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1.運命の屋上
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屋上で弁当を食べようとドアを開けた。
進むと、柵の向こうと、遠い地面が見えるはずだ。でも俺には違う光景が目に映った。それは、柵をこえたところに立っている茶髪でショートカットの女の子の姿だった。柵の前には上靴が綺麗に揃えてぬいである。(まさか!…自殺!?)驚きもあったが、それよりも怒りの方が何倍も大きかった。
「おい、お前…自殺…すんの?自分の意思で死ねて幸せだな。」
「は?死…?自殺?え!?わっ私が!?」
「はぁ?お前自殺しようとしてたんじゃないの?」
「嫌だなぁ違うよ。涼んでるだけ。」
「はぁ…何だ驚かせんなよ。」
なんだよ、俺が恥かいただけじゃんか。
「ねぇ、それよりさ。『自分の意思で…』ってどういうこと?」
また答えにくい質問を…。
「……はぁ、えーっと、俺さ後余命二年らしいんだよ。」
「え、そうなんだ。」
「え…なんか、やけにリアクション薄いな…。」
「いや、びっくりはしたけど、二年ぴったりしか生きられないわけじゃないでしょ?」
「まぁ…そうだろうけど…。」
「二年以上生きられるかもしれないし、案外人間っていつ死ぬかなんてわかんないもんだよ。」
「………。」
少し驚いた。余命を聞いたやつが茶化したり、同情をしないでくれたのはこいつが初めてかもしれない。『ぴったり二年しか生きられないわけじゃない。』
二年なんて日数も結局は同じ人間が決めたことだ。
「確かにな…。」
「おっ!ふ~ん…。」
女がニヤニヤした顔でこっちを見てきた。
「なんだよ…。」
「いやぁ、同じクラスだけどそんな嬉しそうな顔見たことないからさ。」
「え?お前同じクラスなの?」
「ひどっ!ほらっ桜だよ!後ろの席のさ」
「……苗字は?」
「…あー、四月一日だよ」
「四月一日…四月一日…?かわった苗字だな。」
「まぁね。」
「なぁ、四月一日」
「名前で読んで。」
「桜?」
「うん!」
「じゃあ、俺も冬夜でいい。」
「分かった!じゃあ、今日からお友達ね!」
「………。」
「あれ、嫌?」
「いや別に、嫌ってわけじゃないけど、俺みたいなあと少しで死ぬやつと友達になっても意味ないと思うよ…。」
「意味が無い?友達になるのに意味なんて必要ないでしょ!」
「桜がいいなら別にいいけど…」
「じゃあ、決まりっ!」
桜が少し俯いた。
「人がいつ死ぬかなんて本当に分かんないからね…。」
そう静かにつぶやいた桜の横顔はどこか少しゆがんで見えた。
「教室に戻ろっ。」
「うん。」
そういって、俺たちは教室にもどった。
「桜!どこいってたの?探したんだよ?」
桜の友達がさっきまで焦っていたように桜に問いかける。
「ごめん、ごめん、あのね!屋上で友達作ったんだ!」
「友達って…花田君のこと?よかったね。」
「うん!」
「桜のことよろしくね。」
「うん、分かった。」
「なんで咲友美がお願いしてるの?咲友美も、もう友達だよ!」
「え?そうなの?」
「そうだよ!友達の友達はみんな友達だよ!」
え!?そうなんだ…。
「…えっと、よろしく。」
誰かが死んでしまった時、残された人の悲しみはとても大きい。
その誰かが大切な人だったらなおさらだ。だったら、人を悲しませないように一人で他の人には関わらずに死んでいくほうがいい。だから、あまり深入りせずにしよう。
「あ、もう授業始まるよ!」
「じゃあさ、帰り一緒に帰ろうよ。」
「いいよ。」
初めて話した人といきなり流れで友達になったり
友達の友達と友達になったり、もうあの余命宣告された日から自分は人と関わってはいけない気がしていた。
深入りしないという考えがこのほんの少しの時間だけで変わったわけではなかったが、その考えの分の重さだけ心が軽くなった気がした。
俺達は授業が終わり、教室をあとにした。
「冬夜は家どの辺?」
「菜の花公園の近く。」
「あっ!私の家の近くだ!」
「え、そうだったんだ。咲友美ん家は?」
「途中まで一緒だよ、犬の看板を曲がった所。」
「そっか」
「初帰りレッツゴー!」
色々な、どうでもいい話をしながら当たり前のように歩いた。こういう普通の事が段々出来なくなってしまうと思うと怖い。
「あっ私、もうここでお別れだ」
「バイバーイ!」
「バイバイ。」
2人になると少しで間があいてしまう。
俺は、話題を探した。そしておれは1枚の少し古いポスターに目を向けた。
「あ、なぁ。この辺何か昔一家殺人事件とかあったよな?」
「あ、それか…うん。私良く知ってるよ。」
「え…なんで?」
「テレビでやってた。」
「へー」
「うーん、やっぱり一家全員殺されちゃったのかな?」
「ううん、1人だけ女の子が助かったんだよ。屋根裏部屋に隠れてたんだって。」
「…なんで、そんな事まで知ってんの?」
「さぁ?じゃあ、私ここ曲がった所だから。」
「バイバイ。」
「バイバイ。」
聞いてはいけないことを聞いてしまったようだ。
…もしかして、いや、考えすぎか。
進むと、柵の向こうと、遠い地面が見えるはずだ。でも俺には違う光景が目に映った。それは、柵をこえたところに立っている茶髪でショートカットの女の子の姿だった。柵の前には上靴が綺麗に揃えてぬいである。(まさか!…自殺!?)驚きもあったが、それよりも怒りの方が何倍も大きかった。
「おい、お前…自殺…すんの?自分の意思で死ねて幸せだな。」
「は?死…?自殺?え!?わっ私が!?」
「はぁ?お前自殺しようとしてたんじゃないの?」
「嫌だなぁ違うよ。涼んでるだけ。」
「はぁ…何だ驚かせんなよ。」
なんだよ、俺が恥かいただけじゃんか。
「ねぇ、それよりさ。『自分の意思で…』ってどういうこと?」
また答えにくい質問を…。
「……はぁ、えーっと、俺さ後余命二年らしいんだよ。」
「え、そうなんだ。」
「え…なんか、やけにリアクション薄いな…。」
「いや、びっくりはしたけど、二年ぴったりしか生きられないわけじゃないでしょ?」
「まぁ…そうだろうけど…。」
「二年以上生きられるかもしれないし、案外人間っていつ死ぬかなんてわかんないもんだよ。」
「………。」
少し驚いた。余命を聞いたやつが茶化したり、同情をしないでくれたのはこいつが初めてかもしれない。『ぴったり二年しか生きられないわけじゃない。』
二年なんて日数も結局は同じ人間が決めたことだ。
「確かにな…。」
「おっ!ふ~ん…。」
女がニヤニヤした顔でこっちを見てきた。
「なんだよ…。」
「いやぁ、同じクラスだけどそんな嬉しそうな顔見たことないからさ。」
「え?お前同じクラスなの?」
「ひどっ!ほらっ桜だよ!後ろの席のさ」
「……苗字は?」
「…あー、四月一日だよ」
「四月一日…四月一日…?かわった苗字だな。」
「まぁね。」
「なぁ、四月一日」
「名前で読んで。」
「桜?」
「うん!」
「じゃあ、俺も冬夜でいい。」
「分かった!じゃあ、今日からお友達ね!」
「………。」
「あれ、嫌?」
「いや別に、嫌ってわけじゃないけど、俺みたいなあと少しで死ぬやつと友達になっても意味ないと思うよ…。」
「意味が無い?友達になるのに意味なんて必要ないでしょ!」
「桜がいいなら別にいいけど…」
「じゃあ、決まりっ!」
桜が少し俯いた。
「人がいつ死ぬかなんて本当に分かんないからね…。」
そう静かにつぶやいた桜の横顔はどこか少しゆがんで見えた。
「教室に戻ろっ。」
「うん。」
そういって、俺たちは教室にもどった。
「桜!どこいってたの?探したんだよ?」
桜の友達がさっきまで焦っていたように桜に問いかける。
「ごめん、ごめん、あのね!屋上で友達作ったんだ!」
「友達って…花田君のこと?よかったね。」
「うん!」
「桜のことよろしくね。」
「うん、分かった。」
「なんで咲友美がお願いしてるの?咲友美も、もう友達だよ!」
「え?そうなの?」
「そうだよ!友達の友達はみんな友達だよ!」
え!?そうなんだ…。
「…えっと、よろしく。」
誰かが死んでしまった時、残された人の悲しみはとても大きい。
その誰かが大切な人だったらなおさらだ。だったら、人を悲しませないように一人で他の人には関わらずに死んでいくほうがいい。だから、あまり深入りせずにしよう。
「あ、もう授業始まるよ!」
「じゃあさ、帰り一緒に帰ろうよ。」
「いいよ。」
初めて話した人といきなり流れで友達になったり
友達の友達と友達になったり、もうあの余命宣告された日から自分は人と関わってはいけない気がしていた。
深入りしないという考えがこのほんの少しの時間だけで変わったわけではなかったが、その考えの分の重さだけ心が軽くなった気がした。
俺達は授業が終わり、教室をあとにした。
「冬夜は家どの辺?」
「菜の花公園の近く。」
「あっ!私の家の近くだ!」
「え、そうだったんだ。咲友美ん家は?」
「途中まで一緒だよ、犬の看板を曲がった所。」
「そっか」
「初帰りレッツゴー!」
色々な、どうでもいい話をしながら当たり前のように歩いた。こういう普通の事が段々出来なくなってしまうと思うと怖い。
「あっ私、もうここでお別れだ」
「バイバーイ!」
「バイバイ。」
2人になると少しで間があいてしまう。
俺は、話題を探した。そしておれは1枚の少し古いポスターに目を向けた。
「あ、なぁ。この辺何か昔一家殺人事件とかあったよな?」
「あ、それか…うん。私良く知ってるよ。」
「え…なんで?」
「テレビでやってた。」
「へー」
「うーん、やっぱり一家全員殺されちゃったのかな?」
「ううん、1人だけ女の子が助かったんだよ。屋根裏部屋に隠れてたんだって。」
「…なんで、そんな事まで知ってんの?」
「さぁ?じゃあ、私ここ曲がった所だから。」
「バイバイ。」
「バイバイ。」
聞いてはいけないことを聞いてしまったようだ。
…もしかして、いや、考えすぎか。
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