夜くらいゆっくり眠らせろ

空夜 喜雨

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1人目 眠るまでは今日である

なにも考えずに眠りたい

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「あぁ水夜か。お前、もう帰ってくるな。」

「え?」

「母親の入院費とか必要な時だけ俺からは連絡する。保険証を返せ。扶養から外す。」

夕御飯を作っていると父親からの連絡だった。どっちみち、フリーターとなった今親の扶養を外れないとお金を貯めることはできないと感じていたからいいのだが。
そもそも、母親の入院費はお前のすべきことではないのか。その言葉を飲み込んだ。

「フリーターでも作り方はあるからな。大学もろくにいけないような奴は帰ってくるな。朝陽あさひの邪魔になる。」

父親が溺愛してる僕の弟の名前が出てくる。
弟からはごめんとメッセージが来ていた。

「わかった。朝陽は元気?」

あくまで繋がってないふりをする。お互いのために、疎遠のふりをしているからだ。

「もう帰らないお前には関係ないだろ?」

そういって電話は切れた。

 大学、学費手伝えなくてごめんね

朝陽からのメッセージはこう続いてた。手伝うもなにもバイトが禁止の高校生じゃないか。気にしなくていいのに。母親からも似たようなメッセージがきている。

気にしなくていい。何度も二人に言い聞かせた。
いっそのこと就職をするか。そうすれば、あの父親から母親と弟を引き離せる。いや、就職してすぐに母親が体調を崩してまえば、お金がないだろう。
そもそも、就活ができるようなお金は残っていない。

「フリーター1~2年して、就活。」

そして、朝陽が無事に大学卒業できたら僕の番。
そんな簡単な目標を立てる。

父親からの半ば絶縁のような連絡は崖の先にいた僕の背中を押すものとは少し違った気がする。
店長やあのカフェの男のような、大人としての優しさがあるのを期待していたのだろう。
それが、無くなったから。
もう、あれのことはどうでもいい。

空っぽになっていく体に、空気を入れる。
呆れたような悲しいような。
どうでもよかったような、望んでいたような。

入院費が必要なときには連絡してくるとは、ていのいい金づるか。おまえは、家族のことをどう思っているんだ。

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