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【4】エキサイトメント・シーカー
64 期待してた
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僕がむっと口を尖らせて怒れば怒るほど、文哉さんはどこか愉快げに口だけで笑う。
「一緒に寝たかったのか」
「それはそうだよ! なんだよ、キスとか手を繋いだりだとか、期待させるだけさせておいて、最後がこれじゃあ残念すぎる!」
不満を口にした僕は膝立ちになって、文哉さんの座っている足の間に体を入れてパジャマを引っ張った。
顔が熱くなっているのを自覚しながら、お願いをする。
「したいよ。もっと、文哉さんと……いけないこと」
それに対しての言葉はなく、僕の言葉の続きを待っているように、文哉さんの手が僕の手に重なった。
「まだ気にしてるの? 僕に恋人がいるかもしれないだなんて」
きっと、この人は怖いのだ。
持ち主がいるかもしれない拾ったものを、勝手に持ち出すのは。
文哉さんの両親のことも、すずねさんのことも、彼の中では一種のトラウマになっている。
それを僕がいくら気にするなと言っても、彼自身が乗り越えなければ言葉を受け取れないのだろう。
しようか、と、向こうから言われたかったけど、贅沢は言っていられない。やはりここは自分からお願いするべきだ。
文哉さんは僕を真っ直ぐに見ながら、何かを考えているようだった。
……まずい。どう言ったら傷付けずに断れるだろうかと、思案している気がする。
もちろん、セックスは2人でする行為だから、文哉さんが拒絶をするなら諦めなくちゃならないけど……諦められない僕はつい強引な手に出てしまう。
「僕を舐めないでよね」
答えを出される前に、唇を奪った。
観覧車の中では止まらなくなるからと自制したキスは、今じゃ止める必要がない。
唇を割って、口の中に侵入する。
飴玉をころがすみたいに、文哉さんの濡れた舌を絡めとった。氷のように冷たいのか、燃えるように熱いのかよく分からない感覚で、無我夢中で貪る。
どうだ、僕はこんなにいやらしくキスができるのだと、どこか勝ち誇ったように下唇や上顎を吸った。
「ん……っ!」
急に、なされるがままになっていた文哉さんの舌が動き出し、今度は僕の方が歯列をなぞられた。
ぞわ、と体が疼いて頭を引こうとすると、後頭部を手で引き寄せられて固定される。
顔の角度を変え、怯んでいる僕の舌の付け根の方を噛んだり吸ったりした。
じゅっ、と水っぽい音が耳の奥で響いて、僕は眉根を寄せて濃厚な快感に酔いしれる。
あっという間に反応して、下着の中が窮屈になっていた。
ほんの少しのキスだけで、こんな風にされてしまうなんて。
この先に進んだら、僕は一体どうなってしまうんだろう。
ようやく唇を解放されたと思えば、濡れた唇を移動されて、左耳の付け根あたりを吸われる。
皮膚の表面で快感が弾けて、僕はたまらず甘い声を上げた。
「あぁ……っ」
びくびくと、体の芯を震わせる。
あまりにも強い快感にもう達してしまいそうになり、慌てて文哉さんの胸を押すも、岩のように頑丈な体躯はビクともしない。
大きな手でがっしりと捕らえられて逃げ場を失った僕は、先端からこぼれた先走りで、下着をますます濡らす羽目になった。ミイラ取りがミイラになってしまった。
「は……っ」
「悪い。本当は期待してた。おまえがそうやって俺に文句を言って、したいって言ってくれるのを」
僕の唇の表面を親指で拭いながら、熱を孕んだ目でそう告げられる。
文哉さんは僕を軽々と持ち上げて、自分の太ももの上に座らせた。
「一緒に寝たかったのか」
「それはそうだよ! なんだよ、キスとか手を繋いだりだとか、期待させるだけさせておいて、最後がこれじゃあ残念すぎる!」
不満を口にした僕は膝立ちになって、文哉さんの座っている足の間に体を入れてパジャマを引っ張った。
顔が熱くなっているのを自覚しながら、お願いをする。
「したいよ。もっと、文哉さんと……いけないこと」
それに対しての言葉はなく、僕の言葉の続きを待っているように、文哉さんの手が僕の手に重なった。
「まだ気にしてるの? 僕に恋人がいるかもしれないだなんて」
きっと、この人は怖いのだ。
持ち主がいるかもしれない拾ったものを、勝手に持ち出すのは。
文哉さんの両親のことも、すずねさんのことも、彼の中では一種のトラウマになっている。
それを僕がいくら気にするなと言っても、彼自身が乗り越えなければ言葉を受け取れないのだろう。
しようか、と、向こうから言われたかったけど、贅沢は言っていられない。やはりここは自分からお願いするべきだ。
文哉さんは僕を真っ直ぐに見ながら、何かを考えているようだった。
……まずい。どう言ったら傷付けずに断れるだろうかと、思案している気がする。
もちろん、セックスは2人でする行為だから、文哉さんが拒絶をするなら諦めなくちゃならないけど……諦められない僕はつい強引な手に出てしまう。
「僕を舐めないでよね」
答えを出される前に、唇を奪った。
観覧車の中では止まらなくなるからと自制したキスは、今じゃ止める必要がない。
唇を割って、口の中に侵入する。
飴玉をころがすみたいに、文哉さんの濡れた舌を絡めとった。氷のように冷たいのか、燃えるように熱いのかよく分からない感覚で、無我夢中で貪る。
どうだ、僕はこんなにいやらしくキスができるのだと、どこか勝ち誇ったように下唇や上顎を吸った。
「ん……っ!」
急に、なされるがままになっていた文哉さんの舌が動き出し、今度は僕の方が歯列をなぞられた。
ぞわ、と体が疼いて頭を引こうとすると、後頭部を手で引き寄せられて固定される。
顔の角度を変え、怯んでいる僕の舌の付け根の方を噛んだり吸ったりした。
じゅっ、と水っぽい音が耳の奥で響いて、僕は眉根を寄せて濃厚な快感に酔いしれる。
あっという間に反応して、下着の中が窮屈になっていた。
ほんの少しのキスだけで、こんな風にされてしまうなんて。
この先に進んだら、僕は一体どうなってしまうんだろう。
ようやく唇を解放されたと思えば、濡れた唇を移動されて、左耳の付け根あたりを吸われる。
皮膚の表面で快感が弾けて、僕はたまらず甘い声を上げた。
「あぁ……っ」
びくびくと、体の芯を震わせる。
あまりにも強い快感にもう達してしまいそうになり、慌てて文哉さんの胸を押すも、岩のように頑丈な体躯はビクともしない。
大きな手でがっしりと捕らえられて逃げ場を失った僕は、先端からこぼれた先走りで、下着をますます濡らす羽目になった。ミイラ取りがミイラになってしまった。
「は……っ」
「悪い。本当は期待してた。おまえがそうやって俺に文句を言って、したいって言ってくれるのを」
僕の唇の表面を親指で拭いながら、熱を孕んだ目でそう告げられる。
文哉さんは僕を軽々と持ち上げて、自分の太ももの上に座らせた。
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