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夏休み編 ー東の街カルディナー
第四十五話 : リュウの場合
しおりを挟むなぁにが “二人きりになったね” だ。
⋯でも、リュウもまたコウと同様イケメンに部類される顔を持ってるからな。正直そんなこそばゆくなるセリフも違和感がない。(そう考えるとレンは二人と違って可愛い系だよな⋯?)
って、なんで俺はこんな事を考えてるんだ。一刻も早く、ここから出ないといけないってのに。
今のところその吉兆がないからといっても、いつあの檻に入れられるか分からない以上、完全に逃げ場が無くなる前に脱出する必要がある。そんで、家に戻って助けを呼び、檻に捕まっていた団員や他の人を助けないといけない。そのためにはまず、俺の鞄を探さないと⋯⋯
「何考えてるの?」
「いや、えっと⋯⋯⋯その、 “印をつける” って、首を噛んだり⋯とかしないとダメなのか?」
「いや、あれは紘だけだよ。⋯⋯もしかして、してほしかった?」
「いや、違う!そう言うことじゃなくて!!」
変に焦ってしまったからか、隣りに座っていたリュウがふっと笑う。
⋯⋯なんだよその顔は⋯!!でもまぁ、二の舞いになることはなさそうだな。
問題は、その“印をつける”ことで何が変わるのか、そしてそれは洗脳と関係あるのか。
レンの言葉で、黒魔術を使える人物がいるのはほぼ確定した。しかし必ずしも洗脳と印をつける行為が繋がってるとは限らない。
第一、洗脳魔法ってのは物理的なものではなく直接脳に働きかけるものだろう。
物理的な痛みで考えを変えるなら、それはもう脅迫だ。
「んじゃ、ちゃっちゃと印付けちゃおっか。ほら、すぐ終わるから目瞑っててね~」
お母さんかよ。
ま、印つけるだけだし、変に抵抗すると檻行きまっしぐらの可能性だってある。とりあえず従っておこう。
リュウの方へ体を向け、ベッドの上に正座する。とりあえず変なことはされないだろう。いや、するな。と願いつつも目を瞑り、暗闇の世界が広がる。
そんな中、ふと右頬に添えられた手に驚きつつも、なんとも無いふりをしてやり過ごす。
そうそう、まずはこういう風に対象を捕らえて。
「うわっ⋯!?」
すでに添えられた頬の、反対の頬もまたリュウの手によって覆われる。いきなり来た刺激にまた少し反応してしまう。
まぁ、そうだよな。きちんと相手が動かないように固定しないと。
そんで極めつけは⋯⋯⋯
「我、思いのままに主眼の――」
それっぽい詠唱。うんうん、これこそ洗脳魔法のかけ方だよな。
―――――いや、それってつまり⋯!!!
「ちょちょちょっ、リュウ!やめて、ストップ!!」
目を開け、両手で勢いよくリュウの体を押す。
そんな俺のいきなりの行動に、目を見開いたリュウは、そのまま後頭部からベッドにダイブする形となった。
「⋯え、なに、かな⋯⋯?」
一体何が起こったのか。理由も分からず、ベッドに仰向けになり、ただただ困惑の表情を浮かべるリュウ。誘拐した張本人にこんなことして、そんなのかえって自分が危険になるだけだ。しかし、彼を押し倒し、跨った俺は、洗脳されかけたという焦りから、頭がすっかり真っ白になっていた。
そしてその状態のまま、俺は呆然とするリュウに問い詰めた。
「⋯⋯今、何をしようとした?」
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