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第二章 勇者のスローライフ??
ミカゲ無双
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「あっ、ミカ姉……ダメ……。」
「ン?どうしたのかなぁ?」
「ミカ姉、ダメだよぉ。そんなトコロ触らないで。」
私の手にクーちゃんが触れて、止めようとする。
「えぇー、でもほぐしておかないと、あとが大変だよ?」
「でもでも……ダメェ……お姉ちゃん……ダメぇ……。」
「じゃぁ、コッチはどう?」
真っ赤な顔のクーちゃんが可愛いので、ちょっと意地悪をしてみる。
「アンッ……ソコもダメェ……。」
「じゃぁココならいいのかな?」
「イヤっ、イヤっ……お姉ちゃんのイジワル……。」
私の手が動く度に、クーちゃんの瞳に涙が浮かんでくる。
「ハイハイ、もー、クーちゃんは可愛いんだから。」
私はクーちゃんを抱きしめる。
「じゃぁ、そろそろ行くよ?」
「えっ、ソレ入れるの?」
「そうだよぉ。」
「ダメっ、ムリっ、無理だよぉ……あ、あぁ……。」
「大丈夫、ちょっとだけ我慢してね。」
「あ、あぁ……熱いよぉ……。」
「ほら、全部入ったよ。」
「うぅ……あぁ、とろけちゃう……。」
「頑張ったね。でも、まだこれからだよ。」
私はクーちゃんにそう囁く。
そして次の工程に進むべく、クーちゃんを……。
「いい加減にしなさいっ!」
後ろからミュウに思いっ切り叩かれる。
「真昼間から、紛らわしい声出してるんじゃないわよっ!」
「ミュウお姉ちゃん。ミカ姉酷いんだよぉ。イヤって言ったのにぃ、ダメって言ったのにぃ……。」
クーちゃんが、私から離れてミュウの下に走る。
「えー、だってぇ。」
「だって、じゃないよぉ。私が折角、綺麗に丸く作ったのにぃ、ヘンなのつけて……。」
「でも、ほら、この三角つけたらミュウみたいで可愛くない?」
「そうだけど……それに何か入れちゃうし……。」
「チーズだよ。溶かしてあるからちょっと熱いけど、ハンバーグの中にチーズを入れると美味しくなるんだよ。」
「でもぉ……。」
「ストーップッ! 二人ともハンバーグを作るのはいいけど、紛らわしい声を出さないのっ!周りを見てみなさいよ……ったく。」
ミュウに言われて、私は周りを見回す。
隣で一緒にハンバーグを作っていたユナさんとミナさんは、何故か顔を赤らめているし、近くにいるユナさん達のパーティーメンバーを始めとした男性たちは、なぜか腰をかがめて、動きがぎこちない。
「えっと、みんなどうしたのかなぁ?」
「ミカ姉のばかぁ……。」
目的の街、アスカまで残り数日、という所で商人の皆さんからハンバーグをぜひ作って欲しいと請われたのよ。
めんどくさいから断りたかったんだけどね、暇だったのと、ユナさんやミナさん、クーちゃんが作り方を教えて欲しいっていうから、教えるついでに作る事にしたのよ。
もちろん、商人さん達からはそれなりの代価をいただいたけどね。
まぁ、作ってる途中にクーちゃんのハンバーグにアレンジを加えていたら、ミュウに怒られたっていうのがさっきの騒ぎなんだけどね。
「形が出来たら、後は焼くだけよ。」
私は鉄板の上に、こねたハンバーグのタネを乗せて焼いていく。
商人さん達皆に振舞うために、かなりの数を焼かなければならないので大変なのよ。
というか、後は焼くだけなんだから、各自で焼いてくれてもいいのにね。
焼けた順に商人の皆さんに配っていく……と言っても私達は焼く方で手一杯なので、実際に配ってくれているのは、暁と白銀の皆さんなんだけどね。
「これで最後です。この後皆さんの分作りますから、配り終えたら戻ってきてくださいね。」
私はそう言って、最後のハンバーグを渡すと、暁さんや白銀さんと自分たちの分のハンバーグを焼き始める。
流石に護衛任務外で色々お願いしちゃったわけだから、少しぐらいはサービスしないと悪いよね?
そう思った私は、ハンバーグを焼いている間に、勇者の袋から丸いパンを取り出して、ミュウに頼んで上下二つに切ってもらう。
「それ、なにしてるの?」
横からユナさんが覗き込んでくるので、手伝ってもらう事にする。
「ユナさんは、この野菜をパンの上に乗せて行ってね。ミナさんは焼けたハンバーグをその野菜の上に乗せてね。」
「あ、うん。」
「わかりました。」
「クーちゃんとマリアちゃんは、私がソースを塗ったら、上のパンを被せてね。」
ミュウがパンを二つに切り、ユナさんが野菜を乗せ、ミナさんがその上に焼けたハンバーグを乗せる。
その上にチーズをのせてソースを塗ると、クーちゃんとマリアちゃんがパンを被せてハンバーガーの出来上がり!
流れ作業で沢山のハンバーガーが作られていき、最終的には50個出来上がる。
男の人達は、たぶん3~4個食べるだろうから、本当はもっと作りたかったのだけど、ハンバーグの元がなくなっちゃったから仕方がないよね。
代わりと言っては何だけど、私は手早くフライドポテトを揚げる。
パンを切る作業が早々に終わってしまい暇を持て余したミュウには、ジャガイモをスティック状に切ってもらっていたから結構な量が作れそうなの。
余っても勇者の袋に入れておけばいいから、大目に作っても問題ないよね。
「終わったぜ……おっ、これは何だ?」
「ハンバーガーよ、丁度ポテトも出来たみたいだから、座って。」
ミュウが戻ってきたザモンさん達を、簡易的に作ったテーブルへと誘導する。
その間にユナさんとミナさんが、ポテトとドリンクを用意する。
一通り行き渡った所で、皆で揃って食事を始める。
結構長い間一緒に行動していたけど、こうやって護衛パーティがそろって食事をするのは初めてだったりする。
「ん、うまいな、コレ。」
男性陣は思った通り、ハンバーガーをパクパクと食べていく。
ガンドルフさんなどは、体形に似合わず大食漢みたいで、既に4つ目のハンバーガーを手にしていた。
「なぁ、もうすぐ護衛も終わりだろ?そうしたらアンタらどうするんだ?」
白銀の短剣使いさんが聞いてくる。
もぐもぐもぐ……。
「えっと、聞いてる?」
もぐもぐもぐ……。
「えーと……。」
クーちゃんが袖を引っ張る。
(ミカ姉、返事してあげなよ。)
「えっ、私?」
「そうだよっ!」
「てっきりガンドルフさんに話しかけてるもんだと。」
「男に声かけてどうす……っと、それより、アンタらはどうする予定なんだ?良かったら俺達と……。」
「ねぇねぇ、クーちゃん。チーズがあると美味しいでしょ?」
「あ、うん……ソウダネ……。」
「聞いてるのか?」
「おい、その辺でやめておけよ。」
少し口調が荒くなりかけた短剣使いさんを、ザモンさんが止める。
「いや、しかし……。」
「よせって。」
白銀のリーダーのリゥイさんも止めに入る。
「まぁ、その、なんだ、気を悪くしないでもらえると助かる。見ての通り俺達は前衛だけの3人パーティでな、まぁ2か月前までは後衛の魔法使いと弓使いがいたんだが……。」
そう言って語り出すリゥイさん。
別に私は興味なかったんだけどね。
なんでも元々『白銀の翼』は盾戦士、大剣使い、短剣使いに魔法使いの4人パーティだったらしいの。
そこに半年ほど前に入ってきた弓使いの女の子が加わったんだけど、この女の子がね、いかにも「女の子」って感じの天真爛漫で物怖じしない子だったらしいの。
誰とでも仲良くして、スキンシップ過多で……まぁ、メンバー全員が惚れちゃったってわけ。
でもね、パーティ内で女の子の取り合いって言うのもなんだしという事で、4人は「抜け駆けしないこと」という紳士協定を結んだらしいのよ……バカだよねぇ。
結局、2ヶ月ほど前に魔法使いの人が抜け駆けして、その弓使いの子を連れて逃げ出したってわけ。
