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第一章 ヒューマニア王国
第21話 地下牢の髪飾り
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「ノア、どういうこと? 国王に直接誰かがマナの流れを止める操作をしているってこと?」
「そうです。そしてそれは遠隔の可能性も部屋の中から直接操作している可能性もあります」
半信半疑ではあるが、他でもないノアの言うことだ。まずは意見を聞くミラ王女。
「まず、直接的にとなると……国王の寝室にずっと居るのは医療系魔土術団しかいないわ」
ノアが頷く。そう、ノアが言いたいのはその医療系魔土術団の中に裏切り者がいる可能性があるということだ。
「まずは首謀者の追及よりも地下にある邪気を纏った髪飾りを見せていただくことは可能ですか? 国王の治療へ繋がることでもありますので」
「わかったわ。今から向かいましょう」
ノアたちはミラ王女の案内で王宮の西側にある地下牢へと向かった。薄暗い螺旋階段を降りていくと強固なハイソイラの壁に結界が張られた牢獄の階層にたどり着く。ティアとリリアナが恐怖のあまり抱き合っている。
「だ、大丈夫よ、リリアナ。ティアが守ってあげるから」
「ありがとう。ティア」
「ミラお嬢様、危険な場所ですのでどうかお早めにお戻りください」
ヘンドリックが背後の見張り役として階段で待つことに。そして再び奥へと歩き出す。
王宮内で罪を犯したものたちがここに閉じ込められる。牢獄とはいっても極悪な犯罪者が居るわけではない。しかし、ノアはすでに異常な邪気に気がついていた。
「ここですわ。触れる際にはお気をつけて。何人かの騎士団兵士が気絶するほどの邪気です」
牢の扉を開けて中へ入るロイとノア。リリカたちも遅れて恐る恐る入る。
「確かにとんでもない邪気を放っているな」
「うん。これが舞踏の間に落ちていたなんてあり得ない状況だね」
ノアは髪飾りに向かって手をかざす。
「サーチライト<スキャン>」
「えぇ⁈ ノア、どうしてここで魔土術が使えるの? ここはハイソイラの魔素を使って強力な魔土術結界を張っているわ。ソレイジが術を使えない場所のはずよ!」
ノアが笑って魔物の皮で作られたネックレスを見せる。小さな魔土のカケラが一つ付けられている。
「これ、超級魔土のカケラを加工したものなんです。だから僕たちはどこにいてもその環境のソイラの状況に関係なく魔土術が使えます。勿論、このレアラの効力が消えるまで、ですが。」
ロイ、リリカ、ティアも同じネックレスを持っている。全てノア製作のものだ。一般にもこのような携帯用のソイラアクセサリーは普及しているが、レアラ製となると話は別だ。
特筆すべき点としてノアはそこに術者が放つ魔土術の効果を上げるために家族全員のマナの特性を把握した上でそれぞれ調整を加えたアクセサリーを製作している。
驚き過ぎてこの程度ではむしろ「ノアっぽい」とまで思うようになってきたミラ王女。そして何かを掴んだ表情を見せるノアが言う。
「とりあえず、ここから出ましょうか」
* * *
奥の間に戻ってきたノアたち。
「ミラ王女。国王の寝室へ伺う許可をいただけませんか? 私たち全員です」
ノアの言葉に反応してミラ王女がヘンドリックに指示を出す。
そしてノアがサーチして得られた情報を話す。
「ミラ王女がおっしゃる通り、これは魔族の仕業とみて良さそうですね。
そしてあの髪飾りも現在の国王の病へ影響を与えています」
「髪飾りが病へ影響をですって⁈」
「はい。まず、この髪飾り自体は貴族が身につける高級品でしょうが、金貨があれば市場で手に入ります。そこへ強力な邪気を掛けて覆っているようです。なので、王宮内の誰でも舞踏の間に置くことが可能です」
「ちょっと待ってノア。それって王宮の誰かがあの強烈な邪気を髪飾りに纏わせたってこと? それってつまり……」
言葉を詰まらせるミラ王女に代わってロイが確認する。
「魔族が王宮の誰かに化けているってことだな?」
神妙な面持ちで深く頷くノア。やはり最悪の事態のようだ。
「しかも、何人いるのかがわかりません」
「ちょっと待ってノア。私はあなたも知っての通り、聖属性の魔土術を使うわ。そんな私から観ても王宮内の人間からは邪気を一切感じなかったわ。魔族が邪気を完璧に隠すなんて可能なの?」
「僕は魔族を見たことがありません。だから魔族ができるかどうかは正直わかりません。ですが、アイテムを使えば邪気を完全に消すことができるとは断言できます。あの牢獄の結界のように、魔族自身の邪気が外へもれないように包み込んで遮断すればいいんです。魔族のレベルにもよりますが、ハイソイラがあればできますよ」
「なるほどな……確かにそうだ」
ロイが納得する。
「あの結界で髪飾りの邪気が外部へもれていなかったわよね。だとしたらノアのいうアクセサリーを魔族がつけて術によって人族の風貌になっていたら、表向き邪気のない普通の人族ね。怖いわ……」
ロイが王宮内全ての人間を再度調べる必要性を説く。ノアも同意する。最悪の場合、ほとんど魔族だったという可能性もあるのだから。
「ノア、あなたそれを見分けることができるの?」
リリカの問いにはっきりと答える。
「サーチライトですぐわかるよ。ちなみに、前回の謁見の間では国王とその側近の人には確認済。魔族ではないよ」
「国王を魔族と疑うとはどういうことですか!」
「いえ、そういう意味ではありません。もともと国王の容体を詳しく知るために調べる必要がありましたから、サーチライトをかけただけです。たまたま二次的な結果として人族だと証明されただけです。疑っているわけではありませんし、他意はありません」
怒るミラ王女に弁明するノア。そしてノアの口調が10歳とは思えないことに諦めの境地に達して笑顔すら見せるロイとリリカ。
ふと、ロイが謁見の間のことを思い出す。
「つまり、第二王子は魔族の可能性が高いということか?」
「調べたわけではありませんが、おそらく……」
トントンとノックが聞こえる。ヘンドリックだ。どうやら国王との面会時間が決まったようだ。
「ヘンドリック。父上からはどのように? 面会の時間は決まりましたか」
「はい。ミラ王女。国王様より今すぐにとのことです」
「そうです。そしてそれは遠隔の可能性も部屋の中から直接操作している可能性もあります」
半信半疑ではあるが、他でもないノアの言うことだ。まずは意見を聞くミラ王女。
「まず、直接的にとなると……国王の寝室にずっと居るのは医療系魔土術団しかいないわ」
ノアが頷く。そう、ノアが言いたいのはその医療系魔土術団の中に裏切り者がいる可能性があるということだ。
「まずは首謀者の追及よりも地下にある邪気を纏った髪飾りを見せていただくことは可能ですか? 国王の治療へ繋がることでもありますので」
「わかったわ。今から向かいましょう」
ノアたちはミラ王女の案内で王宮の西側にある地下牢へと向かった。薄暗い螺旋階段を降りていくと強固なハイソイラの壁に結界が張られた牢獄の階層にたどり着く。ティアとリリアナが恐怖のあまり抱き合っている。
「だ、大丈夫よ、リリアナ。ティアが守ってあげるから」
「ありがとう。ティア」
「ミラお嬢様、危険な場所ですのでどうかお早めにお戻りください」
ヘンドリックが背後の見張り役として階段で待つことに。そして再び奥へと歩き出す。
王宮内で罪を犯したものたちがここに閉じ込められる。牢獄とはいっても極悪な犯罪者が居るわけではない。しかし、ノアはすでに異常な邪気に気がついていた。
「ここですわ。触れる際にはお気をつけて。何人かの騎士団兵士が気絶するほどの邪気です」
牢の扉を開けて中へ入るロイとノア。リリカたちも遅れて恐る恐る入る。
「確かにとんでもない邪気を放っているな」
「うん。これが舞踏の間に落ちていたなんてあり得ない状況だね」
ノアは髪飾りに向かって手をかざす。
「サーチライト<スキャン>」
「えぇ⁈ ノア、どうしてここで魔土術が使えるの? ここはハイソイラの魔素を使って強力な魔土術結界を張っているわ。ソレイジが術を使えない場所のはずよ!」
ノアが笑って魔物の皮で作られたネックレスを見せる。小さな魔土のカケラが一つ付けられている。
