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引きこもり聖女のお仕事 ゴブリン退治 その5
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ビュッ!
エルザの放った矢は、狙いたがわず、1匹のゴブリンの眉間に突き刺さる。
何事かと、周りを見回すゴブリンたち。
そこに襲い掛かる戦士二人は、他の雑魚に目もくれずホブゴブリンを目標にしていた。
メイデンの斧を、手にしたこん棒で受け止めるホブゴブリンだったが、その隙をついてマイケルの剣が切りかかる。
辛うじてその剣を躱すホブゴブリンだが、無理な体勢の為にバランスを崩す。
っその隙を逃す戦士ではない。怒涛の如く切りかかる戦士二人。その攻撃をこん棒一つで受け止め、流すホブゴブリンは、中々の手練れだった。
いきなりの奇襲を受け、リーダーであるホブゴブリンが急襲されたことにより、どうしていいかわからずオロオロするゴブリンたちだったが、我に返ると、ナイフを手に目の前の斧戦士に向かって駆け出す。
斧戦士はホブゴブリンを攻めるのに夢中で、こちらに背中を向けている。そのがら空きの背中に、このナイフを突き刺せば終わりだ、とゴブリンはほくそ笑む。
知能が低いと言われているゴブリンだが、それぐらいの知恵は回るのだ。
目の前に大きな背中が近づき、手を前に突き出す。勝利を確信したゴブリンは、その笑みを顔に張り付けたまま息絶えるのだった。
「ふぅ、危なかった。」
エルザはゴブリンの身体からショートソードを抜くと、軽く振って血糊を飛ばす。
矢を放った後、一番近いゴブリンを背後から切りつけ、返す剣でもう1匹のゴブリンに切りつけたまでは、想定通りだった。
計算違いだったのは、1匹のゴブリンがエルザに見向きもせずにメイデンへ向かっていったことと、3匹目のゴブリンへの切りつけが甘く、1檄で倒せなかったせいで、4匹目のゴブリンへの攻撃が遅れてしまったことだ。
残るはホブゴブリン1体のみだが、エルザの探知がこちらに向かっている一団があることを告げている。早くし止めなければ、と思い、ホブゴブリンの背後に向けてそろりそろりと移動する。
幸いにも、というより見た目より余裕がないのか、ホブゴブリンはマイケルとメイデンの猛攻を凌ぐのに目一杯で、エルザの事まで気にしている様子は見られなかった。
エルザは、気配を消し、身を潜めながらチャンスを伺う。
もとより、エルザの剣術の技能は戦士二人に遥かに劣る。幼い頃から護身術を教えられ、神殿で修行の一環として戦い方を教わっているとはいっても、現役冒険者の技量には遠く及ばない。ソレでもエルザが何とか二人の邪魔にならずに済んでいるのは、ユウの作ってくれた装備のお陰だ。
そのことはエルザ自身がいt版よくわかっている。だから二人の戦いを邪魔せず、効果的にダメージを与えられる隙を伺うのだ。
じっと気配を殺していると、待ちに待った隙が生まれようとしていた。
ホブゴブリンが振るう棍棒を受け止めきれずに跳ね飛ばされるマイケル。
メイデンはその直前の攻撃によって体勢を崩している。
ホブゴブリンは好機とばかりにこん棒を振り上げ、メイデンに向かって振り下ろす。
メイデンは転がってそれを躱し、体勢を立て直そうとするが間に合わない。
すぐ目の前に迫り来るホブゴブリンのこん棒。
その時、エルザの声が響き渡った。
「いっけぇっ!『地雷振』」
◇
待ちに待ったチャンスだった。
ホブゴブリンの意識は完全にメイデンに向いていた。
エルザは片方のショートソードを地面に突き刺し、魔力を注ぐ。
後はタイミングだけだ。ホブゴブリンのこん棒をメイデンが辛うじて躱す。
ここだっ!
