71 / 133
第三章 関東大一揆、洛外編
第71話 月人の左手
しおりを挟む
太地はもう一度犯行声明文を見返す。
【これより我々NFNFは関東大一揆を一歩洛中へ進撃する】
「これより……か。
つまり今はまだ洛外にいるんだよ。関東圏自体が洛中なんじゃないか?」
『う~ん、それはどうだろうなぁ。あいつらの言う【洛中】がどこかは別として、東京に向かって来るっていう読みは正しいかもしれないな。正直、それも俺にはまだ判断しかねるって感じだが……』
太地も正直自信を持てない。月人の表情を見て余計にそう考えてしまう。
「次のタイミングで東京にはまだ攻めて来ないと思うんだ。『洛中へ』って言葉。
洛中に向けて一歩前進するぞっていう宣言に受け止められるよね?」
『日本語表現の曖昧さが悩ましいな……太地の考えが概ね正しいと思うぜ。
ただ、東京に1回目の攻撃をするぞって意味にも取れなくもないが。セカンドブレインの判断では太地の認識が80%の可能性で正しいと判断しているぞ」
「うん、ヤマを張るには十分な割合だ。【関東大一揆】と大きく扱って、東北地方からテロが始まっている状況だ。その後の第一歩前進的な表現でいきなり東京を三箇所攻撃っていうのもちょっと違うし。おそらく東京や周辺の発展している都市は今回のテロの標的から除外していいと思う」
月人も同意し、二人はGSD権田支部へ行って小松部長に報告する事に。そして太地は次の話題へと移る。
「月人、この前シンクロ率上がったよね? それでスキルが身についたって……」
『あぁ、【フリーハンド】だな。俺の左手のことだ』
肩から全てが無くなっている左腕の方を指差しながら月人が説明する。
「じゃあ、どうして今、左手がまだ見えないの? 僕のステータスが低いから?」
『見えないからという理由はちょっと違うな……太地のステータスではまだ扱えないから出現しないって感じだな』
「このフリーハンドってどんなことができるの?」
『それは……その時の太地自身のステータス次第だな。読んで字の如く、まさに自由に使える手って感じだわ』
月人が言うには太地のステータスではスキル【フリーハンド】は使用できない。しかしシンクロ率が30%、を超えて使用する条件はクリアしたから解放されたということらしい。
RPGゲームによくある、魔法は習得したが使用するにはMPがあまりに足りないから使えないと同義だとも話す。
「ステータスオープン」
ウィンドウが数枚出てくる。太地は改めて現在の自分のステータスを確認してみる事にした。
【動 action】力10、敏40、回復30、気力20、体力30、伝40
【察 sense】視32、聴25、触15、知60、嗅10、味8
【心 mental】喜悦30、怒気10、無心51、精進72、悟80、感性65
「これ、自分で言うのもなんだけど、すごくない? 一ヶ月前と比べてものすごく数値が上がっていると思うんだけど」
『そりゃそうだな。最高のコーチが指導しているからな』
ちょっと悔しい太地。だがその通りだ。
『まぁ、普通の人間でここまでのレベルに達するのは絶対に無理だ。それは誇っていいぞ。これを見て思うのは、太地は怒りから力を発揮するのが苦手だな』
「怒気が低すぎるってこと? 自分自身でもあまり怒ることがないなとは思うけどね」
『まぁ、いい悪いじゃねぇから気にしなくていい。しかし、【心】の他の
数値が異常に上がったよな。これはひょっとして……いや、まだいいか』
「気になるところで止めるなよ~」
『精進と悟と感性が異常に高いって思っただけだから気にするな。良いことだ。
ちなみに力と気力が数値低過ぎだわ。これじゃぁ、引き続きスピードとタイミングでクリティカルを狙うような戦いしかできねーな』
「……明日からより一層トレーニング頑張ります」
悔しいが、月人の言うことはいつも正しい。本当に優秀な相棒だ。そして、横で六太がものすごいイビキをかいて寝ている。小さい体にしては音がデカすぎてドン引きする太地たち。
「そういえばさ、六太とのシンクロ率はどうして表示されないんだろう?」
『それはお前の父さんがつくったエンドサーフェイスの違いだろうな。そもそも他のシーカーたちもシンクロ率って概念は無いはずだぜ。おそらくだが、別の要素で成長するのか……もしくはこの初期スペックの状態がすでに完成体。つまりこれ以上の変化がないとか……』
「これ以上の変化がない……」
イビキをかいて気持ちよくて寝ている六太を見て、いたたまれない気持ちになる太地と月人。
『俺たちはこいつを生み出してよかったんだろうか……』
「そんなことボソっていうなよ。何か意味があるんだって。きっと……
うん、そうに決まってる……多分ね……」
『ププッ。お前自信なさそうだな。不安が顔に出てるぞ。
まぁ、ペットってことでいいんじゃねーか。きっと何かの役にたつ時が来るって!』
「うん、そうだね!」
『とりあえず、明日からいつも通りトレーニングしてステータスアップだ。早く俺の左手を返してくれよ! 期待してるぜ!』
「了解! 任せといて!」
こうして、長い一日が終わった。
* * *
朝、テレビをつけて報道番組を観ながら食事を摂る太地と月人、そして六太。
やはりどの番組もNFNFの犯行予告のことしか放送していない。本当に12月7日にテロは起こるのか? どこで起こるのか? そういった話題でもちきりだ。
早紀子特製グラノーラを食べながら、テレビを何となく観ている。
『おい、太地~。そんなしょうもない番組ばっかり観てないで、目覚まし過ぎテレビの「今日のワン公」観せてくれよ! オイラの朝の楽しみなんだ! いいだろ~?』
「はい。どうぞ。好きな番組観なよ」
リモコンを渡すと嬉しそうに二本脚で立ってリモコンを受け取り、器用に扱う六太。
『お前の肉球ってどうなってんだ? なんで片手で操作できてんだよ』
『それを言うならオメーも片腕しかねーだろ』
『いやそういう問題じゃねーだろ』
『あ、そうそう、「片手」じゃなくて「片脚」な。オイラは手が無いから』
ケタケタ笑う六太にイラつく月人。それを見て笑う太地はもはや定番となっていた。
そんな日常の何気ない平穏なひととき。
それが5日後に突如崩れ去り、恐怖のどん底に叩きつけられることを、この時まだ誰も想像できずにいた。
【これより我々NFNFは関東大一揆を一歩洛中へ進撃する】
「これより……か。
つまり今はまだ洛外にいるんだよ。関東圏自体が洛中なんじゃないか?」
『う~ん、それはどうだろうなぁ。あいつらの言う【洛中】がどこかは別として、東京に向かって来るっていう読みは正しいかもしれないな。正直、それも俺にはまだ判断しかねるって感じだが……』
太地も正直自信を持てない。月人の表情を見て余計にそう考えてしまう。
「次のタイミングで東京にはまだ攻めて来ないと思うんだ。『洛中へ』って言葉。
洛中に向けて一歩前進するぞっていう宣言に受け止められるよね?」
『日本語表現の曖昧さが悩ましいな……太地の考えが概ね正しいと思うぜ。
ただ、東京に1回目の攻撃をするぞって意味にも取れなくもないが。セカンドブレインの判断では太地の認識が80%の可能性で正しいと判断しているぞ」
「うん、ヤマを張るには十分な割合だ。【関東大一揆】と大きく扱って、東北地方からテロが始まっている状況だ。その後の第一歩前進的な表現でいきなり東京を三箇所攻撃っていうのもちょっと違うし。おそらく東京や周辺の発展している都市は今回のテロの標的から除外していいと思う」
月人も同意し、二人はGSD権田支部へ行って小松部長に報告する事に。そして太地は次の話題へと移る。
「月人、この前シンクロ率上がったよね? それでスキルが身についたって……」
『あぁ、【フリーハンド】だな。俺の左手のことだ』
肩から全てが無くなっている左腕の方を指差しながら月人が説明する。
「じゃあ、どうして今、左手がまだ見えないの? 僕のステータスが低いから?」
『見えないからという理由はちょっと違うな……太地のステータスではまだ扱えないから出現しないって感じだな』
「このフリーハンドってどんなことができるの?」
『それは……その時の太地自身のステータス次第だな。読んで字の如く、まさに自由に使える手って感じだわ』
