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球技大会のアレコレ その4
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都は、泣いている京子の肩にそっと手を置き、優しく声をかけた。
「京子、大丈夫だよ。まだ総合優勝の目が消えたわけじゃない。」
京子は涙で曇った目を拭い、都の言葉に耳を傾けた。
教室の中は静まり返り、みんなが都の言葉に注目している。
「決勝にはユウも出てくれるから、バスケとテニスに勝てば何とかなる。私たちはまだ戦えるよ。」
都は強い口調で言い切った。その声には、仲間たちに希望を取り戻させる力がこもっていた。
京子の表情が少し明るくなり、他の女子たちも顔を上げて都の言葉に反応した。
「そうだね、ユウがいればきっと…」と誰かが小さな声でつぶやく。
都は頷き、「まだ諦めるには早いよ。みんなで力を合わせて、最後まで頑張ろう。」と続けた。
その言葉に、少女たちの中に新たな決意が芽生えていくのが感じられた。
京子は涙をぬぐいながら、少しだけ笑顔を見せた。
「ありがとう、都。私たち、最後まで一生懸命応援する。」
その言葉には、再び立ち上がる勇気が宿っていた。
教室の空気が少しずつ明るくなり、みんなが再び希望を持って前を向く。
都の励ましは、少女たちの心に灯をともしたのだった。
都は、皆が元気を取り戻したところで、教室を出る。
さっき皆に言ったことは嘘ではない。ただ自力での優勝が難しくなっただけで可能性はまだ残されている。
決勝に残った10チームの内、半分……生徒会チームは全種目決勝に残っている。
まぁ、各競技の選抜者からなるチームだから、それぐらいは当たり前と言えば当たり前だ。
つまり、自分たちのクラスの2チームと、ソフトボールの1年生チーム、そして第三バレー部の代表チームと、第6サッカー部の代表チームがそれぞれ生徒会チームと相対することになる。
そのうちのバスケとテニスに勝利し、その上で、他三種目のうち、一種目でも生徒会チームが負けてくれれば、勝率2対2でドローとなり、すべての話は白紙へと持っていくことが出来る。
まぁ、引き分けだから多少の妥協は求められるだろうけど。
勿論、2種目負けてくれるなら言う事はないが、そこまで求めるのは贅沢というものだろう……。
◇
バスケットボール決勝が始まった……。
観客が熱狂する中、都はコートの中央に立ち、鋭い目で状況を見極めていた。
試合は接戦で、どちらも譲らない緊迫した展開が続いている。
都はポイントガードとして全体を指揮し、冷静にチームを導いていた。
「ユウにボールを集める…」都の頭には、その戦略が明確に描かれていた。
ユウはチームのエース、フォワードとして圧倒的な得点力を誇っている。
彼女にボールを預け、得点を任せることが、この試合に勝つためのカギだと都は確信していた。
敵チームがプレッシャーをかけてくる中、都は素早くドリブルを始め、ディフェンスを引きつける。
鋭い動きで相手の視線を引き付けた瞬間、彼女はユウの位置を確認し、ノールックで的確なパスを送った。
ボールを受け取ったユウは一瞬の隙を逃さず、スピードを生かしてゴールへと突進する。
相手ディフェンスが迫ってくるが、ユウは力強くステップを踏み、鋭いジャンプでシュートを放つ。
ボールはきれいな放物線を描き、見事にリングを通過した。
観客席から歓声が上がり、得点が追加される。
都はユウに目を合わせ、わずかに頷いた。ユウも小さく笑みを返し、再び守備の体勢に戻る。
次のプレーでも、都は冷静にコートを支配し、ユウへのパスを見極める。ディフェンスの隙を突き、ユウにボールを渡すことで、彼女が得点を重ねる機会を作り続けた。
都の指揮によってチームのリズムが整い、次第に相手チームを圧倒し始める。
・
・
・
試合は終盤、残り時間はわずか数分。都たちのチームは3点差を追いかける展開に追い込まれていた。
悠一人だけにボールを集めるのは、流石に無理があり、序盤こそ圧倒してたものの、徐々にパスカットされる頻度が多くなり、相手の得点を許すことが多くなっていたのだ。
観客席からは緊張感が漂い、チームメイトたちの表情にも疲労と焦りが見える。
敵チームはリードを守るために守備を固め、都たちの攻撃を封じ込めようとしていた。
「このままじゃ負ける…でも、まだ終わってない!」
都は心の中で自分を奮い立たせ、皆に声をかける。
諦めたらそこで終わりだ……都は努めて冷静さを保つ。
チームを鼓舞し、最後の力を振り絞らせることが彼女の役目だった。
通常なら2ゴールを決めなければ逆転は難しいが、都はまだ勝利を諦めていなかった。
チャンスがあれば3Pも狙っていくつもりだったし、何より悠がいる。
パスコースを読まれているなら、読みきれない場所にパスを出せばいい。読まれても手が出せないほどのパスを出せばいい。
……私と悠の絆の深さを舐めんじゃないわよ。
ボールは敵チームの手にある……、彼らは時間を稼ごうとパス回しを始めた。
しかし、都は鋭い目で相手の動きを読み、隙を探していた。
瞬間、敵がパスを出した瞬間に反応し、素早くカットに飛び込んだ。ボールを奪取した都は、周りを見回す。
……3Pは無理っ……だけどっ!
都は3Pラインからシュートを放つ。そして……
「ユウ!」都は声を上げ、コートの先を走るユウに視線を送った。
ユウはすぐにその意図を理解し、ゴールへと向かって走り出した。
敵のディフェンダーがリバウンドに備えるか、ユウをマークするかで一瞬迷う。
ユウはその隙を逃さず、ディフェンスをかわしてジャンプ。
都の放ったボールはボードに弾かれるが、それをユウが強引にリングへ押し込む。
男子顔負けの豪快なプレイだ。
1ゴール、点差は1点に縮まった。観客席から歓声が沸き起こるが、残り時間がほとんどない。
だけど、都はまだ勝利を諦めてはいなかった。
残り時間が1分を切る。
相手の、勝利を確信した心の隙を都は狙っていた。
ここっ!
気の抜けたパスボールを都はカットする。
勝利のチャンスはこのワンプレイしかないっ!
都は体勢を崩しつつも、斜め後ろのゴール前へとボールを投げる。
都の角度からはゴール前の状況が見えていない。
だけど、都はは知っていた……ユウはそこにいることを。
都は信じていた……ユウがゴールを決めてくれることを。
そして……ユウはゴール前で高くジャンプし、ボールを受取ると、都が信じた様に、力強いシュートを決める
その瞬間、試合終了のブザーが鳴り響き、チームが勝利を収めたことを告げるのだった……。
都は大きく息をつきながら、コートに倒れ込む。
彼女の戦略が見事に実を結び、チームを勝利へと導いたことに安心して力が抜け落ちたのだ。
ユウが駆け寄り、都を抱き起して喜びを分かち合う。その笑顔には、都に対する信頼が満ち溢れ輝いていた。
……こんな笑顔見せられたら、誰でもコロリと堕ちるよね。
都は苦笑しながらそう思うのだった。
◇
ユウと都がテニスコートに足を踏み入れたとき、既にダブルス2の試合が進行中だった。
二人は、これまでの戦績が2勝していると思っていたが、得られた情報から勝敗が1対1の状況であることを知った。
「ウソっ、美月が負けたのっ!?」
コートの隅には、泣きはらした顔を隠そうともせず、、ギュっと拳を握り締め応援している美月の姿があった。
近くにいたクラスメイトに話を聞くと、美月の対戦相手は男子だったという事だった。
トランスジェンダーな生徒も多いこの学園では、競技を男子、女子で分けることはしない。
ただ、肉体的に男性の方が力があることには間違いないため、男子女子混合の場合、男子の傘下に人数制限をかけている。
ちなみにこの場合の男子生徒というのは戸籍上の男性という事になっている。
男女の性差が運動能力の差にも表れるために、どう対応するのかも、戦略の一環となっていたりするのだ。
それでも美月の腕なら、そこらの男子に負けるわけがなかったが、相手が悪かった。
小宮修介……。彼も数日とはいえ悠ママの指導を受けたことがある。
悠ママの指導は厳しいが的確で、その指導を受けて腕を伸ばした彼相手では、分が悪すぎる。都でも5回試合をすれば3回は負けるだろう相手なのだから。
美月には酷だったかもしれないが、現実を見ようと都は思う。
このダブルス2の試合が負ければ、後がない……都とユウが確実に勝たなければいけないことを理解し、胸の中に緊張感が走る。
通常のコンデションであれば、修介レベルの相手じゃない限り心配はないのだが、何分、二人ともバスケコートをフルタイム走りまわってきた後だ。
都とユウの共通の弱点をあげるのであれば、スタミナ不足といったところだろうか?
それでもユウは、毎日走っているため、まだマシな方だが、そういう事をサボっている都にとって、この連戦はかなり厳しいものがある。
「はぁ……私も走り込んだ方がいいかなぁ?」
「じゃぁ、ボクと一緒に走る?」
隣に座った悠がそう声をかけてくる。
「いやよ。ユウに着いて行けるわけないじゃない。」
「そんなことないと思うけどなぁ。あ、そうだ。夏休みにママが帰ってくるから、その時に訓練メニュー作ってもらう?」
「考えておく……ただ、私はアスリート目指してないからね?」
二人はそうおしゃべりしながら試合の行方を見守る。
観客席から見守る二人の視線は、コート上のペアに向けられていた。
相手チームは一歩も引かず、攻撃的なプレーで圧力をかけている。
ダブルス2のペアも必死に食い下がっていたが、相手の勢いに押され気味だった。
特に相手のネットプレーが鋭く、彼らのリターンをことごとく封じ込めていた。
「なんとか踏ん張って…!」
都は心の中で祈るように思ったが、コート上の現実は厳しかった。
僅かなミスをきっかけに、相手ペアは一気に流れをつかみ、ポイントを連取していく。
観客の中にもざわめきが広がり、二人の肩にかかるプレッシャーがさらに増していくのが感じられた。
そして、ついに試合が決着を迎える瞬間がやってきた。
ダブルス2のペアは最後まで奮闘したが、結果は2-0のストレート負け。
相手の勢いに飲み込まれ、そこから立て直せずに、力及ばず敗れてしまった。
コートに静けさが戻る中、ユウと都はお互いに視線を交わした。
二人の心には、今度は自分たちがコートに立ち、全てを託される番だという覚悟が芽生えていた。
優勝の行方は、この後の試合に掛かっている。
プレッシャーは大きいが、それ以上に負けられないという決意が二人を支えていた。
「ボクが先に行くよ。都は少しでも休んで体力を回復しなよ。」
ユウはそう言ってコートに向かう。
「……もぅ、こういう時ばっかり男らしいんだから……。これ以上惚れさせないでよね。」
そう呟くミヤコの頬は真っ赤に染まっていた。
「京子、大丈夫だよ。まだ総合優勝の目が消えたわけじゃない。」
京子は涙で曇った目を拭い、都の言葉に耳を傾けた。
教室の中は静まり返り、みんなが都の言葉に注目している。
「決勝にはユウも出てくれるから、バスケとテニスに勝てば何とかなる。私たちはまだ戦えるよ。」
都は強い口調で言い切った。その声には、仲間たちに希望を取り戻させる力がこもっていた。
京子の表情が少し明るくなり、他の女子たちも顔を上げて都の言葉に反応した。
「そうだね、ユウがいればきっと…」と誰かが小さな声でつぶやく。
都は頷き、「まだ諦めるには早いよ。みんなで力を合わせて、最後まで頑張ろう。」と続けた。
その言葉に、少女たちの中に新たな決意が芽生えていくのが感じられた。
京子は涙をぬぐいながら、少しだけ笑顔を見せた。
「ありがとう、都。私たち、最後まで一生懸命応援する。」
その言葉には、再び立ち上がる勇気が宿っていた。
教室の空気が少しずつ明るくなり、みんなが再び希望を持って前を向く。
都の励ましは、少女たちの心に灯をともしたのだった。
都は、皆が元気を取り戻したところで、教室を出る。
さっき皆に言ったことは嘘ではない。ただ自力での優勝が難しくなっただけで可能性はまだ残されている。
決勝に残った10チームの内、半分……生徒会チームは全種目決勝に残っている。
まぁ、各競技の選抜者からなるチームだから、それぐらいは当たり前と言えば当たり前だ。
つまり、自分たちのクラスの2チームと、ソフトボールの1年生チーム、そして第三バレー部の代表チームと、第6サッカー部の代表チームがそれぞれ生徒会チームと相対することになる。
そのうちのバスケとテニスに勝利し、その上で、他三種目のうち、一種目でも生徒会チームが負けてくれれば、勝率2対2でドローとなり、すべての話は白紙へと持っていくことが出来る。
まぁ、引き分けだから多少の妥協は求められるだろうけど。
勿論、2種目負けてくれるなら言う事はないが、そこまで求めるのは贅沢というものだろう……。
◇
バスケットボール決勝が始まった……。
観客が熱狂する中、都はコートの中央に立ち、鋭い目で状況を見極めていた。
試合は接戦で、どちらも譲らない緊迫した展開が続いている。
都はポイントガードとして全体を指揮し、冷静にチームを導いていた。
「ユウにボールを集める…」都の頭には、その戦略が明確に描かれていた。
ユウはチームのエース、フォワードとして圧倒的な得点力を誇っている。
彼女にボールを預け、得点を任せることが、この試合に勝つためのカギだと都は確信していた。
敵チームがプレッシャーをかけてくる中、都は素早くドリブルを始め、ディフェンスを引きつける。
鋭い動きで相手の視線を引き付けた瞬間、彼女はユウの位置を確認し、ノールックで的確なパスを送った。
ボールを受け取ったユウは一瞬の隙を逃さず、スピードを生かしてゴールへと突進する。
相手ディフェンスが迫ってくるが、ユウは力強くステップを踏み、鋭いジャンプでシュートを放つ。
ボールはきれいな放物線を描き、見事にリングを通過した。
観客席から歓声が上がり、得点が追加される。
都はユウに目を合わせ、わずかに頷いた。ユウも小さく笑みを返し、再び守備の体勢に戻る。
次のプレーでも、都は冷静にコートを支配し、ユウへのパスを見極める。ディフェンスの隙を突き、ユウにボールを渡すことで、彼女が得点を重ねる機会を作り続けた。
都の指揮によってチームのリズムが整い、次第に相手チームを圧倒し始める。
・
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試合は終盤、残り時間はわずか数分。都たちのチームは3点差を追いかける展開に追い込まれていた。
悠一人だけにボールを集めるのは、流石に無理があり、序盤こそ圧倒してたものの、徐々にパスカットされる頻度が多くなり、相手の得点を許すことが多くなっていたのだ。
観客席からは緊張感が漂い、チームメイトたちの表情にも疲労と焦りが見える。
敵チームはリードを守るために守備を固め、都たちの攻撃を封じ込めようとしていた。
「このままじゃ負ける…でも、まだ終わってない!」
都は心の中で自分を奮い立たせ、皆に声をかける。
諦めたらそこで終わりだ……都は努めて冷静さを保つ。
チームを鼓舞し、最後の力を振り絞らせることが彼女の役目だった。
通常なら2ゴールを決めなければ逆転は難しいが、都はまだ勝利を諦めていなかった。
チャンスがあれば3Pも狙っていくつもりだったし、何より悠がいる。
パスコースを読まれているなら、読みきれない場所にパスを出せばいい。読まれても手が出せないほどのパスを出せばいい。
……私と悠の絆の深さを舐めんじゃないわよ。
ボールは敵チームの手にある……、彼らは時間を稼ごうとパス回しを始めた。
しかし、都は鋭い目で相手の動きを読み、隙を探していた。
瞬間、敵がパスを出した瞬間に反応し、素早くカットに飛び込んだ。ボールを奪取した都は、周りを見回す。
……3Pは無理っ……だけどっ!
都は3Pラインからシュートを放つ。そして……
「ユウ!」都は声を上げ、コートの先を走るユウに視線を送った。
ユウはすぐにその意図を理解し、ゴールへと向かって走り出した。
敵のディフェンダーがリバウンドに備えるか、ユウをマークするかで一瞬迷う。
ユウはその隙を逃さず、ディフェンスをかわしてジャンプ。
都の放ったボールはボードに弾かれるが、それをユウが強引にリングへ押し込む。
男子顔負けの豪快なプレイだ。
1ゴール、点差は1点に縮まった。観客席から歓声が沸き起こるが、残り時間がほとんどない。
だけど、都はまだ勝利を諦めてはいなかった。
残り時間が1分を切る。
相手の、勝利を確信した心の隙を都は狙っていた。
ここっ!
気の抜けたパスボールを都はカットする。
勝利のチャンスはこのワンプレイしかないっ!
