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第5章 ぼくの運命の先輩は。
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「まぁでも、歩太はいい奴だよ。面倒見いいしな。お前が好きになるのも納得だよ」
痛い。鳩尾が机の出っ張りに食い込んで息ができない。
胸も、心も痛い。
「あっ! あのっ、聖先輩っ」
横向きになりながら、ぼくは声を振り絞る。
ちゃんと繋ぎ止めておかないと。風船の紐をしっかり持っていないと、あっという間に手の届かないところまで飛んでいってしまう。
「き、訊いてもいいですかっ」
聖先輩の返事はなかったが、ぼくは構わず続けた。
「ぼくのこと、本当にからかってただけなんですかっ? キスしたのも、エッチなことしたのも、全部暇つぶし?」
「……そうだよ。お前がいちいち馬鹿みたいに過剰に反応するから、面白くなってただけ。けどそれも、もういいかなって」
聖先輩の片手が引っ込んでいったが、ぼくは起き上がることができなかった。目の奥がじんわりと熱くなってきたのだ。
考えたくはないけど、聖先輩はたぶん、ぼくと別れようとしている。
そして聖先輩は、ぼくのことなんてこれっぽっちも好きじゃなかった。
瞬きをしまい、とわざと目を見開いて唇を噛んだ。
いま瞬かせたらその反動で涙を弾けさせてしまう。
聖先輩は、ぼくの目の前に自らのスマホの画面を向けた。
ぼくは息を飲む。
ぼくの名前と連絡先が表示されていた。
いやだ。お願いだから、消さないで。
「お前と俺は、出会ってない。会話もしたことない。名前も知らない」
虚しくも、画面からぼくの名前が消えた。
消去されたのだ、完全に。スマホからも、聖先輩の頭の中からも。
伝えたいのに。ぼくの今の好きな人は、聖先輩なんだって。
でも声帯が取られちゃったみたいに声が発せない。
「少しの間だったけど楽しかった。付き合えるかどうかは知らないけど、歩太と仲良くやれよ」
聖先輩はぼくの上から体を退けて、生徒会室の鍵を机の上に置いた。
ドアの方に向かう聖先輩を視界の隅に捉えても、ぼくはずっとそっちを向けなかった。
「じゃあな………雫」
痛い。鳩尾が机の出っ張りに食い込んで息ができない。
胸も、心も痛い。
「あっ! あのっ、聖先輩っ」
横向きになりながら、ぼくは声を振り絞る。
ちゃんと繋ぎ止めておかないと。風船の紐をしっかり持っていないと、あっという間に手の届かないところまで飛んでいってしまう。
「き、訊いてもいいですかっ」
聖先輩の返事はなかったが、ぼくは構わず続けた。
「ぼくのこと、本当にからかってただけなんですかっ? キスしたのも、エッチなことしたのも、全部暇つぶし?」
「……そうだよ。お前がいちいち馬鹿みたいに過剰に反応するから、面白くなってただけ。けどそれも、もういいかなって」
聖先輩の片手が引っ込んでいったが、ぼくは起き上がることができなかった。目の奥がじんわりと熱くなってきたのだ。
考えたくはないけど、聖先輩はたぶん、ぼくと別れようとしている。
そして聖先輩は、ぼくのことなんてこれっぽっちも好きじゃなかった。
瞬きをしまい、とわざと目を見開いて唇を噛んだ。
いま瞬かせたらその反動で涙を弾けさせてしまう。
聖先輩は、ぼくの目の前に自らのスマホの画面を向けた。
ぼくは息を飲む。
ぼくの名前と連絡先が表示されていた。
いやだ。お願いだから、消さないで。
「お前と俺は、出会ってない。会話もしたことない。名前も知らない」
虚しくも、画面からぼくの名前が消えた。
消去されたのだ、完全に。スマホからも、聖先輩の頭の中からも。
伝えたいのに。ぼくの今の好きな人は、聖先輩なんだって。
でも声帯が取られちゃったみたいに声が発せない。
「少しの間だったけど楽しかった。付き合えるかどうかは知らないけど、歩太と仲良くやれよ」
聖先輩はぼくの上から体を退けて、生徒会室の鍵を机の上に置いた。
ドアの方に向かう聖先輩を視界の隅に捉えても、ぼくはずっとそっちを向けなかった。
「じゃあな………雫」
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