月人が言うには太地のステータスではスキル【フリーハンド】は使用できない。しかしシンクロ率が30%、を超えて使用する条件はクリアしたから解放されたということらしい。
RPGゲームによくある、魔法は習得したが使用するにはMPがあまりに足りないから使えないと同義だとも話す。
「ステータスオープン」
ウィンドウが数枚出てくる。太地は改めて現在の自分のステータスを確認してみる事にした。
【動 action】力10、敏40、回復30、気力20、体力30、伝40
【察 sense】視32、聴25、触15、知60、嗅10、味8
【心 mental】喜悦30、怒気10、無心51、精進72、悟80、感性65
「これ、自分で言うのもなんだけど、すごくない? 一ヶ月前と比べてものすごく数値が上がっていると思うんだけど」
『そりゃそうだな。最高のコーチが指導しているからな』
ちょっと悔しい太地。だがその通りだ。
『まぁ、普通の人間でここまでのレベルに達するのは絶対に無理だ。それは誇っていいぞ。これを見て思うのは、太地は怒りから力を発揮するのが苦手だな』
「怒気が低すぎるってこと? 自分自身でもあまり怒ることがないなとは思うけどね」
『まぁ、いい悪いじゃねぇから気にしなくていい。しかし、【心】の他の
数値が異常に上がったよな。これはひょっとして……いや、まだいいか』
「気になるところで止めるなよ~」
『精進と悟と感性が異常に高いって思っただけだから気にするな。良いことだ。
ちなみに力と気力が数値低過ぎだわ。これじゃぁ、引き続きスピードとタイミングでクリティカルを狙うような戦いしかできねーな』
「……明日からより一層トレーニング頑張ります」
悔しいが、月人の言うことはいつも正しい。本当に優秀な相棒だ。そして、横で六太がものすごいイビキをかいて寝ている。小さい体にしては音がデカすぎてドン引きする太地たち。
「そういえばさ、六太とのシンクロ率はどうして表示されないんだろう?」
『それはお前の父さんがつくったエンドサーフェイスの違いだろうな。そもそも他のシーカーたちもシンクロ率って概念は無いはずだぜ。おそらくだが、別の要素で成長するのか……もしくはこの初期スペックの状態がすでに完成体。つまりこれ以上の変化がないとか……』
「これ以上の変化がない……」
イビキをかいて気持ちよくて寝ている六太を見て、いたたまれない気持ちになる太地と月人。
『俺たちはこいつを生み出してよかったんだろうか……』
「そんなことボソっていうなよ。何か意味があるんだって。きっと……
うん、そうに決まってる……多分ね……」
『ププッ。お前自信なさそうだな。不安が顔に出てるぞ。
まぁ、ペットってことでいいんじゃねーか。きっと何かの役にたつ時が来るって!』
「うん、そうだね!」
『とりあえず、明日からいつも通りトレーニングしてステータスアップだ。早く俺の左手を返してくれよ! 期待してるぜ!』
「了解! 任せといて!」
こうして、長い一日が終わった。
* * *
朝、テレビをつけて報道番組を観ながら食事を摂る太地と月人、そして六太。
やはりどの番組もNFNFの犯行予告のことしか放送していない。本当に12月7日にテロは起こるのか? どこで起こるのか? そういった話題でもちきりだ。
早紀子特製グラノーラを食べながら、テレビを何となく観ている。
『おい、太地~。そんなしょうもない番組ばっかり観てないで、目覚まし過ぎテレビの「今日のワン公」観せてくれよ! オイラの朝の楽しみなんだ! いいだろ~?』
「はい。どうぞ。好きな番組観なよ」
リモコンを渡すと嬉しそうに二本脚で立ってリモコンを受け取り、器用に扱う六太。
『お前の肉球ってどうなってんだ? なんで片手で操作できてんだよ』
『それを言うならオメーも片腕しかねーだろ』
『いやそういう問題じゃねーだろ』
『あ、そうそう、「片手」じゃなくて「片脚」な。オイラは手が無いから』
ケタケタ笑う六太にイラつく月人。それを見て笑う太地はもはや定番となっていた。
そんな日常の何気ない平穏なひととき。
