宝くじが当たったボッチの俺が高嶺の花で隠れドスケベな巨乳生徒会長を買ったら、日々エロく迫られて人生が変わった。

ファッション@スカリー

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第71話 あたしはなにやってるんだろう…楓SIDE——

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楓SIDE——

「わたしも恭くんのこと好きなんだ」

唯先輩の声が頭の中で木霊する。

「私彼と………恭介と付き合ってます……」

柴乃宮さんの言葉があたしの心に突き刺さる。

気付けばあたしはお風呂を飛び出し無我夢中で更衣室へ駆け込んでいた。
その勢いのまま、着替えもせずに飛び出しそうになって……

別に裸を誰に見られたってどうでもいい、なんか、全部がどうでもいい……そんな気持ちだった。だって、鷹村の隣には、あたしはもう……

でも、後ろから唯先輩の声が飛んできてあたしを引き留めた。

「楓ちゃんダメだよ!ちゃんとお洋服きなきゃ!」
「……っ」

先輩はあたしの手を取りロッカーまで引っ張っていく。
そしてまるでお母さんみたいに黙って洋服を着せてくれた。
その間、あたしは言葉も出せず視線も合わせられなかった。

無愛想なあたしの手をもう一度そっと握ると、今度はホテルの外へと連れ出してくれる。
ホテル近くの海の見えるベンチにふたり並んで座ると、潮風が頬を撫でて少し気持ちが落ち着いてくる。

身体の火照りと一緒に頭も冷えてきてようやく冷静さが戻ってくる。
そんなタイミングを見計らったように、先輩があたしの顔を覗き込みながら優しく声をかけてきた。

「大丈夫?楓ちゃん?」
「……はい」
「さっきはごめんね、わたしのせいで嫌な思いさせちゃって……わたしそんなつもりじゃなかったんだ。恭くんが好きな者同士、変に気を使わないでいきたいなって思ってただけで……」
「………」

こんなとき、何て言えばいいんだろう。
鷹村はあたしの初恋だった。
好きすぎて、自分でも抑えきれなくて、周りなんてまったく見えてなかった。

あんなに優しくて、格好よくて……そりゃ、みんな好きになっちゃうよね。
でも、あたしはその中でいちばんになりたかった。
そうなれるように必死で頑張ってた。でも、スポーツと違って気持ちはうまくいかない。

今のあたし、悔しいのかな?……違う……寂しい?辛い?
胸がぎゅっと締めつけられて、気づいた時には視界がぐしゃぐしゃに滲んでいた。

「楓ちゃん、今どんな気持ち?話してみて?少し楽になるよ」

そう言いながら優しくあたしの頭を撫でてくれる先輩。
その手のぬくもりに触れた瞬間、堪えていた感情がまたあふれ出した。

「わかりません……でも、辛くて……なんか苦しくて……鷹村が遠くに行っちゃったみたいで……でも鷹村に会いたくて……そばにいたくて」

言葉がぐちゃぐちゃで自分でも何を伝えたいのか分からなかった。
それでも先輩は一度も遮らず、『うんうん』って優しく相づちを打ちながら全部を聞いてくれた。

話し終える頃には少しずつ気持ちが静まってきたのがわかる。
でも流れる涙は止まらない。
そんな自分がなんだか恥ずかしくてそっと視線を落とした。

「楓ちゃんは今でも恭くんのこと、好き?」
「はい……大好きです……」
「そっか……わたしもそうだよ、同じだね、わたしたち……」

鷹村のことを好きって言うたびに、涙が勝手に溢れてしまう。
だって、その気持ちはもう……
そう思った瞬間、言葉が自然と口をついて出ていた。

「でも、もう彼には届かないんです……あたしは、もう彼のいちばんにはなれないんです……でも、でも……わたしはどうすれば良いんですか?先輩はなんでそんな普通でいられるんですか?」
「楓ちゃん……」

言葉をすべて吐き出す前に先輩の少し冷たい声がその流れを断ち切った。
驚いて顔を上げると突然ヌッと差し出された先輩の手が、ピンッという小気味いい音と共に中指であたしの額をデコピンした。

「いつっ!?」

おでこにピリッとした痛みが走ってなぜかさっきまで止まらなかった涙がスッと引いていった。
手の甲で目尻の涙を拭うと、目の前にはちょっとだけ怒ったような顔をした先輩がじっとあたしを見つめていた。

「もう、なにその感じ!頭来るな!」
「でっ、でも……もう鷹村には柴乃宮さんが……」
「だからなに?それがどうしたの?」

そんな事を平然とした表情で言ってきた先輩にあたしは驚きが隠せなかった。
だってもう勝負はついてるんだよ?

「だって……」
「好きな人がいる人を好きになっちゃいけないなんてルールはないでしょ?例え彼女いたって好きなもんはしょうがないじゃん!法律に縛られるのは結婚したときだけだよ!」
「でも柴乃宮さんに悪いです……」

あたしの言葉に先輩は呆れたような表情になる。

「はぁぁぁ~。霞ちゃんに悪いって……じゃあ、あなたは試合とかで相手に悪いから負けてあげるの?そんな事ないよね?全力で相手にぶつかっていくんじゃないの?誰が彼に届かないって決めたの?いちばんになれないって決めたの?それ決めてるのあなたでしょ?」

そしてまるであたしを突き放すような一言を告げる。

「その程度の好きだったらさっさと諦めなよ。わたしは諦めないよ。まだ恭くんに好きって伝えてないし。霞ちゃんにだって負けるつもりはないの。だってそれくらい恭くんの事、好きだから」

その言葉は私の大事な所に触れるような言葉だった。
全く違った価値観。でも、なぜかその考えを否定出来なかった。

「わたしも悔しいよ。でもさ、霞ちゃんと一緒にいる恭くん幸せそうで、そんな彼を見るのも嫌じゃないんだよね。それにこの先チャンスがないわけじゃないかもしれない。男女の仲ってそういうもんだと思うんだ。もしこの先もっと好きになれる人が現れたら、その時はきっぱり恭くんを諦めるつもりだけど、それまでは恭くんの事を好きでいたいんだ……」

先輩の言葉にあたしの心は動いていた。今のあたしは、あたしらしくない。それに気付かされた。

「あたしも……鷹村に好きって伝えたいです……そばにいたいです!」
「そう、だったらそうしなよ。後悔しないようにね!でも正々堂々とやろうね!ズルいことは無し!ライバル同士でもあり友達でもあるんだから!」
「はっ……はい!!」

なぜか背中を押されたような気がした。そしてあたしの中で何かが吹っ切れた。

この先、心が締め付けられる事が沢山あるかもしれない。
でも、それでもあたしは鷹村のそばにいたい。彼を支えてあげたい。彼の笑顔が見たい。

あわよくば、抱きしめてほしい。一瞬でいいからあたしだけを見て欲しい。
あたしは諦めない!いつか鷹村のいちばんになってみせる!

もちろん柴乃宮さんも大事な友達だから、彼女を辛くさせる事はしたくない。
だからちゃんと話し合わなきゃ……

再び心に火が付いた。
それを見届けるようにあたしに視線をむけた先輩はおもむろにスマホを取り出す。

「少し元気になったみたいだね。じゃあ、霞ちゃんも呼んで仲直りしよっか?」
「はい!ちゃんと謝ります!」

そう言ってスマホを操作しはじめる先輩を横目に、あたしは再び自分に気合いを入れた。

これからも鷹村の、いや鷹村と柴乃宮さんの背中を全力で追いかけてやる!!——




次回:わたしはお節介… 唯SIDE——
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