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第二章 東京都区別対抗学戦祭編
第23話 NFNFの狙い
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「月人は色祭りにNFNFがテロを起こすって考えているの?」
とんでもないシナリオを描いてしまった太地。
『確率は……低いとは思う。 だが、主催が日本政府で政府関係の審査員も数名参加するだろうし、関係者も来るだろう。だからありえなくは無い。
審査委員の名前を伏せていることもテロを防ぐための措置かもしれねえ……』
珍しく自信が無さそうにやや俯きながら話す月人。
『なんとなくだが、……まずテーマが「防衛」ってのが、なんとも気に食わねぇ。テロリストを挑発しているように俺には思えるぜ』
「つまり色祭りを餌にしてNFNFを捕らえようとしているってこと?東京都と政府が?」
『あぁ、そう言うことだ。相手はホテルにいた民間人を巻き込んで殺してもなんとも思わねぇ連中だ。政府の役人一人を殺害するためにスタジアムに集まった高校生と保護者や友達を爆弾で吹っ飛ばしても気にしねーだろうなって』
(納得してしまった。)
大きな不安が一つ増えた。とんでもない不安が。
『お前、母親を招待しようとしてたろ? だから気をつけろよ』
「いや、招待する前に言ってよ!」
心から後悔する太地。
月人がさらに東京で起こった他のテロ事件の詳細を伝えようとした時、昼休みの終わりを告げるチャイムがなった。
『一旦、この話は終わりだ。続きはまた今度ゆっくり話そう。今はそこまで気にするな。また夕方トレーニングだぞ!』
「……わかってるって」
* * *
放課後––
「ハァ、ハァ……くそ~中々うまくいかないなぁ……」
『仕方ね~さ。太地自身の身体能力が低く、俺の力が凄すぎる。うまく合わせる方が無理ってもんだな』
「……」
「やる気を削ぐような言い方はやめてよ……」
太地はpossession で腕が月人化された時の他の身体の動かし方に悩んでいる。
『しっかり構えて、ライフルで一発ドカンは可能だよな。動きの中の一撃ではないからな。 まぁ、動きながらライフルは撃てないだろうから、それはいいとして、普通の打撃を与えることも厳しそうか? パンチとか、肘打ちとか』
「どうだろうなぁ……」
首を傾げながら考える太地。
「まぁ、月人が言うように僕のステータスが低過ぎるところが一番の問題点だよね。ここ一ヶ月やってきて、ちょっとは上がったけど、効果としては身体であまり感じられないほどの微差だな。これは折れずに頑張るしかない」
『そうだな。いい心掛けだ!』
「運動神経は悪くないと思うんだよ。単に動きに対するイメージがわかないだけなんだよな……足と胴体と腕と頭の動かし方というか……」
ブツブツ言いながら考える太地。目の前でプカプカと浮かんでいる月人を見て、何かを閃く。
「あのさ!月人地面に降りて立てる?」
『ん? どうした突然……』
「いいから、僕みたいに地面で立てるかやってみてくれない?」
ス~ッと降りてきて地面に立つように姿勢を保つ月人。
『こうか?』
「そうそう!」
「それでさ、仮想1対1の打撃メインの戦闘をイメージして月人には動いて欲しいんだ。早すぎると見えないから今の僕がわかる範囲のスピードで」
『あぁ、なるほどな。考えたな』
「月人の動きをコピーするよ。それで僕の身体にその「型」みたいなものを馴染ませる」
『じゃぁ、対象となる相手のフォルムもシルエットで作っておくか』
「へ?」
月人は右手を軽く伸ばして前方にかざす。ボワッと煙のような影のような人型のシルエットが現れた。
「おお!これもアイドルなの⁈」
ワクワクする太地。こんなこともできたのかと言わんばかりのキラキラした表情で月人を見る。
『まぁ……そこまでの機能はないな。俺の動きに合わせて避けろ、というコマンドを出している。それだけしかできない木偶の坊ドールだな。 性能が良すぎるdollの生成は太地の身体がモタねぇから––』
