グランサンクチュア 〜地底天空都市の伝説〜

大森六

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第一章 ヒューマニア王国

第3話 ダンジョン探掘

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 国印と共に「E級ダンジョン005」と書かれたゲートを通過する。ここは王国が管理しているダンジョンだ。

 歩きながらトッドがロイにパーティメンバーを紹介する。 

「こっちの二人は魔土術士ソレイジのジョーロと魔土戦士ソレイヤーのジェロだ。二人ともD級だから安心してくれ」


「「よろしく」」


「みなさん、よろしくお願いします。息子も一緒ですがお気になさらず、普段通り探掘と戦闘に集中してください。邪魔しないように気をつけますので」


「「了解」」


 ダンジョンに入ってから30分が経過し、トッドが立ち止まった。

「この辺りでちょっと掘ってみるから背後を頼んだよ」

 ジョーロとジェロが頷いて周囲を警戒する。ここはE級だ。強い魔物は出てこないが、ダンジョン内において油断は命取りだ。二人とも真剣に見張っている。


「父さん、僕もモグっていい?」

「あぁ、いいぞ。無理はするなよ」


 トッドは魔土術が付与された探掘刀でサクサク掘り進める。質のいいソイラを見つけてはそれを手際よく回収していく。

「ガッハッハ! やったぞ! ハイソイラじゃ!」

「すごい! 僕にも見せて!」

 魔土【ソイラ】にはグレードがある。

 低級魔土<ローソイラ>
 ブロッカ地区の住居に使われている素材。質は良くないがローポーションや生活水を生み出すことも。探掘物アイテムとして根菜系の野菜が採れることもある。

 中級魔土<ソイラ>
 城下町コンクーリや王都リトルガイアの街並み、建物のほとんどはこのソイラを使用している。探掘物アイテムとしてポーションや質の良い生活水、根菜系、葉茎菜類、果菜類の野菜などが取れることもある。

 高級魔土<ハイソイラ>
 王家が住む城、一部の上級貴族邸宅はこのハイソイラを使用して建てられている。アイテムとしてハイポーション、果物、武器や防具などが取れることも。一般的にB級ダンジョン以上で発掘されやすい。

 超級魔土<レアラ>
 今までヒューマニア王国管理下の探掘において発見されたことがない。グランサンクチュアで取れる希少魔土と言われている。

 神秘の魔土<ミステラ>
 このガイアの世界に存在しうるモノかどうかもわかっていない、伝承には残されているがその真偽は誰もわからない神秘の魔土。


 つまり、E級ダンジョンでハイソイラを掘り当てたトッドはかなり幸運だったと言えるのだ。

「よ~し、僕もトッドおじさんに続くよ!」

 ノア自作の探掘刀を右手に持ち、左手をダンジョン地面に当てて目をつぶる。

「サーチライト!」

 ノアのオリジナル魔土術まとじゅつだ。光を通してアイテムを探している。

「あっ! ここだ」

 そして探掘刀で一気に掘り進める。ローソイラばかりが掘り起こされるなか、ジャガイモを6個手に入れた。

「やった! 食料ゲットだ」

「おぉ、いいぞノア! その調子でどんどんいけ!」

「ノアの探掘刀の扱いもかなり洗練されてきてるなぁ。毎日鍛錬している証拠だな」

 隣で見ていたトッドも感心している。


 そしてノアがさらに掘り進めていた時、その掘った先に魔物が現れた。

「父さん! ドロイムだ!」

「ノア、冷静に対処してみろ。お前なら全く問題ないからさ」


「うん。わかった。任せて!」

 ドロドロした不定形な超低級の魔物。ノアは左手をドロイムに向けて魔土術を放つ。

「ファイア!」

 ドロイムが炎で焼かれて消失する。トッド以外のパーティーメンバーが驚く。

「さっきからさ、あの子無詠唱むえいしょうで魔土術使ってるよな?」

「しかもオリジナルってなんだよ」


 魔物を無事退治して喜ぶロイとノア。

「ノアよくやったぞ!」

「うん。ファイアも扱えるようになったよ!」

 魔物からドロップ品は出なかった。しかし、実戦経験の少ないノアにとって、魔物を楽に倒せたという事実は重要であった。

 その後もノアは順調にっていく。ロイやトッドから探掘刀の使い方を教わってどんどん吸収していく。そして魔物もドロイムだけでなく、ローソイラムカデやドブリン、ローソイラバットなど、計五匹を討伐した。収穫はジャガイモ、人参、大根に一定量のソイラだ。

「今日は豊作だな。本当に良くやったぞ」

 ニコッと笑ってロイがノアのモグラーとしての才能を讃える。
 同時にモグラーとしての大切なマナーもノアに伝える。

「ノア、モグるのはどうやってもいいわけだが、ここが王国みんなのダンジョンだということを忘れずにみんなが使いやすくなるように掘るんだ」


「使いやすく? それってどういうこと?」


「要するに、地面に穴を掘ったら次にきた冒険者が怪我する場合もあるんだ。だから優秀なモグラーは極端に垂直な探掘はしないんだよ。もしくはモグった後にならしてあげるとか、広めに掘るとかそういう気遣いが大事だってことさ」

 トッドが代わりに教えてくれる。

「あと、掘った後のマナーも大切だぞ。ちゃんと次の人のことを考えてモグるんだ」


「うん! わかったよ」


 こうして、今日のダンジョンモグラーは無事に終わった。


「ただいま! 母さん、野菜取ってきたよ!」


「おかえり~。あらあら。すごいじゃない! ちょうどジャガイモ欲しかったのよ。ありがとうね、ノア」


 嬉しそうに取った野菜を水で洗うノア。それをティアが不満そうに見ている。


「いいなぁ。お兄ちゃんばっかり……」

 ふて腐れるティアの頭を撫でてロイが笑顔で言葉をかける。


「今度ティアも一緒に行ってみるか。ダンジョン」


 ソイラ製キッチンコンロに手をかざして火をつけてシチューを作っているリリカが心配そうにこっちを見ている。

「大丈夫かしら……ティアはまだ9歳よ。魔土術はそれなりに使えるけどモグラーはちょっと難しいわ」


「大丈夫さ。探掘自体は少し体験すれば満足するだろうしね。まぁ、いい経験にもなるからさ」



 夜になり、ノアが壁に手を触れて明かりをつける。照明部分は光属性のソイラを使用している。食卓に夕食が並び、家族で美味しくいただく。


「今日も母なる大地、ガイアの恵みに感謝して」


「「「いただきます!」」」



 こうしてノアと家族の楽しい日常がまた一日終わりを迎える。
そして数ヶ月の時が経過した。


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