Bloody Code 〜特殊な血を持つ天才少年が謎のリングで仲間になった「アイドル」と現実世界を無双する〜

大森六

文字の大きさ
69 / 133
第三章 関東大一揆、洛外編

第69話 支部の扱い

しおりを挟む
「え! 天月あまつきさんですわ!」

「ん? 御令嬢、何か不都合でもあるのか、ですわ?」

「何もありませんわ。か、構わないのですわ!」

 明らかに動揺している成美なるみ。どうやら、天月千早あまつきちはやと勘違いしているようだ。



「まぁ、臨機応変りんきおうへんにって感じだな」


「ま、まずは状況の整理ですわ。犯行予告を信じるなら、次は7日。まだ時間はありますわ。爺や、お二人にGSDジスドとの交渉の進捗状況の説明を!」

「はい。お嬢様。GSDジスド本部の司令室より、正式にGSDジスドの支部として活動する許可をすでにいただきました。これにより、GSDジスドに敵対する武装集団やテロに対して、支部独断での武力制圧やその他軍事行動を許可されている状況です。その際、GSDジスド探索課の司令という扱いで処理されるとのことです」

「あの不破ふわのクソババめ……」

「また、支給された備品と人材に関しましては、GSDジスド開発のエンドサーフェイスを50点、研究課より若干名ローダースタッフを派遣していただきました。探索課と繋がりが深い練馬ねりますけ様を中心とした人員でございます」

(なるほど。志の輔さんか。だとしたら武器を作れるかも。)


「また、BCデータに関しては特例で閲覧許可をいただきました。これに関しては直接研究課に伺ってのみ対応可、とのことでした」

「BCデータって、もしかしてGSDジスドは高校生のBloody Codeの情報を知っているってことですか?」

「高校生だけじゃねーよ。全国民のBloody Codeを把握している。それがGSDジスドだ」

 小松部長によると、2019年に発生し、世界中を震撼させた感染症のワクチン摂取をうながした際に、政府を通してGSDジスドの前身となる不破ふわ総司令の組織が、秘密裏にBCデータの検査も行なっていたとのことだ。

 それ以降は定期的に学校の健康診断や企業の健康診断などからデータを採取し、今日においてGSDジスドは全国民の7割以上のBloody Codeのデータを保持する大きな組織となった。

 つまりGSDは毎年有望なローダーの卵にをつけておき、さらに第一高出身というライン設定をすることで、素質としてはほぼ間違いのない新人を入隊させていたということだ。

『つまり、そんな機密事項まで支部のお嬢に公開するってことは、徹底的にGSDジスド内部のことも調べろって意味だろ?』

「その通りですわ。小松部長にも話しましたが、ワタクシはGSDジスド内にスパイがいるという前提で調査しているのですわ。本来それが主な目的……しかし突然迫られる関東大一揆を無視して調査を進めるというのは難しいですわ」

「御令嬢、あんたの主張はわかった。俺は特に反論も無いし、今の立場を利用して自由に調べたらいいと思うぜ。 それは一旦置いとくぞ。今はNFNFエヌフの話をまとめるべきだ。人命がかかっているからな」

 熱くなるお嬢に対し、小松部長が冷静に場をおさめる。

「まず、御令嬢の手元にあるエンドサーフェイスはどう使う予定なんだ? 使えるローダーはいるのか?」

「はっきり申し上げて、一からローダーを鍛える予定ですわ。
 つまり、今回のテロにおける戦闘の局面では何の戦力にもなりませんわ。そこで、筋力を強化するスキルに特化したものをローダーの卵たちに装備させて、いざテロが始まって被害が出た場所へ向かう、臨時サポート部隊を担えればと考えていますわ。例えば救援課が救助する際の瓦礫がれきの撤去や負傷者の救出補助などですわ」

 小松部長が何度も頷く。

「いいじゃねぇか。しかも、今回の場所は三箇所。全ての場所に救援課が対応できるとは俺は思えねぇ。あらかじめ救援課の部隊と連携を取れるようにしておくといいかもな。なんせ、昨日の2回とは違って、今回は間違いなく負傷者が出る」

