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62 はじめて*
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僕はガクガクと膝を震えさせながら、彼の首にしがみつく。
うしろを開かれる感じがさらに大きくなったとき、「あぁっ」と一際大きな声を上げてしまった。
柔らかくなったそこには今、何本の指が入っているのか分からない。
自分の意思とは裏腹に、腰が揺れてしまう。森下くんの指を奥へ奥へと飲み込ませて、具合のいいところに擦り付けていく。
前をしっかりと握られていなかったら、きっと何度でもイっていたと思う。
頭がぼぅっとして、目の前が白く霞んでくる。
口元がだらしなく開いてしまうのを誤魔化すように、僕の方からキスを仕掛けた。
角度を変えながら舌先を吸って歯列をなぞり、互いの熱を感じとる。
息苦しくなったところで唇を離すと、後孔にあった指も抜けていった。
喪失感でせつなくなって、唇を噛んで顔を上げると、奥歯同士をぎゅっと噛み合わせたような表情をした森下くんと目が合った。
「ごめんっ……店長のこと、ちゃんと優しくしたいんだけど……優しくできないかもしれない」
どうしよう……と本気で悩んでいるような姿を見た僕の胸は、ぎゅんっと痛いほどに締め付けられた。
犬みたいだ。ご主人様が出かけている間にやりたい放題して、悪戯をしている最中は楽しくて仕方なかったけど、冷静になった途端にしゅんと落ちてしまうみたいな顔。
……愛しい。
僕の方こそどうしよう。本当に、森下くんが可愛くってしょうがない。
「いいです。優しくできなくても」
「えっ……」
「むしろめちゃくちゃにしてもらっても、構わないです」
「……」
森下くんは無言で僕を膝の上から下ろし、再度ベッドに横たわらせた。
ちょっと動揺しているのかな……。
勢いで言ってしまったがしょうがない。だって勢いがないとこんなことは言えない。
1ミリも視線を外さないまま、森下くんは僕の片膝の裏を持って高く上げた。
指とは違いすぎる熱量のあるものを、そこへぐっとあてがわれる。
「そういえば訊いてなかった。店長、こうしてセックスするのっていつぶり?」
「え……初めてですよ」
「……え?」
キョトンとする森下くんだが、後孔のいりぐちに触れているそれは全く萎えてはいない。
「だって僕、誰かと付き合ったことなんて無いですし」
「じゃあ、俺が初めてってこと?」
「はい……」
そう言えばすぐに、森下くんが僕の中に侵入してきた。
わずかな隙間もないくらいに、中の粘膜をすりあげながら奥まで進んでいって止まった。慣らされたとはいえあまりにも鋭い衝撃だ。こんなの知らない。
軽く目眩を覚えるが、見下ろしてくる森下くんの視線を逸らせない。
「あ……」
「どんな、感じ……?」
「……なんだか、すごくて……ぁ……っ、息が……、出来ないです」
「辛い?」
僕が首を横に振ると、森下くんは口の端を上げて腰を揺さぶり始めた。僕の顔の横に両手をつきながら、ゆっくりと、時には激しく腰を上下させて、僕の眉根を寄せる表情をこれでもかというほど見つめてくる。
「ぁっ、やっ……あぁっ」
熱湯を浴びせられたみたいに全身が熱い。
結合部からは水を掻き回すみたいな音が鳴って、二人の境界線があいまいになる。
「ごめん、俺、店長の初めてを貰えるだなんて、嬉しくて」
森下くんが動くたびに、目の前に星がチカチカと瞬く。
間に挟まれている性器がめちゃくちゃに揉まれて、うしろもめちゃくちゃに突かれて、昂揚感が高まった。
変な顔したり、絶叫してしまう自信がある。
口をどうにか塞ごうとすれば、シーツに両手を縫い止められてしまった。
恋人繋ぎみたいに指の間にしっかりと指を入れられて押さえられると、ビスで固定されてしまったみたいに全く動けない。
一際大きくグラインドされた時には、快感が脳天まで突き抜けて本当に焦った。
「だめっ……変になる……っ」
「店長が、めちゃくちゃにしていいって、言ったんだよ?」
「ん、ん……手、はなして……っ」
「やだ。俺に抱かれてる店長を、ずっと見ていたい」
枕の上で、少しでも顔を見られないようにと横を向いて目をぎゅっと瞑るが、それでも森下くんの視線は痛いほどに突き刺さる。
もういやだ。こんなの聞いてない。乱暴にされることで余計に興奮しているのは自分でも気づいているが、せめて口元だけでも覆いたかった。
どこもかしこも擦り上げられて、僕は鈴口からトプトプと甘い蜜を垂らす。
「ん──……」
動きを少し早くされて、僕は身悶える。森下くんが手を力強く握り直してきた。息を荒くさせた音を聴いて、絶頂が近いのだなと知る。
「……さん」
揺れるベッドの音と僕のしゃくりあげる声の隙間に、森下くんの声がわずかに入り込んだ気がして、瞼を持ち上げた。
「と、さん……、ひさと、さんっ」
あ、と僕は息をのんだ。
初めて、かもしれない。
森下くんが僕の名前を呼んだの。
「央登さん……ッ、央登さんっ」
「……うん……っ」
名前を呼ばれただけなのに、どうしてか熱い雫がこめかみを伝った。
僕が僕である証明。僕はずっと、自分じゃない誰かになろうとしていた。でも僕は、こうして本当の自分を愛してくれる人に出会えた。ずっと会いたかった。僕という存在を許してくれる人に。
ずるいですよ、こんな時に僕の名前呼んで。
また、新たな喜びを知ってしまったじゃないか。
