ただ、そばにいさせて。

こすもす

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40 ドキドキの朝*

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 ふと目を覚まし、上に手を伸ばして手探りで眼鏡を探す。けれど見つからないので起き上がると、森下くんがまた肘枕でこっちを見ているのに気付いた。

「おはようー」
「えっ!! あ、おはようございます……」

 まさか起きていただなんて。
 不意打ち過ぎて心臓がバクバク言っている。眼鏡を掛けて時間を確認すれば、まだ朝の六時前だった。

「早いんですね。朝ごはんは七時半でしょう」
「うん。昨日の店長が可愛くて、ぐっすり眠れなかったんだ。店長の寝顔ずっと見てた」
「忘れてください! 寝顔も、昨日の僕も今すぐ!」

 照れてしまい、もう一度布団の中へ潜り込んだ。
 耳をそばだてていると、森下くんが上半身を起き上がらせた気配があった。

「そうだよね。忘れた方がいいかな」
「……」
「俺が勝手に突っ走っちゃって。店長の反応見てたら、止まんなくなっちゃった。ごめんね」

 そんな、まるで本当に無理やりしたみたいな言い方。
 そんなんじゃないのに。
 僕は森下くんに触れてもらえて、すごく嬉しかった。
 じゃあ、君は?
 僕が触れたとしたら、君は嬉しいんだろうか。同じような気持ちになってもらえる?

 僕も上半身を起き上がらせ、同じ目線になる。
 決心が鈍る前に、伝えなくては。

「あの……」
「なに?」

 いつの間にか提灯型の照明の灯りは落ちていたけど、少しだけ部屋の中に陽が差し込んできている。
 完全な暗闇ではないのに、今から言うことを君は受け入れてくれるだろうか。

「……僕も、したらダメでしょうか……昨日、君が僕にしてくれたこと」
「……僕もって」

 森下くんは目を瞠った。
 一方的に快楽に溺れてしまい、されるだけされて終わりなのは申し訳ない。

「い、いやだったらはっきり言ってください。僕は君と違って、やめろと言われたらちゃんとやめます」
「だからさ」

 座ったまま横向きに抱きしめられ、体が彼の方へ傾く。

「やめろとは言ってなかったよ、店長」

 そのまま後ろへ押し倒され、お互い横たわって向かい合った。
 大きな手で、僕の黒髪を梳いてくれる。それだけでもう充分に愛を感じた。

「俺、嬉しい。そうやって言ってくれただけで反応しちゃったよ」
「……あ」

 導かれるように手を引かれ、足の間に持っていかれた。
 もう既に軽く兆している。薄い生地の上からだとすぐに分かる。
 森下くんはますます笑顔になって、僕にキスの雨を落としてきた。

「触って? ゆっくりでいいから」
「は、はい……」

 その膨らみを、言われるがまま撫でさする。
 上から下へゆっくりとこすると、それがまた少し大きくなった。
 いつ、パンツの中から取り出そうかと悩んでいたら……彼に僕のも同じように手で包まれてしまった。

「──えっ」
「せっかくなら、一緒にしよ」

 疑問に思っていたら、あっという間に昨日みたいに上下にこすられてしまった。
 またあの快感がゾワゾワと湧き上がってきて、僕の性器も徐々に硬さを帯びていった。

「……んぅ……」

 鼻から抜ける声を漏らし、悶える。
 僕がしてあげなくちゃならないのに、森下くんの手の動きに敏感になり、自分の手がお留守になってしまう。

「店長の感じてる顔、本当に可愛いよ」

 パンツの中に手を突っ込まれ、直に触れられる。
 数時間前に射精したというのに、僕のそれはもう張り詰めていた。
 
「あぁ……っ」
「俺のも、触ってくれる?」

 促され、僕も彼のパンツをずり下ろし、中のものを直に握った。
 すごく、熱い。
 自分の顔も、今手の中にあるものも。
 されているリズムに合わせて、僕も同じように手を上下する。

 恥ずかしい。
 お互いのを触りあっている。朝、旅先で。
 昨日の夜まで互いの裸を見たことさえなかったのに。

「あっ……あぁ……っ」

 じゅっ、じゅっ、と二人分の卑猥な音がなる。
 先端からは透明な液がぷくっと滲み出て、竿を伝ってシーツを汚していく。

 眼鏡を外しておくべきだった。
 目の前の森下くんが、赤い顔をして僕を優しく見下ろしている。
 そんな慈愛に満ちた目に見つめられて、僕は正気でいられない。

「イきそう……?」

 そう問われ、僕は涙目でコクコクと首を振る。
 森下くんもきっと、限界は近い。

「一緒にイこっか」

 手の動きを早められ、欲望の淵へ引き込まれていく。津波のように押し寄せる快楽を、止めることはできなかった。
 閃光のように、はじける瞬間。

「──あ……っ! あ……んん……っ」

 ぱたぱたと、僕の腹へ白濁が散った。
 結局僕の方が先にイッてしまったけれど、互いがちゃんと欲望を解放できたことに安堵した。

「大丈夫?」

 はぁはぁと口で呼吸する僕を気遣ってくれる。
 僕は改めて、森下くんとここに来れて良かったと思った。
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