58 / 86
第58話 朝なのに
しおりを挟む
「アオ」
低く優しい声で名前を呼ばれ、まぶたがふわりと開く。
目の前にはレイの腕。少し力の入ったその腕にしっかりと抱きしめられながら、僕はベッドの中で目を覚ました。
——農園から帰ってきてから、レイは以前にも増して甘くなった。
少しくすぐったくなるくらい、甘い雰囲気。
胸に触れてみると、固く引き締まった筋肉が手のひらに伝わってくる。思わず、そのまま指先でなぞってしまった。
「……アオ、誘ってる?」
「えっ」
「する?」
「しないよ。平日の朝はしないって決めたでしょ」
「まだ時間はある」
耳の奥に落ちる甘い声。僕だけにしか見せない、甘えているレイ。僕は、この姿にとても弱い。
唇が重なり、深く甘いキスが落ちてくる。ちゅ、と首に音を立てて舌先が触れた瞬間——
Rrrrrrr
レイのスマホが小さく震えだした。
「んっ……レ、イ……スマホ鳴ってるっ」
それでもレイは全く気に留めず、さらにキスを落としてくる。
「レイ……だめ、ってば。早く出て……っ」
「後で」
そう言って、唇を首筋から鎖骨へ滑らせていく。
「だめっ。もう! じっとしててね。僕、出るから」
震える手でスマホを取ってみると、表示された名前は《アキト》。
「もしもし、アキトさん……っ」
『あっ、アオくん? レイは起きてるかな——』
答えようとした瞬間、レイの唇が胸を滑り、そのまま下へと降りていく。
「レ、レイ! アキトさんだからっ……!」
必死で声を押し殺しても、吐息が零れてしまう。
『……アオくん? 大丈夫?』
「あっ……す、すみませ……ッ」
と言ったところで、レイがスマホを奪い取った。
「後で」
一方的に電話を切る。
「アオって、俺よりアキトとの電話のほうが大事なんだ?」
耳元で囁かれる声は、少し拗ねたようで。
「そ、そんなわけないでしょ……でも大事な用事かもしれないじゃないか……っ」
「アオより大切なものなんてない」
そう呟いて、レイは再び僕を甘い渦へと沈めていった。
低く優しい声で名前を呼ばれ、まぶたがふわりと開く。
目の前にはレイの腕。少し力の入ったその腕にしっかりと抱きしめられながら、僕はベッドの中で目を覚ました。
——農園から帰ってきてから、レイは以前にも増して甘くなった。
少しくすぐったくなるくらい、甘い雰囲気。
胸に触れてみると、固く引き締まった筋肉が手のひらに伝わってくる。思わず、そのまま指先でなぞってしまった。
「……アオ、誘ってる?」
「えっ」
「する?」
「しないよ。平日の朝はしないって決めたでしょ」
「まだ時間はある」
耳の奥に落ちる甘い声。僕だけにしか見せない、甘えているレイ。僕は、この姿にとても弱い。
唇が重なり、深く甘いキスが落ちてくる。ちゅ、と首に音を立てて舌先が触れた瞬間——
Rrrrrrr
レイのスマホが小さく震えだした。
「んっ……レ、イ……スマホ鳴ってるっ」
それでもレイは全く気に留めず、さらにキスを落としてくる。
「レイ……だめ、ってば。早く出て……っ」
「後で」
そう言って、唇を首筋から鎖骨へ滑らせていく。
「だめっ。もう! じっとしててね。僕、出るから」
震える手でスマホを取ってみると、表示された名前は《アキト》。
「もしもし、アキトさん……っ」
『あっ、アオくん? レイは起きてるかな——』
答えようとした瞬間、レイの唇が胸を滑り、そのまま下へと降りていく。
「レ、レイ! アキトさんだからっ……!」
必死で声を押し殺しても、吐息が零れてしまう。
『……アオくん? 大丈夫?』
「あっ……す、すみませ……ッ」
と言ったところで、レイがスマホを奪い取った。
「後で」
一方的に電話を切る。
「アオって、俺よりアキトとの電話のほうが大事なんだ?」
耳元で囁かれる声は、少し拗ねたようで。
「そ、そんなわけないでしょ……でも大事な用事かもしれないじゃないか……っ」
「アオより大切なものなんてない」
そう呟いて、レイは再び僕を甘い渦へと沈めていった。
12
あなたにおすすめの小説
大学一軍イケメンにいちご狩りに誘われた陰キャの俺、なぜかいちごじゃなくて俺が喰われたんだが(?)
子犬一 はぁて
BL
大学一軍イケメン×大学九軍陰キャ
喰われるなんて聞いてないんだが(?)
俺はただ、
いちご狩りに誘われただけだが。
なのに──
誘ってきた大学一軍イケメンの海皇(21)に
なぜか俺が捕まって食われる展開に?
ちょっと待てい。
意味がわからないんだが!
いちご狩りから始まる
ケンカップルいちゃらぶBL
※大人描写のある話はタイトルに『※』あり
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜
飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。
でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。
しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。
秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。
美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。
秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。
邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
鍛えられた肉体、高潔な魂――
それは選ばれし“供物”の条件。
山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。
見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。
誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。
心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。
従僕に溺愛されて逃げられない
大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL!
俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。
その傍らには、当然のようにリンがいる。
荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。
高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。
けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。
当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。
居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。
さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。
主従なのか、恋人なのか。
境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。
従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる