50 / 55
第一章 ヒューマニア王国
第50話 二人でS級ダンジョンへ 02
しおりを挟む
「はぁ? あなた今探掘刀が真っ二つに折れちゃったのを見たでしょ? 地面が硬すぎるのよ」
ニヤついているノアの顔がちょっとムカつく。
「ふっふっふっ……」
「何よ。早く言いなさいよ」
ノアがアイテム袋からゴソゴソと何かを探して取り出した。そして誇らしげに掲げる。
「三代目探掘刀! レアラグロー刃!」
「だから何よ。どうせ折れるわよ」
ニヤついたままノアはレアラグロー刃を装着して地面に向かって思い切りその刃をぶっさした。
「え! 折れない! なんで?」
ノアはサクサクとモグり始めた。収穫できる高級魔土を次々とアイテム袋へと回収していく。
「エミラはバリアを張ってね! 魔物は強いから」
「わかってるけど、モグれた理由を教えなさいよ!」
またイラつくエミラ。少し悔しさもあるのだろう。
「うわ! 魔物だ!」
地中からノアの声が聞こえた。どうやらモグッている最中に魔物に遭遇したようだ。焦るエミラだったが、その後、ファイアという声と共にとんでもない炎が吹き上がる。
「これ、もはやファイアじゃないわよ。私のラ・ファイア以上じゃないの……」
煙とともにノアがひょこっと顔を出した。
「ゲホッ、ゲホッ! クッソ~周囲の高級魔土がダメージを負っちゃったよ。あれは回収できない」
「で、魔物は大丈夫だったの?」
「あ、うん。やっつけたよ。モグッた時は剣を使えないから周囲を魔土術で壊してしまうのが難点だなぁ」
「いや、ここに出てくる魔物ってA級かS級でしょ? それを倒せたんだから高級魔土くらいどうでもいいじゃない」
何もわかっていないなぁと言いたげな顔でノアが語る。
「ハイソイラは……男のロマンなのさ」
「……どうでもいいから早くこのカチカチの地面を掘れた理由を教えなさいよ」
ノアはつまらなさそうに渋々教える。先日ミネルヴァ校長からもらった超級魔土を使って純正レアラの探掘刀をつくったこと。そして高級魔土と超級魔土では素材の質が全く違うのでハイソイラがどれだけ硬くてもレアラには敵わないということだった。
そしてノアは狂ったようにハイペースでハイソイラを回収していく。勿論途中で様々なアイテムが出てくるのも一緒に。ふと、あることが気になるエミラ。
「ねぇ、ノア。回収はいいとして、あなたのアイテム袋、余裕あるの? 結構限界じゃない?」
「全然問題ないよ。アイテム袋もレアラで改良したから」
「ちょっと! 何それ! 私は貰ってないわよ」
「そりゃそうだよ。この超級魔土は僕が教員になることで校長からいただいた報酬。だから僕が好きなように使っていいものでしょ!」
「私にも作りなさい! ノア、これは命令よ」
「えぇ! そんなの王女の職権濫用だ! 断固拒否する!」
「10歳のくせにそんな言葉を使わないの! ノアのものは私のもの、私のものも私のものよ!」
「そんな無茶苦茶な――」
ゴゴゴゴゴゴ……
何か地響きのような音と震えがする。
「サーチライト!」
「何がくるの?」
「おそらくソイラグリズリーの群れだ。十数頭くらいかな」
「S級魔物の群れが襲ってくるなんて……」
恐怖を感じているのだろうか、エミラの手の震えが止まらない。その時、ノアの手も同じように震えているのをエミラは見てしまった。まさかノアも恐怖を感じて…………ん? こいつニヤニヤ笑っている……
「エミラ、身体強化魔土術を二人にお願い。その後はエミラ自身に物理攻撃のバリアを張って。余裕があったら僕の攻撃から漏れた魔物を魔土術で狙って」
「わかったわ! ノアはどうするの?」
「僕はちょっと試したいことがあってね」
S級の魔物が群れで襲ってくるときに試し技するのはやめろとエミラは思ったが、何も言わなかった。大体のこういう時のノアは圧勝すると、これまでのダンジョン踏破の経験でわかっているからだ。
地響きが大きくなり、目の前にソイラグリズリーたちが現れた。
「グアァァ!」
なんと、魔物が身体強化魔土術をかけている。そのままノアのいる方へ突っ込んできた。
「ノア! 危ない!」
「……ウサ爺のおかげだな。今までと感覚が全然違う」
そう呟いた後、ゆっくりと魔物に向かって左腕を伸ばして人差し指と中指を突き出す。
「射撃<水弾>」
音がほとんど聞こえない、シュッと風を切った程度。しかし襲いかかってきたソイラグリズリーの眉間を貫通するほどの威力。何が起こったのかわからない魔物たちが混乱している。
その後もノアのオリジナル魔土術【射撃】が次々と魔物を倒していく。
「いけ! ノア! そのままやっちゃって!」
ガチガチにバリアを張って応援していたエミラに急所を外れたソイラグリズリーが立ち上がって攻撃を仕掛ける。
「グオォォ!」
ガン! ガン! バリアが攻撃に耐えているがヒビが入った。後数回で割れてしまいそうな状況だが、ノアは助けにこない。
「この一頭は私が倒す! 狙うは傷口の胸部かそれとも頭か……大切なのはイメージよ……」
「グオォォォォー!」
ソイラグリズリーが両前脚で一気にバリアを破壊する。
「ファイア!」
エミラが選んだ魔土術はファイアだった。しかし、ただの初期魔土術ではない。ノアより授かった魔土術の操作方法でグリズリーの頭部を覆うように炎が曲面状に燃え上がる。
魔物が戸惑っているうちにその場から離れて窮地を脱するエミラ。しかしエミラは追撃の魔土術を放たない。苦しそうに動き回るソイラグリズリーの顔にまとわりつく炎。エミラは放った後の炎の位置を顔から離れないように制御していた。そしてそのまま前のめりに倒れるソイラグリズリー。
ノアが他の魔物を全て倒して戻ってきた。
「エミラ、やったね! ファイアをイメージ通りコントロールできた?」
「う~ん。まだまだかな。でもなんとか勝てたわ」
ノアによってダメージを受けていた魔物とはいえ、S級を自分の手で倒した。
少しずつ実力がついていると実感できるはずだったが、ノアが18頭のソイラグリズリーを一人で倒していたことを知り、素直に喜べないエミラだった。
ニヤついているノアの顔がちょっとムカつく。
「ふっふっふっ……」
「何よ。早く言いなさいよ」
ノアがアイテム袋からゴソゴソと何かを探して取り出した。そして誇らしげに掲げる。
「三代目探掘刀! レアラグロー刃!」
「だから何よ。どうせ折れるわよ」
ニヤついたままノアはレアラグロー刃を装着して地面に向かって思い切りその刃をぶっさした。
「え! 折れない! なんで?」
ノアはサクサクとモグり始めた。収穫できる高級魔土を次々とアイテム袋へと回収していく。
「エミラはバリアを張ってね! 魔物は強いから」
「わかってるけど、モグれた理由を教えなさいよ!」
またイラつくエミラ。少し悔しさもあるのだろう。
「うわ! 魔物だ!」
地中からノアの声が聞こえた。どうやらモグッている最中に魔物に遭遇したようだ。焦るエミラだったが、その後、ファイアという声と共にとんでもない炎が吹き上がる。
「これ、もはやファイアじゃないわよ。私のラ・ファイア以上じゃないの……」
煙とともにノアがひょこっと顔を出した。
「ゲホッ、ゲホッ! クッソ~周囲の高級魔土がダメージを負っちゃったよ。あれは回収できない」
「で、魔物は大丈夫だったの?」
「あ、うん。やっつけたよ。モグッた時は剣を使えないから周囲を魔土術で壊してしまうのが難点だなぁ」
「いや、ここに出てくる魔物ってA級かS級でしょ? それを倒せたんだから高級魔土くらいどうでもいいじゃない」
何もわかっていないなぁと言いたげな顔でノアが語る。
「ハイソイラは……男のロマンなのさ」
「……どうでもいいから早くこのカチカチの地面を掘れた理由を教えなさいよ」
ノアはつまらなさそうに渋々教える。先日ミネルヴァ校長からもらった超級魔土を使って純正レアラの探掘刀をつくったこと。そして高級魔土と超級魔土では素材の質が全く違うのでハイソイラがどれだけ硬くてもレアラには敵わないということだった。
そしてノアは狂ったようにハイペースでハイソイラを回収していく。勿論途中で様々なアイテムが出てくるのも一緒に。ふと、あることが気になるエミラ。
「ねぇ、ノア。回収はいいとして、あなたのアイテム袋、余裕あるの? 結構限界じゃない?」
「全然問題ないよ。アイテム袋もレアラで改良したから」
「ちょっと! 何それ! 私は貰ってないわよ」
「そりゃそうだよ。この超級魔土は僕が教員になることで校長からいただいた報酬。だから僕が好きなように使っていいものでしょ!」
「私にも作りなさい! ノア、これは命令よ」
「えぇ! そんなの王女の職権濫用だ! 断固拒否する!」
「10歳のくせにそんな言葉を使わないの! ノアのものは私のもの、私のものも私のものよ!」
「そんな無茶苦茶な――」
ゴゴゴゴゴゴ……
何か地響きのような音と震えがする。
「サーチライト!」
「何がくるの?」
「おそらくソイラグリズリーの群れだ。十数頭くらいかな」
「S級魔物の群れが襲ってくるなんて……」
恐怖を感じているのだろうか、エミラの手の震えが止まらない。その時、ノアの手も同じように震えているのをエミラは見てしまった。まさかノアも恐怖を感じて…………ん? こいつニヤニヤ笑っている……
「エミラ、身体強化魔土術を二人にお願い。その後はエミラ自身に物理攻撃のバリアを張って。余裕があったら僕の攻撃から漏れた魔物を魔土術で狙って」
「わかったわ! ノアはどうするの?」
「僕はちょっと試したいことがあってね」
S級の魔物が群れで襲ってくるときに試し技するのはやめろとエミラは思ったが、何も言わなかった。大体のこういう時のノアは圧勝すると、これまでのダンジョン踏破の経験でわかっているからだ。
地響きが大きくなり、目の前にソイラグリズリーたちが現れた。
「グアァァ!」
なんと、魔物が身体強化魔土術をかけている。そのままノアのいる方へ突っ込んできた。
「ノア! 危ない!」
「……ウサ爺のおかげだな。今までと感覚が全然違う」
そう呟いた後、ゆっくりと魔物に向かって左腕を伸ばして人差し指と中指を突き出す。
「射撃<水弾>」
音がほとんど聞こえない、シュッと風を切った程度。しかし襲いかかってきたソイラグリズリーの眉間を貫通するほどの威力。何が起こったのかわからない魔物たちが混乱している。