体の奥に熱い迸りを感じたのと同時に、耳元で「愛してる」と囁かれた僕は言うまでもなく、体も心もとろとろに蕩けたのだった。
うしろを開かれる感じがさらに大きくなったとき、「あぁっ」と一際大きな声を上げてしまった。
柔らかくなったそこには今、何本の指が入っているのか分からない。
自分の意思とは裏腹に、腰が揺れてしまう。森下くんの指を奥へ奥へと飲み込ませて、具合のいいところに擦り付けていく。
前をしっかりと握られていなかったら、きっと何度でもイっていたと思う。
頭がぼぅっとして、目の前が白く霞んでくる。
口元がだらしなく開いてしまうのを誤魔化すように、僕の方からキスを仕掛けた。
角度を変えながら舌先を吸って歯列をなぞり、互いの熱を感じとる。
息苦しくなったところで唇を離すと、後孔にあった指も抜けていった。
喪失感でせつなくなって、唇を噛んで顔を上げると、奥歯同士をぎゅっと噛み合わせたような表情をした森下くんと目が合った。
「ごめんっ……店長のこと、ちゃんと優しくしたいんだけど……優しくできないかもしれない」
どうしよう……と本気で悩んでいるような姿を見た僕の胸は、ぎゅんっと痛いほどに締め付けられた。
犬みたいだ。ご主人様が出かけている間にやりたい放題して、悪戯をしている最中は楽しくて仕方なかったけど、冷静になった途端にしゅんと落ちてしまうみたいな顔。
……愛しい。
僕の方こそどうしよう。本当に、森下くんが可愛くってしょうがない。
「いいです。優しくできなくても」
「えっ……」
「むしろめちゃくちゃにしてもらっても、構わないです」
「……」
森下くんは無言で僕を膝の上から下ろし、再度ベッドに横たわらせた。
ちょっと動揺しているのかな……。
勢いで言ってしまったがしょうがない。だって勢いがないとこんなことは言えない。
1ミリも視線を外さないまま、森下くんは僕の片膝の裏を持って高く上げた。
指とは違いすぎる熱量のあるものを、そこへぐっとあてがわれる。
「そういえば訊いてなかった。店長、こうしてセックスするのっていつぶり?」
「え……初めてですよ」
「……え?」
キョトンとする森下くんだが、後孔のいりぐちに触れているそれは全く萎えてはいない。
「だって僕、誰かと付き合ったことなんて無いですし」
「じゃあ、俺が初めてってこと?」
「はい……」
そう言えばすぐに、森下くんが僕の中に侵入してきた。
わずかな隙間もないくらいに、中の粘膜をすりあげながら奥まで進んでいって止まった。慣らされたとはいえあまりにも鋭い衝撃だ。こんなの知らない。
軽く目眩を覚えるが、見下ろしてくる森下くんの視線を逸らせない。
「あ……」
「どんな、感じ……?」
「……なんだか、すごくて……ぁ……っ、息が……、出来ないです」
「辛い?」
僕が首を横に振ると、森下くんは口の端を上げて腰を揺さぶり始めた。僕の顔の横に両手をつきながら、ゆっくりと、時には激しく腰を上下させて、僕の眉根を寄せる表情をこれでもかというほど見つめてくる。
「ぁっ、やっ……あぁっ」
熱湯を浴びせられたみたいに全身が熱い。
結合部からは水を掻き回すみたいな音が鳴って、二人の境界線があいまいになる。
「ごめん、俺、店長の初めてを貰えるだなんて、嬉しくて」
森下くんが動くたびに、目の前に星がチカチカと瞬く。
間に挟まれている性器がめちゃくちゃに揉まれて、うしろもめちゃくちゃに突かれて、昂揚感が高まった。
変な顔したり、絶叫してしまう自信がある。
口をどうにか塞ごうとすれば、シーツに両手を縫い止められてしまった。
恋人繋ぎみたいに指の間にしっかりと指を入れられて押さえられると、ビスで固定されてしまったみたいに全く動けない。
一際大きくグラインドされた時には、快感が脳天まで突き抜けて本当に焦った。
「だめっ……変になる……っ」
「店長が、めちゃくちゃにしていいって、言ったんだよ?」
「ん、ん……手、はなして……っ」
「やだ。俺に抱かれてる店長を、ずっと見ていたい」
枕の上で、少しでも顔を見られないようにと横を向いて目をぎゅっと瞑るが、それでも森下くんの視線は痛いほどに突き刺さる。
もういやだ。こんなの聞いてない。乱暴にされることで余計に興奮しているのは自分でも気づいているが、せめて口元だけでも覆いたかった。
どこもかしこも擦り上げられて、僕は鈴口からトプトプと甘い蜜を垂らす。
「ん──……」
動きを少し早くされて、僕は身悶える。森下くんが手を力強く握り直してきた。息を荒くさせた音を聴いて、絶頂が近いのだなと知る。
「……さん」
揺れるベッドの音と僕のしゃくりあげる声の隙間に、森下くんの声がわずかに入り込んだ気がして、瞼を持ち上げた。
「と、さん……、ひさと、さんっ」
あ、と僕は息をのんだ。
初めて、かもしれない。
森下くんが僕の名前を呼んだの。
「央登さん……ッ、央登さんっ」
「……うん……っ」
名前を呼ばれただけなのに、どうしてか熱い雫がこめかみを伝った。
僕が僕である証明。僕はずっと、自分じゃない誰かになろうとしていた。でも僕は、こうして本当の自分を愛してくれる人に出会えた。ずっと会いたかった。僕という存在を許してくれる人に。
ずるいですよ、こんな時に僕の名前呼んで。
また、新たな喜びを知ってしまったじゃないか。
体の奥に熱い迸りを感じたのと同時に、耳元で「愛してる」と囁かれた僕は言うまでもなく、体も心もとろとろに蕩けたのだった。
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