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第48話 感情の行く先
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歩く力も残っていないアオを、そっと抱き上げてバスルームへ運ぶ。
いつもの流れだが、今日は少し様子が違った。腕の中のアオは、いつもより離れようとせず、首元に甘えるように触れてくる。これまで体裁を気にして俺の首に痕をつけることはしなかったアオが、そんなことを忘れてしまったかのように、いくつもの跡をつけていた。
湯船に身を沈め、ゆっくりと温まる。アオは疲れ切っているのか、半ばまどろみながら身を預けてきた。その無防備さが、信頼の証のようにも思える。
湯上がりにバスローブを着せ、リビングのソファまで抱えて運ぶ。髪を乾かそうとしたが、アオは膝に頭をのせたまま、気持ちよさそうに寝息を立ててしまった。
そのとき、スマホが鳴った。画面には「リョク」の文字。
『レイさ~ん。部屋ありがと~。カナメが落ち着いたら帰るね。ところで、どうだった? アオ用に作ったはずなのに、さっきキョウカさんからも「同じものが欲しい」って言われたよ。カナメにもいい反応があったんだ~』
「欲しいものがあれば、用意しておく」
『おっ、ってことは良かったってことだね! じゃ、あとでリスト送る~』
通話が切れたあと、アオの髪をゆっくりと乾かす。そして再び抱き上げ、ベッドルームへ。おでこに軽く口づけを落とし、眠りを妨げないよう静かに部屋を出る。
デスクに戻り、3人が作成した設計書に目を通す。ムルの中でも特に能力が秀でた面々だけあって、抜かりはない。感心すると同時に、その力を狙う存在が現れる危険性も意識せざるを得なかった。
今のところ、世間的にはキョウカが俺の婚約者候補という情報が有効に働き、アキトを守れている。しかし、前回のような事態が再び起こる可能性もある。アキトを表立って守っているため、アオの存在は隠されているが、油断はできない。カナメも力はあるものの、リョクと離れている時が心配だ。
「……手を打たないとな」
そんなとき、再び着信音が鳴った。発信者はアキト。
『あの紋章の件だけど、ムルの力が強ければ強いほど、2つ目の紋章が現れる可能性があるみたい。ただ、これまでの事例はごくわずかで、ほとんどは「あざ」程度で終わってる。でも……アオくんは、初めて本格的に2つ目が出る可能性がある』
「つまり、アオが俺以外のルガルを受け入れることになる、という話か」
『アオくんの今の感情からすれば、そうはならないと思うけど……覚悟はしておいた方がいい』
「……わかった」
通話を終え、眠るアオの方へ視線を向ける。アオの感情が自分以外に向くなど、考えたくもない。けれど、俺にはそれを止める力はない。
——俺から離れないでほしい。そう願うしかなかった。
いつもの流れだが、今日は少し様子が違った。腕の中のアオは、いつもより離れようとせず、首元に甘えるように触れてくる。これまで体裁を気にして俺の首に痕をつけることはしなかったアオが、そんなことを忘れてしまったかのように、いくつもの跡をつけていた。
湯船に身を沈め、ゆっくりと温まる。アオは疲れ切っているのか、半ばまどろみながら身を預けてきた。その無防備さが、信頼の証のようにも思える。
湯上がりにバスローブを着せ、リビングのソファまで抱えて運ぶ。髪を乾かそうとしたが、アオは膝に頭をのせたまま、気持ちよさそうに寝息を立ててしまった。
そのとき、スマホが鳴った。画面には「リョク」の文字。
『レイさ~ん。部屋ありがと~。カナメが落ち着いたら帰るね。ところで、どうだった? アオ用に作ったはずなのに、さっきキョウカさんからも「同じものが欲しい」って言われたよ。カナメにもいい反応があったんだ~』
「欲しいものがあれば、用意しておく」
『おっ、ってことは良かったってことだね! じゃ、あとでリスト送る~』
通話が切れたあと、アオの髪をゆっくりと乾かす。そして再び抱き上げ、ベッドルームへ。おでこに軽く口づけを落とし、眠りを妨げないよう静かに部屋を出る。
デスクに戻り、3人が作成した設計書に目を通す。ムルの中でも特に能力が秀でた面々だけあって、抜かりはない。感心すると同時に、その力を狙う存在が現れる危険性も意識せざるを得なかった。
今のところ、世間的にはキョウカが俺の婚約者候補という情報が有効に働き、アキトを守れている。しかし、前回のような事態が再び起こる可能性もある。アキトを表立って守っているため、アオの存在は隠されているが、油断はできない。カナメも力はあるものの、リョクと離れている時が心配だ。
「……手を打たないとな」
そんなとき、再び着信音が鳴った。発信者はアキト。
『あの紋章の件だけど、ムルの力が強ければ強いほど、2つ目の紋章が現れる可能性があるみたい。ただ、これまでの事例はごくわずかで、ほとんどは「あざ」程度で終わってる。でも……アオくんは、初めて本格的に2つ目が出る可能性がある』
「つまり、アオが俺以外のルガルを受け入れることになる、という話か」
『アオくんの今の感情からすれば、そうはならないと思うけど……覚悟はしておいた方がいい』
「……わかった」
通話を終え、眠るアオの方へ視線を向ける。アオの感情が自分以外に向くなど、考えたくもない。けれど、俺にはそれを止める力はない。
——俺から離れないでほしい。そう願うしかなかった。
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