それが5日後に突如崩れ去り、恐怖のどん底に叩きつけられることを、この時まだ誰も想像できずにいた。
0
あなたにおすすめの小説
忘却の艦隊
KeyBow
SF
新設された超弩級砲艦を旗艦とし新造艦と老朽艦の入れ替え任務に就いていたが、駐留基地に入るには数が多く、月の1つにて物資と人員の入れ替えを行っていた。
大型輸送艦は工作艦を兼ねた。
総勢250艦の航宙艦は退役艦が110艦、入れ替え用が同数。
残り30艦は増強に伴い新規配備される艦だった。
輸送任務の最先任士官は大佐。
新造砲艦の設計にも関わり、旗艦の引き渡しのついでに他の艦の指揮も執り行っていた。
本来艦隊の指揮は少将以上だが、輸送任務の為、設計に関わった大佐が任命された。
他に星系防衛の指揮官として少将と、退役間近の大将とその副官や副長が視察の為便乗していた。
公安に近い監査だった。
しかし、この2名とその側近はこの艦隊及び駐留艦隊の指揮系統から外れている。
そんな人員の載せ替えが半分ほど行われた時に中緊急警報が鳴り、ライナン星系第3惑星より緊急の救援要請が入る。
機転を利かせ砲艦で敵の大半を仕留めるも、苦し紛れに敵は主系列星を人口ブラックホールにしてしまった。
完全にブラックホールに成長し、その重力から逃れられないようになるまで数分しか猶予が無かった。
意図しない戦闘の影響から士気はだだ下がり。そのブラックホールから逃れる為、禁止されている重力ジャンプを敢行する。
恒星から近い距離では禁止されているし、システム的にも不可だった。
なんとか制限内に解除し、重力ジャンプを敢行した。
しかし、禁止されているその理由通りの状況に陥った。
艦隊ごとセットした座標からズレ、恒星から数光年離れた所にジャンプし【ワープのような架空の移動方法】、再び重力ジャンプ可能な所まで移動するのに33年程掛かる。
そんな中忘れ去られた艦隊が33年の月日の後、本星へと帰還を目指す。
果たして彼らは帰還できるのか?
帰還出来たとして彼らに待ち受ける運命は?
ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。
タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。
しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。
ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。
激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。
現代社会とダンジョンの共生~華の無いダンジョン生活
シン
ファンタジー
世界中に色々な歪みを引き起こした第二次世界大戦。
大日本帝国は敗戦国となり、国際的な制約を受けながらも復興に勤しんだ。
GHQの占領統治が終了した直後、高度経済成長に呼応するかのように全国にダンジョンが誕生した。
ダンジョンにはモンスターと呼ばれる魔物が生息しており危険な場所だが、貴重な鉱物やモンスター由来の素材や食材が入手出来る、夢の様な場所でもあった。
そのダンジョンからモンスターと戦い、資源を持ち帰る者を探索者と呼ばれ、当時は一攫千金を目論む卑しい職業と呼ばれていたが、現代では国と国民のお腹とサイフを支える立派な職業に昇華した。
探索者は極稀にダンジョン内で発見されるスキルオーブから特殊な能力を得る者が居たが、基本的には身一つの状態でダンジョン探索をするのが普通だ。
そんなダンジョンの探索や、たまにご飯、たまに揉め事などの、華の無いダンジョン探索者のお話しです。
たまに有り得ない方向に話が飛びます。
一話短めです。
異世界帰りの俺、現代日本にダンジョンが出現したので異世界経験を売ったり配信してみます
内田ヨシキ
ファンタジー
「あの魔物の倒し方なら、30万円で売るよ!」
――これは、現代日本にダンジョンが出現して間もない頃の物語。
カクヨムにて先行連載中です!