エルザはホブゴブリンとメイデンの間に向けて魔力を解き放つ。
「いっけぇっ!『地雷振』」
剣先からホブゴブリンに向けて、地面に亀裂が入る。
ホブゴブリンが踏み下ろした足の先には堅い地面がなく、そのせいでバランスを崩してしまう。
更には地中を伝わる攻撃的な魔力がホブゴブリンの身体をマヒさせる。
「よしっ!」
……後のトドメは任せました。
エルザは勝利を確信すると、迫り来る気配に意識を集中させるのだった。
◇
こん棒が振り下ろされる直前、ホブゴブリンは体勢を崩す。
その隙を逃すのは戦士失格である。メイデンは斧を振り上げ、地面に転がっているホブゴブリンに叩き付ける。
更には、体勢を立て直したマイケルの剣が、ホブゴブリンの心臓を突き刺す。
グォワァッ!
ホブゴブリンは一声唸り声を上げた後絶命した。
マイケルとメイデンは、ホブゴブリンが完全に動かなくなったのを確認してから、エルザの方へ視線を向け声をかける。
「嬢ちゃん助かったぜ。」
「まだです。ゴブリン3、ホブゴブリン1……来ますっ!」
エルザの声に、とっさに構える戦士二人。と同時にゴブリンたちが姿を現す。
剣を構えたホブゴブリンの強襲を、メイデンが斧で受け止め、弾き返す。
驚愕の表情を浮かべるホブゴブリンに対し、メイデンが斧を振り上げ打ち下ろす。
ホブゴブリンはそれを剣で受け止めると、ニヤリと笑う。
まるで戦いを楽しむかのような壮絶な打ち合い、斬り合いが幕を開けた。
エルザは迫り来るナイフを紙一重で躱し、すれ違いざまに切りつけると、大きく距離を取る。
戦士として非力なエルザでは、たとえゴブリンと言えども、まともに切り結んでは分が悪い。エルザの戦い方は、その身軽さを生かし、攻撃を躱しながら隙を突くというものだ。真っ向からの力比べなど、どこぞの脳筋に任せておけばいい。
エルザは、ゴブリンのナイフを躱しつつ、背後に回って斬り付ける。その後は大きく飛びずさり間合いを取る。一度のダメージは少ないものの、そのダメージの蓄積は確実にゴブリンの生命を削り取っていき、それにつれてゴブリンの動きは精彩を欠いていった。
マイケルは残った2匹のゴブリンを相手にしていた。
それぞれの技量は大したことないが、2匹が代わる代わる切り付けてくるので、最初はそれを凌ぐのに力を割いていた。
マイケル位になれば、多対一の戦いなど幾度も経験している。多数を相手にする場合大事なのは、背後を取られない事、そして冷静になることだ。
マイケルは巧みな足捌きにより常に2匹が視界に入る様に動き、決して背後に回られないように気を付ける。そして、2匹の動きをよく見て、時には剣で打ち払い、時には体捌きでその攻撃をいなす。
相手は所詮ゴブリンだ。碌に連携などは取れないだろうと、ゴブリンの攻撃を躱しながらマイケルは隙を伺う。
中々思ったように攻めれないゴブリンたちは、焦れて飛び掛かってくる。
マイケルは左から来たゴブリンの攻撃を躱し、右からくるゴブリンの前に来るように誘導する。つられたゴブリンに、右のゴブリンのナイフが突き刺さる。
うぎゃぁ!と叫ぶゴブリンと、一瞬何が起きたかわからず呆けるゴブリン。
その隙を突いて呆けるゴブリンを袈裟懸けに斬捨て、ナイフを引き抜こうとのた打ち回るゴブリンの心臓を一突きにする。
血糊を払って、他のメンバーは、と視線を向けると、エルザがちょうど止めを刺すところだった。
こちらは大丈夫、とメイデンの方へ視線を向ける。
丁度、メイデンの斧が、ホブゴブリンの剣を弾き飛ばすところだった。
獲物をなくしたホブゴブリンが、メイデンに体当たりをしようと突っ込むが、メイデンはその巨体に似合わぬ動きでするりと躱し、その首を叩き切る。
「終わったようだな。」
マイケルは戦闘が終わったことを確認すると、自分が倒したゴブリンに剣を突き刺し、魔石を取り出す。
「ん?魔石集めないのか?」
視線を感じて、そちらに顔を向けると、不思議そうな顔で自分の坑道を見ているエルザと目があったので、そう声をかける。
「魔石……ですか?」
キョトンと首を傾げるエルザ。
その挙動に、思わず胸の鼓動が高鳴るのを感じるが、同時に空高く飛ばされた恐怖が蘇り、頭を振って余計な感情を振り払う。
「知らないのか?魔物は死ぬと、その体内に蓄えたマナや生命力が凝固して魔石になる……冒険者ならそれくらいは知ってるだろ?」
「え、えぇ、それは分かってますが……ゴブリンからも魔石が採れるのですか?」
「当たり前だろ?人型でも魔物は魔物だ。……こういう人型の場合は、心臓に当たる部分に魔石が出来る事が多い。」
そう言って、ゴブリンの胸を切り裂き、其処に生成された魔石を引きちぎる。
「あ、そ、そうなんですね。」
青ざめ引きつった顔で頷くエルザ。
「要らないなら俺がもらうぜ。」
そう言って、エルザの倒したゴブリンに近づく。
「あ、はいドウゾ。」
どうやらエルザはゴブリンの死体を引き裂くのにためらいを覚えているようだった。
……お優しいこって。まったく、どこのお嬢さんだよ。冒険者には向いてないんじゃねぇのか?
マイケルは心の中でそう呟くと、転がっているゴブリンたちの身体を引き裂き、魔石を取り出していく。
……無理無理無理っ!あんな臭くて汚いものから魔石を取り出すなんてっ!
エルザはマイケルの動きを見ながらそう心の中で叫ぶ。
マイケルに言われるまでもなく、ゴブリンに魔石があることはエルザも知っていた。
だから一度は魔石を回収しようとはしたのだが、そのぐにゃっとした手触りと吐き気をもよおす様な匂いに耐えきれず、よくやるなとマイケルの動きを感心して眺めていたのだったが、どうやら魔石の事を知らないと誤解されてしまったらしい。
……誤解でもなんでもいい。アレに触らずに済むなら魔石でもなんでもあげるよ。そして、2度とゴブリン退治は受けないんだからねっ。
エルザがそう堅く誓っている間に、マイケルとメイデンの作業が終わったようだった。
「それで嬢ちゃん、近くに見張りの部隊はいるのかい?」
「いいえ、多分逆方向だと思います。ですので一度戻った方がいいと思います。」
「そうか、なら戻ろう。」
先頭を切って歩き出すマイケルの後を追いかけるメイデンとエルザ。
こうして、ゴブリンの戦いの初戦は、戦士たちの勝利で幕を閉じたのだった。
エルザの放った矢は、狙いたがわず、1匹のゴブリンの眉間に突き刺さる。
何事かと、周りを見回すゴブリンたち。
そこに襲い掛かる戦士二人は、他の雑魚に目もくれずホブゴブリンを目標にしていた。
メイデンの斧を、手にしたこん棒で受け止めるホブゴブリンだったが、その隙をついてマイケルの剣が切りかかる。
辛うじてその剣を躱すホブゴブリンだが、無理な体勢の為にバランスを崩す。
っその隙を逃す戦士ではない。怒涛の如く切りかかる戦士二人。その攻撃をこん棒一つで受け止め、流すホブゴブリンは、中々の手練れだった。
いきなりの奇襲を受け、リーダーであるホブゴブリンが急襲されたことにより、どうしていいかわからずオロオロするゴブリンたちだったが、我に返ると、ナイフを手に目の前の斧戦士に向かって駆け出す。
斧戦士はホブゴブリンを攻めるのに夢中で、こちらに背中を向けている。そのがら空きの背中に、このナイフを突き刺せば終わりだ、とゴブリンはほくそ笑む。
知能が低いと言われているゴブリンだが、それぐらいの知恵は回るのだ。
目の前に大きな背中が近づき、手を前に突き出す。勝利を確信したゴブリンは、その笑みを顔に張り付けたまま息絶えるのだった。
「ふぅ、危なかった。」
エルザはゴブリンの身体からショートソードを抜くと、軽く振って血糊を飛ばす。
矢を放った後、一番近いゴブリンを背後から切りつけ、返す剣でもう1匹のゴブリンに切りつけたまでは、想定通りだった。
計算違いだったのは、1匹のゴブリンがエルザに見向きもせずにメイデンへ向かっていったことと、3匹目のゴブリンへの切りつけが甘く、1檄で倒せなかったせいで、4匹目のゴブリンへの攻撃が遅れてしまったことだ。
残るはホブゴブリン1体のみだが、エルザの探知がこちらに向かっている一団があることを告げている。早くし止めなければ、と思い、ホブゴブリンの背後に向けてそろりそろりと移動する。
幸いにも、というより見た目より余裕がないのか、ホブゴブリンはマイケルとメイデンの猛攻を凌ぐのに目一杯で、エルザの事まで気にしている様子は見られなかった。
エルザは、気配を消し、身を潜めながらチャンスを伺う。
もとより、エルザの剣術の技能は戦士二人に遥かに劣る。幼い頃から護身術を教えられ、神殿で修行の一環として戦い方を教わっているとはいっても、現役冒険者の技量には遠く及ばない。ソレでもエルザが何とか二人の邪魔にならずに済んでいるのは、ユウの作ってくれた装備のお陰だ。
そのことはエルザ自身がいt版よくわかっている。だから二人の戦いを邪魔せず、効果的にダメージを与えられる隙を伺うのだ。
じっと気配を殺していると、待ちに待った隙が生まれようとしていた。
ホブゴブリンが振るう棍棒を受け止めきれずに跳ね飛ばされるマイケル。
メイデンはその直前の攻撃によって体勢を崩している。
ホブゴブリンは好機とばかりにこん棒を振り上げ、メイデンに向かって振り下ろす。
メイデンは転がってそれを躱し、体勢を立て直そうとするが間に合わない。
すぐ目の前に迫り来るホブゴブリンのこん棒。
その時、エルザの声が響き渡った。
「いっけぇっ!『地雷振』」
◇
待ちに待ったチャンスだった。
ホブゴブリンの意識は完全にメイデンに向いていた。
エルザは片方のショートソードを地面に突き刺し、魔力を注ぐ。
後はタイミングだけだ。ホブゴブリンのこん棒をメイデンが辛うじて躱す。
ここだっ!
エルザはホブゴブリンとメイデンの間に向けて魔力を解き放つ。
「いっけぇっ!『地雷振』」
剣先からホブゴブリンに向けて、地面に亀裂が入る。
ホブゴブリンが踏み下ろした足の先には堅い地面がなく、そのせいでバランスを崩してしまう。
更には地中を伝わる攻撃的な魔力がホブゴブリンの身体をマヒさせる。
「よしっ!」
……後のトドメは任せました。
エルザは勝利を確信すると、迫り来る気配に意識を集中させるのだった。
◇
こん棒が振り下ろされる直前、ホブゴブリンは体勢を崩す。
その隙を逃すのは戦士失格である。メイデンは斧を振り上げ、地面に転がっているホブゴブリンに叩き付ける。
更には、体勢を立て直したマイケルの剣が、ホブゴブリンの心臓を突き刺す。
グォワァッ!
ホブゴブリンは一声唸り声を上げた後絶命した。
マイケルとメイデンは、ホブゴブリンが完全に動かなくなったのを確認してから、エルザの方へ視線を向け声をかける。
「嬢ちゃん助かったぜ。」
「まだです。ゴブリン3、ホブゴブリン1……来ますっ!」
エルザの声に、とっさに構える戦士二人。と同時にゴブリンたちが姿を現す。
剣を構えたホブゴブリンの強襲を、メイデンが斧で受け止め、弾き返す。
驚愕の表情を浮かべるホブゴブリンに対し、メイデンが斧を振り上げ打ち下ろす。
ホブゴブリンはそれを剣で受け止めると、ニヤリと笑う。
まるで戦いを楽しむかのような壮絶な打ち合い、斬り合いが幕を開けた。
エルザは迫り来るナイフを紙一重で躱し、すれ違いざまに切りつけると、大きく距離を取る。
戦士として非力なエルザでは、たとえゴブリンと言えども、まともに切り結んでは分が悪い。エルザの戦い方は、その身軽さを生かし、攻撃を躱しながら隙を突くというものだ。真っ向からの力比べなど、どこぞの脳筋に任せておけばいい。
エルザは、ゴブリンのナイフを躱しつつ、背後に回って斬り付ける。その後は大きく飛びずさり間合いを取る。一度のダメージは少ないものの、そのダメージの蓄積は確実にゴブリンの生命を削り取っていき、それにつれてゴブリンの動きは精彩を欠いていった。
マイケルは残った2匹のゴブリンを相手にしていた。
それぞれの技量は大したことないが、2匹が代わる代わる切り付けてくるので、最初はそれを凌ぐのに力を割いていた。
マイケル位になれば、多対一の戦いなど幾度も経験している。多数を相手にする場合大事なのは、背後を取られない事、そして冷静になることだ。
マイケルは巧みな足捌きにより常に2匹が視界に入る様に動き、決して背後に回られないように気を付ける。そして、2匹の動きをよく見て、時には剣で打ち払い、時には体捌きでその攻撃をいなす。
相手は所詮ゴブリンだ。碌に連携などは取れないだろうと、ゴブリンの攻撃を躱しながらマイケルは隙を伺う。
中々思ったように攻めれないゴブリンたちは、焦れて飛び掛かってくる。
マイケルは左から来たゴブリンの攻撃を躱し、右からくるゴブリンの前に来るように誘導する。つられたゴブリンに、右のゴブリンのナイフが突き刺さる。
うぎゃぁ!と叫ぶゴブリンと、一瞬何が起きたかわからず呆けるゴブリン。
その隙を突いて呆けるゴブリンを袈裟懸けに斬捨て、ナイフを引き抜こうとのた打ち回るゴブリンの心臓を一突きにする。
血糊を払って、他のメンバーは、と視線を向けると、エルザがちょうど止めを刺すところだった。
こちらは大丈夫、とメイデンの方へ視線を向ける。
丁度、メイデンの斧が、ホブゴブリンの剣を弾き飛ばすところだった。
獲物をなくしたホブゴブリンが、メイデンに体当たりをしようと突っ込むが、メイデンはその巨体に似合わぬ動きでするりと躱し、その首を叩き切る。
「終わったようだな。」
マイケルは戦闘が終わったことを確認すると、自分が倒したゴブリンに剣を突き刺し、魔石を取り出す。
「ん?魔石集めないのか?」
視線を感じて、そちらに顔を向けると、不思議そうな顔で自分の坑道を見ているエルザと目があったので、そう声をかける。
「魔石……ですか?」
キョトンと首を傾げるエルザ。
その挙動に、思わず胸の鼓動が高鳴るのを感じるが、同時に空高く飛ばされた恐怖が蘇り、頭を振って余計な感情を振り払う。
「知らないのか?魔物は死ぬと、その体内に蓄えたマナや生命力が凝固して魔石になる……冒険者ならそれくらいは知ってるだろ?」
「え、えぇ、それは分かってますが……ゴブリンからも魔石が採れるのですか?」
「当たり前だろ?人型でも魔物は魔物だ。……こういう人型の場合は、心臓に当たる部分に魔石が出来る事が多い。」
そう言って、ゴブリンの胸を切り裂き、其処に生成された魔石を引きちぎる。
「あ、そ、そうなんですね。」
青ざめ引きつった顔で頷くエルザ。
「要らないなら俺がもらうぜ。」
そう言って、エルザの倒したゴブリンに近づく。
「あ、はいドウゾ。」
どうやらエルザはゴブリンの死体を引き裂くのにためらいを覚えているようだった。
……お優しいこって。まったく、どこのお嬢さんだよ。冒険者には向いてないんじゃねぇのか?
マイケルは心の中でそう呟くと、転がっているゴブリンたちの身体を引き裂き、魔石を取り出していく。
……無理無理無理っ!あんな臭くて汚いものから魔石を取り出すなんてっ!
エルザはマイケルの動きを見ながらそう心の中で叫ぶ。
マイケルに言われるまでもなく、ゴブリンに魔石があることはエルザも知っていた。
だから一度は魔石を回収しようとはしたのだが、そのぐにゃっとした手触りと吐き気をもよおす様な匂いに耐えきれず、よくやるなとマイケルの動きを感心して眺めていたのだったが、どうやら魔石の事を知らないと誤解されてしまったらしい。
……誤解でもなんでもいい。アレに触らずに済むなら魔石でもなんでもあげるよ。そして、2度とゴブリン退治は受けないんだからねっ。
エルザがそう堅く誓っている間に、マイケルとメイデンの作業が終わったようだった。
「それで嬢ちゃん、近くに見張りの部隊はいるのかい?」
「いいえ、多分逆方向だと思います。ですので一度戻った方がいいと思います。」
「そうか、なら戻ろう。」
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