「そう言うわけで、良かったら今後も俺達と一緒に……って聞いてる?」
「ん?聞いてない。」
「いや、だから……。」
「いらない……あっち行ってくれる?」
「はっ?」
「だからね、近寄らないで、って言ってるの♪」
「えっと?」
「……ねぇクーちゃん、言葉が通じない時は吹っ飛ばしてもいいよね?」
「だからダメだってば……リゥイさん、ゴメンナサイ。取りあえず出直してきてもらえます?」
「クーちゃん、口聞いちゃダメだよ。向こう行こうね。」
◇
「はぁ……冒険者ってあんなのばっかり。」
私はベガ……拾ったユニコーンの名前よ……の背の上でぐったりとしていた。
危険が無いかを確認するために、私とユナさんで先行している所なんだけど、まぁ特に問題が無いから、おしゃべりに花を咲かさせてるってわけ。
「あんなのばかりじゃないって……まぁ、彼らなりに焦ってたんだと思うよ。」
「じゃぁ、ユナさんが行けば?」
「いやいや、私達はパーティ決まってるから。」
「そう?ユナさんやミナさんなら私達も歓迎するよ。どう?衣食住は保障するよ?」
「あはは。ゴメンね、お誘いは嬉しいんだけど、私達が抜けたらザモンが泣くからね。……それより、ミカゲちゃん、そんな恰好でよく落ちないね?」
ユナさんは不思議そうに聞いてくる。
「ウン、この子賢いから、うまくバランスとってくれているみたい。」
「そ、そうなんだぁ……。」
ユナさんは何と言っていいか分からないって顔をしていた。
「ミカゲなんだから、考えても無駄なんだって。」
そんなユナさんに同情するような声が背後からかかる。
「ミュウ、どうしたの?」
「そろそろ交代の時間だからね。次の休憩場所までは私が代わるよ。」
「あれ、ミュウちゃんだけ?」
ミュウ以外に人影が無いのを見てユナさんが確認する。
一応先行隊は2~3人でのローテーションにしてあったはずだから、ミュウしかいないのが気になったんだと思うの。
「ザモンさんとガンドルフさんが後から来るよ。」
「そう、じゃぁ、二人が来るまでここで待機してましょうか。」
結構な距離を走ったので、この辺りで馬を休ませよう、とユナさんが言う。
「ん~っと、ユナさんは休んでていいよ。」
私はユナさんにそう告げる。
「一人で大丈夫?」
ミュウが聞いてくる。
何も言わなくても察してくれる辺り、付き合いが長くなったんだなぁと感じるよ。
「うん、たぶん一人の方がいい。必要なら呼ぶね。」
「分かった。無茶しないようにね。」
「えっ、あのっ、ちょっと……、ミカゲちゃんどこ行くの?」
「お仕事だよ♪」
訳が分からないと狼狽えるユナさんを残して、私は速度を上げる。
ゴメンね、休みたいかもしれないけど、もう少し頑張ってね。
私はベガにそう声を掛けながら、目的の場所までベガを走らせる。
「えーと、あ、いたいた。」
前方には廃村となった村の跡が広がり、そこにゴブリンの集団がいた。
崩れかけとは言え、建物がいくつか残っているので、ゴブリン達の住みかとなっているみたい。
「これは纏めてやっちゃった方がいいよね……ディフェンション!」
いつものバトルモードに変身して杖に魔力を集める。
「いっけぇぇぇー、スターダストレイン!」
無数の光がゴブリンの集落に降り注ぐ。
「ついでに……イグニスファイアー!」
光に貫かれ絶命したもの、辛うじて息のあったものなどお構いなしに、その集落一帯を浄化の炎が包み込む。
ハッキリ言ってゴブリン相手にはオーバーキルなんだけど、一応念の為って事で。
決してね、イライラしてたからストレス解消にってわけじゃないからね。
「ふぅ……ちょっとスッキリ……って、まだいるの?」
上空を見ると、こちらに向かっている影が……ワイバーン?
どうやら近くに巣があるらしく、騒ぎを聞きつけて様子を見に来たらしい。
「まぁ、ついでだよね。」
こっちに向ってくる影は4体、取りあえずまとまってくれると助かるよね。
「アイシクルランス!」
氷の矢がワイバーンを襲う。
しかし、それを難なく躱すワイバーン。
「でも、折り込み済なんだよ。」
私は連続で氷の矢を放つが、ワイバーンは軽く身を翻して躱していく。
「計画通り!」
私はニヤリと笑って見せる。
私が無造作に放った(様に見える)魔法を躱していくうちに、一定のエリアに集まってしまったワイバーン達。
「タービュランス!」
ワイバーンのいるエリア一体に起きた乱気流に巻き込まれて、バランスを崩して落下するワイバーン達。
「トルネード!」
更に風の渦が包み込み、ワイバーンの自由を奪っていく。
「アイシクルピラー!」
地面から突き出た氷の柱が、落下してきたワイバーンを突き刺す。
「はいお終い……あっけないよね。」
氷の柱に早贄の様に突き刺さるワイバーンを見て呟く。
「まぁ、このモードの時じゃないと使えないんだけどね。……さぁ、もう何も出てこないよね?」
私は一応周りの気配を探ってみる。
「うわっ、マジですかぁ。」
足元からかなり大きな気配を感じた。
どうやら、一連の騒ぎでこの辺りの主を起こしちゃったみたい。
「足元……地面の中って言ったら……アレよね。」
私は脳裏にあるモンスターの姿を思い浮かべる。
「やだなぁ……。っと、取りあえずはっと。」
頭上に向けて発光弾を放つ。
これで少しすればミュウ達が来てくれるはず。
「ちょっとは戦いやすい場所に移動するべきよね。」
瓦礫の残る集落地へと移動し、足元などを確認していると、ソレが姿を現す。
体長10mを超す巨大ワームだ。
見かけより硬い体皮は、生半可な剣では傷をつける事は出来ず、魔法抵抗力も高い為、倒すのは中々に難しい。
住処を荒らされたり、餌を捕食するとき以外は、地中に潜ったまま動かない為、ワームの住みかには近づかないのが一般的なのよ。
「でも、今更なんだよねぇ。」
私はダメだとは思いつつもファイアーボールを撃ち込んでみる……が、やはり外皮によってダメージは軽減される。
ワームの攻撃は単調で、その巨体を鎌首の様に持ち上げて、目標に向かって振り下ろすだけ……なんだけどね。
ただ、その速度がかなり速いのと、振り下ろされて地面にあたった時に、衝撃波によって地面が揺れるので、バランスを崩しやすいのよ。
何度も打ち下ろされる巨体を躱しながら、魔法を撃ち込んでいくけど、やはり大したダメージを与える事は出来ない。
「だからと言って、私の腕じゃ剣でも無理だしね……となると……。」
私は念のためにMP回復ポーションを飲んでおく。
「ヤッパリ、中からしかないよねっ!」
私はワームの目の前に飛び出し、眼前に向ってジャンプする。
目の前に来た餌を捕らえようと、ワームが大口を開ける。
「そこよっ!」
腰に差してあった剣を突き刺し、ワームの口が閉まらないようにする。
「とはいっても時間の問題なんだけどね。」
私はその剣に氷の魔法を掛けて補強する。
ワームは苦しがって身体を振り回すけど、私は剣を支えにして飛ばされない様にしがみ付きながら、勇者の袋から取り出した石の塊のようなモノを、ワームの喉の奥に向かって投げつける。
「ファイアーランス!」
更に炎の槍を何発も打ち込んでいく。
「トドメよっ……エクスプロージョン!」
ドゥンッ!
体内で爆発が起きる。
ドゥンッ! ドゥンッ!
先に投げておいた炸裂弾の塊に火が付き、更に爆発が広がり、爆風によって私の身体も後方へと吹き飛ばされる。
ワームの1/3辺りが吹き飛び、巨体が二つに分かたれる。
前部が私の目の前に、ドッシィィーンと転がり落ち、後部はビクッ、ビクッとまだ動いている……。
「ミカゲっ!大丈夫?」
ミュウが駆け寄ってくる。
「大丈夫……だけど、キモいよぉ……だから虫系は嫌いなのよ。」
私はミュウに寄り掛かる様にして立ち上がりながらワームを指さす。
「発光弾が上がったから、何かと思って急いで駆け付けたんだけど……これ、ワーム?」
「ウン、近くに巣があったみたい……予定外だよ。」
「これはっ……ミカゲが?」
ミュウに遅れて、やってきたザモンさん達が、眼前の光景に絶句する。
私の周りに転がる、無数のゴブリンの焼死体、離れたところに起立している氷の柱の先にはワイバーンが突き刺さり、トドメとばかりに、目の前に転がる巨大ワーム。
普通は、そう言う顔になるよね。
「無茶すんなって言ったでしょ。」
「ワームは予定外だったんだよぉ。」
「はぁ……まぁ、ミカゲだからしょうがないか。」
「何よぉ、それぇ。」
私はミュウに文句を言いつつ、ワームから距離を取る。
ザモンさん達が止めを刺してくれてるけど、こっちまで飛んできたら嫌だからね。
「で、ミカゲ、アレどうするの?」
ミュウがワームを指さす。
「いらないから誰かにあげるよ。それよりワイバーン素素材を採りに行こ。」
私はミュウを誘って氷の柱に向かって移動することにした。
「ン?どうしたのかなぁ?」
「ミカ姉、ダメだよぉ。そんなトコロ触らないで。」
私の手にクーちゃんが触れて、止めようとする。
「えぇー、でもほぐしておかないと、あとが大変だよ?」
「でもでも……ダメェ……お姉ちゃん……ダメぇ……。」
「じゃぁ、コッチはどう?」
真っ赤な顔のクーちゃんが可愛いので、ちょっと意地悪をしてみる。
「アンッ……ソコもダメェ……。」
「じゃぁココならいいのかな?」
「イヤっ、イヤっ……お姉ちゃんのイジワル……。」
私の手が動く度に、クーちゃんの瞳に涙が浮かんでくる。
「ハイハイ、もー、クーちゃんは可愛いんだから。」
私はクーちゃんを抱きしめる。
「じゃぁ、そろそろ行くよ?」
「えっ、ソレ入れるの?」
「そうだよぉ。」
「ダメっ、ムリっ、無理だよぉ……あ、あぁ……。」
「大丈夫、ちょっとだけ我慢してね。」
「あ、あぁ……熱いよぉ……。」
「ほら、全部入ったよ。」
「うぅ……あぁ、とろけちゃう……。」
「頑張ったね。でも、まだこれからだよ。」
私はクーちゃんにそう囁く。
そして次の工程に進むべく、クーちゃんを……。
「いい加減にしなさいっ!」
後ろからミュウに思いっ切り叩かれる。
「真昼間から、紛らわしい声出してるんじゃないわよっ!」
「ミュウお姉ちゃん。ミカ姉酷いんだよぉ。イヤって言ったのにぃ、ダメって言ったのにぃ……。」
クーちゃんが、私から離れてミュウの下に走る。
「えー、だってぇ。」
「だって、じゃないよぉ。私が折角、綺麗に丸く作ったのにぃ、ヘンなのつけて……。」
「でも、ほら、この三角つけたらミュウみたいで可愛くない?」
「そうだけど……それに何か入れちゃうし……。」
「チーズだよ。溶かしてあるからちょっと熱いけど、ハンバーグの中にチーズを入れると美味しくなるんだよ。」
「でもぉ……。」
「ストーップッ! 二人ともハンバーグを作るのはいいけど、紛らわしい声を出さないのっ!周りを見てみなさいよ……ったく。」
ミュウに言われて、私は周りを見回す。
隣で一緒にハンバーグを作っていたユナさんとミナさんは、何故か顔を赤らめているし、近くにいるユナさん達のパーティーメンバーを始めとした男性たちは、なぜか腰をかがめて、動きがぎこちない。
「えっと、みんなどうしたのかなぁ?」
「ミカ姉のばかぁ……。」
目的の街、アスカまで残り数日、という所で商人の皆さんからハンバーグをぜひ作って欲しいと請われたのよ。
めんどくさいから断りたかったんだけどね、暇だったのと、ユナさんやミナさん、クーちゃんが作り方を教えて欲しいっていうから、教えるついでに作る事にしたのよ。
もちろん、商人さん達からはそれなりの代価をいただいたけどね。
まぁ、作ってる途中にクーちゃんのハンバーグにアレンジを加えていたら、ミュウに怒られたっていうのがさっきの騒ぎなんだけどね。
「形が出来たら、後は焼くだけよ。」
私は鉄板の上に、こねたハンバーグのタネを乗せて焼いていく。
商人さん達皆に振舞うために、かなりの数を焼かなければならないので大変なのよ。
というか、後は焼くだけなんだから、各自で焼いてくれてもいいのにね。
焼けた順に商人の皆さんに配っていく……と言っても私達は焼く方で手一杯なので、実際に配ってくれているのは、暁と白銀の皆さんなんだけどね。
「これで最後です。この後皆さんの分作りますから、配り終えたら戻ってきてくださいね。」
私はそう言って、最後のハンバーグを渡すと、暁さんや白銀さんと自分たちの分のハンバーグを焼き始める。
流石に護衛任務外で色々お願いしちゃったわけだから、少しぐらいはサービスしないと悪いよね?
そう思った私は、ハンバーグを焼いている間に、勇者の袋から丸いパンを取り出して、ミュウに頼んで上下二つに切ってもらう。
「それ、なにしてるの?」
横からユナさんが覗き込んでくるので、手伝ってもらう事にする。
「ユナさんは、この野菜をパンの上に乗せて行ってね。ミナさんは焼けたハンバーグをその野菜の上に乗せてね。」
「あ、うん。」
「わかりました。」
「クーちゃんとマリアちゃんは、私がソースを塗ったら、上のパンを被せてね。」
ミュウがパンを二つに切り、ユナさんが野菜を乗せ、ミナさんがその上に焼けたハンバーグを乗せる。
その上にチーズをのせてソースを塗ると、クーちゃんとマリアちゃんがパンを被せてハンバーガーの出来上がり!
流れ作業で沢山のハンバーガーが作られていき、最終的には50個出来上がる。
男の人達は、たぶん3~4個食べるだろうから、本当はもっと作りたかったのだけど、ハンバーグの元がなくなっちゃったから仕方がないよね。
代わりと言っては何だけど、私は手早くフライドポテトを揚げる。
パンを切る作業が早々に終わってしまい暇を持て余したミュウには、ジャガイモをスティック状に切ってもらっていたから結構な量が作れそうなの。
余っても勇者の袋に入れておけばいいから、大目に作っても問題ないよね。
「終わったぜ……おっ、これは何だ?」
「ハンバーガーよ、丁度ポテトも出来たみたいだから、座って。」
ミュウが戻ってきたザモンさん達を、簡易的に作ったテーブルへと誘導する。
その間にユナさんとミナさんが、ポテトとドリンクを用意する。
一通り行き渡った所で、皆で揃って食事を始める。
結構長い間一緒に行動していたけど、こうやって護衛パーティがそろって食事をするのは初めてだったりする。
「ん、うまいな、コレ。」
男性陣は思った通り、ハンバーガーをパクパクと食べていく。
ガンドルフさんなどは、体形に似合わず大食漢みたいで、既に4つ目のハンバーガーを手にしていた。
「なぁ、もうすぐ護衛も終わりだろ?そうしたらアンタらどうするんだ?」
白銀の短剣使いさんが聞いてくる。
もぐもぐもぐ……。
「えっと、聞いてる?」
もぐもぐもぐ……。
「えーと……。」
クーちゃんが袖を引っ張る。
(ミカ姉、返事してあげなよ。)
「えっ、私?」
「そうだよっ!」
「てっきりガンドルフさんに話しかけてるもんだと。」
「男に声かけてどうす……っと、それより、アンタらはどうする予定なんだ?良かったら俺達と……。」
「ねぇねぇ、クーちゃん。チーズがあると美味しいでしょ?」
「あ、うん……ソウダネ……。」
「聞いてるのか?」
「おい、その辺でやめておけよ。」
少し口調が荒くなりかけた短剣使いさんを、ザモンさんが止める。
「いや、しかし……。」
「よせって。」
白銀のリーダーのリゥイさんも止めに入る。
「まぁ、その、なんだ、気を悪くしないでもらえると助かる。見ての通り俺達は前衛だけの3人パーティでな、まぁ2か月前までは後衛の魔法使いと弓使いがいたんだが……。」
そう言って語り出すリゥイさん。
別に私は興味なかったんだけどね。
なんでも元々『白銀の翼』は盾戦士、大剣使い、短剣使いに魔法使いの4人パーティだったらしいの。
そこに半年ほど前に入ってきた弓使いの女の子が加わったんだけど、この女の子がね、いかにも「女の子」って感じの天真爛漫で物怖じしない子だったらしいの。
誰とでも仲良くして、スキンシップ過多で……まぁ、メンバー全員が惚れちゃったってわけ。
でもね、パーティ内で女の子の取り合いって言うのもなんだしという事で、4人は「抜け駆けしないこと」という紳士協定を結んだらしいのよ……バカだよねぇ。
結局、2ヶ月ほど前に魔法使いの人が抜け駆けして、その弓使いの子を連れて逃げ出したってわけ。
