【完結】雨の日に会えるあなたに恋をした。 第7回ほっこりじんわり大賞奨励賞受賞

衿乃 光希(キャラ文芸大賞短編で参加中)

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28. その後

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 やっぱりフラれた。

 落ち込みはしたけれど、気持ちはすっきりしていた。

 きちんと返事をくれて、理由を話してくれた。

 私を好きでいてくれたのかはわからないけれど、嫌われてはいなかった。

 その上で、自身の体と、私の未来を考えてくれたのだと思う。

 私自身は、彼の病気が差し障るなんて思っていなかったけれど、彼にとっては大きな気掛かりなのかなと、考えた。

 誠実な人を好きになれた。恋をするのは初めてなのに、私に見る目があったんじゃないかなと思えた。

 悲しいけれど、彼とのことはこれでおしまい。

 きっぱりと諦められるかわからないけれど、大切な思い出として胸に閉まっておこう。

 来年から歯科の仕事に戻る。

 喫茶店での仕事は緩やかな時間だったけれど、歯医者の仕事は大変だから、気を引き締めないといけない。

 できれば来年の春から製菓学校に通いたい。私が希望している専門学校の社会人一般入試は、面接と小論文がある。面接はどうにかなっても、小論文の書き方を知らないから勉強しないといけない。

 やることがたくさんあって、よく考えれば恋をしている暇は私にはなかった。

 泣くのは一晩だけにして、翌日からは気持ちを切り替えて、勉強を始めた。

 甲斐あって、無事に製菓専門学校夜間部に合格。春から働きながら、お菓子作りの勉強が始まった。

 毎日がばたばたと過ぎていく。

 小野さんとは連絡を取っていない。

 忘れたわけではない。どうしているかなあと思うこともあるけれど、それ以上に毎日が忙しくて、本当に、恋をしている暇がなかった。

 三年かけてお菓子作りに必要な技術を習得し、製菓衛生師の資格も取得した。

 修行させてもらえるケーキ屋も決まり、パティシエールとして一歩を踏み出そうとしている春、思いがけない出会いを果たす。



   次回⇒29. 25歳、春
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