「了解しましたわ。ただ、流石に今回は間に合いませんわ。できることを考えますわ」

「おう。それでいいと思うぞ。今、不破のババアが政府のお偉いさんと対策会議を行っているところだが、おそらく何の進展もないだろう。公安や自衛隊は積極的に参加してこない。あの犯行予告では場所が特定できないからな。
 かと言ってその時間、役所の人間を休ませろと迫っても拒否されるだろう。日本てのはそういう平和ボケ国家だからな」

「小松部長は日本以外の国で暮らしたことがあるんですか?」

 太地が軽い興味で質問する。

「ん? あぁ、以前中国に住んでたぞ。実はお前の親父さんと出会ったのも中国だ」

「えぇ⁈ そうなんですね……中国かぁ……」


「話戻すが、太地はここ数日でなんとか予告文を解読しろ。月人もいるんだからなんとかなるだろ」

『無茶振りだな』

「頑張りますけど、皆さんもお願いしますよ。僕だけというのは、ちょっとプレッシャーがすごいです」



 小松部長が笑う。そして次の話に入る。



「そんじゃあ次に調査課と研究課より得られた情報を伝えるぞ」

 小松部長は九番隊の伍長が着けていた能面を取り出す。

「回収した白鬼の能面だ。こいつはNFNFエヌフで開発されたエンドサーフェイスだということがわかった」

NFNFエヌフのエンドサーフェイス⁈ この能面が?」

「あぁ、何でもこの能面、ローダーのBloody Codeの質の変化で面の形状や色が変わるらしい」

「……般若はんにゃへ変貌する女性の生き様と似ている……いや、そのものだ。鬼へと生まれ変わる、そのかてとなるものがまさに【怒り】だ」

『十番隊伍長が【泥眼でいがん】、九番隊伍長が【橋姫はしひめ】だったな……NFNFエヌフにとっての政府への怒りと、能面般若の怒りとの重なりか……』

 太地たいちの言葉を月人つきとの言葉が更に重みを持たせる。


「これってつまり、上位の伍長クラスはもっとやばいってことかな?」

『【真蛇しんじゃ】クラスが出てくるだろうな』

「そして色も更に変わっていくわけか……。じゃぁ、あの黒鬼般若は相当だね」

『そうだな』


「何言ってんだ? デイガンってなんだ? おい太地、わかんねーからちゃんと説明しろ」


 太地は小松部長と成美に能面とNFNFエヌフに関する独自の解釈について話す。そしてここにもう一つの要素が加わることになる。

「あと……あのとかとか伍長達の名前もね……」



「……【新撰組】へのオマージュか」


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

忘却の艦隊

KeyBow
SF
新設された超弩級砲艦を旗艦とし新造艦と老朽艦の入れ替え任務に就いていたが、駐留基地に入るには数が多く、月の1つにて物資と人員の入れ替えを行っていた。 大型輸送艦は工作艦を兼ねた。 総勢250艦の航宙艦は退役艦が110艦、入れ替え用が同数。 残り30艦は増強に伴い新規配備される艦だった。 輸送任務の最先任士官は大佐。 新造砲艦の設計にも関わり、旗艦の引き渡しのついでに他の艦の指揮も執り行っていた。 本来艦隊の指揮は少将以上だが、輸送任務の為、設計に関わった大佐が任命された。    他に星系防衛の指揮官として少将と、退役間近の大将とその副官や副長が視察の為便乗していた。 公安に近い監査だった。 しかし、この2名とその側近はこの艦隊及び駐留艦隊の指揮系統から外れている。 そんな人員の載せ替えが半分ほど行われた時に中緊急警報が鳴り、ライナン星系第3惑星より緊急の救援要請が入る。 機転を利かせ砲艦で敵の大半を仕留めるも、苦し紛れに敵は主系列星を人口ブラックホールにしてしまった。 完全にブラックホールに成長し、その重力から逃れられないようになるまで数分しか猶予が無かった。 意図しない戦闘の影響から士気はだだ下がり。そのブラックホールから逃れる為、禁止されている重力ジャンプを敢行する。 恒星から近い距離では禁止されているし、システム的にも不可だった。 なんとか制限内に解除し、重力ジャンプを敢行した。 しかし、禁止されているその理由通りの状況に陥った。 艦隊ごとセットした座標からズレ、恒星から数光年離れた所にジャンプし【ワープのような架空の移動方法】、再び重力ジャンプ可能な所まで移動するのに33年程掛かる。 そんな中忘れ去られた艦隊が33年の月日の後、本星へと帰還を目指す。 果たして彼らは帰還できるのか? 帰還出来たとして彼らに待ち受ける運命は?

ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。

タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。 しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。 ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。 激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。

スライム退治専門のさえないおっさんの冒険

守 秀斗
ファンタジー
俺と相棒二人だけの冴えない冒険者パーティー。普段はスライム退治が専門だ。その冴えない日常を語る。

中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語

jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
 中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ  ★作品はマリーの語り、一人称で進行します。

異世界帰りの俺、現代日本にダンジョンが出現したので異世界経験を売ったり配信してみます

内田ヨシキ
ファンタジー
「あの魔物の倒し方なら、30万円で売るよ!」  ――これは、現代日本にダンジョンが出現して間もない頃の物語。  カクヨムにて先行連載中です! (https://kakuyomu.jp/works/16818023211703153243)  異世界で名を馳せた英雄「一条 拓斗(いちじょう たくと)」は、現代日本に帰還したはいいが、異世界で鍛えた魔力も身体能力も失われていた。  残ったのは魔物退治の経験や、魔法に関する知識、異世界言語能力など現代日本で役に立たないものばかり。  一般人として生活するようになった拓斗だったが、持てる能力を一切活かせない日々は苦痛だった。  そんな折、現代日本に迷宮と魔物が出現。それらは拓斗が異世界で散々見てきたものだった。  そして3年後、ついに迷宮で活動する国家資格を手にした拓斗は、安定も平穏も捨てて、自分のすべてを活かせるはずの迷宮へ赴く。  異世界人「フィリア」との出会いをきっかけに、拓斗は自分の異世界経験が、他の初心者同然の冒険者にとって非常に有益なものであると気づく。  やがて拓斗はフィリアと共に、魔物の倒し方や、迷宮探索のコツ、魔法の使い方などを、時に直接売り、時に動画配信してお金に変えていく。  さらには迷宮探索に有用なアイテムや、冒険者の能力を可視化する「ステータスカード」を発明する。  そんな彼らの活動は、ダンジョン黎明期の日本において重要なものとなっていき、公的機関に発展していく――。

巨乳巫女を信じて送りダスか、一緒にイクか~和の村の事件 総合〜【和風RPG】

シンセカイ
ファンタジー
~参考~ https://ci-en.net/creator/11836 敗戦後に放棄されていた日本の農地が、魔物の瘴気によって再び脅かされていた。 その魔物は土地を「魔族の地」へと変質させる危険な存在で、放置すれば農地だけでなく村や民までもが穢れ、飢餓が広がる可能性がある。 巫女は主への忠誠心と民を守る覚悟を胸に、命をかけて妖魔退治に赴く決意を示す。 だが、戦力は各地に分散しており、彼女一人に任せるのは危険と判断される。 それでも彼女は「自分は神に捧げた存在。消耗品として使ってほしい」と冷静に言い放ち、命令を待つ。 物語は、主が彼女をどう扱うかという重要な選択肢へと分岐していく――。 【信じて送り出すか】 【一緒にいくか】 ※複数ルートありますが、ここの掲載媒体の仕様上、複数ルート、複数形式を一つの作品にまとめています見づらいと思いますがご了承ください

ビキニに恋した男

廣瀬純七
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜

KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞 ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。 諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。 そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。 捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。 腕には、守るべきメイドの少女。 眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。 ―――それは、ただの不運な落下のはずだった。 崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。 その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。 死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。 だが、その力の代償は、あまりにも大きい。 彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”―― つまり平和で自堕落な生活そのものだった。 これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、 守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、 いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。 ―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。

処理中です...