バグが発生した乙女ゲームの世界に巻き込まれたリアルな人間の話。

画鋲

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新リザベル

目覚めたら違う場所にいたけど、了解済みなので冷静に記憶を辿ります。

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ある朝目が覚めた。



喉はカラカラで水を欲しているし、体はずっと寝ていたせいか、動く気配がない。少し力を入れて起き上がろうとしても、なかなか起き上がれないのである。


一体どれだけ寝ていたのだろうか。まあ、その答えもわかっているが。


「リザベル様!!!!意識が戻られたのですね!!!」


確か彼女は私の侍女のエレンだった気がする…。
というのも、私の記憶は〔覚えさせられた記憶〕であって、〔覚えている記憶〕ではないのだ。

彼女はすぐに「旦那様に報告してまいります!」と言って、部屋を出て行ってしまった。台風みたいな人である。


その前に水が欲しいのだけど…まあ仕方ないか。


さて、今のうちに〔記憶〕を整理しておこうか。この家は、いわば貴族というやつで、その中でも爵位第1位の公爵家である。


当主のシリアーム・ワーグナーをはじめとする公爵家の人間は母のベルム、兄のワームル、弟のサーリド、そして私リザベルである。血縁者はこの5人だが、もちろん使用人とも良好な関係を持っており、家族のような存在だったと記憶している。

特に、侍女のノエルは今は没落した元子爵家の人間で、没落した際私がワーグナー家の侍女としてスカウトした、はず。だから、私への忠誠心?が強く、私の1番の理解者だと記憶している。


そして、なぜ今私がずっと眠っていたかについてだけど、側から見れば“事故”、でも真実は“暗殺”ってあの人は言ってた。犯人も教えられている。

それでバグが発生して、私が送られたってわけだけど…はたしてここでしっかりと役目を果たせるのかな。


私の前世…いや、死んでないから本来の自分は日本で生まれ育った、この世界でいう平民だ。

私がこちらの世界に来たことによって私とリザベルの精神が交換され、今頃本来の私は病院で眠っているであろう。


貴族の常識や、リザベルの持っている知識は私とリザベルの精神が交換された後少しの間まだ眠らせていてもらってその時に頭の中に叩き込まれた。だから、「知識」はある。でも実戦となるとまた違う話である。


しかも、この家は公爵家。生半可な知識だけの作法では、お茶会や夜会で家の恥になってしまう。あの人にリザベルの今後の理想像を見せてもらったが、性格には難ありだが、やはり動作全てに気品があり、the令嬢だった。

自分が本当にそんな人の代わりになれるのか、これからが勝負だろう。


もう一度学び直すのもいいかもしれない。この世界には多くてもあと10年と少しはいなければならないのだから。


今はまだかわいい、ご令嬢のはずだし、小さい頃は家族全員から溺愛されていたと記憶する。今なら、勉強する時間を増やしたいと言っても、喜んで増やしてくれるだろう。

それくらい、今の私はかわいいし天使のような見た目をしているんだから。まだ鏡は見てないけど、私が見たこの世界の様子じゃ絶世の美少女だった。


これが、現実と二次元との違いかと落胆したほどだ。まあ、その溺愛のせいで将来はリザベルがわがままになり、国を敵に回すんだけどそれはまたの機会に話そうかと思う。


バタバタと足音が聞こえてきた。どうやらお父様達がきたようだ。

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