ストロベリーファンド ~はずれスキルの空間魔法で建国!? それ、なんて無理ゲー?~

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リア充、爆発しろ!

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 「……イテッ!……いきなり何するんだよ。」
 ぼーっとしていたらなぜかリディアにいきなり抓られた。
 「シンジさんのロリコン!」
 「ちょ、おまっ、言うに事欠いてなんてことを!」
 とんでもない事をリディアが言い出す。
 「だって、今もニナ達を、デレーってした目で見てたじゃない。」
 私というものがありながら、とリディアが膨れている。

 「言いがかりだっ!大体俺のどこがデレーっとしていたんだよ。」
 「その眼!その視線!ずっとニナ達を追っかけていた!」
 「ウッ……。」
 リディアの指摘に思わず口籠る。
 まぁ……確かに、ニナ達の服装が可愛いなぁとは思っていたけど、決してやましい気持ちではなく……。
 俺が必死に言い訳を考えていると、リディアがすり寄ってくる。

 「シンジさんはぁ、もっとお嫁さんを大事にした方が、いいと思うのですよぉ。」
 そう言いながら、リディアは俺の膝の上に乗り向かい合うようにして抱きついてくる。
 「そう思わないですか?ダ・ン・ナ・サ・マ♪」
 俺の首に両腕を回し、耳元で囁いてくるリディア。
 ……いかん、最近のリディアは破壊力がすざましぃ……きっと実家……と言うより母親のマルティアさんから色々教えられているのだろうが……。

 俺はそっと体を離してリディアを見ると、恥ずかしいのか耳まで真っ赤に染めて、それでも健気に笑いながら見上げて……そしてそっと目を瞑る。
 ……いや、その顔は反則だろ?
 思わず顔を近づける……どこか遠くの方で、理性と言う名の何かが訴え駆けている気がしたが気にしないことにする。

 「あのぉ……そろそろお話を……。」
 リディアとの距離がゼロになってからどれくらいの時間が過ぎたのだろうか?
 突然かけられた声に、我に返りリディアから唇を離す。
 「アッと、あはは……何だったかな?」
 俺は気まずそうに、声の主……リオナに声をかける。
 「何だったのかは、此方のセリフですよ。お邪魔でしたら私達は下がらせていただきます。」
 「おにぃちゃん、リディアおねぇちゃんと仲良しなところ見せつけるために呼んだの?」
 リオナに続いてレムがそんな事を聞いてくる。
 その言葉に二人の後ろに並んでいる、メイド服を着た子供たちが、深く頷いている。
 「あ、いや、そう言うわけじゃなくて……。」

 俺がこの土地……ノイエ・ミーアラントの領主になってから、はや二年が過ぎようとしている。
 この2年の間に色々あったのだが、それは周りも同じ様で、幼いイメージでしかなかったレムも、今ではしっかりとしたお姉さん然として、他の子どもたちの先頭に立って行動している。

 「ゴメンねぇ、呼んだのは私なのですよ。」
 リディアが、まだ顔を赤らめたまま、ワタワタと手を振りながら皆を引き留める。
 「えっとね、今度また、あの人が来るんだけどぉ……。」
 リディアの言葉に、メイドの子供たちの顔が引きつる。
 リディアの言う「あの人」と言うのは、言わずと知れたベルグシュタット王国、国王フィリップ24世その人の事だ。

 頭の痛い事に、この二年の間、暇さえあれば顔を出すようになったフィリップ国王。
 まぁ、それを可能にしたのは、俺が設置した転移門の所為だけどな。
 この屋敷とベルグシュタットの屋敷は改良型の転移門で繋いであり、登録した者か許可を出した者にしか使えないとはいえ、一瞬にして行き来できるというスグレモノだ。
 ただ、これは悪用すると、とんでもない事になる為、術式やレシピは完全に秘匿して、俺が俺の使いたい様に、全く私用の為だけに使う事にした。