都は体勢を崩しつつも、斜め後ろのゴール前へとボールを投げる。
都の角度からはゴール前の状況が見えていない。
だけど、都はは知っていた……ユウはそこにいることを。
都は信じていた……ユウがゴールを決めてくれることを。
そして……ユウはゴール前で高くジャンプし、ボールを受取ると、都が信じた様に、力強いシュートを決める
その瞬間、試合終了のブザーが鳴り響き、チームが勝利を収めたことを告げるのだった……。
都は大きく息をつきながら、コートに倒れ込む。
彼女の戦略が見事に実を結び、チームを勝利へと導いたことに安心して力が抜け落ちたのだ。
ユウが駆け寄り、都を抱き起して喜びを分かち合う。その笑顔には、都に対する信頼が満ち溢れ輝いていた。
……こんな笑顔見せられたら、誰でもコロリと堕ちるよね。
都は苦笑しながらそう思うのだった。
◇
ユウと都がテニスコートに足を踏み入れたとき、既にダブルス2の試合が進行中だった。
二人は、これまでの戦績が2勝していると思っていたが、得られた情報から勝敗が1対1の状況であることを知った。
「ウソっ、美月が負けたのっ!?」
コートの隅には、泣きはらした顔を隠そうともせず、、ギュっと拳を握り締め応援している美月の姿があった。
近くにいたクラスメイトに話を聞くと、美月の対戦相手は男子だったという事だった。
トランスジェンダーな生徒も多いこの学園では、競技を男子、女子で分けることはしない。
ただ、肉体的に男性の方が力があることには間違いないため、男子女子混合の場合、男子の傘下に人数制限をかけている。
ちなみにこの場合の男子生徒というのは戸籍上の男性という事になっている。
男女の性差が運動能力の差にも表れるために、どう対応するのかも、戦略の一環となっていたりするのだ。
それでも美月の腕なら、そこらの男子に負けるわけがなかったが、相手が悪かった。
小宮修介……。彼も数日とはいえ悠ママの指導を受けたことがある。
悠ママの指導は厳しいが的確で、その指導を受けて腕を伸ばした彼相手では、分が悪すぎる。都でも5回試合をすれば3回は負けるだろう相手なのだから。
美月には酷だったかもしれないが、現実を見ようと都は思う。
このダブルス2の試合が負ければ、後がない……都とユウが確実に勝たなければいけないことを理解し、胸の中に緊張感が走る。
通常のコンデションであれば、修介レベルの相手じゃない限り心配はないのだが、何分、二人ともバスケコートをフルタイム走りまわってきた後だ。
都とユウの共通の弱点をあげるのであれば、スタミナ不足といったところだろうか?
それでもユウは、毎日走っているため、まだマシな方だが、そういう事をサボっている都にとって、この連戦はかなり厳しいものがある。
「はぁ……私も走り込んだ方がいいかなぁ?」
「じゃぁ、ボクと一緒に走る?」
隣に座った悠がそう声をかけてくる。
「いやよ。ユウに着いて行けるわけないじゃない。」
「そんなことないと思うけどなぁ。あ、そうだ。夏休みにママが帰ってくるから、その時に訓練メニュー作ってもらう?」
「考えておく……ただ、私はアスリート目指してないからね?」
二人はそうおしゃべりしながら試合の行方を見守る。
観客席から見守る二人の視線は、コート上のペアに向けられていた。
相手チームは一歩も引かず、攻撃的なプレーで圧力をかけている。
ダブルス2のペアも必死に食い下がっていたが、相手の勢いに押され気味だった。
特に相手のネットプレーが鋭く、彼らのリターンをことごとく封じ込めていた。
「なんとか踏ん張って…!」
都は心の中で祈るように思ったが、コート上の現実は厳しかった。
僅かなミスをきっかけに、相手ペアは一気に流れをつかみ、ポイントを連取していく。
観客の中にもざわめきが広がり、二人の肩にかかるプレッシャーがさらに増していくのが感じられた。
そして、ついに試合が決着を迎える瞬間がやってきた。
ダブルス2のペアは最後まで奮闘したが、結果は2-0のストレート負け。
相手の勢いに飲み込まれ、そこから立て直せずに、力及ばず敗れてしまった。
コートに静けさが戻る中、ユウと都はお互いに視線を交わした。
二人の心には、今度は自分たちがコートに立ち、全てを託される番だという覚悟が芽生えていた。
優勝の行方は、この後の試合に掛かっている。
プレッシャーは大きいが、それ以上に負けられないという決意が二人を支えていた。
「ボクが先に行くよ。都は少しでも休んで体力を回復しなよ。」
ユウはそう言ってコートに向かう。
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