庶民の俺が金持ちグループに入ったら、完璧な御曹司になぜか異常に懐かれた【目線の先には。一織×千尋編】

綾波絢斗

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45 怖い

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「あれ? 四宮くん、今日、来る日だった?」

社員さんに声をかけられた。

「いえ、違うんですけど…16時からのミーティングに参加してほしいって連絡が来て」
「そうなの? じゃあ、もうすぐ始まるから一緒に行こう」
「あっ、はい」

そう言って、ミーティングルームまで連れて行ってもらった。

中に入ると、すでにチームメンバーがそろっていた。
一織は…まだ来てない。

端の席に座るように促され、机の上に置いてある資料に目をやる。
とりあえず、読んでおけばいいのかな。
そう思って資料を読んでいた。

あっ…れ? これ…。

表紙を確認するけど、自分の名前は書かれていない。

同じ考えの人がいたってことか。この人と仲良くなれるかも。あとで、書いた人と話してみたいな。そんなことを考えながら、資料を読み込んでいた。

ガチャ。

一斉に、音が鳴ったほうへ社員たちの視線が向く。

一織だ。

一織の顔を見ちゃいけないと思って、横目でその姿を追った。
スーツ姿が、やっぱりかっこいい。

この間の態度を思い出して、少し気持ちが沈む。
でも、あれが他の人との接し方の「通常運転」なんだと思う。

深山さんが「では、始めます」と告げ、ミーティングが始まった。

説明しているスタッフの人は、昨日、資料をまとめるようにと伝えてきた人だった。
緊張しているのか、ところどころ詰まりながら説明している。

…うん。
大まかな方向性は、俺も同じように考えた。なんて、ちょっと偉そうに思いながら聞いていた。

「ここの数字って、どう見積もってそうしましたか?」
一織の質問に、空気が静まる。

「どうしました? この数字を、どのように導き出したか教えてください」
一織が、静かに同じ質問を繰り返した。

誰も、うまく答えられないようで、視線が行き交う。
すると、発表していた人が言った。

「この部分は…四宮くんが」

全員の視線が、俺に集まる。

えっ? 俺? 俺なの?
戸惑っていると、

「彼は?」

一織が声を出した。視線は、深山さんに向けられている。

「制服からわかると思いますが、佐久間社長の同級生で、現在インターン前のアルバイトとして参加しています」
「そうですか。名前は?」
「四宮千尋さんです」

深山さんが丁寧に答える。他人行儀で、俺にはまったく興味がないみたいな口ぶり。

「では、四宮さん。質問に答えられますか?」

一織にそう聞かれ、

「は…はい」

どぎまぎしながら返事をした。

そこから、この数字をどこから導き出して、どう予測数値を考えたのかを説明した。
少し特殊というか、自分なりに考えた方法だったから、この導き方が合っているのか、正直わからなかったけど…。

でも、俺の説明を、みんなちゃんと聞いてくれていた。

「ありがとうございます。とてもわかりやすかったです」
一織のその言葉に、ほっとして椅子に腰を下ろす。

「さて、では皆さんに質問です」
一織の声が、空気を切る。

「どうして皆さんが答えられず、アルバイトの四宮さんが答えることができたのか」
ミーティングルームが、しんと静まり返る。

「答えは明白ですよね。あなた方は、自分たちができないことを、アルバイトの高校生に任せ、答えを出させた。そして、そのまま、打ち合わせに出た。高校生だからいいと思っていましたか?」

一織の声は、淡々としているのに、鋭かった。

誰も顔を上げない。言葉が、重く落ちる。

「私の高校のことは皆さんご存じですよね?能力があるからこそ、ここでアルバイトができインターンができる。実力できています。それが今日証明されたと思います。それなのに、うちの会社で、そんなことをするなんて、私は許せません。」

一織の声が怖くて、みんな下を向いた。

…俺も、下を向いてしまった。

だって、怖いもん。
一織、怖い。
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