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はじまりの変化
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いつの頃からか――多分、どこかの研究施設からの白い光があふれ、それが全世界にライブ配信されてから――不思議な力を持つ者が生まれ始めた。西暦2200年のことだった。
時は2500年。世には、特殊な力を持つ者と、持たぬ者とが存在する――。
ある日の夕方。自分自身と周りのすべてに嫌気が差していた頃。とてつもない痛みが全身を襲った。
今までの心の苦痛に比べたらどうということもない痛み。耐えられる。そう思ってから、数秒間、エビのように丸まっていたら、眠気がやって来た。その眠気には抗えなかった。
目が覚めた時、緑色の部屋にいた。ベッドから身を起こして初めに思ったのは、「眼鏡はどこ」だった。
掛けていなくても見えはする――その目で辺りを見た。でもそれだけでは分からない。
そのあと、ベージュの棚のようなものの上部に手を這わせた。
手探りののち、『これだ、横長楕円でフレームの細いスタイリッシュないつものやつがここにある、どう考えても自分のもの』と理解すると、それを掛け、再度辺りを見た。
やっぱりそれは自分のだった、度が合う。
その頃には、既に誰かがこの部屋へと駆け付けたようだった。なんとなく足音も聞こえてはいたので、そちらへと目を向ける――と、そこに現れた白衣の女性の口が動いた。
「なんともないですか? 名前は言えますか?」
「体は…なんともないです。名前は逸矢田睦月――」
「大事ないようで何よりです」
ナースの女性だった。彼女はベッドの横にあるボードに表示された電子的文字を見、
「先生を呼んできますね」
と言って去って行った。
そのナースは先生らしき人物とともにまたやって来た。そこで「先生」が口を開いた。
「あなたはSTEOP発現の症状によって痛みや眠気にさいなまれ倒れてしまったんです」
「STEOP。だからあんなに――」
「そうです」
「体に変化があったからそれで分かったんですね?」
「そうですね」
STEOPというのは、どこかの研究施設からの発光が原因となってもたらされた特殊能力のことだ。Super-TEchnic-Or-Power、略してSTEOP。分かりやすくSTEOP能力と呼ぶことも多い。
それが発現する時は激しい痛みにさいなまれて倒れてしまう。
そして体に変化が起こる。
自分の場合は声がかなりマイルドになり高くなっているようだった。でもこれだけでは判別が付かないので、別の変化もあったはず。
体に手を当て、確かめる。と、そこでようやく分かった。
「落ち着いて聞いてください。睦月くん。あなたは女性の体になりました」
「……」
しばらく黙ってしまった。
ハッとしてから声に出した。
「あの…、それならよかったです。それだけですよね? 変化は――」
思わず嬉しくなってしまう。
そして、はやく鏡を見たい――と思っていると、ナースの女性があたしをキモがっているのが見えた。
――そんな顔をしなくてもよくない?……あたしの心が見えてないくせに。
そう思ってしまってから先生に向き直った。
先生は、その時になってからあたしに声を届けた。
「検査は寝ている間にしました。体調も良好だしほかの変化はありません。これから、STEOP特定開発研究所へ移って、STEOPを確かめることになります。そちらでご家族の方と会えるようになります。すぐ移りますがよろしいですか?」
「はい」
「じゃあ、こっちへ」
あたしは検査着を身にまとっていた。その姿のまま、胸に「ドクター西岩」と書かれた名札をした先生について行くため、ベッドから降り、自分の長い髪を耳に掛けつつ、ナースの方を見た。
ナースは目を伏せた。
あたしは眼鏡越しに、彼女の目をまっすぐ見据えた。堂々と胸も張った。
それから西岩先生について歩いて、裏手の出入口の前へと足を運んだ。
途中、大きな鏡が壁に設置されていたので、そこで全身を確認した。手も少し若返っている気がする。クールな顔で、美人で、笑うともっと可愛い。自分がそうなれたのは切なる願いがあったからだ。
STEOP発現の際、肉体的変化に関する願いがひとつだけ叶う。それが発現の印となる。
変化は人によって様々だ。
あたしの場合はこれ。金もなく自分に自信も持てていなかったけれど、身体的コンプレックスだけはようやく無くなった。理想の自分になれた。やっと。
病院の裏手に出てから見送られ、専用のバスに乗り、STEOP特定開発研究所へと出発した。
道中、車が走る中、話した。
「ここのこと、知ってる?」
「ええ、学校で習ったので」
「小中高大、いつでも習うことになってて本当によかったよね、STEOPに目覚めた人をサポートする土地があるなんて、知らなかったら苦労するからねぇ、お互いに」
「そうですね…」
STEOP発現者のための町。静岡県の太田川橋から120キロメートル南にその北端が位置する人工島の新ヶ木島、新ヶ木市。
