Bloody Code 〜特殊な血を持つ天才少年が謎のリングで仲間になった「アイドル」と現実世界を無双する〜

大森六

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第三章 関東大一揆、洛外編

第70話 時間が示す本当の意味

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新撰組しんせんぐみって、あの幕末ばくまつの京都の新撰組ですわ⁈」

「はい。おそらく白鬼、赤鬼、黒鬼の能面の隊がそれぞれ十番隊まで構成されているかと。そしてそれぞれの隊はで作られている 」

「30隊で合計150名くらいのNFNFエヌフローダーがいるということですわ」

『新撰組って幕末の警察みたいなもんだろ? たしか尊王攘夷派そんのうじょういはを取り締まっていたんだよな? つまり江戸時代を続けようと幕府を守っていたわけだよな』

月人が何気に話したことに小松部長も食いつく。

「……ん? だとしたらNFNFは新撰組のどこをリスペクトしたんだ?」

NFNFエヌフは今の日本政府を『ダミーガバメント』と表現しています。
 おそらく、政府のをしているだけの無能な存在、というネガティブな意味だと思うんです。つまりそれは、現代にの復活を求めているということではないでしょうか?」

「幕府って武士による政治ですわね? 日本政府に代わって、宍土将臣ししどしょうじんが日本国を統治すると?」

「単なる憶測ですけれど、大きくはずれてはいないと思います」

「なるほどな。まぁ、そういうことだろうな。ここまで大きなテロ起こすわけだからな。政権を奪う目的があってもおかしくねぇな」


 話が落ち着き、小松部長はふと能面を手に取る。そして成美の方を見てニコリと笑顔で話し掛ける。


『御令嬢、このお面つけてみたらどうだ?』

 びっくりする太地と成美。月人はニヤついている。

「冗談じゃありませんわ。敵の武器を使うなんて」

『いや、敵の技術を盗んで改良しろってことだろ? 小松のおっちゃん』

「あぁ、その通りだ。もうすぐこっちに練馬ねりまがくるだろ。これを預けてみろ。そしてご令嬢は練馬にBloody Codeを調べてもらったらいい。それでオリジナルのエンドサーフェイスを作っちまえ。あいつなら一週間あればできるさ」

「ワタクシだけのエンドサーフェイス……素晴らしいですわ!」


「御令嬢も知っての通り、GSDジスドの技術ではおそらくこの成長に合わせて変化するエンドサーフェイスなんてつくれねぇはずだ。恐ろしい話だが、NFNFエヌフの技術者の方が優れているってことだろう。それを利用しない手はない。」


「わかりましたわ! 研究課の練馬さんが来られたらすぐにお伝えしますわ」


 その時、太地の脳裏に浮かんだのは父親六条勝規ろくじょうかつのりNFNFエヌフ側についている可能性だった。考えたくもない事態だが、NFNFエヌフGSDジスドを超える技術者がいるとは考えにくかった。それにあんなお面を開発するレベル……

 しかし、月人は別の展開を考えていた。NFNFエヌフの後ろに控えている陰の組織の存在を。



 * * *


 自宅に戻り、夕食を終えて部屋で最近の出来事を整理することにした太地と月人。

 六太むったは……ポルカドット柄のパジャマに丸いボンボン付きのナイトキャップという最強装備で太地のベッドに入って寝ている。もはや太地たちも彼を戦力に数えることを諦めたようだ。何のリアクションもなく話を進めている。

「まずはやっぱり次のテロが12月7日のどこで起こるかだよね。 はっきり言って手掛かりがなさ過ぎてわからん!」


『そうだなぁ……とりあえず、状況整理するか』

 一回目は【11月30日 01:10  福島県いわき市役所 爆破テロ】

 二回目は【11月30日 22:15  長野県長野県庁 爆破テロ 】

 三回目は【12月07日 07:53、09:30、12:26  場所未定】
 

「日時や場所はこんな感じだね。あと、犯行声明文で、気になるワードがあったんだ」

【これより我々NFNFエヌフは関東大一揆を一歩へと進撃する】

「これって、月人はどう理解した? 洛中らくちゅうって……」

『京都の洛中らくちゅう洛外らくがい、の意味かってことだよな?』

「うん。宍土将臣ししどしょうじんは【一歩洛中へと進撃する】って言っているんだ。『一歩』とか『進撃』とかさ、ってニュアンスの言葉をワザと選んでいるように思わないか? 強く意識させるために同じ様な意味合いの言葉を重ねているんだよ」

 月人は頷いて太地の話を聞いている。

「宍土は経歴から判断して非常に優秀な人間だ。そして色祭りのディスプレイに映った黒鬼般若の声が仮に宍土本人なら、おそらく彼は今の現代社会に明治時代以前の暮らしや文化をオーバーラップさせている気がするんだ」

『確かにいくつか思い当たる点はあるな』

 月人も同意する。


「妙に時代を意識させるような話し方もそうだし、NFNFエヌフが農業従事者で構成されている事実に合わせてテロを【一揆】と表現している点もそう。般若はんにゃ新撰組しんせんぐみだってね」

『うん。そうだな』

「つまり、あの犯行声明文で引用した【洛中らくちゅう】は間違いなく京都の洛中洛外の意図だと言える。ただ、あくまで比喩ひゆだろうけど。この場合、本当に京都に向かうんじゃない。NFNFエヌフが言う洛中はおそらく『東京』だと思う。関東大一揆と命名しているわけだからね」


『あとよ。どうでもいいかもしれねぇけど、宍土ってものすごく生真面目な感じしないか? ルールを決めたらその通りに進めたくなるというか、適当にできない性格というか……』


 太地が笑って答える。

「うん。その感覚わかるよ。なんか不思議だけど、これまで嘘をついていないと思うんだ。だからこういった声明文にはテロの仕掛けに関するヒントがあるはず。あいつはきっと解けない問題を出すタイプではない」

『まず、場所を限定できる要素としては、行政を狙っているってところだな。』

「そうだね。市役所、県庁ときているからね。次もおそらくそうなるね。」

 二人が断定できるのはここまでだった。そう、未確定要素が多すぎる。日付は何か関係があるのだろうか? 指定された時間は? 全く答えが出てこない。

「どうして7時53分とか、キリの悪い時間があるんだろうね? 8時でいいと思うんだけど……つまりこれにはなんらかの意図があるってことだよね」

『あぁ、53分でないとダメな理由があるはずなんだ』


 頭をフル回転させるがどうしても光が見えてこない。情報があまりにも少なすぎる。太地は別の視点で考えてみる事にした。

「始まりがいわき市、次が長野市って何か繋がりあるかな?」

『いや、何もねぇ。関東圏ではないっていうのは共通点ではあるが……』


 なるほど。確かに関東エリアではない都市。関東大一揆とは何が大なのか? 勿論規模なのだろうが、関東よりもさらに外側から一揆が進行していく……どこへ?

「……東京へ」


『ん? なんか言ったか?』


「いや……もしかして、ここから東京へ向かうという意味じゃないか?」
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