ふと太地の表情を見た月人は、なんとも言えない恐怖に近い感情を抱く。
「いやいや! 今はそこじゃないって! すげ~! doll が生成できるってことにものすごいロマンがある! 月人! 君は最高の相棒だ! こういうことができるって早く言ってよ~」
『……あ、あぁ……そうか?』
興奮する太地。まだピンとこない月人。
(一体、何がトリガーとなって太地が急変したんだ……わからねぇ。セカンドブレインの知能を持ってしてもわからねぇ……)
実は太地は「プラモデル」、「フィギア」といった、キャラクターを3次元化する作品に対してかなり興味を持っていた。自分自身、手が器用なこともあって、精密ロボット系、自動車、飛行機などのプラモデルを塗装まで美しく仕上げる技術を持っていた。
決して「好きだ」と言わないのはその界隈の方々の情熱には負けるし、中途半端だから言えないと自己評価しているからだった。
しかし、太地のそれも、かなりすごい域にいることを、後々思い知らされることになる月人だった。
もっと話をすると、その興味のベクトルが自分自身をある種の立体キャンバスとして表現する……つまり「コスプレ」に対する興味と感心が、今の太地に芽生えていたのだ。
そんな太地がトレーニング用dollの周囲をぐるぐる回ってはニヤニヤしている。
ブツブツ言いながら。
「これがdollかぁ~ 抽象的な感じも結構いいね~。 月人と同じで触れない感じね。なるほどなるほど。 これは月人が操作するの? コマンドって月人しかできないわけ? 大きさとか、表面的な表現もやっぱり僕のステータス値で限界があるわけかぁ……残念だ……これはステータス値をあげまくるしかないなぁ……」
『……』
『なぁ、太地。 ト、トレーニング始めようぜ……』
ボソッと月人がぼやく。
「ハッッ! しまった……つい…… ごめんごめん。ちょっと脱線したね」
あれが、ちょっとだったのかと思う月人。
「話を戻すね。 僕は運動というか格闘訓練に対して0から1を創り出すことはかなり難しい。普段経験もしていないし、イメージもわかないから。
でも見本となるものがあって、それを真似することに集中すれば話は別な気がする。0から1は難しくても、与えられた『1』を見て『同じような1』を生み出す。これならきっとできる!」
(こいつ……切り替えが早すぎてやべえ……)
「ん? 何?」
『あ、いや、何でもねぇ。 よくわかった。じゃぁ俺は今の太地が動ける範囲でやってみるな!』
「オッケー! よろしく!」
そしてトレーニングが始まった。
月人は速度をかなり抑えてドールを攻撃する。そして身体の動きを太地に伝えることを意識しているようだ。
動きを観て、ブツブツ言いながら部分的に真似をする太地。同時にトレーニング用ドールを見てニヤついている。
『……真面目にやれ』
「やってるって!!」
* * *
あれからさらに2時間が経過した。
「ハァ、ハァ、ハァ……結構……わかってきた……気がするよ……」
『これは効果ありそうだな。 明日から続けていこうぜ!』
屈んで息切れしていて言葉が出せない太地。プルプル震える左腕を上げてサムズアップで応える。
『ハハ。疲れたよな。少し休もうぜ』
月人の提案にコクリと頷く太地。その場に座りこんでゴクゴクと持参の炭酸水を飲む。
「プハ~~!生き返った~」
ペットボトルを握ったまま、太地が黙って自分の手足を見つめている。
『どうした?』
月人が問う。
「いや……なんていうか……このエンドサーフェイスとBloody Codeの使い方……もう少し別の角度から答えを出すこともできる気がするんだよなぁ……例えばシンクロ率が……」
またブツブツと独り言を始める太地。
また始まったな、と思いながらニヤリと笑う月人。
月人は正直驚いていた。
ローダーとして太地が現れた時、セカンドブレインの想定した可能性の域、その時点で一般の人間よりも面白さを感じた月人だった。しかし、実際の太地はその想定をはるかに超えて月人に提示してくる。そんな存在だった。
『こいつとなら本当にあの領域に届くかもしれない……』
ピリリリリ!!