 ミカサは、それでも詳しい術式を知りたがったが、流出するヤバさを理解したフィリップ国王の説得と、アシュラムとの共同研究に加えることを確約したことにより、今ではアシュラムの研究所に籠りっきりになっている。

 現在、転移門はベルグシュタット王宮内の秘密の間、ベルグシュタットの屋敷、アシュラム王宮内のアイリスの部屋、グランベルク王宮内のクリスの部屋に設置してある。
 そして、国王夫妻とリディアの妹のセーラは、その転移門を使ってこの街に海産物を食べにくるようになった。
 ……俺が私用の為に設置したはずなのに、一番使用しているのがベルグシュタットの王族と言うのは……。

 まぁ、とにかく王族が来ると困るのはその屋敷の使用人たちという事で、特にこの屋敷で働いている者達の殆どは、戦争によって孤児となった子供達なので、王族どころか貴族とも接した事が無い。
 なので、王族に対してどう接していいか分からず、混乱するのだ。
 まぁフィリップ国王は気さくで、庶民に対しても懐が深く……というか、固い事を言うなら出禁にする上、ベルグシュタットへの輸出を制限すると言ったら、凄く懐が深くなったのだが……。

 お陰で、ウチの子達はお粗末ながらも、貴族に対する作法と言うのを覚えつつ、それなりに上手くやってきたのだが、それでも王様が来ると言うのは緊張を強いられることになる為、来訪を知った時は皆一様に顔を引きつらせるのだ。

 「でね、食事はいつもの様にお刺身を中心とした海産物でお願いしますね。それで、皆に集まってもらったのはね……。」
 なんでも、ベルクシュタットの城で人手が足りないらしく、希望する者が居ればうちの子達の中から何名かを側使え見習いとして雇いたいとのことだった。
 「一応、向こうでの住み込みと言う形になるけど、身の回りの物はすべて用意するから、それは心配しないでね。」
 俺はリディアの言葉を引き継ぐ。
 「お前達の働きは、王宮でも十分通用すると認めていただいた方、持ち上がった話だから誇っていいぞ。ただ、強制はしないのでよく考えて結論を出して欲しい。希望する者は後で俺かリディアに話に来るようにな。」

 それだけを伝えて解散させると、後にはリオナとレムが残っていた。
 「ん、どうした?」
 「いえ、あの、リディア様が残るようにって。」
 「リディア、何か話があるのか?」
 俺はリディアの方を見る。
 「ウンあのね……。」
 リディアは少し気まずそうに顔を背けるが、ゆっくりと話し出す。
 「実は、今回の事セーラが言い出したみたいなのね。本当はリオナさんかレムちゃんに側使えになってもらいたかったらしくてね。一応二人はシンジさんの側室候補だからダメって言ったんだけどね。」
 ……ちょっと待て、リオナとレムが側室?
 聞いてないぞ。

 「リディア、どういうことだ?」
 「だからね、セーラが年の近くて友達のように接してくれる側使えが……。」
 「そっちじゃなくて、この二人が側室ってどういうことかって聞いてるんだが?」
 「シンジこそ今更何言ってるの?」
 何を言っているか分からないという顔で、リディアが逆に聞いてくる。

 「「ダメ、ですか?」」
 リオナとレムが揃って見上げてくる。
 「いや、ダメと言うかなんというか……。」
 「はぁ……シンジさんも往生際が悪いですねぇ……ある意味、私達と一緒なんですよ、この二人は。」
 リディアが呆れたように溜息をつく。

 リディアたちと一緒?
 ……リディアたちの立場は、俺の婚約者だ。
 しかし婚約者と側室????
 俺の様子を見てリディアが心底呆れた声を出す。
 「まったく……本当に、こういう事に関してはダメダメですねぇ……まぁそこがいいんですけどね……正直どうかとも思いましたが、私達と婚約した時の事を思い出してみてください。」
 リディアに言われて、俺は記憶を探ってみる。

 リディア達は俺に告白をしてくれて、俺はそれを受け入れた、そこまではいい。
 ただ、その後領主となり、色々忙しくて放置していたら、各国の有力貴族達から婚姻の申し込みが相次いだのだ……所謂政略結婚ってやつだな。

