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引きこもり聖女と世界の謎
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メリッ……。
拳が肉塊に食い込む感触がする。
「うぉぉぉぉっ!」
カズトはそのまま力任せに拳を振り抜くと、襲い掛かろうとしていた魔物はその場で絶命し、光の粒子へと変わる。
カズトは振り向きざま、背後から迫る魔物に向けてその拳を突き出す。
「はぁ、化け物染みて来たね、アイツも。」
「人の事言えないでしょ、ミヤコも総合的な戦闘力なら、カズトに引けを取らないじゃない。」
「でもまぁ、私が直接戦うわけじゃないしね。」
そう言いながら、ミヤコはカズトの周りを飛びまわり、魔物を殲滅してまわっている召喚獣たちを眺める。
ウサギの姿に、一本角を生やしたライトニングホーンのバニィ、大蜘蛛の精霊クイーンアラネアのクーちゃん、フクロウと蝙蝠を足して二で割ったような鳥型の魔物、オウルバットのオーちゃん、羽を生やしたネズミの魔物フライングラットのアル、龍族に属する小型の水竜、アクアベビーのアクア……これらの魔物に加えて、光の小精霊のウィルと闇の小精霊のシェードが、今現在、ミヤコが従えている召喚獣だ。
「戦いは数だからね、いくらカズトが凄いって言っても、複数の召喚獣を操るミヤコの方が分がいいはずよ。」
「戦いは数……ねぇ。アレを見て尚そう言える、エルちゃんの感性が凄いと思う。」
魔力を乗せた拳で敵を力任せに倒すカズトとミヤコの召喚獣たちが、目の前で魔物の大群と戦っている。
最初は百数十体居たはずの魔物の群れだが、今では残り十数体迄その数を減らしていて、戦闘が終わるのも時間の問題だろうと思われる。
問題はその戦闘内容だ。ミヤコの召喚獣たちも奮戦していたが、魔物の3割はカズト一人で倒している。
数だけで言うのであればミヤコの召喚獣たちは1匹当たり1割を倒している計算になるのだから、カズトの戦闘力は召喚獣たちの三倍ともいえる。
「まぁ、カズトの戦い方も、おかしい領域になりつつあるのは認めるけど、、あれだけの召喚獣を召喚しておいて、ここでのんびりお茶が出来る時点で、ミヤコも十分おかしいって事を自覚してほしいわ。」
エルザの呟きに思わず視線を逸らすミヤコ。
「あの子たちは、カズトと違って物理戦闘力が高いわけじゃないからね。」
何となく自分が不利な方向に行きそうな気がしたので、強引に話題を変えるミヤコ。
「まぁね。元々多数には広域魔法が向いているけど、今みたいな乱戦になると、魔法が使いに難いからね。」
「アイツは巻き込まれても平気。」
「だからと言って、さすがに巻き込むわけには……って、あらら……。」
エルザたちの声がミヤコを通して伝わっていたのかどうかは分からないが、今まで、周りを巻き込まないようにと、魔法を最小限で使用していた召喚獣たちが、揃って魔法の詠唱を始める。
ウィルの放つ閃光弾に、その場にいた者の動きが一瞬止まる。
その隙をついて、アクアがメイルシュトロームを放ち、その場にいた魔物たちを水流に巻き込む……もちろんカズトも巻き込まれている。
さらに、オーちゃんの放ったトルネードサイクロンが、水流ごと全てを中空へと巻き上げ、そこに打ち込まれるバニィのエレクトリカルサンダー。
中にいたものは尽く電撃のショックで動けなくなり、水と風の織り成す奔流に成す術もなく流されていく。
やがて、水と風が収まり、地面に全ての魔物が落ちてきたときには、動けるものは1匹足りともいなかった。
なのに、そこにとどめとばかりに、アルがフレイム・ウォールを撃ち込んで焼き尽くす。
「鬼畜の所業。」
「……ユウにだけは言われたくないと思うわよ。」
「ってか、あの子たちやり過ぎっ。カズトは生きてるの?」
満足気な召喚獣たちを呼び寄せ、召喚石に戻すと、慌ててフィールドに駆け寄る。
よくよく見ると、跡形もなく焼け尽くしたはずのフィールドに、唯一焼け残っていた塊がピクリと動く。
「むぅ、意外と頑丈。」
「生きてるみたいね。」
「お前ら、なぁ……。」
むくりと起き上がったカズトが、よろよろと近寄ってくる。
「まぁまぁ、無事だったからよかったじゃん?」
ミヤコが誤魔化す様に笑うが、カズトの表情は崩れない。
「ウン、装備も完璧。」
「完璧、じゃねえよっ。」
カズトが今身に着けている防具は、鎖帷子とその上から革鎧。
腕を守る籠手はなく、武具と兼用している革のグローブ。
足元を守る膝丈迄の皮のブーツに頭部を守る革の帽子だ。
革のグローブは、カズトの戦闘スタイルに合わせて、魔力が通しやすくなっており、さらに言えば、効率よく魔力を流せる補助機能がついているおかげで、グローブを装備してないときに比べて1/10の魔力量で扱えるようになっている。さらに言えば、ナックル部分に仕込んである魔晶石により、魔力を蓄積・増幅することも可能で、上手に扱えばカズトのパワーを極限まで引き出せるようになっている。
鎖帷子は、カズトが街で買ったもので、取り立てて特筆すべき点はないが、値段の割には性能が良く、ジャズとの防御力を挙げるのに役立っている。
その為、ユウは革鎧には特に防御力を求めず、軽量化と魔力障壁の発生のみにとどめていた。
もっとも、この魔力障壁は、流した魔力量に比例するようになっているので、カズトが本気で魔力を流せば、元からの防御力と合わせて、カズトを傷つけるにはドラゴン数匹によるブレスを一斉に浴びせる必要があるだろう。
革帽子には耐状態異常が,革のブーツにはスピードアップが付けられていて、カズトの能力の底上げに一役買っている。
さらに言えば、すべての防具に自動修復が掛けられているのでメンテナンスも必要ない様になっていた。
一見すると、その辺りで売っている、あまり質の良くない革装備一式にしか見えない、しかもデザインがダサいのに、ユウが手を加えた代物なので、今の時代では伝説級《レジェンドクラス》の装備となっていて、カズトとしても他の装備を身に着けることが出来なくなってる。
ユウは失敗作だというが、これ以上の性能を持つ装備は大国の宝物庫を探しても出てくるかどうかわからないだろう。
因みに、この装備を受け取った時、カズトは当然のことながら、もっとカッコいい装備はないのか?と文句を言ったが、ユウに鼻であしらわれるだけだった。
ユウにしてみれば、カズトはエルザを守るための肉の壁であって、それ以上でもそれ以下でもなく、全く興味がないのだ。
「まぁまぁ……あ、今怪我を癒すね。」
「必要ない。」
エルザがカズトを宥め、ヒールを掛けようとすると、ユウがそれを遮り、ポーションをぶつける。
ユウ特製のハイポーションの効果で、カズトの傷は元から無かったかのように治る。
「エルたんの癒しは男に必要ない。」
「くっ……。」
「ユウちゃんもブレないねぇ。」
「アハハ……。」
「ま、それはそうと、とりあえず一休みしようよ。」
ミヤコの言葉に従って、一同は、先程迄エルザたちがいたベースへと移動することにした。
「落ち着いたら出口探さないといけないわね。」
ミヤコが、ぼそりとつぶやく。
今エルザたちがいるのは、学園が管理する、通称『学園迷宮《スクールダンジョン》』の最終階層の筈だった6階層のさらに奥の階層だ。
第六階層の最深部にエルザたちが着いた時、突然警報が鳴り響き、気付いたらこの場所へと転移されていた。
そして、突然襲い掛かってくる魔物の数々から逃れ辿り着いた……というか追い詰められたのがこの部屋だった。
幸いにも行き止まりで、入り口だけに留意すれば背後や側面から奇襲を受ける事もないため、ここで迎撃することにしたのだが、突然裕が、カズトとミヤコに戦闘を任せようと言い出し、何か意味があるのだろうと、エルザは二人に魔物を任せ、ユウの為にお茶を用意していた。
もっとも、ミヤコの場合、直接戦わずに召喚獣に任せることが出来るため、結果として、カズト一人が戦い、女性達はのんびりお茶をする、という図が出来上がってしまったのだが。
……というのが、ここに至るまでの経緯だった。
「大丈夫。大体理解した。」
「理解したって?」
「この奥に神殿がある。そこに外に出る転移装置がある……はず。」
「えっとどういう事?」
ミヤコは説明を求めるようにエルザを見る。
「あ、うん、そうね……。ユウ、話してもいい?」
「構わない。」
「ん。わかった。」
エルザはユウを膝の上に乗せ抱き寄せながら、ミヤコとカズトにユウの事を話すことにする。
「えっと、驚かないでね。ユウ、……ユースティアは破壊神なの。」
「はーい、破壊神でーす。」