太地のスマホが鳴る。
ディスプレイには「権田クルミですわ」と表示されていた。
とんでもないシナリオを描いてしまった太地。
『確率は……低いとは思う。 だが、主催が日本政府で政府関係の審査員も数名参加するだろうし、関係者も来るだろう。だからありえなくは無い。
審査委員の名前を伏せていることもテロを防ぐための措置かもしれねえ……』
珍しく自信が無さそうにやや俯きながら話す月人。
『なんとなくだが、……まずテーマが「防衛」ってのが、なんとも気に食わねぇ。テロリストを挑発しているように俺には思えるぜ』
「つまり色祭りを餌にしてNFNFを捕らえようとしているってこと?東京都と政府が?」
『あぁ、そう言うことだ。相手はホテルにいた民間人を巻き込んで殺してもなんとも思わねぇ連中だ。政府の役人一人を殺害するためにスタジアムに集まった高校生と保護者や友達を爆弾で吹っ飛ばしても気にしねーだろうなって』
(納得してしまった。)
大きな不安が一つ増えた。とんでもない不安が。
『お前、母親を招待しようとしてたろ? だから気をつけろよ』
「いや、招待する前に言ってよ!」
心から後悔する太地。
月人がさらに東京で起こった他のテロ事件の詳細を伝えようとした時、昼休みの終わりを告げるチャイムがなった。
『一旦、この話は終わりだ。続きはまた今度ゆっくり話そう。今はそこまで気にするな。また夕方トレーニングだぞ!』
「……わかってるって」
* * *
放課後––
「ハァ、ハァ……くそ~中々うまくいかないなぁ……」
『仕方ね~さ。太地自身の身体能力が低く、俺の力が凄すぎる。うまく合わせる方が無理ってもんだな』
「……」
「やる気を削ぐような言い方はやめてよ……」
太地はpossession で腕が月人化された時の他の身体の動かし方に悩んでいる。
『しっかり構えて、ライフルで一発ドカンは可能だよな。動きの中の一撃ではないからな。 まぁ、動きながらライフルは撃てないだろうから、それはいいとして、普通の打撃を与えることも厳しそうか? パンチとか、肘打ちとか』
「どうだろうなぁ……」
首を傾げながら考える太地。
「まぁ、月人が言うように僕のステータスが低過ぎるところが一番の問題点だよね。ここ一ヶ月やってきて、ちょっとは上がったけど、効果としては身体であまり感じられないほどの微差だな。これは折れずに頑張るしかない」
『そうだな。いい心掛けだ!』
「運動神経は悪くないと思うんだよ。単に動きに対するイメージがわかないだけなんだよな……足と胴体と腕と頭の動かし方というか……」
ブツブツ言いながら考える太地。目の前でプカプカと浮かんでいる月人を見て、何かを閃く。
「あのさ!月人地面に降りて立てる?」
『ん? どうした突然……』
「いいから、僕みたいに地面で立てるかやってみてくれない?」
ス~ッと降りてきて地面に立つように姿勢を保つ月人。
『こうか?』
「そうそう!」
「それでさ、仮想1対1の打撃メインの戦闘をイメージして月人には動いて欲しいんだ。早すぎると見えないから今の僕がわかる範囲のスピードで」
『あぁ、なるほどな。考えたな』
「月人の動きをコピーするよ。それで僕の身体にその「型」みたいなものを馴染ませる」
『じゃぁ、対象となる相手のフォルムもシルエットで作っておくか』
「へ?」
月人は右手を軽く伸ばして前方にかざす。ボワッと煙のような影のような人型のシルエットが現れた。
「おお!これもアイドルなの⁈」
ワクワクする太地。こんなこともできたのかと言わんばかりのキラキラした表情で月人を見る。
『まぁ……そこまでの機能はないな。俺の動きに合わせて避けろ、というコマンドを出している。それだけしかできない木偶の坊ドールだな。 性能が良すぎるdollの生成は太地の身体がモタねぇから––』
ふと太地の表情を見た月人は、なんとも言えない恐怖に近い感情を抱く。
「いやいや! 今はそこじゃないって! すげ~! doll が生成できるってことにものすごいロマンがある! 月人! 君は最高の相棒だ! こういうことができるって早く言ってよ~」
