有栖川悠は女の子が好き!?

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球技大会のアレコレ その後……ユウの憂鬱

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「ふぅ……。」
「どうした、どうした。」
バイト先のセンパイ、涼子さんが、ガバッと後ろから抱き着いてくる。
「あれ?反応が薄いなぁ?」
涼子が怪訝そうな顔をしながら、ボクの顔を覗き込んでくる。
「涼子さん、おっぱい、それなりに大きいですよね。やわらかいし。」
「えっ、悠ちゃん、ひょっとして色気づいちゃった?」
涼子は胸を隠すように両腕で自らを抱くようにし、ササッと後ずさる。

「えっとね、悠ちゃんは可愛くて好きだけどね、そう言う事はまだ早いんじゃないかなぁ?」
はははっと、顔を引きつらせ笑いながら、少しずつ距離を取り……。
「あッ、キッチンのコンロがぁ……。」
そう言って、ササッとキッチンへと逃げていく涼子。
「ン?涼子さんどうしたんだろ?」
ボクは怪訝に思いながら。一枚の写真を取り出す。


そこに映ってるは、チア姿の都と明日香。
先日の「ネコミミメイド」のコス姿を撮影された際の報酬として、報道部のカメラマンから譲ってもらったものだ。
「はぁ……。いいなぁ……。」
写真に写る都と明日香を見て、ボクは再度ため息を吐く。


「あー、悠ちゃん、そろそろ仕事……って何それ、可愛いっ!」
少し距離を取りながら恐る恐る声をかけてきた涼子さんだったけど、ボクの持っている写真に目をつけると、だッと駆け寄ってきた。
「これ、みゃーこちゃんよね。こっちは?どこかで見た感じだけど……。」
涼子さんがボクから写真を取り上げる。
勝手に……と思いながらボクは涼子さんに訊ねる。他の人の感想が聞いてみたかったのだ。

「二人とも可愛いよね。」
「うんうん可愛いわぁ。この姿で来店してくれないかしら。」
「二人とも、おっぱいおっきいですよね?」
「うんうん、これは男どもが放っておかないよね……。」
涼子さんはそう言いながら、ハタッと何かに気づいたようににたぁっと嗤う。
「にゃるほどぉ……悠ちゃんもオトコノコだねぇ。で、本命はどっち?」
どっち?ってどういう事だろう?
そんなことを思いながら、ボクはため息をつきながら言う。

「……やっぱりチア姿って……。」
「うんうんっ♪」
「おっぱいおっきくないと似合わないのかなぁ?」
ボクはストンとした自分の胸を撫でながら言う。

「はぁ?」と気の抜けた声を涼子さんが挙げているが……。
今は詰め物をした偽胸があるから、ふくらみはあるけどチアのような薄い生地だと、偽胸はつかえないかもしれない……それになにより……。

「はぁ……ボクにも谷間があれば、チア出来るのかなぁ?……着てみたいなぁ……。はぁ……イイなぁ……。」
そう、谷間が出来ないボクには、胸元が開いた服は着れない。
だから、おっぱいが大きい都と明日香が羨ましいのだ。

「えっと、悠ちゃん?」
「なんですか、涼子さん。」
「悠ちゃんは、男の子としてこの二人に欲情してるってわけじゃなく、チア姿……というかチアコスチュームを見ていただけ?」
ボクはコクンと頷く。
「えっと、……つまり、さっきからため息ついてたのって……チア服が来たいから……なの?」
「そうですよ……って言わせないでよ、恥ずかしぃ。」
自然と頬が赤らむのを感じる。

「ユウちゃんって、本当オトコノコ?お姉さん、将来が心配だわぁ。」
涼子さんがそう言ってボクの顔をじっと見る。
「ねぇ、……お姉さんと、イケナイ事……する?」
涼子さんが、色っぽい表情で、胸元を開き迫ってくる。
その白い谷間を見て、ボクの心臓はどきっと跳ねる。
ゴクッと無意識に喉が鳴る……けど……。

「あっ、えっと……そ、そういう事は好きな人と……あ、ぼ、ボク、着替えてきますねっ!」
そう言って涼子さんを押しのけ、バックヤードの更衣室へと逃げ込む。
「クスッ、一応反応してくれたみたいで、お姉さん一安心♪」
そんな声が背後から聞こえた気がした。


「はぁはぁはぁ……。びっくりしたなぁ、もぅ。
まだ心臓が早鐘を打っているかのようにドキドキしている。
こんなになっているのは涼子の胸の谷間を見たから……ではない。
昨日の夕方の……明日香のおっぱいを見てしまった事を思い出してしまったからだ。

昨日、球技大会が終了した後、あるハプニングがあって、ボクと明日香ちゃんはびしょ濡れになってしまった。
明日香ちゃんはボクが男だということを知らなかったみたいで、ボクの目の前で脱いじゃったんだよね。
目の前に飛び出した明日香ちゃんのおっぱい……おっきかった。
思い出すだけで、赤面しちゃうよ。

クラスの女の子は、結構平気でボクの目の前で着替えることが多いから,ある程度は耐性があるけど…明日香ちゃんはヤバイ。
漫画とかでよくある、女の子の着替えに遭遇してドキドキするって言うの、よくわかった気がするよ。
因みに、クラスの女の子たちは、ボクが男って知っているのになんで平気なの?って聞いたことがあるんだけど、帰ってきた答えが……。
「え?なんでだろ?……しいて言えば、ユウちゃんだから?」
「うんうん、ユウちゃんならいっか。って感じだよねぇ。」
……そんな風に返ってきた。
ボクって男に見られてないの?
そう都に尋ねたら、思いっきり笑われた。なんで??

「………ハァ、取り敢えず、お仕事しよ。」
ボクは姿見を見て、頭の上についているの位置を直す。
先日のボクの写真を見た涼子さんからの命令で、しばらくはこの姿でいなければならないらしい。

「大丈夫、悠ちゃんはその姿が一番可愛いから。」
涼子さんがきっぱりと断言する。
その言葉に何度騙されて……ううん、騙されてはいないのかな?

……その銀髪が映えるのっ!

ボクが、初めてこのお店に来た時、涼子さんが言ってくれた言葉を思い出す。

「うん、大丈夫。ボクは可愛い。」


ボクは鏡に向かってママに教わった魔法の呪文を唱える。

都は都だし明日香も明日香だ。そして、ボクはボク……。自分にないものを持っているからって羨むのは、非効率で時間の無駄だってママが言ってた。

『……だから何?ユウは世界で一番可愛いわ。それ以上に理由が必要?』
ボクが悩んでいた時、ママはいつもそう言ってた。

『可愛いは正義』だと。

『可愛ければ、何でも許されるのよ?……そんなことない?だったら許されるぐらい可愛くなりなさい。可愛くなる努力をしなさい。努力を怠った時、どんな言葉も、どんな行動も説得力を無くすわ。』

正直『可愛くなる努力』というものがどんなものかはよく分からないけど、常に客観的に自分を見る癖は付いている。

自分から見れば、都も明日香も魅力的でかないっこないと思う。
だけど、客観的に見れば「ユウ」だって可愛い……と思う。ここの制服も、ネコミミもよく似合ってる。
「大丈夫、ボクは可愛い。」
鏡の中に映る自分に、笑顔でもう一度「魔法の言葉」を唱える。

そしてお店に……。

「いらっしゃいませぇ!」

だから、ボクは、今日も笑顔でお客さんを迎える。




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