3 / 19
1人目 眠るまでは今日である
はじめから諦めている
しおりを挟む
掛け持ちのバイトを見つけようと考えて、1週間。
変わってしまった生活に馴染むのに必死だったのだ。大学への手続きや、友人からの心配の声に適当に返信をしていた。学生証以外にも図書館で借りていた本を返したり、ゼミの担当に連絡をしたりした。派遣のバイトは、賑やかなところで笑顔を振り撒く元気がなかった。その分、コンビニのシフトを増やしてもらった。
「水夜君、無理しないでね?店長としてはシフトを増やしてくれるの嬉しいけど…若いからって無理すると、店長くらいの時にこうなっちゃうよ。」
心配そうに僕の顔を見つめてくる店長は、LEDライトによく反射する頭を撫でながら言っていた。
「大丈夫です。また大学受験するときのために少しでも貯めときたくて。」
「そうなの?一度実家に帰って、気持ちを落ち着かせてもいいんじゃないかなぁ。親御さんも心配してるでしょ?」
その言葉に僕は曖昧に微笑む。
母親はしているだろう。息子に頼ってしまったダメな親だと泣いていたのを覚えている。
お米はあるのとか、トイレットペーパー買ってるのとか、帰ってきたくないかもしれないけどきついなら帰っておいでとか。
2日に1度は連絡がきている。
父親は休学すると連絡して、一言だった。
身の丈にあったことをしないからだ
「水夜くん?」
「あっすいません。品だししときますね。」
また心配そうにする店長に、頭を下げてパンコーナーに向かう。
重く深く、汚い感情になりそうだった。
大丈夫。大丈夫。
そう自分に言い聞かせながら、パンを並べる。
「でさぁ~、関係行政論のあいつ。」
「出席絶対確認野郎ね。」
「そう!あいつの期末レポート意味わからん。明日までやろ?」
「うわ。だる。なぁ俺んちで今日2人でやろうぜ。1人とか寝落ちるのが目に見えてる。」
「お前単位ヤバイくせに呑気だな。」
アルコールコーナーにいた、おそらく元同じ大学に通っているであろう男たちが楽しそうに会話をしていた。あんな風に、ふざけていたんだよな。
金がないなりに、笑いあって。
必死に期日に間に合うように、電話しながらレポートをして。単発の割りのいいバイトを見つけては連絡をして。
ただ、普通に。
「あー、すいませーん。おねがいします!」
「はーい!」
大学生2人に声をかけられ、レジへと向かう。
操作をしながら、また繰り返していた。
大丈夫、大丈夫。
まだ僕は立ち止まっていない。
変わってしまった生活に馴染むのに必死だったのだ。大学への手続きや、友人からの心配の声に適当に返信をしていた。学生証以外にも図書館で借りていた本を返したり、ゼミの担当に連絡をしたりした。派遣のバイトは、賑やかなところで笑顔を振り撒く元気がなかった。その分、コンビニのシフトを増やしてもらった。
「水夜君、無理しないでね?店長としてはシフトを増やしてくれるの嬉しいけど…若いからって無理すると、店長くらいの時にこうなっちゃうよ。」
心配そうに僕の顔を見つめてくる店長は、LEDライトによく反射する頭を撫でながら言っていた。
「大丈夫です。また大学受験するときのために少しでも貯めときたくて。」
「そうなの?一度実家に帰って、気持ちを落ち着かせてもいいんじゃないかなぁ。親御さんも心配してるでしょ?」
その言葉に僕は曖昧に微笑む。
母親はしているだろう。息子に頼ってしまったダメな親だと泣いていたのを覚えている。
お米はあるのとか、トイレットペーパー買ってるのとか、帰ってきたくないかもしれないけどきついなら帰っておいでとか。
2日に1度は連絡がきている。
父親は休学すると連絡して、一言だった。
身の丈にあったことをしないからだ
「水夜くん?」
「あっすいません。品だししときますね。」
また心配そうにする店長に、頭を下げてパンコーナーに向かう。
重く深く、汚い感情になりそうだった。
大丈夫。大丈夫。
そう自分に言い聞かせながら、パンを並べる。
「でさぁ~、関係行政論のあいつ。」
「出席絶対確認野郎ね。」
「そう!あいつの期末レポート意味わからん。明日までやろ?」
「うわ。だる。なぁ俺んちで今日2人でやろうぜ。1人とか寝落ちるのが目に見えてる。」
「お前単位ヤバイくせに呑気だな。」
アルコールコーナーにいた、おそらく元同じ大学に通っているであろう男たちが楽しそうに会話をしていた。あんな風に、ふざけていたんだよな。
金がないなりに、笑いあって。
必死に期日に間に合うように、電話しながらレポートをして。単発の割りのいいバイトを見つけては連絡をして。
ただ、普通に。
「あー、すいませーん。おねがいします!」
「はーい!」
大学生2人に声をかけられ、レジへと向かう。
操作をしながら、また繰り返していた。
大丈夫、大丈夫。
まだ僕は立ち止まっていない。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
冷遇された聖女の結末
菜花
恋愛
異世界を救う聖女だと冷遇された毛利ラナ。けれど魔力慣らしの旅に出た途端に豹変する同行者達。彼らは同行者の一人のセレスティアを称えラナを貶める。知り合いもいない世界で心がすり減っていくラナ。彼女の迎える結末は――。
本編にプラスしていくつかのifルートがある長編。
カクヨムにも同じ作品を投稿しています。
薬師だからってポイ捨てされました~異世界の薬師なめんなよ。神様の弟子は無双する~
黄色いひよこ
ファンタジー
薬師のロベルト・シルベスタは偉大な師匠(神様)の教えを終えて自領に戻ろうとした所、異世界勇者召喚に巻き込まれて、周りにいた数人の男女と共に、何処とも知れない世界に落とされた。
─── からの~数年後 ────
俺が此処に来て幾日が過ぎただろう。
ここは俺が生まれ育った場所とは全く違う、環境が全然違った世界だった。
「ロブ、申し訳無いがお前、明日から来なくていいから。急な事で済まねえが、俺もちっせえパーティーの長だ。より良きパーティーの運営の為、泣く泣くお前を切らなきゃならなくなった。ただ、俺も薄情な奴じゃねぇつもりだ。今日までの給料に、迷惑料としてちと上乗せして払っておくから、穏便に頼む。断れば上乗せは無しでクビにする」
そう言われて俺に何が言えよう、これで何回目か?
まぁ、薬師の扱いなどこんなものかもな。
この世界の薬師は、ただポーションを造るだけの職業。
多岐に亘った薬を作るが、僧侶とは違い瞬時に体を癒す事は出来ない。
普通は……。
異世界勇者巻き込まれ召喚から数年、ロベルトはこの異世界で逞しく生きていた。
勇者?そんな物ロベルトには関係無い。
魔王が居ようが居まいが、世界は変わらず巡っている。
とんでもなく普通じゃないお師匠様に薬師の業を仕込まれた弟子ロベルトの、危難、災難、巻き込まれ痛快世直し異世界道中。
はてさて一体どうなるの?
と、言う話。ここに開幕!
● ロベルトの独り言の多い作品です。ご了承お願いします。
● 世界観はひよこの想像力全開の世界です。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる