4 / 157
第一部
4 仕事
しおりを挟む
地下室に入れられた二日後に扉が開き、レーヴェは仕事に戻ることを赦された。
とはいえ、大して喜べることでもない。
食事は抜かれたまま、鶏小屋の掃除に向かわされた。鶏たちが毎朝卵を産んでくれるように環境を整えてやらねばならない。産まなければ掃除をした者が怒られる。
鶏が終わると次は馬小屋が待っている。馬の面倒をみる専門の使用人が馬を小屋から出したあと、糞尿の掃除をし、きれいになったら新しい藁を敷き詰め、新鮮な水を井戸から汲んでくる。
嫌な仕事は押しつけられるのが常であった。レーヴェにしてみれば力仕事をするより一人で黙々とできる方が好きだったから苦でもなかった。
ただ空きっ腹だったことがつらくて、ふらふらした。腹一杯になるまで食べたことはないけれど、量が少しでも無いよりははるかにましだなと実感した。
庭の掃除をすませ、日が傾いた頃屋敷へ戻った。今度は夕飯の準備が待っている。とはいっても料理をするのは別の使用人で、レーヴェがするのは皮むきや洗い物といったことだけだ。
屋敷に住む者の人数は多くないので宴でもない限りその量は知れている。
今の主は貴族間の付き合いが上手くないのか、代替わりしてから客人の数は減っていた。使用人や奴隷たちにしてみれば、仕事が楽になるのでありがたいことだった。
仕事を終えた主が戻ってきて夕食を終えると使用人たちが台所に現れ、立ったまま食事をすませて仕事に戻っていく。使用人たちがすめば奴隷たちの順番、ではなく、主が寝入ってからの食事となる。
固いパンを、具なしに近い薄いスープで柔らかくして食べ、そうしてようやく就寝の時間となった。
夜になって、イレーネとようやく顔を合わせることができたが、話はできなかった。
代わりにレーヴェが小さく手を振ると、イレーネも手を振り返した。
全員に一部屋しか与えられていない奴隷部屋で、雑魚寝のような状態で横になる。
お腹が落ち着いたお陰か、やはり寒い地下室よりはここの方が暖かいからか、レーヴェは横になると、すぐに眠りに落ちた。
とはいえ、大して喜べることでもない。
食事は抜かれたまま、鶏小屋の掃除に向かわされた。鶏たちが毎朝卵を産んでくれるように環境を整えてやらねばならない。産まなければ掃除をした者が怒られる。
鶏が終わると次は馬小屋が待っている。馬の面倒をみる専門の使用人が馬を小屋から出したあと、糞尿の掃除をし、きれいになったら新しい藁を敷き詰め、新鮮な水を井戸から汲んでくる。
嫌な仕事は押しつけられるのが常であった。レーヴェにしてみれば力仕事をするより一人で黙々とできる方が好きだったから苦でもなかった。
ただ空きっ腹だったことがつらくて、ふらふらした。腹一杯になるまで食べたことはないけれど、量が少しでも無いよりははるかにましだなと実感した。
庭の掃除をすませ、日が傾いた頃屋敷へ戻った。今度は夕飯の準備が待っている。とはいっても料理をするのは別の使用人で、レーヴェがするのは皮むきや洗い物といったことだけだ。
屋敷に住む者の人数は多くないので宴でもない限りその量は知れている。
今の主は貴族間の付き合いが上手くないのか、代替わりしてから客人の数は減っていた。使用人や奴隷たちにしてみれば、仕事が楽になるのでありがたいことだった。
仕事を終えた主が戻ってきて夕食を終えると使用人たちが台所に現れ、立ったまま食事をすませて仕事に戻っていく。使用人たちがすめば奴隷たちの順番、ではなく、主が寝入ってからの食事となる。
固いパンを、具なしに近い薄いスープで柔らかくして食べ、そうしてようやく就寝の時間となった。
夜になって、イレーネとようやく顔を合わせることができたが、話はできなかった。
代わりにレーヴェが小さく手を振ると、イレーネも手を振り返した。
全員に一部屋しか与えられていない奴隷部屋で、雑魚寝のような状態で横になる。
お腹が落ち着いたお陰か、やはり寒い地下室よりはここの方が暖かいからか、レーヴェは横になると、すぐに眠りに落ちた。
12
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……
buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。
みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜
深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。
処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。
なぜなら彼女は――
前世で“トップインフルエンサー”だったから。
処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。
空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。
タイトルは――
『断罪なう』。
王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。
すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、
国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。
そして宣言される、前代未聞のルール。
支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。
処刑台は舞台へ。
断罪はエンタメへ。
悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。
これは、
処刑されるはずだった悪役令嬢が、
“ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。
支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、
それとも――自由か。
A級パーティから追放された俺はギルド職員になって安定した生活を手に入れる
国光
ファンタジー
A級パーティの裏方として全てを支えてきたリオン・アルディス。しかし、リーダーで幼馴染のカイルに「お荷物」として追放されてしまう。失意の中で再会したギルド受付嬢・エリナ・ランフォードに導かれ、リオンはギルド職員として新たな道を歩み始める。
持ち前の数字感覚と管理能力で次々と問題を解決し、ギルド内で頭角を現していくリオン。一方、彼を失った元パーティは内部崩壊の道を辿っていく――。
これは、支えることに誇りを持った男が、自らの価値を証明し、安定した未来を掴み取る物語。
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる