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第一章 ヒューマニア王国
第50話 二人でS級ダンジョンへ 02
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「はぁ? あなた今探掘刀が真っ二つに折れちゃったのを見たでしょ? 地面が硬すぎるのよ」
ニヤついているノアの顔がちょっとムカつく。
「ふっふっふっ……」
「何よ。早く言いなさいよ」
ノアがアイテム袋からゴソゴソと何かを探して取り出した。そして誇らしげに掲げる。
「三代目探掘刀! レアラグロー刃!」
「だから何よ。どうせ折れるわよ」
ニヤついたままノアはレアラグロー刃を装着して地面に向かって思い切りその刃をぶっさした。
「え! 折れない! なんで?」
ノアはサクサクとモグり始めた。収穫できる高級魔土を次々とアイテム袋へと回収していく。
「エミラはバリアを張ってね! 魔物は強いから」
「わかってるけど、モグれた理由を教えなさいよ!」
またイラつくエミラ。少し悔しさもあるのだろう。
「うわ! 魔物だ!」
地中からノアの声が聞こえた。どうやらモグッている最中に魔物に遭遇したようだ。焦るエミラだったが、その後、ファイアという声と共にとんでもない炎が吹き上がる。
「これ、もはやファイアじゃないわよ。私のラ・ファイア以上じゃないの……」
煙とともにノアがひょこっと顔を出した。
「ゲホッ、ゲホッ! クッソ~周囲の高級魔土がダメージを負っちゃったよ。あれは回収できない」
「で、魔物は大丈夫だったの?」
「あ、うん。やっつけたよ。モグッた時は剣を使えないから周囲を魔土術で壊してしまうのが難点だなぁ」
「いや、ここに出てくる魔物ってA級かS級でしょ? それを倒せたんだから高級魔土くらいどうでもいいじゃない」
何もわかっていないなぁと言いたげな顔でノアが語る。
「ハイソイラは……男のロマンなのさ」
「……どうでもいいから早くこのカチカチの地面を掘れた理由を教えなさいよ」
ノアはつまらなさそうに渋々教える。先日ミネルヴァ校長からもらった超級魔土を使って純正レアラの探掘刀をつくったこと。そして高級魔土と超級魔土では素材の質が全く違うのでハイソイラがどれだけ硬くてもレアラには敵わないということだった。
そしてノアは狂ったようにハイペースでハイソイラを回収していく。勿論途中で様々なアイテムが出てくるのも一緒に。ふと、あることが気になるエミラ。
「ねぇ、ノア。回収はいいとして、あなたのアイテム袋、余裕あるの? 結構限界じゃない?」
「全然問題ないよ。アイテム袋もレアラで改良したから」
「ちょっと! 何それ! 私は貰ってないわよ」
「そりゃそうだよ。この超級魔土は僕が教員になることで校長からいただいた報酬。だから僕が好きなように使っていいものでしょ!」
「私にも作りなさい! ノア、これは命令よ」
「えぇ! そんなの王女の職権濫用だ! 断固拒否する!」
「10歳のくせにそんな言葉を使わないの! ノアのものは私のもの、私のものも私のものよ!」
「そんな無茶苦茶な――」
ゴゴゴゴゴゴ……
何か地響きのような音と震えがする。
「サーチライト!」
「何がくるの?」
「おそらくソイラグリズリーの群れだ。十数頭くらいかな」
「S級魔物の群れが襲ってくるなんて……」
恐怖を感じているのだろうか、エミラの手の震えが止まらない。その時、ノアの手も同じように震えているのをエミラは見てしまった。まさかノアも恐怖を感じて…………ん? こいつニヤニヤ笑っている……
「エミラ、身体強化魔土術を二人にお願い。その後はエミラ自身に物理攻撃のバリアを張って。余裕があったら僕の攻撃から漏れた魔物を魔土術で狙って」
「わかったわ! ノアはどうするの?」
「僕はちょっと試したいことがあってね」
S級の魔物が群れで襲ってくるときに試し技するのはやめろとエミラは思ったが、何も言わなかった。大体のこういう時のノアは圧勝すると、これまでのダンジョン踏破の経験でわかっているからだ。
地響きが大きくなり、目の前にソイラグリズリーたちが現れた。
「グアァァ!」
なんと、魔物が身体強化魔土術をかけている。そのままノアのいる方へ突っ込んできた。
「ノア! 危ない!」
「……ウサ爺のおかげだな。今までと感覚が全然違う」
そう呟いた後、ゆっくりと魔物に向かって左腕を伸ばして人差し指と中指を突き出す。
「射撃<水弾>」
音がほとんど聞こえない、シュッと風を切った程度。しかし襲いかかってきたソイラグリズリーの眉間を貫通するほどの威力。何が起こったのかわからない魔物たちが混乱している。
その後もノアのオリジナル魔土術【射撃】が次々と魔物を倒していく。
「いけ! ノア! そのままやっちゃって!」
ガチガチにバリアを張って応援していたエミラに急所を外れたソイラグリズリーが立ち上がって攻撃を仕掛ける。
「グオォォ!」
ガン! ガン! バリアが攻撃に耐えているがヒビが入った。後数回で割れてしまいそうな状況だが、ノアは助けにこない。
「この一頭は私が倒す! 狙うは傷口の胸部かそれとも頭か……大切なのはイメージよ……」
「グオォォォォー!」
ソイラグリズリーが両前脚で一気にバリアを破壊する。
「ファイア!」
エミラが選んだ魔土術はファイアだった。しかし、ただの初期魔土術ではない。ノアより授かった魔土術の操作方法でグリズリーの頭部を覆うように炎が曲面状に燃え上がる。
魔物が戸惑っているうちにその場から離れて窮地を脱するエミラ。しかしエミラは追撃の魔土術を放たない。苦しそうに動き回るソイラグリズリーの顔にまとわりつく炎。エミラは放った後の炎の位置を顔から離れないように制御していた。そしてそのまま前のめりに倒れるソイラグリズリー。
ノアが他の魔物を全て倒して戻ってきた。
「エミラ、やったね! ファイアをイメージ通りコントロールできた?」
「う~ん。まだまだかな。でもなんとか勝てたわ」
ノアによってダメージを受けていた魔物とはいえ、S級を自分の手で倒した。
少しずつ実力がついていると実感できるはずだったが、ノアが18頭のソイラグリズリーを一人で倒していたことを知り、素直に喜べないエミラだった。
ニヤついているノアの顔がちょっとムカつく。
「ふっふっふっ……」
「何よ。早く言いなさいよ」
ノアがアイテム袋からゴソゴソと何かを探して取り出した。そして誇らしげに掲げる。
「三代目探掘刀! レアラグロー刃!」
「だから何よ。どうせ折れるわよ」
ニヤついたままノアはレアラグロー刃を装着して地面に向かって思い切りその刃をぶっさした。
「え! 折れない! なんで?」
ノアはサクサクとモグり始めた。収穫できる高級魔土を次々とアイテム袋へと回収していく。
「エミラはバリアを張ってね! 魔物は強いから」
「わかってるけど、モグれた理由を教えなさいよ!」
またイラつくエミラ。少し悔しさもあるのだろう。
「うわ! 魔物だ!」
地中からノアの声が聞こえた。どうやらモグッている最中に魔物に遭遇したようだ。焦るエミラだったが、その後、ファイアという声と共にとんでもない炎が吹き上がる。
「これ、もはやファイアじゃないわよ。私のラ・ファイア以上じゃないの……」
煙とともにノアがひょこっと顔を出した。
「ゲホッ、ゲホッ! クッソ~周囲の高級魔土がダメージを負っちゃったよ。あれは回収できない」
「で、魔物は大丈夫だったの?」
「あ、うん。やっつけたよ。モグッた時は剣を使えないから周囲を魔土術で壊してしまうのが難点だなぁ」
「いや、ここに出てくる魔物ってA級かS級でしょ? それを倒せたんだから高級魔土くらいどうでもいいじゃない」
何もわかっていないなぁと言いたげな顔でノアが語る。
「ハイソイラは……男のロマンなのさ」
「……どうでもいいから早くこのカチカチの地面を掘れた理由を教えなさいよ」
ノアはつまらなさそうに渋々教える。先日ミネルヴァ校長からもらった超級魔土を使って純正レアラの探掘刀をつくったこと。そして高級魔土と超級魔土では素材の質が全く違うのでハイソイラがどれだけ硬くてもレアラには敵わないということだった。
そしてノアは狂ったようにハイペースでハイソイラを回収していく。勿論途中で様々なアイテムが出てくるのも一緒に。ふと、あることが気になるエミラ。
「ねぇ、ノア。回収はいいとして、あなたのアイテム袋、余裕あるの? 結構限界じゃない?」
「全然問題ないよ。アイテム袋もレアラで改良したから」
「ちょっと! 何それ! 私は貰ってないわよ」
「そりゃそうだよ。この超級魔土は僕が教員になることで校長からいただいた報酬。だから僕が好きなように使っていいものでしょ!」
「私にも作りなさい! ノア、これは命令よ」
「えぇ! そんなの王女の職権濫用だ! 断固拒否する!」
「10歳のくせにそんな言葉を使わないの! ノアのものは私のもの、私のものも私のものよ!」
「そんな無茶苦茶な――」
ゴゴゴゴゴゴ……
何か地響きのような音と震えがする。
「サーチライト!」
「何がくるの?」
「おそらくソイラグリズリーの群れだ。十数頭くらいかな」
「S級魔物の群れが襲ってくるなんて……」
恐怖を感じているのだろうか、エミラの手の震えが止まらない。その時、ノアの手も同じように震えているのをエミラは見てしまった。まさかノアも恐怖を感じて…………ん? こいつニヤニヤ笑っている……
「エミラ、身体強化魔土術を二人にお願い。その後はエミラ自身に物理攻撃のバリアを張って。余裕があったら僕の攻撃から漏れた魔物を魔土術で狙って」
「わかったわ! ノアはどうするの?」
「僕はちょっと試したいことがあってね」
S級の魔物が群れで襲ってくるときに試し技するのはやめろとエミラは思ったが、何も言わなかった。大体のこういう時のノアは圧勝すると、これまでのダンジョン踏破の経験でわかっているからだ。
地響きが大きくなり、目の前にソイラグリズリーたちが現れた。
「グアァァ!」
なんと、魔物が身体強化魔土術をかけている。そのままノアのいる方へ突っ込んできた。
「ノア! 危ない!」
「……ウサ爺のおかげだな。今までと感覚が全然違う」
そう呟いた後、ゆっくりと魔物に向かって左腕を伸ばして人差し指と中指を突き出す。
「射撃<水弾>」
音がほとんど聞こえない、シュッと風を切った程度。しかし襲いかかってきたソイラグリズリーの眉間を貫通するほどの威力。何が起こったのかわからない魔物たちが混乱している。
その後もノアのオリジナル魔土術【射撃】が次々と魔物を倒していく。
「いけ! ノア! そのままやっちゃって!」
ガチガチにバリアを張って応援していたエミラに急所を外れたソイラグリズリーが立ち上がって攻撃を仕掛ける。
「グオォォ!」
ガン! ガン! バリアが攻撃に耐えているがヒビが入った。後数回で割れてしまいそうな状況だが、ノアは助けにこない。
「この一頭は私が倒す! 狙うは傷口の胸部かそれとも頭か……大切なのはイメージよ……」
「グオォォォォー!」
ソイラグリズリーが両前脚で一気にバリアを破壊する。
「ファイア!」
エミラが選んだ魔土術はファイアだった。しかし、ただの初期魔土術ではない。ノアより授かった魔土術の操作方法でグリズリーの頭部を覆うように炎が曲面状に燃え上がる。
魔物が戸惑っているうちにその場から離れて窮地を脱するエミラ。しかしエミラは追撃の魔土術を放たない。苦しそうに動き回るソイラグリズリーの顔にまとわりつく炎。エミラは放った後の炎の位置を顔から離れないように制御していた。そしてそのまま前のめりに倒れるソイラグリズリー。
ノアが他の魔物を全て倒して戻ってきた。
「エミラ、やったね! ファイアをイメージ通りコントロールできた?」
「う~ん。まだまだかな。でもなんとか勝てたわ」
ノアによってダメージを受けていた魔物とはいえ、S級を自分の手で倒した。
少しずつ実力がついていると実感できるはずだったが、ノアが18頭のソイラグリズリーを一人で倒していたことを知り、素直に喜べないエミラだった。
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