 ベルグシュタットといち早く交流を持ったことにより、ミーアラントの有益さが各国に広まるのに時間はかからず、利権を求めるものの、今まで交流の無かった者たちが手っ取り早く関係を持とうとすれば、結婚という手段を取るのは自明の理だったりする。

 全く興味がない……と言うより下心丸出しで来られても困るので断り続けてはいたのだが、たまに断りづらい厄介な相手もいたりするので困り果てていた時、エルが解決策を教えてくれた。

 「バカシンジが、何時までも私達を放っておくから、こうなるのよ。ちなみにアイリスにも似たような問題がおきているからね……そろそろはっきりさせてくれてもいいんじゃない?」
 「はっきりって?」
 「私達との……その……結婚の事……言わせないでよ、バカ……。」
 そう言った時の、赤く染まった顔のエルの表情はよく覚えている。

 俺はエルの助言を受け入れて、エル、リディア、アイリスとの婚約発表を大々的に行った。
 エルの素性は公にしていないが、ベルグシュタットとアシュラムの王女という肩書は、世間にかなりの影響を与え、流石に王女が相手にいると知ったうえで、結婚をごり押ししてくる貴族はいなくなり、俺の周りには一応平和が戻ったのだった。
 その後、クリスが追加の婚約者として押しかけて来た時はまた一騒動会ったのだが……。

 「思い出しましたかぁ?」
 「あぁ、思い出したけど、それが?」
 「ほんとぉぉぉぉぉにっ、分からないんですか?シンジさんバカなんですか、バカですよねっ!」
 何故かリディアがキレている。
 
 「いいですか、この二人はシンジさんとエルさんにとって大事な人ですよね?」
 リディアが慰めるように二人の頭を撫でながら、俺に向かって聞いてくる。
 「あぁ、その通りだが?」
 「だったら分からないですか?シンジさん達に近づこうとしている人達が次に何を考えるか?って。」
 そこまで言われて、俺はようやく理解する。
 「そう言う……事か。」
 「そう言う事ですよぉ。……本当に困った人ですよねぇ。」
 リディアとリオナ達は、揃って困った人を見る目を俺に向けてくる。 
 
 つまり、利権を求めた下心丸出しの貴族たちは、ターゲットを俺から、俺の近しい者たちに切り替えたというわけだ。
 リオナとレムなら、一応、下級とはいえ貴族籍にあるから姻戚関係を結ぶのに問題は少ない。
 少なくとも平民や孤児相手よりは、建前等の理由付けも容易いだろう。

 「あ、あの、エル様やリディア様達からの御許可は得ていますが、シンジ様がお嫌であるならば、私達は……。」
 リオナがおずおずと、そう言ってくる。
 「嫌って事はないが、リオナ達はそれでいいのか?」
 俺としては、守ってやると言いながら無理強いをしたくはない。

 「えぇ、私の気持ちはあの時から変わっていませんから。」
 「おにぃちゃん以外の人の所に嫁ぐのはイヤです。」
 ……二人とも即答だった。
 真っすぐな想いを直接ぶつけられて、却ってこっちが赤面してしまう。
 「そ、そうか、じゃぁ、そう言う事で、これからもよろしくな。」

 「はぁ……ちなみに街中では、他に色々噂が流れていますから、気を付けてくださいねぇ。」
 リディアが言うには……『新しい領主様は将来の側室候補として孤児たちを囲っている』とか『領主様は小さい女の子が好き』とかと言う噂も流れているらしい。
 何故そんな噂が……。
 俺はがっくりと肩を落とす。
 「部屋に籠って好き放題しているからですよぉ……自業自得です。現状を理解したら少しは私達を構ってくださいね。」
 と言うわけでデートに行くのですよ、と落ち込む俺を引っ張って街へ繰り出す準備を始めるリディア。

 はぁ、たまにはリディアとのデートもいいか。
 俺は嬉しそうにしているリディアの横顔を見ながら、そう思った。
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