Bloody Code 〜特殊な血を持つ天才少年が謎のリングで仲間になった「アイドル」と現実世界を無双する〜

大森六

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第三章 関東大一揆、洛外編

第83話 必要なBBQ

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 太地たいちたちは権田支部で成美と合流し、GGラインに乗り込む。

「報道番組にまた犯行予告が流されたのですわ」

「はい、先ほど家で観ていました」

「まだまだ続きがあるということですわ……」

『お嬢、今は気落ちしている場合じゃないぜ。一緒に対策を練ってNFNFエヌフと戦うんだ』


 にこりと無理やり笑顔をつくって頷く成美。おそらく怒りよりも恐怖心が大きくなっている。このままでは全体の空気も重くなってしまう。


 GGラインがGSDジスドに到着し、太地たちは急いで探索課の執務室へ向かった。



「すみません! 遅くなりました!」


 執務室の扉を開けるといつもの広々した空間に何やらいい香りがする。書棚ゾーンを抜けて、シーカーのデスクへ向かうが誰もいない。

「誰もいないですわ……」


 すると奥のバルコニーへと繋がる休憩スペースから宝生ほうしょうが出て来た。こっちへ来いと手招きしている。導かれるままに行ってみると、小松部長や高杉が率先してBBQの準備をしている。

「おう!太地と御令嬢も来たか! その辺適当に座っていいぞ~。もうすぐ肉焼くから」

「え? 肉? 焼く?」


「太地さん、高杉さんのピザのほうを手伝ってください。権田さんは私と片瀬さんと一緒に飲み物を準備しましょう」

「「え……あ……はい」」


 宝生の真顔で指示を出されると条件反射的に『はい』といってしまう。


「太地くん、そっちのチーズをとってもらっていい?」 

「こ、これですか?」

「ありがとう。この釜オシャレでしょ? 僕の私物でね。小松部長が持ってこいって。アウトドア派だからこういうのってワクワクするよ。」


「あ……はい」


 状況が把握できないでいる太地と成美に小松部長が笑って話しかける。


「太地、お前今朝のNFNFエヌフの犯行予告、あれ観て結構焦ってるんだろ?」

「……はい。すぐに対策を考えて動くのかなって」


 トングを片手に小松部長が肉を焼きながら話す。

「俺たちはGSDジスド探索課のシーカーである前に、一人の人間だってことを自分自身で理解する必要があるんだ。心身ともにしっかり休んで初めて物事上手くいくってもんだ。太地はすげぇ力を持っているし、隣に月人もいるからな。GSDジスドに来たとなれば、とんでもない責任感も自然と出てくるだろう」

『……おっちゃん』


「でもな、太地が思っている以上に太地は人間なんだということを忘れちゃいけねぇんだ。それは必ず最後に追い込まれることへと繋がる。自滅する方向へ進んじゃダメなんだよ。俺たち探索課のシーカーはな。
 俺はこう見えて健全な環境で仕事させてやりてえと、頭の中では思っている。だが、業務の内容は昨日みたいなことだ。辛いどころの話じゃねぇ」


「……」


「今はアドレナリンやらプレッシャーやら恐怖心、そういった感情が前に出て来て身体が動けているだろうが、連戦となればそうはいかない。どこかでガタがくる。だからそうならないようにシーカーはメンタルを上手くコントロールするしかないってことだ」

『太地、俺も小松のおっちゃんに賛成だ。少し心配ではあった。お前は頑張れるから余計にな。楽しむときに楽しんで、任務は任務で割り切るのも大事かもな』

「確かにずっと引っ張っても仕方ないしね。解決できるわけでもないし」


「そういうこった。今は昨日の激務、お疲れ様という俺様のありがたいねぎらいBBQを楽しめばいいんだよ。 ガハハハ!」


『お~いトンボ! こっち焼けたぞ! あと、オイラのササミもちゃんと先に茹でてくれよ! 下味とかつけなくていいから素材の味をそのまま活かしてくれ。千鶴と片奈は何が食べたい? あ! 俺はホットドックが食べてぇなぁ』

 六太が肉球柄のイエローハーフパンツに草履ぞうりという季節外れの格好でBBQを楽しんでいる。

「六太さん……茹でるのは厳しいっスよ。焼くしかできないから。あとホットドックは共食いになるっスよ。ハハハ」


『あの馬鹿犬くらいに弾けたほうが良いのかもな』

「プハッ。 確かにね!」


 こうして、太地と成美はその張り詰めた緊張感を突然のBBQで和らげることにした。


「よっしゃあ! お前ら!昨日は全員本当にご苦労だったな。俺の知り合いの肉屋からガッツリ仕入れて来たこの肉全部今日中に食べきるのが今日の指令だ! そんじゃぁ、乾杯!」


「「「乾杯!」」」


「そう言えばさ、むっちゃんのあの栄養ドリンク、そろそろ秘密を教えてよ。あれってスキルなの?」

 高杉が気になっていることをストレートに聞く。小松部長も興味津々だ。

『ちげーよ。アレはオイラがシーカーのみんなのために調合してつくっただけであって、スキルとか、技とかそんなんじゃねえよ』


「じゃあ、六太むったさんにはその薬を作る知識があるってことっスか?」

『あぁ、オイラは回復薬をつくる知識と脚<腕>がある。とはいっても、人間が理解している回復薬じゃねぇぞ。だ』


「ローダーの回復薬⁈」


 六太むったがBBQコーデから白衣にメガネの研究者コーデへと切り替えて、テーブルの上をペタペタ歩きながら説明する。


『要するにだな……片奈は昨日相手から切り刻まれて腕とか脚に細かい傷を負ったよな?』


「えぇ、これとかね。まだ治っていないわ」


 片奈が傷を皆に見せる。


「そういった、敵からの攻撃によって負傷した傷やダメージはオイラも治療できねえんだ」

 ふむふむと全員頷いて六太の話を聞く。

『でもそうちゃんの疲労感や片奈の疲労感、千鶴の目の疲れも含めてそういうのはオイラが治療できるってわけよ』


「もうちょっとその大事な部分、説明して欲しいんだけど……」

 高杉がさらに突っ込んで聞く。


『つまりだな、スキルを使ってなくなったエネルギーを回復するってことさ。
 もしくはBloody Codeを介して生み出した個々のスキルを使用することで蓄積されていく身体へのダメージをリセットするって感じだな』


「なるほど。だから私の傷は治らないけど、闇のスキルを使うことで蓄積していたダメージは回復したってことね……」


『そういうこ、と、さ!』

 パチンと器用に脚の指を鳴らして片奈にサムズアップする六太。


 全員が六太むったを見てフリーズしている。

 そして思ってしまった。この黒ポメ……すげーぞと。









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