洗濯駅

超絶ラビリンスコーヒースライム隊長Lv3

文字の大きさ
1 / 1

洗濯駅

しおりを挟む
 夏休みだし、羽根を伸ばしていつも行った事のない場所へと、非日常を求めてフライハイしに僕は出掛けました。
 あまり使う機会のなかった溜めていたお小遣いの貯金を下ろして、十五万円で旅をしてどこまで行けるか、何が出来るかを自分で考え計画してこの旅行を必ず楽しい物にさせようと思っている。
「おっと、うっかり寝ちゃったようだな……ここはどこだ?」
 窓の外を眺めると、夏だというの車窓の景色は雪が降っていて僕はとても驚いた。
「嘘だろ、僕が住んでいる近辺は雪なんて降る地域じゃないはず。そんなに遠くまで来ちゃったのか? いやそもそも、この電車の最終駅だって雪が降る地域には行くはずなんてない」
 すると、車内アナウンスが流れた。
『まもなく、終点洗濯駅、洗濯駅でございます』
「洗濯駅? 聞いた事ない駅だな」
 非日常を求める今回の旅、それにはスマホという現代文明の利器は邪魔でしかなかったので、僕は今回スマホを家に置いて来た。だから洗濯駅とかいう駅の詳しい内容は調べる事が出来なかった。でも、その駅名を聞いて僕の心は胸高鳴った。
「洗濯駅、面白そうな駅じゃん。これだよこれっ。僕が求めていたのは。このワクワク感!」
 電車が洗濯駅に到着すると、ホームには洗濯機が所狭しと列をなす様に端から端まで並べられていた。
「うわっ。何これ何かのイベント?」
 少し恐怖を覚えた僕だったけど、その恐怖も僕の昂揚感とマッチして良いスパイスに感じられた。
 改札口まではまだまだ遠く、二百メートル先ぐらいに見えた。
 そこで、僕は違和感を覚えた。
 そもそも僕が最初に乗った電車はこんなに車体が長くなかったはずだ、と。でも「まっいいか」と持ち前のポジティブ精神で脳で感じた些細な違和感を打ち消した。
 駅には出口が三つあるのが見えたけど、この駅に入る為の入口はどこにも見当たらなかった。
 左の出口には『肉体洗濯方面』と書かれていて、右の出口には『精神洗濯方面』と書かれていた。そして真ん中の出口には『精神肉体洗濯方面』と書かれていて、良いとこ取りが好きな僕は精神肉体洗濯方面の方へと足を進めた。
 改札口を抜けて出口から出ると、僕は白装束集団に捕まり、その後体の頭から足まで全ての部位を丸一日に渡って洗濯され、そしてそれが終わるとどこかの寺へと連れ去られて、精神修行をさせられ洗脳されて精神が洗濯された。精神肉体洗濯とはこういう事だったのか。
 僕は洗濯される前とは身も心も別人のように生まれかわった。
 でも、生まれかわった僕だったけど僕の性格と肉体の変化に誰も気付く者はいなかった。どうしてだろう。ああそうだ。僕は死んでいたんだ。僕が暮らしていた家はもう崩壊しているし、15万円も死んだ当時僕が持っていたお金だし、スマホだって繋がらないで故障して土まみれになっているし、僕は肉体すらもう持っていない霊体のみなんだね。ということはこの洗濯駅というのは一体何なのだろうか。僕が成仏する前に肉体と霊体を選択して新しく生まれ変わる為の駅なのかもしれないね。でも駅を抜けたはずなのにどうして僕は成仏していないのだろうか。そして今スマホで画面を見ている君の後ろに僕は立っているのだろうか。後ろを振り向いて僕と話しようよ……。

 
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

意味が分かると怖い話【短編集】

本田 壱好
ホラー
意味が分かると怖い話。 つまり、意味がわからなければ怖くない。 解釈は読者に委ねられる。 あなたはこの短編集をどのように読みますか?

意味が分かると怖い話(解説付き)

彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです 読みながら話に潜む違和感を探してみてください 最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください 実話も混ざっております

だんだんおかしくなった姉の話

暗黒神ゼブラ
ホラー
弟が死んだことでおかしくなった姉の話

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

意味がわかると怖い話

邪神 白猫
ホラー
【意味がわかると怖い話】解説付き 基本的には読めば誰でも分かるお話になっていますが、たまに激ムズが混ざっています。 ※完結としますが、追加次第随時更新※ YouTubeにて、朗読始めました(*'ω'*) お休み前や何かの作業のお供に、耳から読書はいかがですか?📕 https://youtube.com/@yuachanRio

サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします

二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位! ※この物語はフィクションです 流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。 当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

処理中です...