緊張感の欠片もなく、棒読み口調でそう言うユウのせいで、エルザが醸し出した堅い雰囲気が台無しになる。
「えっと、エルちゃん、ユウちゃん?」
「あ、ちゃんと順序だてて話すから落ち着いてね。」
ふざけてるの?と拳をプルプル震わせるミヤコに声を掛けつつ、ユウと出会った時のこと、ユウが神話として語られる時代の生き残りで、神話で語られている破壊神ユースティア本人だという事、神々の時代として語り継がれている時代が、本当は今より進んだ文明の時代であり、神々と言われている者も、自分たちと変わらない人間だという事を話す。
「ユウはその時代においても、天才的な術者だったらしくてね、当時の権力者に騙されて使われていたらしいの。」
「で、真実を知って、キレて文明を破壊した、ってわけかぁ。やるなぁ。」
「成程ねぇ。それで時代は流れて、自分たちでは追い付けない技術を神の御業、という事になっちゃったのね。確かに、自分たちの想像を超える力を見せられたら、神様だって思っちゃうのは分からなくもないけどね。」
「えっと、あれ?あれ?」
「どうしたのエルちゃん?」
「いえ、だって、あの……なんでそんなにあっさりと受け入れちゃうの?」
「え?」
「えっ?」
エルザとミヤコ、カズトは顔を見合わせる。
「だって、普通は信じないでしょ、こんな途方もない事。」
「そうは言われても、本当の事なんでしょ?確かに10万年も眠ってたってのは驚くけど。」
「まぁ、異世界だし、そういうのもアリかな?って。」
「エルたん、考えるだけ無駄。」
「え、でも、だって……。」
プチパニックを起こすエルザを、優しく宥めるユウ。
「大体、テンイシャは思考がおかしい。」
「「いやいやいや。」」
ユウにだけは言われたくないと、二人は大きく首を振る。
「そうじゃなくて、そういう意味もあるけど……。」
「あるんかいっ!」
「異世界から転移という事を抜きにしても、その思考はあり得ない。」
「ユウ、どう言う事?」
「うまく説明できるかどうか、わからない。」
「ん、大丈夫だから教えて。」
「そうね、興味があるわ。」
「だな。」
「うー、まず、ミヤコ達の世界に魔法がない。これは間違いない?」
「うーん、そう言われるとねぇ。ただ魔法というものを目にしたことは無いわね。」
「そこがまずおかしい。」
「どういうこと?」
「世の理からして、概念があればそれは存在する。逆に言えば存在しないモノの概念を知覚することは出来ない。」
「どういうことだ、わかるか?」
カズトがミヤコに聞くがミヤコは首を振る。
「うー……例えばプリン。これは卵と砂糖、動物の乳を混ぜて作るモノ……あってる?」
「ウン、そうね、間違ってはいないわ。」
「この世界にも、玉子も砂糖も、動物の乳も存在する。飲食もされている。それは10万年前でも同じ。10万年前には卵を使ったレシピも、砂糖を使ったレシピも山ほどあった。だけどプリンはなかった。」
「えっとそれが?」
「エルたん、プリンの事知ってた?」
「ううん。玉子使ってこんなおいしいのが作れるなんて初めて知ったよ。」
「ウン、それが普通。砂糖を使えば甘くなることは誰でも知っている。だけど、プリンを作ったものは今までに誰一人としていない。それは、『プリン』という概念がこの世界には存在しなかったから。」
「そんな大げさな……。」
「そうじゃないの。知らないモノ、知覚出来ないモノは、どれほど簡単な物であっても作り出すことは出来ない。なぜなら、その概念がないから。無いところから何かを生み出すことは出来ない、というのは全世界の共通事項。そして、存在しない物を知覚することも不可能。だって存在しないのだから。」
ユウの言う事に三人は黙り込む。
つまり、この世界でプリンという概念は存在しないから誰も知ることは無く気付くこともない。当然作り方も知らなければ作ろうとも思わない、という事らしい。
「だから、魔法という概念があるのであれば魔法が存在しなければおかしい。そして、魔法がない世界からある世界に渡って、普通に魔法が使えるというのもありえない。」
「でも、ミヤコ達使ってるよ?」
「それがおかしいの……エルたん、これ使える?」
ユウが銀色の棒を2本エルザに渡す。
「えっと、これなに?……棒?」
エルザは渡された棒を握ったり振ったり、眺めたりしている。
十分ほど様々なことを試して、エルザはとうとう諦める。
「分かんない。降参だよ。」
「それ、ひょっとして箸じゃないかな?」
「箸?」
「ウン、食事の時に使う道具でね、こう持つの。」
「そうなの?へぇ……変わってるね。」
ミヤコとエルザのやり取りを見てユウが口を開く。
「それは10万年前でも辺境の一部の種族が使っていた道具。当然今に伝わっていないからエルたんが知らなくても当たり前。」
「へぇ、そうなんだね。」
「今のエルたんのように、知らないものは使えない。エルたんは、これで食事するなんて考えた事もないはず。そして教えてもらったとしてもこれで食事は出来ない。」
「ウン、そうだね、想像もつかないよ。」
「つまり、今までなかったものを使うには凄く時間がかかる。なのにミヤコ達はこの世界に来てそれ程経っていないのに魔法を使いこなしている。それに、ミヤコ達は魔物に驚かない。ミヤコ達の世界には存在しない筈なのに。」
「そう言われても……ねぇ?」
ミヤコとカズトは顔を見合わせる。
確かに魔法は存在しないし、魔物もいない。
だけど、空想の世界では魔法が存在し、妖精も精霊も幻獣も魔物も……神様だっている。
存在しないけど知っている。その事に今まで疑問を持つことは無かった。
「ユウ、何が言いたいの?」
「存在しないのに概念がある。そんな矛盾した世界があるわけがない。」
「つまり?」
「……そこに世界の秘密が隠されている。」
「あ、ウン、お茶美味しかったな。」
「そうね、そろそろ移動しましょうか。」
「……そうね。ユウ、このテーブルしまえる?」
「…………おかしい。」
「あ、うん、おかしいけど、今はココから出て試験を終わらせましょ。」
「ぶぅ……。世界の謎なのにぃ。」
「うんうん、謎は謎ね。」
ミヤコが小さい子をあやす様にユウの頭を撫でる。
それでも納得いかないって顔をするユウに、エルザは笑顔で伝える。
「あのね、ユウ。世界がどうとか概念がどうとかあまり関係ないの。今ここにユウがいて、ミヤコがいて、カズトがいて、私の作ったものを美味しいって言ってくれる。ミヤコが私の知らない美味しいものの作り方を教えてくれる。それでいいじゃない。それ以上に大事な事ってあるのかな?」
「……エルたん、ラヴ!」
ユウはエルザに抱きつく。
エルザの言う通り、今ここに存在し、美味しいものが食べられるという事実があり、可愛いエルたんがそばにいる、それ以上に必要なことなどないように思えるのだった。
拳が肉塊に食い込む感触がする。
「うぉぉぉぉっ!」
カズトはそのまま力任せに拳を振り抜くと、襲い掛かろうとしていた魔物はその場で絶命し、光の粒子へと変わる。
カズトは振り向きざま、背後から迫る魔物に向けてその拳を突き出す。
「はぁ、化け物染みて来たね、アイツも。」
「人の事言えないでしょ、ミヤコも総合的な戦闘力なら、カズトに引けを取らないじゃない。」
「でもまぁ、私が直接戦うわけじゃないしね。」
そう言いながら、ミヤコはカズトの周りを飛びまわり、魔物を殲滅してまわっている召喚獣たちを眺める。
ウサギの姿に、一本角を生やしたライトニングホーンのバニィ、大蜘蛛の精霊クイーンアラネアのクーちゃん、フクロウと蝙蝠を足して二で割ったような鳥型の魔物、オウルバットのオーちゃん、羽を生やしたネズミの魔物フライングラットのアル、龍族に属する小型の水竜、アクアベビーのアクア……これらの魔物に加えて、光の小精霊のウィルと闇の小精霊のシェードが、今現在、ミヤコが従えている召喚獣だ。
「戦いは数だからね、いくらカズトが凄いって言っても、複数の召喚獣を操るミヤコの方が分がいいはずよ。」
「戦いは数……ねぇ。アレを見て尚そう言える、エルちゃんの感性が凄いと思う。」
魔力を乗せた拳で敵を力任せに倒すカズトとミヤコの召喚獣たちが、目の前で魔物の大群と戦っている。
最初は百数十体居たはずの魔物の群れだが、今では残り十数体迄その数を減らしていて、戦闘が終わるのも時間の問題だろうと思われる。
問題はその戦闘内容だ。ミヤコの召喚獣たちも奮戦していたが、魔物の3割はカズト一人で倒している。
数だけで言うのであればミヤコの召喚獣たちは1匹当たり1割を倒している計算になるのだから、カズトの戦闘力は召喚獣たちの三倍ともいえる。
「まぁ、カズトの戦い方も、おかしい領域になりつつあるのは認めるけど、、あれだけの召喚獣を召喚しておいて、ここでのんびりお茶が出来る時点で、ミヤコも十分おかしいって事を自覚してほしいわ。」
エルザの呟きに思わず視線を逸らすミヤコ。
「あの子たちは、カズトと違って物理戦闘力が高いわけじゃないからね。」
何となく自分が不利な方向に行きそうな気がしたので、強引に話題を変えるミヤコ。
「まぁね。元々多数には広域魔法が向いているけど、今みたいな乱戦になると、魔法が使いに難いからね。」
「アイツは巻き込まれても平気。」
「だからと言って、さすがに巻き込むわけには……って、あらら……。」
エルザたちの声がミヤコを通して伝わっていたのかどうかは分からないが、今まで、周りを巻き込まないようにと、魔法を最小限で使用していた召喚獣たちが、揃って魔法の詠唱を始める。
ウィルの放つ閃光弾に、その場にいた者の動きが一瞬止まる。
その隙をついて、アクアがメイルシュトロームを放ち、その場にいた魔物たちを水流に巻き込む……もちろんカズトも巻き込まれている。
さらに、オーちゃんの放ったトルネードサイクロンが、水流ごと全てを中空へと巻き上げ、そこに打ち込まれるバニィのエレクトリカルサンダー。
中にいたものは尽く電撃のショックで動けなくなり、水と風の織り成す奔流に成す術もなく流されていく。
やがて、水と風が収まり、地面に全ての魔物が落ちてきたときには、動けるものは1匹足りともいなかった。
なのに、そこにとどめとばかりに、アルがフレイム・ウォールを撃ち込んで焼き尽くす。
「鬼畜の所業。」
「……ユウにだけは言われたくないと思うわよ。」
「ってか、あの子たちやり過ぎっ。カズトは生きてるの?」
満足気な召喚獣たちを呼び寄せ、召喚石に戻すと、慌ててフィールドに駆け寄る。
よくよく見ると、跡形もなく焼け尽くしたはずのフィールドに、唯一焼け残っていた塊がピクリと動く。
「むぅ、意外と頑丈。」
「生きてるみたいね。」
「お前ら、なぁ……。」
むくりと起き上がったカズトが、よろよろと近寄ってくる。
「まぁまぁ、無事だったからよかったじゃん?」
ミヤコが誤魔化す様に笑うが、カズトの表情は崩れない。
「ウン、装備も完璧。」
「完璧、じゃねえよっ。」
カズトが今身に着けている防具は、鎖帷子とその上から革鎧。
腕を守る籠手はなく、武具と兼用している革のグローブ。
足元を守る膝丈迄の皮のブーツに頭部を守る革の帽子だ。
革のグローブは、カズトの戦闘スタイルに合わせて、魔力が通しやすくなっており、さらに言えば、効率よく魔力を流せる補助機能がついているおかげで、グローブを装備してないときに比べて1/10の魔力量で扱えるようになっている。さらに言えば、ナックル部分に仕込んである魔晶石により、魔力を蓄積・増幅することも可能で、上手に扱えばカズトのパワーを極限まで引き出せるようになっている。
鎖帷子は、カズトが街で買ったもので、取り立てて特筆すべき点はないが、値段の割には性能が良く、ジャズとの防御力を挙げるのに役立っている。
その為、ユウは革鎧には特に防御力を求めず、軽量化と魔力障壁の発生のみにとどめていた。
もっとも、この魔力障壁は、流した魔力量に比例するようになっているので、カズトが本気で魔力を流せば、元からの防御力と合わせて、カズトを傷つけるにはドラゴン数匹によるブレスを一斉に浴びせる必要があるだろう。
革帽子には耐状態異常が,革のブーツにはスピードアップが付けられていて、カズトの能力の底上げに一役買っている。
さらに言えば、すべての防具に自動修復が掛けられているのでメンテナンスも必要ない様になっていた。
一見すると、その辺りで売っている、あまり質の良くない革装備一式にしか見えない、しかもデザインがダサいのに、ユウが手を加えた代物なので、今の時代では伝説級《レジェンドクラス》の装備となっていて、カズトとしても他の装備を身に着けることが出来なくなってる。
ユウは失敗作だというが、これ以上の性能を持つ装備は大国の宝物庫を探しても出てくるかどうかわからないだろう。
因みに、この装備を受け取った時、カズトは当然のことながら、もっとカッコいい装備はないのか?と文句を言ったが、ユウに鼻であしらわれるだけだった。
ユウにしてみれば、カズトはエルザを守るための肉の壁であって、それ以上でもそれ以下でもなく、全く興味がないのだ。
「まぁまぁ……あ、今怪我を癒すね。」
「必要ない。」
エルザがカズトを宥め、ヒールを掛けようとすると、ユウがそれを遮り、ポーションをぶつける。
ユウ特製のハイポーションの効果で、カズトの傷は元から無かったかのように治る。
「エルたんの癒しは男に必要ない。」
「くっ……。」
「ユウちゃんもブレないねぇ。」
「アハハ……。」
「ま、それはそうと、とりあえず一休みしようよ。」
ミヤコの言葉に従って、一同は、先程迄エルザたちがいたベースへと移動することにした。
「落ち着いたら出口探さないといけないわね。」
ミヤコが、ぼそりとつぶやく。
今エルザたちがいるのは、学園が管理する、通称『学園迷宮《スクールダンジョン》』の最終階層の筈だった6階層のさらに奥の階層だ。
第六階層の最深部にエルザたちが着いた時、突然警報が鳴り響き、気付いたらこの場所へと転移されていた。
そして、突然襲い掛かってくる魔物の数々から逃れ辿り着いた……というか追い詰められたのがこの部屋だった。
幸いにも行き止まりで、入り口だけに留意すれば背後や側面から奇襲を受ける事もないため、ここで迎撃することにしたのだが、突然裕が、カズトとミヤコに戦闘を任せようと言い出し、何か意味があるのだろうと、エルザは二人に魔物を任せ、ユウの為にお茶を用意していた。
もっとも、ミヤコの場合、直接戦わずに召喚獣に任せることが出来るため、結果として、カズト一人が戦い、女性達はのんびりお茶をする、という図が出来上がってしまったのだが。
……というのが、ここに至るまでの経緯だった。
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「理解したって?」
「この奥に神殿がある。そこに外に出る転移装置がある……はず。」
「えっとどういう事?」
ミヤコは説明を求めるようにエルザを見る。
「あ、うん、そうね……。ユウ、話してもいい?」
「構わない。」
「ん。わかった。」
エルザはユウを膝の上に乗せ抱き寄せながら、ミヤコとカズトにユウの事を話すことにする。
「えっと、驚かないでね。ユウ、……ユースティアは破壊神なの。」
「はーい、破壊神でーす。」
緊張感の欠片もなく、棒読み口調でそう言うユウのせいで、エルザが醸し出した堅い雰囲気が台無しになる。
「えっと、エルちゃん、ユウちゃん?」
「あ、ちゃんと順序だてて話すから落ち着いてね。」
ふざけてるの?と拳をプルプル震わせるミヤコに声を掛けつつ、ユウと出会った時のこと、ユウが神話として語られる時代の生き残りで、神話で語られている破壊神ユースティア本人だという事、神々の時代として語り継がれている時代が、本当は今より進んだ文明の時代であり、神々と言われている者も、自分たちと変わらない人間だという事を話す。
「ユウはその時代においても、天才的な術者だったらしくてね、当時の権力者に騙されて使われていたらしいの。」
「で、真実を知って、キレて文明を破壊した、ってわけかぁ。やるなぁ。」
「成程ねぇ。それで時代は流れて、自分たちでは追い付けない技術を神の御業、という事になっちゃったのね。確かに、自分たちの想像を超える力を見せられたら、神様だって思っちゃうのは分からなくもないけどね。」
「えっと、あれ?あれ?」
「どうしたのエルちゃん?」
「いえ、だって、あの……なんでそんなにあっさりと受け入れちゃうの?」
「え?」
「えっ?」
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「そうは言われても、本当の事なんでしょ?確かに10万年も眠ってたってのは驚くけど。」
「まぁ、異世界だし、そういうのもアリかな?って。」
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「「いやいやいや。」」
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「どういうことだ、わかるか?」
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「ウン、そうね、間違ってはいないわ。」
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「えっとそれが?」
「エルたん、プリンの事知ってた?」
「ううん。玉子使ってこんなおいしいのが作れるなんて初めて知ったよ。」
「ウン、それが普通。砂糖を使えば甘くなることは誰でも知っている。だけど、プリンを作ったものは今までに誰一人としていない。それは、『プリン』という概念がこの世界には存在しなかったから。」
「そんな大げさな……。」
「そうじゃないの。知らないモノ、知覚出来ないモノは、どれほど簡単な物であっても作り出すことは出来ない。なぜなら、その概念がないから。無いところから何かを生み出すことは出来ない、というのは全世界の共通事項。そして、存在しない物を知覚することも不可能。だって存在しないのだから。」
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「でも、ミヤコ達使ってるよ?」
「それがおかしいの……エルたん、これ使える?」
ユウが銀色の棒を2本エルザに渡す。
「えっと、これなに?……棒?」
エルザは渡された棒を握ったり振ったり、眺めたりしている。
十分ほど様々なことを試して、エルザはとうとう諦める。
「分かんない。降参だよ。」
「それ、ひょっとして箸じゃないかな?」
「箸?」
「ウン、食事の時に使う道具でね、こう持つの。」
「そうなの?へぇ……変わってるね。」
ミヤコとエルザのやり取りを見てユウが口を開く。
「それは10万年前でも辺境の一部の種族が使っていた道具。当然今に伝わっていないからエルたんが知らなくても当たり前。」
「へぇ、そうなんだね。」
「今のエルたんのように、知らないものは使えない。エルたんは、これで食事するなんて考えた事もないはず。そして教えてもらったとしてもこれで食事は出来ない。」
「ウン、そうだね、想像もつかないよ。」
「つまり、今までなかったものを使うには凄く時間がかかる。なのにミヤコ達はこの世界に来てそれ程経っていないのに魔法を使いこなしている。それに、ミヤコ達は魔物に驚かない。ミヤコ達の世界には存在しない筈なのに。」
「そう言われても……ねぇ?」
ミヤコとカズトは顔を見合わせる。
確かに魔法は存在しないし、魔物もいない。
だけど、空想の世界では魔法が存在し、妖精も精霊も幻獣も魔物も……神様だっている。
存在しないけど知っている。その事に今まで疑問を持つことは無かった。
「ユウ、何が言いたいの?」
「存在しないのに概念がある。そんな矛盾した世界があるわけがない。」
「つまり?」
「……そこに世界の秘密が隠されている。」
「あ、ウン、お茶美味しかったな。」
「そうね、そろそろ移動しましょうか。」
「……そうね。ユウ、このテーブルしまえる?」
「…………おかしい。」
「あ、うん、おかしいけど、今はココから出て試験を終わらせましょ。」
「ぶぅ……。世界の謎なのにぃ。」
「うんうん、謎は謎ね。」
ミヤコが小さい子をあやす様にユウの頭を撫でる。
それでも納得いかないって顔をするユウに、エルザは笑顔で伝える。
「あのね、ユウ。世界がどうとか概念がどうとかあまり関係ないの。今ここにユウがいて、ミヤコがいて、カズトがいて、私の作ったものを美味しいって言ってくれる。ミヤコが私の知らない美味しいものの作り方を教えてくれる。それでいいじゃない。それ以上に大事な事ってあるのかな?」
「……エルたん、ラヴ!」
ユウはエルザに抱きつく。
エルザの言う通り、今ここに存在し、美味しいものが食べられるという事実があり、可愛いエルたんがそばにいる、それ以上に必要なことなどないように思えるのだった。
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しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
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相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
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1月5日 誤字脱字修正 54話
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