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ベルベットの番犬
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彼を確実に仕留めるために、彼が姫様にしたように、私も彼にトリカブトの毒を仕込むことにした。そして毒で悶え苦しむ彼に、メイド服の下に隠したナイフを心の臓に突き刺す。あぁ、なんて完璧な計画なんだろうか。
しかしトリカブトはここにはない。だから彼の執務室に向かう前に街へ走る。街には花屋がある。そこにトリカブトは売っているはすだ。もしなければ路地裏――いわゆる『闇市』を覗いてみて、トリカブトがなければそれ以外の毒を盛ろうという考えだ。
案の定、花屋には安全なトリカブトしか売っていなかったので路地裏に入る。明らかにそれと分かるような露店に立ち寄り、店主に声をかける。
店主は私を見て驚いた。そしてその人は「お嬢さんみたいな子がここに来る理由は大体決まってる。今まで付き合ってた男だろ?」と下卑た笑みを浮かべる。
「えぇ、当たらずも遠からずってところね。正確に言うなら付き合ってはいないけど、一歩間違えたら付き合うことになるかもしれなかった男ね。……そんなことはどうでもいいのよ。ここにトリカブトか、それ以上の毒はあるかしら?」
そう尋ねると、男は小瓶をひとつ手に取る。「これならどうだい?」
「これは?」
「ヤドクガエルの毒さ」
ヤドクガエル。私でも聞き覚えのある有名な毒ガエルだ。
「飲み物にコイツを一滴振りかけりゃ、相手は即死さ。毒に免疫があるやつでもしばらく痺れが残って動けなくなる」
なるほど、それは暗殺にはうってつけじゃないか。
「ならそれをちょうだい。このくらいで足りるかしら」
私はそう言いながらお金を渡す。「まぁ本当はもうちょいするんだけどな、お嬢さん可愛いからまけてやるよ」
ありがとう、と言って私は路地裏から立ち去った。
なんとか一時間以内に城に帰って来れた。帰ってくるなり、私はお茶の用意をする。いつもの紅茶だと鋭い人なら毒が入っていると分かってしまうので、普段なら絶対に淹れないラベンダーティーにする。そしてヤドクガエルの毒を一滴垂らす。
それを持って、私はクラウディアの執務室に向かう。途中何人かとすれ違ったが、私を怪しむ様子は全くなかった。
コンコン、と彼の執務室の扉をノックする。「入れ」という声が聞こえたので私は扉を開け、中に入ると素早く扉を閉めた。
「そろそろお疲れかと思い、紅茶を淹れてきました。心を落ち着かせる効果のあるラベンダーティーになります」
恭しく紅茶の入ったカップを執務机に置く。すると彼は「あぁ、ありがとう。ちょうど誰かにお茶を頼もうかと思ってたんだ」と言い、早速それを飲んだ。
一瞬でそれを飲み切った彼は、私の方に目を向けて笑った。その目は、鋭い。
「随分美味しい紅茶だね。隠し味はヤドクガエルの毒かな?」
ヤバい、バレてしまっていたのか!私は焦りを表情に出さないよう精一杯努め、「あら、バレてしまいましたか?」と笑ってやった。……内心はもうヤバい。大嵐なんてもんじゃない。まさかここで私の計画が破綻するとは予想していなかったから驚きと焦りは何倍にもなった。
「王子って立場上、毒には慣れてるからね。僕を暗殺できなくて残念だったね。……今ここでキミを牢獄にぶち込んでやるのも楽しいけど、それより先に僕と遊ばない?」
恐ろしげな笑みを浮かべながら、彼はゆっくりと立ち上がった。そして机の脇に立てかけられていた細身の剣を手に取る。
「キミ、剣の心得はあるんでしょ?」
「ありますけど……」
「なら、それで僕と手合わせして欲しいな」
それ、と言って指さしたのは私のメイド服。正確に言うなら、メイド服の下にナイフを隠したちょうどその部分。まさかここまでバレていたとは。
「男であるあなたが剣で、女であるわたくしがナイフなんて不公平ではありませんか?」
「先にけしかけてきたのはキミでしょ。なら文句は言えないと思うんだけど」
「……なるほど。まあナイフ一本でもあなたに負ける気はしません。いいでしょう、受けてたちます」
私はメイド服の下からナイフを取り出す。そして構える。
「おぉ、今まで見てきたナイフ使いの誰より構えは綺麗だね。さすがベルベットの番犬」
「犬と呼ばれるのは不愉快ですが……姫様のためなら番犬にだって、イノシシにだってなってやりますわ!」
己を鼓舞し、私は相手に切り込んだ。私の渾身の一撃は、いとも容易く流されてしまった。
「ふぅん……ナイフとは思えないくらい一撃が重いね。でもやっぱり女の子の力だ」
「そりゃわたくしも女ですから……ねっ!」
重い一撃を入れてダメなら、素早い斬撃をしてはどうか。そう考えた私は、目にも止まらぬ早さでナイフを振るった。――――もちろんこのナイフを扱うセンスはアイリスのものだ。そう思うとアイリスの順応性が末恐ろしい。
がしかし、その斬撃も容易く受け止められる。
「そんじゃそこらの刺客よりは強いかな。でもまだ決定打にはなりえない」
冷静に選評を続けるクラウディア。……悔しい。
私は尚も素早い斬撃を繰り返し――ふとできた相手の隙を突いて、一閃ぶち込んだ。軽くいなすだけの彼の剣の柄を狙ったのだ。
するとその時、初めて彼が表情を見せた。
「お…………っと、」
カン、と飛んだ剣。私がクラウディアの剣を弾いたのだ。
「……いやはや、さすがベルベットの番犬。まさかナイフでここまで戦えるとはね」
「そりゃ、わたくしも一国の王女の護衛兼メイドですもの。これくらい出来なければ務まりません」
「キミの本気と僕の本気。どっちが強いのかな。また今度付き合ってよ」
――ということは、今のとこは見逃してやるって話だろうか。私が彼を毒殺しようとしたのは明るみには出さない、と。
「えぇ、全力でお相手させていまだきます。わたくしもお気に入りの剣を持って参ります。今度は正面切って正々堂々とこちらに伺います」
「うん。僕も久々にいい鍛錬ができたよ。また、ね」
パチンとウィンクを投げて寄こした彼は、正真正銘年相応の青年の顔であった。今までは王族としての顔を繕い、猫かぶっていたのだろう。
「わたくしも楽しいひと時でしたわ。……ではまた」
ニッコリ微笑んで、私は部屋を辞した。
――――もちろん自室に帰ってきてから自己嫌悪に陥りまくった。「なんで心の底から憎んでいる相手と仲良く鍛錬なんてしてたんだ私は!?」とひとり枕に向かって叫んでみたが、当然それに答えてくれる人はいなかった。
しかしトリカブトはここにはない。だから彼の執務室に向かう前に街へ走る。街には花屋がある。そこにトリカブトは売っているはすだ。もしなければ路地裏――いわゆる『闇市』を覗いてみて、トリカブトがなければそれ以外の毒を盛ろうという考えだ。
案の定、花屋には安全なトリカブトしか売っていなかったので路地裏に入る。明らかにそれと分かるような露店に立ち寄り、店主に声をかける。
店主は私を見て驚いた。そしてその人は「お嬢さんみたいな子がここに来る理由は大体決まってる。今まで付き合ってた男だろ?」と下卑た笑みを浮かべる。
「えぇ、当たらずも遠からずってところね。正確に言うなら付き合ってはいないけど、一歩間違えたら付き合うことになるかもしれなかった男ね。……そんなことはどうでもいいのよ。ここにトリカブトか、それ以上の毒はあるかしら?」
そう尋ねると、男は小瓶をひとつ手に取る。「これならどうだい?」
「これは?」
「ヤドクガエルの毒さ」
ヤドクガエル。私でも聞き覚えのある有名な毒ガエルだ。
「飲み物にコイツを一滴振りかけりゃ、相手は即死さ。毒に免疫があるやつでもしばらく痺れが残って動けなくなる」
なるほど、それは暗殺にはうってつけじゃないか。
「ならそれをちょうだい。このくらいで足りるかしら」
私はそう言いながらお金を渡す。「まぁ本当はもうちょいするんだけどな、お嬢さん可愛いからまけてやるよ」
ありがとう、と言って私は路地裏から立ち去った。
なんとか一時間以内に城に帰って来れた。帰ってくるなり、私はお茶の用意をする。いつもの紅茶だと鋭い人なら毒が入っていると分かってしまうので、普段なら絶対に淹れないラベンダーティーにする。そしてヤドクガエルの毒を一滴垂らす。
それを持って、私はクラウディアの執務室に向かう。途中何人かとすれ違ったが、私を怪しむ様子は全くなかった。
コンコン、と彼の執務室の扉をノックする。「入れ」という声が聞こえたので私は扉を開け、中に入ると素早く扉を閉めた。
「そろそろお疲れかと思い、紅茶を淹れてきました。心を落ち着かせる効果のあるラベンダーティーになります」
恭しく紅茶の入ったカップを執務机に置く。すると彼は「あぁ、ありがとう。ちょうど誰かにお茶を頼もうかと思ってたんだ」と言い、早速それを飲んだ。
一瞬でそれを飲み切った彼は、私の方に目を向けて笑った。その目は、鋭い。
「随分美味しい紅茶だね。隠し味はヤドクガエルの毒かな?」
ヤバい、バレてしまっていたのか!私は焦りを表情に出さないよう精一杯努め、「あら、バレてしまいましたか?」と笑ってやった。……内心はもうヤバい。大嵐なんてもんじゃない。まさかここで私の計画が破綻するとは予想していなかったから驚きと焦りは何倍にもなった。
「王子って立場上、毒には慣れてるからね。僕を暗殺できなくて残念だったね。……今ここでキミを牢獄にぶち込んでやるのも楽しいけど、それより先に僕と遊ばない?」
恐ろしげな笑みを浮かべながら、彼はゆっくりと立ち上がった。そして机の脇に立てかけられていた細身の剣を手に取る。
「キミ、剣の心得はあるんでしょ?」
「ありますけど……」
「なら、それで僕と手合わせして欲しいな」
それ、と言って指さしたのは私のメイド服。正確に言うなら、メイド服の下にナイフを隠したちょうどその部分。まさかここまでバレていたとは。
「男であるあなたが剣で、女であるわたくしがナイフなんて不公平ではありませんか?」
「先にけしかけてきたのはキミでしょ。なら文句は言えないと思うんだけど」
「……なるほど。まあナイフ一本でもあなたに負ける気はしません。いいでしょう、受けてたちます」
私はメイド服の下からナイフを取り出す。そして構える。
「おぉ、今まで見てきたナイフ使いの誰より構えは綺麗だね。さすがベルベットの番犬」
「犬と呼ばれるのは不愉快ですが……姫様のためなら番犬にだって、イノシシにだってなってやりますわ!」
己を鼓舞し、私は相手に切り込んだ。私の渾身の一撃は、いとも容易く流されてしまった。
「ふぅん……ナイフとは思えないくらい一撃が重いね。でもやっぱり女の子の力だ」
「そりゃわたくしも女ですから……ねっ!」
重い一撃を入れてダメなら、素早い斬撃をしてはどうか。そう考えた私は、目にも止まらぬ早さでナイフを振るった。――――もちろんこのナイフを扱うセンスはアイリスのものだ。そう思うとアイリスの順応性が末恐ろしい。
がしかし、その斬撃も容易く受け止められる。
「そんじゃそこらの刺客よりは強いかな。でもまだ決定打にはなりえない」
冷静に選評を続けるクラウディア。……悔しい。
私は尚も素早い斬撃を繰り返し――ふとできた相手の隙を突いて、一閃ぶち込んだ。軽くいなすだけの彼の剣の柄を狙ったのだ。
するとその時、初めて彼が表情を見せた。
「お…………っと、」
カン、と飛んだ剣。私がクラウディアの剣を弾いたのだ。
「……いやはや、さすがベルベットの番犬。まさかナイフでここまで戦えるとはね」
「そりゃ、わたくしも一国の王女の護衛兼メイドですもの。これくらい出来なければ務まりません」
「キミの本気と僕の本気。どっちが強いのかな。また今度付き合ってよ」
――ということは、今のとこは見逃してやるって話だろうか。私が彼を毒殺しようとしたのは明るみには出さない、と。
「えぇ、全力でお相手させていまだきます。わたくしもお気に入りの剣を持って参ります。今度は正面切って正々堂々とこちらに伺います」
「うん。僕も久々にいい鍛錬ができたよ。また、ね」
パチンとウィンクを投げて寄こした彼は、正真正銘年相応の青年の顔であった。今までは王族としての顔を繕い、猫かぶっていたのだろう。
「わたくしも楽しいひと時でしたわ。……ではまた」
ニッコリ微笑んで、私は部屋を辞した。
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