グランサンクチュア 〜地底天空都市の伝説〜

大森六

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第一章 ヒューマニア王国

第30話 二人でB級ダンジョンへ

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 モグラーギルドと冒険者ギルドに申請を行い、いよいよダンジョンへと向かうノアとエミラ(ミラ王女)。そしてバレてはいるがひっそりと跡をつけている変装したヘンドリック。

「エ、エミラ。今日はブロッカエリアのB級ダンジョンに向かいま……向かうよ」

 エミラの時は呼び捨てで、敬語無しで話すようにとミラ王女から言われ、慣れないが努力するノア。


「わかったわ! いきなりB級って冗談かと思ったけど。さすがノアね」


(ミラ様……二人でB級ダンジョンに挑むなんて過去に例がありませんぞ……それを国王には一切告げ口するなと……心配で来たもののどうしたらいいものか……)


 そして、ブロッカエリア内のB級ダンジョン002 の入口前に来た。

「早速行くよ! ダンジョン最下層へ行くまではできるだけエミラも魔土術まとじゅつを使わずに剣で魔物を倒していこう」

「わかったわ!」

「それではヘンドリックさん! 行ってきます! そこで待っていてください」

「あ……はい」


 いよいよノアたち《希望のつるぎ》のダンジョン探掘が始まる。

「サーチライト! それからウォームライト!」

 ノアの指示でどんどん奥へと進んで行く。


「10m先にドブリンが3匹。左の2匹を僕が、右をエミラが倒す!」

「了解!」

 上層の魔物は全く問題ない。剣術で魔物を圧倒するノアとエミラ。

「あ、ここ少しモグるから、エミラは周囲の警戒をお願いね」

 そういって、探掘刀を持ってザクザク掘って行くノア。そしてエミラは気付く。
 上層とはいえ、今自分はダンジョンに一人だと。王宮とは違って誰も助けになど来ない。

 冷や汗が頬をつたって地面に落ちる。

(これがダンジョンのプレッシャーなのね……)


《エミラ、そっちは異常ない?》

 エミラの不安を感じ取ったかのようにマナフォンで声を掛けるノア。その瞬間、エミラの中の不安が消え去る。そう、このとんでもないアイテムを作る人間こそが希望のつるぎパーティーのリーダーだ。


《問題ないわ! そっちはどう? 何か見つかった?》


《野菜が沢山採れたよ! これでブロッカの人たちに少しでも配れたら》


 ノアとエミラは最初から決めていた。希望の剣がダンジョンでモグって探掘した食料は全てヒューマニア王国を通して困窮するブロッカの貧民層に無償で配ると。
 それもあってか、今日のノアの探掘刀のキレは一段と鋭い。

「こ、こんなに採れたの? 私のアイテム袋でもギリギリかも……」

 エミラの前に出された収穫物の量がとんでもなかった。ノアは腰に掛ける袋を一つエミラに手渡す。

「はい、これ。コンクーリのアイテム袋だとソイラの容量しか入らないから、僕が高級魔土ハイソイラで改良しておいた。王宮でいうと調理室くらいの広さの収容力はあると思うよ」

「…………」

 サクサクと詰め込んでいる楽しそうなノアを見て、突っ込むのをやめるエミラ。もはやこいつに何を言っても伝わらない。


 ハイペースでどんどん進んで行くノアたち。最下層へと到着した。

「うん……壁や地面が中級魔土ソイラでできている。ここはB級エリアだね」
 唾を飲み込んで緊張するエミラとワクワクしているノア。

「サーチライト<スキャン>」

 周囲を深くまで調べるノア。


「前方の地面から魔物が4匹! おそらくソイラムカデだ! エミラは詠唱えいしょうして魔土術の準備を!」


 ドドド……地面が揺れて大きな穴ができたと同時にソイラムカデが襲いかかる。
 

「ラ・ファイア!」

 
 ファイアの上級魔土術を放つエミラ。二体が焼けて消えた。そして残り二体をノアがロングソードでぶった斬ってあっさりと終わらせる。


「エミラ、すごく強力な魔土術だったけど、マナは大丈夫? 焦って思わず放ってしまった感じだね」

「ハァ、ハァ……そうね。ちょっと怖かったかも。あんなに大きくて複数同時に襲って来たからつい……」

「うん。よくわかるよ。見た目も可愛くないしね。結構恐怖だよね」

 ソイラムカデのキャタピラを外してアイテム袋に放り込みながら、淡々とノアが話を続ける。

「でも僕らはパーティーだ。一人じゃない。無理しなくても倒せるからリラックスしていこう!」

 しゃがんで作業しながらも振り向いて笑顔で言うノア。これでエミラの中に少し余裕が生まれた。ノアの指示に従って動けば必ず勝てると。

 その後も、ソイラや野菜、聖水をどんどん見つけて回収していく。時々ハイソイラを探掘した時には二人でハイタッチして喜んだ。


「ソイラバットが大量に来る! 結界でエミラ自信を防御の後、広範囲を意識してファイアで応戦して! 僕は斬って燃やしていくから」

「了解!……ん? 斬って燃やす?」

 とりあえずエミラが結界魔土術の詠唱を終えてバリアを張った。ノアは迷わずソイラバットの方へ向かっていく。全方位から襲いかかるソイラバットにロングソードを一振り!

 ボワッと強烈な炎が刃先全体から吹き出し、周囲のソイラバッドを一掃する。

 逃れたソイラバッドがエミラに襲いかかるがバリアの中に入れない。

「ファイア!」

 前衛でノアが大幅に数を減らして、漏れた少数をエミラが焼き尽くす。こうしてソイラバットの群れを無傷で倒した。


「ちょっと! ノア! 今炎系の魔土術を剣にエンチャントした? いきなり炎が上がった気がしたけど⁈」

「エンチャントはしていないよ。このグリップとガードの部分に魔土術を付与したソイラを組み込んでみたんだ。かなりいい手応えだよ!」

「それ! 私の武器にも付与してよ!」

「あ、いや、もしも暴発したら危ないから暫くは僕が使って、その後父さんや王国騎士に——」

「いいから! 王宮に戻ったら私の武器に付与しなさい!」

「あ……は、はい……」


 その後も順調に進めていく。モグってはアイテムを探掘し、魔物に遭遇しては二人の連携で倒していく。そうして無事にダンジョンを踏破したノアとエミラだった。


 ダンジョンから出て来たエミラをヘンドリックが迎える。そのまま冒険者ギルドとモグラーギルドへ報告し、王宮へ無事帰還したノアたちだった。
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