この市そのものがあたし達をサポートする。だったらそのために、あたしが返せることは何だろう。そんなことをふと思った。
到着した――そこはどう見ても山だった。
森に囲まれていた。空気がおいしそうな所。まだまだ青々とした秋の山。
STEOP特定開発研究所。
――ここで家族に会えるんだな。自分のSTEOPについても分かる……。
想いを胸に、降りた運転手について行くと、入った建物の奥の部屋で待たされた。
五分くらい待っていた。
運転手はもう視界のどこにもいない。待っている間にどこかへ行ってしまった。
そこへ、ひとりの男性が入ってきた。
「ああ、どうも、キミがそうかな? えっと――睦月ちゃん、だっけ?」
ちゃん付けしてくれたのが嬉しかった。そうならない人もいるだろうけれど、私は嬉しかった。
この建物の1105号室で寝起きするようになった。そして検査や実験、休憩や食事の監視も行なわれていった。スケッチブックに誰が何を描いたか当てられるか試したり、コップの中に水を生み出せるか、ボールを浮かせられるか、物を瞬間移動させられるか、物を砕けるか、物の色を変えられるか等々、試したりした。
庭を眺められるロビーがある。そこでゆったりしながら通行人の考えを読めないかと試したけれど、できなかった。
――違うかぁ…。
と思ったその時。
とある男の子が、ジュースの缶を片手に近付いてきた。あたしよりずっと年下の…多分十六歳辺りの、同じ試験着を着ている男児。
彼の口が乱暴に動いた。
「あんたの願望って私利私欲なの? 正直うらやましいけどさ」
どういう意味かは考えるまでもない。
ただあたしはこう言うだけだと思った。
「私利私欲じゃないよ。ちゃんと悩んで望んでた。だからこうなった。…欲しい人の背が伸びるのと同じ」
あたしは背が伸びるジェスチャーもしてみせた。
「だよな! じゃあ俺も引かれないよな? なあ、男同士しようや、やりたいだろ?」
彼はそう言ってあたしの横に座り、人目を気にした素振りを見せてから、手を伸ばした――あたしの胸に。
強く触れられ、その一瞬で、自分が暴れ馬にでもなったのがハッキリと分かった。
乾いた音が鳴った――あたしの手が彼の頬に当たったから。
「意味わかんない。したいワケないっつうの!」
思いっ切り出した声に自分で驚くことはなかった。当然の気持ちしか抱いていなかった。――なんでそうなるの? という気持ち。
さっきの出来事を忘れたい。
そう思いながら、頬を伝う物の軽さを感じた。
――あんな人がいる所でこうしていなきゃいけないの? なんで?
歩き去りながら、この記憶を消し去りたかった。でも消えない。胸の嫌悪感も消えない。
――消せたらよかったのに…。
思いながら頬を手で拭いた。
時は2500年。世には、特殊な力を持つ者と、持たぬ者とが存在する――。
ある日の夕方。自分自身と周りのすべてに嫌気が差していた頃。とてつもない痛みが全身を襲った。
今までの心の苦痛に比べたらどうということもない痛み。耐えられる。そう思ってから、数秒間、エビのように丸まっていたら、眠気がやって来た。その眠気には抗えなかった。
目が覚めた時、緑色の部屋にいた。ベッドから身を起こして初めに思ったのは、「眼鏡はどこ」だった。
掛けていなくても見えはする――その目で辺りを見た。でもそれだけでは分からない。
そのあと、ベージュの棚のようなものの上部に手を這わせた。
手探りののち、『これだ、横長楕円でフレームの細いスタイリッシュないつものやつがここにある、どう考えても自分のもの』と理解すると、それを掛け、再度辺りを見た。
やっぱりそれは自分のだった、度が合う。
その頃には、既に誰かがこの部屋へと駆け付けたようだった。なんとなく足音も聞こえてはいたので、そちらへと目を向ける――と、そこに現れた白衣の女性の口が動いた。
「なんともないですか? 名前は言えますか?」
「体は…なんともないです。名前は逸矢田睦月――」
「大事ないようで何よりです」
ナースの女性だった。彼女はベッドの横にあるボードに表示された電子的文字を見、
「先生を呼んできますね」
と言って去って行った。
そのナースは先生らしき人物とともにまたやって来た。そこで「先生」が口を開いた。
「あなたはSTEOP発現の症状によって痛みや眠気にさいなまれ倒れてしまったんです」
「STEOP。だからあんなに――」
「そうです」
「体に変化があったからそれで分かったんですね?」
「そうですね」
STEOPというのは、どこかの研究施設からの発光が原因となってもたらされた特殊能力のことだ。Super-TEchnic-Or-Power、略してSTEOP。分かりやすくSTEOP能力と呼ぶことも多い。
それが発現する時は激しい痛みにさいなまれて倒れてしまう。
そして体に変化が起こる。
自分の場合は声がかなりマイルドになり高くなっているようだった。でもこれだけでは判別が付かないので、別の変化もあったはず。
体に手を当て、確かめる。と、そこでようやく分かった。
「落ち着いて聞いてください。睦月くん。あなたは女性の体になりました」
「……」
しばらく黙ってしまった。
ハッとしてから声に出した。
「あの…、それならよかったです。それだけですよね? 変化は――」
思わず嬉しくなってしまう。
そして、はやく鏡を見たい――と思っていると、ナースの女性があたしをキモがっているのが見えた。
――そんな顔をしなくてもよくない?……あたしの心が見えてないくせに。
そう思ってしまってから先生に向き直った。
先生は、その時になってからあたしに声を届けた。
「検査は寝ている間にしました。体調も良好だしほかの変化はありません。これから、STEOP特定開発研究所へ移って、STEOPを確かめることになります。そちらでご家族の方と会えるようになります。すぐ移りますがよろしいですか?」
「はい」
「じゃあ、こっちへ」
あたしは検査着を身にまとっていた。その姿のまま、胸に「ドクター西岩」と書かれた名札をした先生について行くため、ベッドから降り、自分の長い髪を耳に掛けつつ、ナースの方を見た。
ナースは目を伏せた。
あたしは眼鏡越しに、彼女の目をまっすぐ見据えた。堂々と胸も張った。
それから西岩先生について歩いて、裏手の出入口の前へと足を運んだ。
途中、大きな鏡が壁に設置されていたので、そこで全身を確認した。手も少し若返っている気がする。クールな顔で、美人で、笑うともっと可愛い。自分がそうなれたのは切なる願いがあったからだ。
STEOP発現の際、肉体的変化に関する願いがひとつだけ叶う。それが発現の印となる。
変化は人によって様々だ。
あたしの場合はこれ。金もなく自分に自信も持てていなかったけれど、身体的コンプレックスだけはようやく無くなった。理想の自分になれた。やっと。
病院の裏手に出てから見送られ、専用のバスに乗り、STEOP特定開発研究所へと出発した。
道中、車が走る中、話した。
「ここのこと、知ってる?」
「ええ、学校で習ったので」
「小中高大、いつでも習うことになってて本当によかったよね、STEOPに目覚めた人をサポートする土地があるなんて、知らなかったら苦労するからねぇ、お互いに」
「そうですね…」
STEOP発現者のための町。静岡県の太田川橋から120キロメートル南にその北端が位置する人工島の新ヶ木島、新ヶ木市。
この市そのものがあたし達をサポートする。だったらそのために、あたしが返せることは何だろう。そんなことをふと思った。
到着した――そこはどう見ても山だった。
森に囲まれていた。空気がおいしそうな所。まだまだ青々とした秋の山。
STEOP特定開発研究所。
――ここで家族に会えるんだな。自分のSTEOPについても分かる……。
想いを胸に、降りた運転手について行くと、入った建物の奥の部屋で待たされた。
五分くらい待っていた。
運転手はもう視界のどこにもいない。待っている間にどこかへ行ってしまった。
そこへ、ひとりの男性が入ってきた。
「ああ、どうも、キミがそうかな? えっと――睦月ちゃん、だっけ?」
ちゃん付けしてくれたのが嬉しかった。そうならない人もいるだろうけれど、私は嬉しかった。
この建物の1105号室で寝起きするようになった。そして検査や実験、休憩や食事の監視も行なわれていった。スケッチブックに誰が何を描いたか当てられるか試したり、コップの中に水を生み出せるか、ボールを浮かせられるか、物を瞬間移動させられるか、物を砕けるか、物の色を変えられるか等々、試したりした。
庭を眺められるロビーがある。そこでゆったりしながら通行人の考えを読めないかと試したけれど、できなかった。
――違うかぁ…。
と思ったその時。
とある男の子が、ジュースの缶を片手に近付いてきた。あたしよりずっと年下の…多分十六歳辺りの、同じ試験着を着ている男児。
彼の口が乱暴に動いた。
「あんたの願望って私利私欲なの? 正直うらやましいけどさ」
どういう意味かは考えるまでもない。
ただあたしはこう言うだけだと思った。
「私利私欲じゃないよ。ちゃんと悩んで望んでた。だからこうなった。…欲しい人の背が伸びるのと同じ」
あたしは背が伸びるジェスチャーもしてみせた。
「だよな! じゃあ俺も引かれないよな? なあ、男同士しようや、やりたいだろ?」
彼はそう言ってあたしの横に座り、人目を気にした素振りを見せてから、手を伸ばした――あたしの胸に。
強く触れられ、その一瞬で、自分が暴れ馬にでもなったのがハッキリと分かった。
乾いた音が鳴った――あたしの手が彼の頬に当たったから。
「意味わかんない。したいワケないっつうの!」
思いっ切り出した声に自分で驚くことはなかった。当然の気持ちしか抱いていなかった。――なんでそうなるの? という気持ち。
さっきの出来事を忘れたい。
そう思いながら、頬を伝う物の軽さを感じた。
――あんな人がいる所でこうしていなきゃいけないの? なんで?
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