「そう言うわけで、良かったら今後も俺達と一緒に……って聞いてる?」
「ん?聞いてない。」
「いや、だから……。」
「いらない……あっち行ってくれる?」
「はっ?」
「だからね、近寄らないで、って言ってるの♪」
「えっと?」
「……ねぇクーちゃん、言葉が通じない時は吹っ飛ばしてもいいよね?」
「だからダメだってば……リゥイさん、ゴメンナサイ。取りあえず出直してきてもらえます?」
「クーちゃん、口聞いちゃダメだよ。向こう行こうね。」
◇
「はぁ……冒険者ってあんなのばっかり。」
私はベガ……拾ったユニコーンの名前よ……の背の上でぐったりとしていた。
危険が無いかを確認するために、私とユナさんで先行している所なんだけど、まぁ特に問題が無いから、おしゃべりに花を咲かさせてるってわけ。
「あんなのばかりじゃないって……まぁ、彼らなりに焦ってたんだと思うよ。」
「じゃぁ、ユナさんが行けば?」
「いやいや、私達はパーティ決まってるから。」
「そう?ユナさんやミナさんなら私達も歓迎するよ。どう?衣食住は保障するよ?」
「あはは。ゴメンね、お誘いは嬉しいんだけど、私達が抜けたらザモンが泣くからね。……それより、ミカゲちゃん、そんな恰好でよく落ちないね?」
ユナさんは不思議そうに聞いてくる。
「ウン、この子賢いから、うまくバランスとってくれているみたい。」
「そ、そうなんだぁ……。」
ユナさんは何と言っていいか分からないって顔をしていた。
「ミカゲなんだから、考えても無駄なんだって。」
そんなユナさんに同情するような声が背後からかかる。
「ミュウ、どうしたの?」
「そろそろ交代の時間だからね。次の休憩場所までは私が代わるよ。」
「あれ、ミュウちゃんだけ?」
ミュウ以外に人影が無いのを見てユナさんが確認する。
一応先行隊は2~3人でのローテーションにしてあったはずだから、ミュウしかいないのが気になったんだと思うの。
「ザモンさんとガンドルフさんが後から来るよ。」
「そう、じゃぁ、二人が来るまでここで待機してましょうか。」
結構な距離を走ったので、この辺りで馬を休ませよう、とユナさんが言う。
「ん~っと、ユナさんは休んでていいよ。」
私はユナさんにそう告げる。
「一人で大丈夫?」
ミュウが聞いてくる。
何も言わなくても察してくれる辺り、付き合いが長くなったんだなぁと感じるよ。
「うん、たぶん一人の方がいい。必要なら呼ぶね。」
「分かった。無茶しないようにね。」
「えっ、あのっ、ちょっと……、ミカゲちゃんどこ行くの?」
「お仕事だよ♪」
訳が分からないと狼狽えるユナさんを残して、私は速度を上げる。
ゴメンね、休みたいかもしれないけど、もう少し頑張ってね。
私はベガにそう声を掛けながら、目的の場所までベガを走らせる。
「えーと、あ、いたいた。」
前方には廃村となった村の跡が広がり、そこにゴブリンの集団がいた。
崩れかけとは言え、建物がいくつか残っているので、ゴブリン達の住みかとなっているみたい。
「これは纏めてやっちゃった方がいいよね……ディフェンション!」
いつものバトルモードに変身して杖に魔力を集める。
「いっけぇぇぇー、スターダストレイン!」
無数の光がゴブリンの集落に降り注ぐ。
「ついでに……イグニスファイアー!」
光に貫かれ絶命したもの、辛うじて息のあったものなどお構いなしに、その集落一帯を浄化の炎が包み込む。
ハッキリ言ってゴブリン相手にはオーバーキルなんだけど、一応念の為って事で。
決してね、イライラしてたからストレス解消にってわけじゃないからね。
「ふぅ……ちょっとスッキリ……って、まだいるの?」
上空を見ると、こちらに向かっている影が……ワイバーン?
