俺がこんなにモテるのはおかしいだろ!? 〜魔法と弟を愛でたいだけなのに、なぜそんなに執着してくるんだ!!!〜

小屋瀬

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魔法対抗試合編

第十九話 : 異変

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◆◆◆◆◆





「な、なんだ映像が揺れてるぞ!!」

それはロイがカインの合体魔法を相殺して少し後のことだった。

うおおおお!!!ロイのやつ、マジで詠唱魔法使ってやがる⋯しかも中級レベルって。いや、もうお兄ちゃん、いきなりの成長で足腰立たないよ。はぁ、ほんと、ウィーリアのやつどこほっつき歩いてんだよ。ロイの勇姿を見過ごすなんて、しょうがない、帰ってきたらたっぷり教えてあげないとな。

ロイの魔法を初めて目の当たりにした俺は、頭の中で弟自慢シミュレーションを執り行っていた。
そんな中、観客の一人が興奮気味に放った声が俺の耳に入り込んだ。それは、映像の揺れを指摘するものだった。

皆が、中央の映像に注目する。二つの魔法の衝撃波で揺れている、その事実に得意げに酒を飲む者、名前入りの扇子を目一杯振る者、一年生の試合とは思えない戦闘に高揚を抑えきれない者。
観客席全体が、大きな熱気に包まれていた―――俺を除いて。

⋯嫌な予感がする。映像を映す植物は森全土に生えている。それなのに、たった二つの魔法が衝突しただけで、こんなにも見えづらくなるものか?それに、映像が途絶えるならまだしも、映像が揺れるってのは、異界の中とは関係ないんじゃないか⋯?

そんな俺の予感は、見事当たってしまった。
揺れていた映像は、徐々に見える範囲が狭まっていった。そしてついに、プツリと線が切れたかのように映像はなにも映さなくなった。
真っ黒な映像しか見えなくなった観衆は、この状況に戸惑いを見せていた。

瞬間、とてつもない魔力が会場全体にのしかかった。全身に鳥肌が立ち、硬直する。息ができず、押しつぶされそうになる感覚に、思わず体を縮めてしまう。それは周りも同じようで、顔を起こさずとも聞こえてくる困惑の声で理解できた。観客席にいる、魔力をあまり持たない俺ですら感知できるほどの強い威圧。魔力の扱いに長けた貴族に関しては俺の倍以上に、感じてるはずだ。

すると、誰かが俺の肩にそっと手を置いた感触がした。
全身を押さえつけていた威圧がすっと消えていく感覚の中で、俺は咄嗟に体を起き上がらせた。

「⋯⋯オ、オリアス先生?」

肩から離れていく手を掴んだ俺は、振り払われる前にその主を確認した。
急に掴まれ驚いた顔をしたオリアス先生は、やがて安堵の表情を浮かべた。

「良かった、このまま起きないのかと思ったぞ」

そうして逆に俺の手を握る先生を前に、俺は間髪入れず言葉を発した。

「な、なんで動けるんですか⋯⋯」

会場にいる全員、父さんや他の教師達含めた全員が、未だ動きを抑制されてる状態で、なんで先生だけが平然としてるんだ。俺の確認に近い質問に対して、先生は迷うことなく言葉を述べた。

「知らん⋯⋯いや、もしかするとお前の知ってる通り、俺がの使い手だからかもな」

「⋯先生冗談はいいですから。第一、先生の属性は水でしょ」

「⋯あぁ、そうだな悪かった。でも本当に俺だけが無事な理由は知らないからな」

そう言い放つ先生は、未だに俺の手を掴んでいた。流石にそろそろ離してほしい俺は、喉が乾いたから水を取るという理由でその手を払い除けた。
鞄を漁り、複数の紙を握る。その全てに数少ない魔力を注ぎ込んだ俺は、その中から一枚取り出し、ハンカチを渡すように先生に差し出した。

「先生、猫にでも引っかかれたんですか?顔から少し血が出てます」

「あぁ、ありがとう」

先生が紙を受け取った、その時だった―――

「――捕らえろ」

俺の言葉と共に、光を放った紙片は、瞬く間に姿、性質を変え、やがて鋼のように硬い拘束具へと変化し、先生をその場に固定した。
遮音魔法を使った俺は、状況が飲み込めず唖然とする先生の隣へ、少し距離をおいて座り直した。

周りの声も、なにもかも聞こえない、二人だけの空間。俺は冷や汗をかきながら、目の前の男に告げた。

「――あんた、オリアス先生じゃないだろ」

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