その後もノアのオリジナル魔土術【射撃】が次々と魔物を倒していく。
「いけ! ノア! そのままやっちゃって!」
ガチガチにバリアを張って応援していたエミラに急所を外れたソイラグリズリーが立ち上がって攻撃を仕掛ける。
「グオォォ!」
ガン! ガン! バリアが攻撃に耐えているがヒビが入った。後数回で割れてしまいそうな状況だが、ノアは助けにこない。
「この一頭は私が倒す! 狙うは傷口の胸部かそれとも頭か……大切なのはイメージよ……」
「グオォォォォー!」
ソイラグリズリーが両前脚で一気にバリアを破壊する。
「ファイア!」
エミラが選んだ魔土術はファイアだった。しかし、ただの初期魔土術ではない。ノアより授かった魔土術の操作方法でグリズリーの頭部を覆うように炎が曲面状に燃え上がる。
魔物が戸惑っているうちにその場から離れて窮地を脱するエミラ。しかしエミラは追撃の魔土術を放たない。苦しそうに動き回るソイラグリズリーの顔にまとわりつく炎。エミラは放った後の炎の位置を顔から離れないように制御していた。そしてそのまま前のめりに倒れるソイラグリズリー。
ノアが他の魔物を全て倒して戻ってきた。
「エミラ、やったね! ファイアをイメージ通りコントロールできた?」
「う~ん。まだまだかな。でもなんとか勝てたわ」
ノアによってダメージを受けていた魔物とはいえ、S級を自分の手で倒した。
少しずつ実力がついていると実感できるはずだったが、ノアが18頭のソイラグリズリーを一人で倒していたことを知り、素直に喜べないエミラだった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
冴えない建築家いずれ巨匠へと至る
木工槍鉋
ファンタジー
「建築とは、単なる箱を作ることではない。そこに流れる『時』を設計することだ――」
かつてそう語り、伝説の巨匠と呼ばれることになる男も、かつては己の名前に怯えるだけの冴えない二級建築士だった。
安藤研吾、40代。独立したものの仕事はなく、下請けとして「情緒のない真四角な箱」の図面を引き続ける日々。そんな彼が恩師に教えられた座標の先で迷い込んだのは、昭和初期を彷彿とさせる、魔法のない異世界だった。
現代の建築知識、そして一釘一釘を大切にする頑固大工との出会い。 「便利さ」ではなく「住む人の幸せ」を求めて、研吾は廃村に時計台を建て、水路を拓き、人々の暮らしを再生していく。
異世界で「百年の計」を学んだ研吾が現実世界に戻ったとき、その設計は現代の建築界をも揺るがし始める。 これは、一人の男が仕事への誇りを取り戻し、本物の「巨匠」へと駆け上がるまでの、ひたむきな再建の記録。
ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜
KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞
ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。
諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。
そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。
捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。
腕には、守るべきメイドの少女。
眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。
―――それは、ただの不運な落下のはずだった。
崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。
その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。
死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。
だが、その力の代償は、あまりにも大きい。
彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”――
つまり平和で自堕落な生活そのものだった。
これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、
守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、
いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。
―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件
こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる