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第5章 義兄弟の運命は。
第81話 変わらぬ日常、変化する関係
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次の日学校で、相良先輩に会った。
悠助くんから聞いた内容は本当なのかと問われ、元気よく首肯した。
貴臣の言っていたように、俺たちは晴れて恋人同士となったわけだ。
でもいきなりキスとか、放課後一緒に帰ったりとかはしない。
俺は部活もあるし、先輩だって用事がある。夜もたまに電話で取り留めのない話をするだけで、特に恋人同士っぽいことはまだしていない。
だけど先輩と話すのはすごく楽しかった。面白くて頭のいい人だから、俺の知らないことをたくさん教えてくれた。
大丈夫だ。俺はきっとこの人を、これからどんどん好きになるんだ。
けれど心はずっと曇り空なのが気にかかる。いつになったら梅雨明けするのか。
どんなにモヤモヤしたって、いつも通りの日常だ。太陽は登り、朝が来て鳥が飛んで、風が吹く。
いつも通りにスマホのアラームを止めてカーテンを開け、ちょっとだけストレッチした後にベッドを降りて部屋を出る。
歯磨きをして顔を洗い終えると、洗面台の順番待ちの貴臣がやって来る。
「おはようございます」
「おはよー」
鏡に映る貴臣にそう言って、俺はバスルームを出る。
いつも通りだ。ただちょっと違うのは、兄弟間の空気だけ。
貴臣はあの日から、俺にあんまり近付かなくなった。
と言ってもきっと、世の中の兄弟なんてこんなものだと思う。今までが近すぎたんだ、心も体も。
俺たちは、両親の前では上手い具合に取り繕っている。挨拶もするし、学校でこういうことがあっただとか、適当な会話だってする。
でも2階に上がれば他人になった。
それぞれ自室に入り、そのまま朝を迎える。
風呂に一緒に入ったり、マッサージをする為に部屋に呼んでくれたりはしなくなった。
このまま距離が遠くなれば貴臣への気持ちも薄れて、いつかは完全に無くなるだろう。
「怜、貴臣くんと何かあった?」
ある日の夕食後、貴臣が2階へ上がった後で母さんに言われてビックリした。
今日だっていつも通りに過ごしたのに。
「ううん、別に。なんで?」
「そう? なんだかお互い、遠慮しているように見えたから」
「遠慮って? 普通に仲良く話してたじゃん」
「それはそうなんだけど……前と雰囲気が違う気がして。前は夕御飯を食べた後、一緒に2階に上がったりしていたから」
びく、と肩が跳ねてしまいそうになったけど耐えた。
「でも、私の思い違いね。ごめんなさい変なこと言って」
「ううん」
何食わぬ顔をして2階に上がり、部屋に入ってため息を吐いた。
母さんは鋭い。繊細で、人の気持ちや顔色に敏感だ。こんな調子だと、きっとまた母さんを心配させてしまうだろう。
けれど何をどうしたらいいのか分からない。
貴臣から言われた言葉が、重くのしかかっていた。
『どうして、俺の殻を平気で破って──』
諦めたくなかったから。
この家で暮らし始めた時、母さんに心配をかけまいと、貴臣にどうにか近付こうと試みた。
結果的に事故をきっかけに2人を纏う空気が変わったから、俺のしていたことは無意味だったのかもしれないが。
でも今回そう言ったってことは、もう殻を破るなってことで、それは貴臣なりの拒絶なのだ。
それでもやっぱり、伝えたいことがまだ伝えられていない。
先輩と恋人らしいことをする前に、少しでいいから聞いてもらおう。うまく言葉にできなくても。
悠助くんから聞いた内容は本当なのかと問われ、元気よく首肯した。
貴臣の言っていたように、俺たちは晴れて恋人同士となったわけだ。
でもいきなりキスとか、放課後一緒に帰ったりとかはしない。
俺は部活もあるし、先輩だって用事がある。夜もたまに電話で取り留めのない話をするだけで、特に恋人同士っぽいことはまだしていない。
だけど先輩と話すのはすごく楽しかった。面白くて頭のいい人だから、俺の知らないことをたくさん教えてくれた。
大丈夫だ。俺はきっとこの人を、これからどんどん好きになるんだ。
けれど心はずっと曇り空なのが気にかかる。いつになったら梅雨明けするのか。
どんなにモヤモヤしたって、いつも通りの日常だ。太陽は登り、朝が来て鳥が飛んで、風が吹く。
いつも通りにスマホのアラームを止めてカーテンを開け、ちょっとだけストレッチした後にベッドを降りて部屋を出る。
歯磨きをして顔を洗い終えると、洗面台の順番待ちの貴臣がやって来る。
「おはようございます」
「おはよー」
鏡に映る貴臣にそう言って、俺はバスルームを出る。
いつも通りだ。ただちょっと違うのは、兄弟間の空気だけ。
貴臣はあの日から、俺にあんまり近付かなくなった。
と言ってもきっと、世の中の兄弟なんてこんなものだと思う。今までが近すぎたんだ、心も体も。
俺たちは、両親の前では上手い具合に取り繕っている。挨拶もするし、学校でこういうことがあっただとか、適当な会話だってする。
でも2階に上がれば他人になった。
それぞれ自室に入り、そのまま朝を迎える。
風呂に一緒に入ったり、マッサージをする為に部屋に呼んでくれたりはしなくなった。
このまま距離が遠くなれば貴臣への気持ちも薄れて、いつかは完全に無くなるだろう。
「怜、貴臣くんと何かあった?」
ある日の夕食後、貴臣が2階へ上がった後で母さんに言われてビックリした。
今日だっていつも通りに過ごしたのに。
「ううん、別に。なんで?」
「そう? なんだかお互い、遠慮しているように見えたから」
「遠慮って? 普通に仲良く話してたじゃん」
「それはそうなんだけど……前と雰囲気が違う気がして。前は夕御飯を食べた後、一緒に2階に上がったりしていたから」
びく、と肩が跳ねてしまいそうになったけど耐えた。
「でも、私の思い違いね。ごめんなさい変なこと言って」
「ううん」
何食わぬ顔をして2階に上がり、部屋に入ってため息を吐いた。
母さんは鋭い。繊細で、人の気持ちや顔色に敏感だ。こんな調子だと、きっとまた母さんを心配させてしまうだろう。
けれど何をどうしたらいいのか分からない。
貴臣から言われた言葉が、重くのしかかっていた。
『どうして、俺の殻を平気で破って──』
諦めたくなかったから。
この家で暮らし始めた時、母さんに心配をかけまいと、貴臣にどうにか近付こうと試みた。
結果的に事故をきっかけに2人を纏う空気が変わったから、俺のしていたことは無意味だったのかもしれないが。
でも今回そう言ったってことは、もう殻を破るなってことで、それは貴臣なりの拒絶なのだ。
それでもやっぱり、伝えたいことがまだ伝えられていない。
先輩と恋人らしいことをする前に、少しでいいから聞いてもらおう。うまく言葉にできなくても。
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