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第二部
34 ニ年後(ロドヴィーゴ目線)
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食後の演奏会は日付が変わる前にお開きになった。
ここからは大人の時間だからと、ディーノは部屋に戻らされ、ロドヴィーゴとピエールは公爵夫妻に連れられて別室に移った。
夜食としてワインとチーズが机に並ぶ。
ロドヴィーゴには気がかりがあった。ディーノの悲しい告白から二年が経ち、その間、オルッシーニ男爵に会うこともなく、何もされなかった。
けれどもその後のことは、ロドヴィーゴにもどうなったのかわかっていなかった。
今夜はその話のため、ディーノには席を外してもらった。
「オルッシーニのことだがな」
「はい」
さっそく切り出されて、ロドヴィーゴは身を乗り出す。
「まずは爵位を返上させた。なにやら裏でこそこそしていたようだが、借金で首が回らなくなったらしくてな。助けるような者もおらん。そもそも先々代が戦で武功を立てた爵位だ。先代もあやつもなんの手柄も立てておらん。これを期にあやつのような、貴族とは名ばかりの輩は一掃することになった」
「さようですか」
「貧乏貴族ほど奴隷制度に反対しよるからな。数のせいで思うように事が進まんかった。これで奴隷制度撤廃も議会を通過するだろうの」
「それは僥倖でしたな」
「まったくだ。奴隷にいばりちらしておるようでは、この国の水準がいつまでたっても上らんからの」
「それで、その後オルッシーニ元男爵はどうなられたので」
「さあな。屋敷も畑もすべて召し上げとなったからな、どこぞでひっそりと暮らしておるだろうが。気にはなるな。またいらぬことでも画策しておらんとも限らんからな。調べておく」
「お手を煩わせまして」
「かまわん。わしらにとっても得があったからな」
「ありがとうございます」
数日後、オルッシーニ元男爵の行方が知らされた。田舎町の酒場で泥酔のあげく支払いをせずに逃げ、翌朝川で浮いているところを発見され、事故として処理されていた、と。
ここからは大人の時間だからと、ディーノは部屋に戻らされ、ロドヴィーゴとピエールは公爵夫妻に連れられて別室に移った。
夜食としてワインとチーズが机に並ぶ。
ロドヴィーゴには気がかりがあった。ディーノの悲しい告白から二年が経ち、その間、オルッシーニ男爵に会うこともなく、何もされなかった。
けれどもその後のことは、ロドヴィーゴにもどうなったのかわかっていなかった。
今夜はその話のため、ディーノには席を外してもらった。
「オルッシーニのことだがな」
「はい」
さっそく切り出されて、ロドヴィーゴは身を乗り出す。
「まずは爵位を返上させた。なにやら裏でこそこそしていたようだが、借金で首が回らなくなったらしくてな。助けるような者もおらん。そもそも先々代が戦で武功を立てた爵位だ。先代もあやつもなんの手柄も立てておらん。これを期にあやつのような、貴族とは名ばかりの輩は一掃することになった」
「さようですか」
「貧乏貴族ほど奴隷制度に反対しよるからな。数のせいで思うように事が進まんかった。これで奴隷制度撤廃も議会を通過するだろうの」
「それは僥倖でしたな」
「まったくだ。奴隷にいばりちらしておるようでは、この国の水準がいつまでたっても上らんからの」
「それで、その後オルッシーニ元男爵はどうなられたので」
「さあな。屋敷も畑もすべて召し上げとなったからな、どこぞでひっそりと暮らしておるだろうが。気にはなるな。またいらぬことでも画策しておらんとも限らんからな。調べておく」
「お手を煩わせまして」
「かまわん。わしらにとっても得があったからな」
「ありがとうございます」
数日後、オルッシーニ元男爵の行方が知らされた。田舎町の酒場で泥酔のあげく支払いをせずに逃げ、翌朝川で浮いているところを発見され、事故として処理されていた、と。
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