(https://kakuyomu.jp/works/16818023211703153243)
異世界で名を馳せた英雄「一条 拓斗(いちじょう たくと)」は、現代日本に帰還したはいいが、異世界で鍛えた魔力も身体能力も失われていた。
残ったのは魔物退治の経験や、魔法に関する知識、異世界言語能力など現代日本で役に立たないものばかり。
一般人として生活するようになった拓斗だったが、持てる能力を一切活かせない日々は苦痛だった。
そんな折、現代日本に迷宮と魔物が出現。それらは拓斗が異世界で散々見てきたものだった。
そして3年後、ついに迷宮で活動する国家資格を手にした拓斗は、安定も平穏も捨てて、自分のすべてを活かせるはずの迷宮へ赴く。
異世界人「フィリア」との出会いをきっかけに、拓斗は自分の異世界経験が、他の初心者同然の冒険者にとって非常に有益なものであると気づく。
やがて拓斗はフィリアと共に、魔物の倒し方や、迷宮探索のコツ、魔法の使い方などを、時に直接売り、時に動画配信してお金に変えていく。
さらには迷宮探索に有用なアイテムや、冒険者の能力を可視化する「ステータスカード」を発明する。
そんな彼らの活動は、ダンジョン黎明期の日本において重要なものとなっていき、公的機関に発展していく――。
【悲報】現代ダンジョン時代、俺の職業がLv.1チンピラ【詰み】
道雪ちゃん
ファンタジー
2024年の年末、世界中に突如ダンジョンが出現した。
大学生・三上ひよりも探索者になることを決意するが、与えられた職業は――世界で一人しかいないユニーク職「Lv.1チンピラ」。
周囲からは笑われ、初期スキルもほとんど役に立たない。
それでも、生き残るためにはダンジョンに挑むしかない。
これは、ネット住民と世界におもちゃにされながらも、真面目に生き抜く青年の物語。
※基本的にスレッド形式がメインです
ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜
KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞
ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。
諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。
そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。
捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。
腕には、守るべきメイドの少女。
眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。
―――それは、ただの不運な落下のはずだった。
崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。
その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。
死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。
だが、その力の代償は、あまりにも大きい。
彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”――
つまり平和で自堕落な生活そのものだった。
これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、
守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、
いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。
―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。
オッサン齢50過ぎにしてダンジョンデビューする【なろう100万PV、カクヨム20万PV突破】
山親爺大将
ファンタジー
剣崎鉄也、4年前にダンジョンが現れた現代日本で暮らす53歳のおっさんだ。
失われた20年世代で職を転々とし今は介護職に就いている。
そんな彼が交通事故にあった。
ファンタジーの世界ならここで転生出来るのだろうが、現実はそんなに甘く無い。
「どうしたものかな」
入院先の個室のベッドの上で、俺は途方に暮れていた。
今回の事故で腕に怪我をしてしまい、元の仕事には戻れなかった。
たまたま保険で個室代も出るというので個室にしてもらったけど、たいして蓄えもなく、退院したらすぐにでも働かないとならない。
そんな俺は交通事故で死を覚悟した時にひとつ強烈に後悔をした事があった。
『こんな事ならダンジョンに潜っておけばよかった』
である。
50過ぎのオッサンが何を言ってると思うかもしれないが、その年代はちょうど中学生くらいにファンタジーが流行り、高校生くらいにRPGやライトノベルが流行った世代である。
ファンタジー系ヲタクの先駆者のような年代だ。
俺もそちら側の人間だった。
年齢で完全に諦めていたが、今回のことで自分がどれくらい未練があったか理解した。
「冒険者、いや、探索者っていうんだっけ、やってみるか」
これは体力も衰え、知力も怪しくなってきて、ついでに運にも見放されたオッサンが無い知恵絞ってなんとか探索者としてやっていく物語である。
注意事項
50過ぎのオッサンが子供ほどに歳の離れた女の子に惚れたり、悶々としたりするシーンが出てきます。
あらかじめご了承の上読み進めてください。
注意事項2 作者はメンタル豆腐なので、耐えられないと思った感想の場合はブロック、削除等をして見ないという行動を起こします。お気を悪くする方もおるかと思います。予め謝罪しておきます。
注意事項3 お話と表紙はなんの関係もありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる