話「みちるの作った卵焼き」

―桜の下の約束―

第二十二話「みちるの作った卵焼き」



「昨日もサンドイッチだったじゃん」と渉は、不満そうにいった

「いいじゃない、せっかくだから食べようよ」そうみちるが言った

「まあ、お前のいつかの卵焼きよりはずっとうまいよな～」と渉がみちるに言った

「なによ！！ムカつく」みちるが言った

「いつも調理実習をさぼる奴にいわれたくねえよ」渉が言った

「なによー」みちるが激怒した

「くやしかったらお前も千草までもいかなくても簡単な料理くらい作れるようになれよな」

「・・・・・・」「俺が知らないとでも思ったのか？お前いつも面倒だからって

楽な仕事ばかりやってるだろ。調理実習の時はいつも仮病でいないし、

そんなんだから、卵焼きもろくに作れないんだよ」渉は少しキツくみちるに言った。

「え？仮病？？」千草はびっくりした

確かにみちるは前から料理を作るのが嫌いだと言っていたが・・・。

だが、千草の心の中では、それよりも自分でさえいつも一緒にいたのに

渉のほうがみちるの事をわかっていたという事がショックだった。

それから千草は少しボーっとしていたが我に返り

「二人とも喧嘩はやめてよ。ほら、みちる大丈夫？」と

みちるに近寄ろうとした時、先に渉が近づいて

「だから、もう少し逃げないで作る努力をしてほしい。

お前も頑張れば千草には満たないけど美味しいもの作れるからさ。

そしたら俺が一番にお前の料理を食べてやるからな」

そう渉はみちるに言いみちるの身体を自分に引き寄せた

そして耳元で優しくこう言った。

「あの時の卵焼きはめちゃくちゃ不味かったけど、お前が

俺の為に一生懸命作ってくれたから嬉しかった」

そして、その後、みちるから千草の方に渉は視線を向けて

「ごめんな。千草、せっかく作ってくれたのに文句言って

千草の手作りサンドイッチたのしみにしてるよ」そう言った

「さあ、買い物に行こうぜ」そう言い渉はみちるの手を引き

歩き出した

つづく