どうやら近くに巣があるらしく、騒ぎを聞きつけて様子を見に来たらしい。
「まぁ、ついでだよね。」
こっちに向ってくる影は4体、取りあえずまとまってくれると助かるよね。
「アイシクルランス!」
氷の矢がワイバーンを襲う。
しかし、それを難なく躱すワイバーン。
「でも、折り込み済なんだよ。」
私は連続で氷の矢を放つが、ワイバーンは軽く身を翻して躱していく。
「計画通り!」
私はニヤリと笑って見せる。
私が無造作に放った(様に見える)魔法を躱していくうちに、一定のエリアに集まってしまったワイバーン達。
「タービュランス!」
ワイバーンのいるエリア一体に起きた乱気流に巻き込まれて、バランスを崩して落下するワイバーン達。
「トルネード!」
更に風の渦が包み込み、ワイバーンの自由を奪っていく。
「アイシクルピラー!」
地面から突き出た氷の柱が、落下してきたワイバーンを突き刺す。
「はいお終い……あっけないよね。」
氷の柱に早贄の様に突き刺さるワイバーンを見て呟く。
「まぁ、このモードの時じゃないと使えないんだけどね。……さぁ、もう何も出てこないよね?」
私は一応周りの気配を探ってみる。
「うわっ、マジですかぁ。」
足元からかなり大きな気配を感じた。
どうやら、一連の騒ぎでこの辺りの主を起こしちゃったみたい。
「足元……地面の中って言ったら……アレよね。」
私は脳裏にあるモンスターの姿を思い浮かべる。
「やだなぁ……。っと、取りあえずはっと。」
頭上に向けて発光弾を放つ。
これで少しすればミュウ達が来てくれるはず。
「ちょっとは戦いやすい場所に移動するべきよね。」
瓦礫の残る集落地へと移動し、足元などを確認していると、ソレが姿を現す。
体長10mを超す巨大ワームだ。
見かけより硬い体皮は、生半可な剣では傷をつける事は出来ず、魔法抵抗力も高い為、倒すのは中々に難しい。
住処を荒らされたり、餌を捕食するとき以外は、地中に潜ったまま動かない為、ワームの住みかには近づかないのが一般的なのよ。
「でも、今更なんだよねぇ。」
私はダメだとは思いつつもファイアーボールを撃ち込んでみる……が、やはり外皮によってダメージは軽減される。
ワームの攻撃は単調で、その巨体を鎌首の様に持ち上げて、目標に向かって振り下ろすだけ……なんだけどね。
ただ、その速度がかなり速いのと、振り下ろされて地面にあたった時に、衝撃波によって地面が揺れるので、バランスを崩しやすいのよ。
何度も打ち下ろされる巨体を躱しながら、魔法を撃ち込んでいくけど、やはり大したダメージを与える事は出来ない。
「だからと言って、私の腕じゃ剣でも無理だしね……となると……。」
私は念のためにMP回復ポーションを飲んでおく。
「ヤッパリ、中からしかないよねっ!」
私はワームの目の前に飛び出し、眼前に向ってジャンプする。
目の前に来た餌を捕らえようと、ワームが大口を開ける。
「そこよっ!」
腰に差してあった剣を突き刺し、ワームの口が閉まらないようにする。
「とはいっても時間の問題なんだけどね。」
私はその剣に氷の魔法を掛けて補強する。
ワームは苦しがって身体を振り回すけど、私は剣を支えにして飛ばされない様にしがみ付きながら、勇者の袋から取り出した石の塊のようなモノを、ワームの喉の奥に向かって投げつける。
「ファイアーランス!」
更に炎の槍を何発も打ち込んでいく。
「トドメよっ……エクスプロージョン!」
ドゥンッ!
体内で爆発が起きる。
ドゥンッ! ドゥンッ!
先に投げておいた炸裂弾の塊に火が付き、更に爆発が広がり、爆風によって私の身体も後方へと吹き飛ばされる。
ワームの1/3辺りが吹き飛び、巨体が二つに分かたれる。
前部が私の目の前に、ドッシィィーンと転がり落ち、後部はビクッ、ビクッとまだ動いている……。
「ミカゲっ!大丈夫?」
ミュウが駆け寄ってくる。
「大丈夫……だけど、キモいよぉ……だから虫系は嫌いなのよ。」
私はミュウに寄り掛かる様にして立ち上がりながらワームを指さす。
「発光弾が上がったから、何かと思って急いで駆け付けたんだけど……これ、ワーム?」
「ウン、近くに巣があったみたい……予定外だよ。」
「これはっ……ミカゲが?」
ミュウに遅れて、やってきたザモンさん達が、眼前の光景に絶句する。
私の周りに転がる、無数のゴブリンの焼死体、離れたところに起立している氷の柱の先にはワイバーンが突き刺さり、トドメとばかりに、目の前に転がる巨大ワーム。
普通は、そう言う顔になるよね。
「無茶すんなって言ったでしょ。」
「ワームは予定外だったんだよぉ。」
「はぁ……まぁ、ミカゲだからしょうがないか。」
「何よぉ、それぇ。」
私はミュウに文句を言いつつ、ワームから距離を取る。
ザモンさん達が止めを刺してくれてるけど、こっちまで飛んできたら嫌だからね。
「で、ミカゲ、アレどうするの?」
ミュウがワームを指さす。
「いらないから誰かにあげるよ。それよりワイバーン素素材を採りに行こ。」
私はミュウを誘って氷の柱に向かって移動することにした。
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