Bloody Code 〜特殊な血を持つ天才少年が謎のリングで仲間になった「アイドル」と現実世界を無双する〜

大森六

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第三章 関東大一揆、洛外編

第58話 ディープアマゾナイト

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『俺たちの新しい相棒だと? 何だそれ?』

 月人つきとにも知らされていない情報の様だ。

「ハハハ。確かにそうなるが、その前に説明がいるかな」

 羽生はにゅう部長が笑ってはぐらかす。


「着いたよ。この部屋だ。入ってくれたまえ」

 羽生部長の指示で第三技術開発室と書かれた部屋へ入る。真っ白の1m角のパネルで床壁天井が構成されている、何とも近未来的な空間だ。

 開発室の中央には直径30センチ程度のガラス球の様な玉があり、その中にしずく型の漆黒の石が保管されている。のぞき込む太地と月人。

「この漆黒……エンドサーフェイスと同じ素材だ」


「練馬君、おはよう。早速だが例の探索課のリンク設定を一つ増やしてくれるか?」

 壁際のコントロールパネル付近に立っていた男性研究スタッフが反応する。

「はい! 承知しましました」

 男性が操作して、透明ガラスの球体が開く。

「六条さん、初めまして。探索課のローダーアイテムメンテナンスを担当しています、練馬ねりますけと申します! 志の輔って呼んでください。太地さんのお父さんには本当にお世話になりました! 全力でサポートしますので、今後ともよろしくお願いします!」

「六条太地と、こちらが相棒でアイドルの月人です」

「ウィッス!」

 ぺこりと笑顔でお辞儀をして作業を続ける練馬志の輔。


「それでは小松部長。いつもの様に人差し指をこちらへ」

「おう!」

 漆黒の石に小松部長の人差し指が触れる。石が眩しい光を放ち、光が徐々に消えていく。 コントロールパネルで志の輔が操作して、また中央へ。次に太地にも同じ様に石に触れる様に指示する。小松部長とは違う輝きを放つ何色もの光が部屋中に広がる。

「うわっ! なんだこの反応は⁈ 光の系統が……一体、何色あるんだろう? 虹色の様な感じですね!」

 練馬志の輔が興奮している。

「おぉ~。見たことね~なこりゃ~」

「これってどういうことですか? 何ですかこの光は!」

 志の輔がなぜか戸惑っている。そして輝きはまだ続いている。


「これは……さすがの奇跡だ」

 羽生部長がつぶやく。明らかに感動している。

「まっ眩しすぎる」

『ヤベェ、直視できねぇ』


 やがて徐々に光が弱まる。


「もう、指を離してもいいですか?」

 唖然として口が開いたままの志の輔に太地が確認する。

「え? あ、はい! 大丈夫です!」

 漆黒石の状態を確認して、慌ただしく作業する志の輔。


「それでは初期リンク設定は完了しましたので、とりあえず、今はこちらのチェーンを使ってください。後ほど太地さんご自身でお好きなものに変えていただいて構いませんので。」

 そういって、手渡される太地。手元にはあの石が無愛想なステンレスのチェーンにくっ付けられている。

『これって、まさかチョーカーとして使えってことか?』

「チョーカーってネックレスのこと? これを僕が?」

「あはは。 まぁ、別の素材だともっと似合いそうですね。自分にはそういうセンスが全くありませんので……お任せします!」


 まだ状況をうまく飲み込めていない太地たちだが、小松部長は気にせずに進める。

「志の輔、これってあとどれくらいで起動できる?」

「あと、2時間はそのままでお待ちいただけますか?」

「わかった。 じゃぁ、あとは適当にやっとくわ!」


「太地君、ちょっといいかな?」

 羽生部長が太地を呼び止める。

「この石はね、君のお父さんが探索課のために開発したアイテムなんだ」

「これも、父さんの……」

「どう使うかは後で小松から聞くといい。私はこの石のことをお父さんがどう話していたを君に伝えたくてね」


(父さんが作ったもの……)

「太地君はに興味あるかな?」

「パワーストーンってターコイズとかアメジストとかの運気を呼ぶとされる石のことですよね?」

「そうだね。実際に効果があるかは別だが、一般的に幸運を呼ぶターコイズやアクアマリン、恋愛運が上がるローズクォーツとかアメジスト、金運にはシトリンやタイガーアイなどが良いとされているね」

『太地、いますぐローズクォーツ買えよ。でっかいの』

「うるさい、三日月人!」

「アハハハ。二人とも本当に仲が良いね。お父さんはね、この黒い石のことをDeep Amazo-night<ディープアマゾナイト>と命名したんだ」

「ディープアマゾナイト……」

 漆黒の石を見つめながら太地は羽生部長の言葉を反芻はんすうする。そしてゆっくりとつぶやく。

Amazoniteアマゾナイトは別名【希望の石】とも呼ばれていてね。ポジティブな効果が幾つもあるらしいよ。私は詳しくは知らないがね。
 そしてこの深い漆黒の中には美しい星空が広がっていることを君は知っていたかい? 光にかざして見てみると、その様子がわかるんだが」

「あ! はい! それはこのエンドサーフェイスで見たことあります」

「そうだね。それも同じ素材だ。これらは天然石ではない。六条勝規が長い時間をかけて生み出した人口石なんだ。察するに、彼はこれから起こる惨劇を予想して、この石にそんな名前をつけたのかもしれないな」

 羽生部長が目を細めて太地の手のひらの石を見つめている。太地にはそれが過去に起こったことに対して何かを後悔している様に感じられた。


Deep Amazoディープアマゾ-nightナイトか……なるほど。niteではなく、nightか。洒落が効いてるよな。太地の父親は。深い希望の夜……いや夜空とか?  う~ん良い訳が思い浮かばね~な~』

「何となくだけど、【希望に満ちた夜空】ってのはどう?」

『なんか、響は悪くないが、かなりポエティックで太地が言うとキモいな』

「いや、お前ほんとうるさいよ! キモいって言うな!」

 その場にいる全員が笑う。

「羽生部長、ありがとうございます! ディープアマゾナイトのエピソード、聞けて本当によかったです!」 

 お礼を言う太地に笑顔で頷く羽生部長。

「困ったことがあったら、いつでもここへ来なさい。研究課は君を全力でバックアップするから」

「はい! これからもよろしくお願いします!」


 小松部長と太地たちはファシリティ lunaを後にして探索課へ向かった。
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