夜くらいゆっくり眠らせろ

空夜 喜雨

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2人目 追いかけても届かない

羨ましい

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僕は時雨心地で世話になってから、比較的穏やかに過ごしていた。

「水夜くん、最近お顔柔らかくなったねぇ。」

「そうですか?」

「うん。前までね、目が合わなかったもん。」

店長は、いつものように禿げた頭を撫でて笑った。そう言われて、確かにと感じた。

目尻にシワがよった、優しくてたまらない笑顔だった。ふんわりとしか、見えていなかった店長の顔が今はっきりと見えている。

「今日から、あのカフェの夜勤始まるんだっけ?」

「はい。仕事に慣れてきたから夜もやってみようかって。」

「そっかそっか~。明日、シフト昼からだよね?体大丈夫?」

「はい。工場のバイトと比べて、帰り道短いし眠れる時間長いから大丈夫です。」

「よかった。君のペースで頑張って。」

店長は、フライの準備をしながらひどく優しく言ってくれた。ふくよかな背中は、柔らかい優しさに溢れていた。

本当に、本当に。
僕は、血の繋がっていない人の縁に恵まれている気がする。

父親からあの時以来連絡は来ていない。
母親が元気ならそれでいい。
弟は、大丈夫だろうか。

しつこいくらいの母親からの心配の連絡は徐々に来なくなった。

用無しならそれでいい。
必要になれば、手が貸せるように準備をしていればいい。

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