夜くらいゆっくり眠らせろ

空夜 喜雨

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1人目 眠るまでは今日である

はじめから諦めている

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結局。
間に合わなかった。

いや、ギリギリ間に合ったのである。
残念ながら、また母親が倒れたのである。

必死に貯めた金は母親の健康と引き換えに消えてしまった。

電話越しの母親のかすれた声に、僕は気にしないでと答えるのに必死だった。

「休学となったとしても、前期分は払わないといけないです。」

あの時と同じ職員さんが心苦しそうに答えた。

中途半端に稼いでいる家のせいだ。その全てを父親が持っていっているが、多少は稼ぎのいい家なのである。
これが貧困家庭であれば、学費の免除等があるのに。

「そう、ですか。」

「ごめんなさい。力になれなくて。」

職員さんが調べてくれた制度は全て実家の年収がひっかかった。
何度も謝る職員さんに、こちらこそ迷惑おかけしましたと同じくらい頭を下げた。

唯一の救いは、退学ではないことだろうか。
学籍は消えたが、そこに通っていた証明は出るらしい。

アパートに帰ってきてすぐ、電話で母親にはしばらく休学すると嘘をついた。
そのまま、奨学金の方に電話をした。
支払猶予をそのまま、手続きを行った。

使えることのない学生証は後日返却した。


とりあえず、バイトをし続けた。昼間のコンビニと、派遣のバイト。借りれなくなった奨学金の分を補うためには、新しくバイトを増やすことにした。
帰る選択肢はなかった。

あんな家、いたら全てを諦めてしまうから。
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