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第3章 ぼくに降り注ぐのはドキドキとモヤモヤと。

危険が迫る…?!

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 放課後、ぼくと乙葉は図書室に向かい、先週の続きから仕事を教わった。

「じゃあどっちかが、さっき言ったリストを作っておいてくれ。もう一人は蔵書点検。数が膨大だから、キリがいい所で終わりにしていいから」

 三年の先輩から仕事を引き継ぎ、ぼくは書庫室で点検、パソコンが得意な乙葉はカウンター内でパソコン業務にあたることになった。

「すぐに終わると思うから、そしたら俺もそっち手伝いにいくよ」
「うん分かった。ありがとう乙葉」

 ぼくは鍵を持って、図書室を出る。
 書庫室、と言ってもほとんど倉庫みたいなところだ。
 鍵を差し込んでドアを開けた瞬間、本の香りに混じって湿ったカビっぽい匂いがしてきた。本棚が並ぶ狭い空間に、閉められたカーテンの隙間から漏れてくる一筋の光の中に浮遊するホコリが見えた。

「わー、汚い。ずっと掃除してないじゃん」

 ドアは開けたまま部屋の奥に向かい、一気にカーテンを左右に引っ張って窓を開けた。外から涼しい風が入ってくるとカーテンもふわっと膨らんだ。
 
「あ、高橋先輩だ」

 グラウンドを窓から見下ろすと、ブレザーを脱いだ歩太先輩が昇降口近くで友達と談笑しているのが分かった。
 これから先輩もバスケの練習をするのかもしれない。
 先輩がシュートやドリブルをする所を見てみたいなぁと、ぼくは窓辺に張り付いていた。

 ドアが閉められ、内側の鍵を掛けられた事にも気付かずに。

「あっ、すごーい」

 スリーオンスリーを始めた歩太先輩は、敵の間をドリブルしながら華麗にすり抜け、ゴール下でボールを構えてジャンプし、シュートした。
 外してはしまったけど、先輩の体の動きが俊敏でしなやかで、ぼくは感激して魅入ってしまった。
 もう一度シュートするかなと期待したけど、先輩は他の人にボールを渡してしまい、しばらく見ていても先輩が活躍するシーンが見られなかった。
 諦めて、大人しく書架整理を始めようと窓から離れたその時──

「んんっ?!」

 急に背後から人の手が伸びてきて、ぼくの口が覆われた。
 片方の手がぼくの腕ごと、腰にがっしりと回される。

「んん、ん!」

 よろよろと後ろによろめきながら、ぼくは顔を左右に振って手を外そうとする。
 なかなか外れなかったけど、口元から少し手がずれた所で、すぐさま後ろを振り返りその人と目が合って驚愕した。
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