『……あ、あぁ……そうか?』
興奮する太地。まだピンとこない月人。
(一体、何がトリガーとなって太地が急変したんだ……わからねぇ。セカンドブレインの知能を持ってしてもわからねぇ……)
実は太地は「プラモデル」、「フィギア」といった、キャラクターを3次元化する作品に対してかなり興味を持っていた。自分自身、手が器用なこともあって、精密ロボット系、自動車、飛行機などのプラモデルを塗装まで美しく仕上げる技術を持っていた。
決して「好きだ」と言わないのはその界隈の方々の情熱には負けるし、中途半端だから言えないと自己評価しているからだった。
しかし、太地のそれも、かなりすごい域にいることを、後々思い知らされることになる月人だった。
もっと話をすると、その興味のベクトルが自分自身をある種の立体キャンバスとして表現する……つまり「コスプレ」に対する興味と感心が、今の太地に芽生えていたのだ。
そんな太地がトレーニング用dollの周囲をぐるぐる回ってはニヤニヤしている。
ブツブツ言いながら。
「これがdollかぁ~ 抽象的な感じも結構いいね~。 月人と同じで触れない感じね。なるほどなるほど。 これは月人が操作するの? コマンドって月人しかできないわけ? 大きさとか、表面的な表現もやっぱり僕のステータス値で限界があるわけかぁ……残念だ……これはステータス値をあげまくるしかないなぁ……」
『……』
『なぁ、太地。 ト、トレーニング始めようぜ……』
ボソッと月人がぼやく。
「ハッッ! しまった……つい…… ごめんごめん。ちょっと脱線したね」
あれが、ちょっとだったのかと思う月人。
「話を戻すね。 僕は運動というか格闘訓練に対して0から1を創り出すことはかなり難しい。普段経験もしていないし、イメージもわかないから。
でも見本となるものがあって、それを真似することに集中すれば話は別な気がする。0から1は難しくても、与えられた『1』を見て『同じような1』を生み出す。これならきっとできる!」
(こいつ……切り替えが早すぎてやべえ……)
「ん? 何?」
『あ、いや、何でもねぇ。 よくわかった。じゃぁ俺は今の太地が動ける範囲でやってみるな!』
「オッケー! よろしく!」
そしてトレーニングが始まった。
月人は速度をかなり抑えてドールを攻撃する。そして身体の動きを太地に伝えることを意識しているようだ。
動きを観て、ブツブツ言いながら部分的に真似をする太地。同時にトレーニング用ドールを見てニヤついている。
『……真面目にやれ』
「やってるって!!」
* * *
あれからさらに2時間が経過した。
「ハァ、ハァ、ハァ……結構……わかってきた……気がするよ……」
『これは効果ありそうだな。 明日から続けていこうぜ!』
屈んで息切れしていて言葉が出せない太地。プルプル震える左腕を上げてサムズアップで応える。
『ハハ。疲れたよな。少し休もうぜ』
月人の提案にコクリと頷く太地。その場に座りこんでゴクゴクと持参の炭酸水を飲む。
「プハ~~!生き返った~」
ペットボトルを握ったまま、太地が黙って自分の手足を見つめている。
『どうした?』
月人が問う。
「いや……なんていうか……このエンドサーフェイスとBloody Codeの使い方……もう少し別の角度から答えを出すこともできる気がするんだよなぁ……例えばシンクロ率が……」
またブツブツと独り言を始める太地。
また始まったな、と思いながらニヤリと笑う月人。
月人は正直驚いていた。
ローダーとして太地が現れた時、セカンドブレインの想定した可能性の域、その時点で一般の人間よりも面白さを感じた月人だった。しかし、実際の太地はその想定をはるかに超えて月人に提示してくる。そんな存在だった。
『こいつとなら本当にあの領域に届くかもしれない……』
ピリリリリ!!
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