「これ、超級魔土のカケラを加工したものなんです。だから僕たちはどこにいてもその環境のソイラの状況に関係なく魔土術が使えます。勿論、このレアラの効力が消えるまで、ですが。」
ロイ、リリカ、ティアも同じネックレスを持っている。全てノア製作のものだ。一般にもこのような携帯用のソイラアクセサリーは普及しているが、レアラ製となると話は別だ。
特筆すべき点としてノアはそこに術者が放つ魔土術の効果を上げるために家族全員のマナの特性を把握した上でそれぞれ調整を加えたアクセサリーを製作している。
驚き過ぎてこの程度ではむしろ「ノアっぽい」とまで思うようになってきたミラ王女。そして何かを掴んだ表情を見せるノアが言う。
「とりあえず、ここから出ましょうか」
* * *
奥の間に戻ってきたノアたち。
「ミラ王女。国王の寝室へ伺う許可をいただけませんか? 私たち全員です」
ノアの言葉に反応してミラ王女がヘンドリックに指示を出す。
そしてノアがサーチして得られた情報を話す。
「ミラ王女がおっしゃる通り、これは魔族の仕業とみて良さそうですね。
そしてあの髪飾りも現在の国王の病へ影響を与えています」
「髪飾りが病へ影響をですって⁈」
「はい。まず、この髪飾り自体は貴族が身につける高級品でしょうが、金貨があれば市場で手に入ります。そこへ強力な邪気を掛けて覆っているようです。なので、王宮内の誰でも舞踏の間に置くことが可能です」
「ちょっと待ってノア。それって王宮の誰かがあの強烈な邪気を髪飾りに纏わせたってこと? それってつまり……」
言葉を詰まらせるミラ王女に代わってロイが確認する。
「魔族が王宮の誰かに化けているってことだな?」
神妙な面持ちで深く頷くノア。やはり最悪の事態のようだ。
「しかも、何人いるのかがわかりません」
「ちょっと待ってノア。私はあなたも知っての通り、聖属性の魔土術を使うわ。そんな私から観ても王宮内の人間からは邪気を一切感じなかったわ。魔族が邪気を完璧に隠すなんて可能なの?」
「僕は魔族を見たことがありません。だから魔族ができるかどうかは正直わかりません。ですが、アイテムを使えば邪気を完全に消すことができるとは断言できます。あの牢獄の結界のように、魔族自身の邪気が外へもれないように包み込んで遮断すればいいんです。魔族のレベルにもよりますが、ハイソイラがあればできますよ」
「なるほどな……確かにそうだ」
ロイが納得する。
「あの結界で髪飾りの邪気が外部へもれていなかったわよね。だとしたらノアのいうアクセサリーを魔族がつけて術によって人族の風貌になっていたら、表向き邪気のない普通の人族ね。怖いわ……」
ロイが王宮内全ての人間を再度調べる必要性を説く。ノアも同意する。最悪の場合、ほとんど魔族だったという可能性もあるのだから。
「ノア、あなたそれを見分けることができるの?」
リリカの問いにはっきりと答える。
「サーチライトですぐわかるよ。ちなみに、前回の謁見の間では国王とその側近の人には確認済。魔族ではないよ」
「国王を魔族と疑うとはどういうことですか!」
「いえ、そういう意味ではありません。もともと国王の容体を詳しく知るために調べる必要がありましたから、サーチライトをかけただけです。たまたま二次的な結果として人族だと証明されただけです。疑っているわけではありませんし、他意はありません」
怒るミラ王女に弁明するノア。そしてノアの口調が10歳とは思えないことに諦めの境地に達して笑顔すら見せるロイとリリカ。
ふと、ロイが謁見の間のことを思い出す。
「つまり、第二王子は魔族の可能性が高いということか?」
「調べたわけではありませんが、おそらく……」
トントンとノックが聞こえる。ヘンドリックだ。どうやら国王との面会時間が決まったようだ。
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「はい。ミラ王女。国王様より今すぐにとのことです」
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